紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

オペラセリア煌輝座 最高を塗り替えたドラマCDの感想・考察(ネタバレあり)








本日9/23、ミリオンのMTW11「オペラセリア・煌輝座」が正式な発売日を迎えましたね。
とはいえ四連休明けの発売日設定ということもあり、流通のルールの影響で早い地域では18日夜くらいから手に入った人もいるとか。私も誘惑に抗えず、誉れのないフラゲを19日に地元の店でやりました。でもって、毎日仕事で100km以上車を走らせていた世間での四連休に8周ほど聞いたので、さっそく感想・考察をしていきたいと思います。


いや、総評としてはすっげー良かったですね!








■概要


オペラセリア・煌輝座は、歌劇団だのサクラモリ大戦だの言われた新曲・Parade d'amourを引っさげ、7月中旬にゲーム内イベントが実施されました。この頃から既に私が狂っていたのはフォロワーならご存知と思います。なにせ、断片的な情報だけで5万字を超える創作をやった強火妄想勢の一角でしたから。

ドラマCDでは非常に多くの情報が開示され、時代、場所については特定に至りました。それは後述するとして、あらすじとしては以下の通りです。





貧乏な地方貴族の娘、アシュリー・ノリス(演・北沢志保は、父親が鉄道投資詐欺に騙されて屋敷も農地も奪われてしまい、家族も四散の憂き目に遭ってしまった。頼りない父親に代わり、アシュリーは証文を持つ成金貴族で大商人、ロバート・ヘリックの屋敷に侵入しようとするがことごとく失敗。そこでターゲットをロバートの息子、オスカー・タルボット(演・桜守歌織に切り替え、彼に近づくため性別を偽って王立士官学校に入学する。年度末には成績優秀者を招く宴がロバートの屋敷であるため、学校で成績優秀者になるか、お坊ちゃんというオスカーと親しくなれば証文を奪い取るチャンスが巡ってくると考えたからだ。かくしてアシュリーは、生徒会長でルームメイトのハーヴェイ・バーティ(演・田中琴葉、オスカーの従兄弟でライバルとなるアリエル・ハワード(演・徳川まつり)らとともに、使命を秘めて士官学校で勉学に励むこととなる――。


こんな感じですね。シナリオは最近、畏敬を込めて「アイマス界の小林靖子」という異名までつけられてしまったバンナム青木朋さん。共著も含めて、MTG、MTW、TCなどの多くのシナリオを担当しているほか、夜想令嬢の「昏き星、遠い月」の作詞、及び6thライブの夜想令嬢の演劇脚本も手掛けています。

夜想令嬢のほか、Escape、ラスト・アクトレス、World Changer、クルリウタなどまあ人死にがよく出る印象で、特にクルリウタで一層名を上げられたような気がします。一方でりるきゃんやHANABI団、TBTCでは空猫珈琲店やGmWなども手掛けているので、シリアスが目立つだけで幅広く書ける方なのだと思われます。……あれ? でもなんか茜ちゃんに厳しくない?







■登場人物総評









●アシュリー・ノリス(北沢志保)=冒頭15歳、最終的には17歳前後?



主人公らしい主人公でしたね。やや猪突気味ですが、行動力とハングリー精神の化身。確実に攻め。そしてParade d'amourの歌詞を体現するような存在でした。「世界は思うより広くて美しい」「鎖のように まとわりつく運命には負けない 自分の意思で変えてみせるさ 守るべきものは誰が決めることじゃない」という歌詞は彼女が男性陣三人へ送ったメッセージであり、また彼らからは形を変えて贈り返されたものでもありました。アシュリーを三人が惚れさせようとするのではなく、アシュリーが意図せず三人を惚れさせてしまうところが肝。求婚者の誰を選んでもよく、また誰が選ばれても非難が出ないような主人公になったのは、青木さんの筆の巧みさかと思われます。

多くの創作で予想されていたものとは違って、物語スタート時点で家族も離散寸前、屋敷も領地も奪われていることもあり、思った以上にダウナーかつ狂犬沢志保。特に煽り台詞や語録で打線が組めるほどでした。試しに組んだ。


1(遊) ムカつく(直球)
2(二) やっぱり貴方ムカつくわ
3(左) (アリエルは)子供より聞き分けがないんじゃないか
4(三) なんだ、オスカーの犬か
5(捕) やたらと人に噛みつかないように、首輪と鎖でも付けたらどうですか?
6(一) 田舎貴族にトップを取られるなんて、都の貴族も大したことないんだな
7(指) 伯爵家のお屋敷にしては随分と成金趣味だな
8(右) ああそうですか、貴方の好みとか知りませんけど
9(中) 吠えるなら校舎の外で吠えたらどうだ?
 (投) あの男がそうなのね。えっらそうに……


すごい。ハーヴェイくんの胃が壊れそう。

とはいえ、当初の復讐心が初めて知る学びの楽しさで揺らいでしまったり、学校になじんで段々性格が明るくなっていく辺りは、志保らしさもあって非常に好感の持てるものでした。そして時折にじみ出る年頃の女の子らしさもまた。ラストシーンも可愛らしく、そりゃイベントコミュではああいうファンレターが来るよな、と納得したものです。しかし独学で首席取れて、その後も並外れた努力ありきとはいえとうとう一年間トップを譲らなかったのはとんでもない資質ですね。

私はミリオンBCがぶっ刺さった勢なので近く別個に記事を上げますが、もう認めないといけないような気がします。昔は苦手でしたけど、良いですね志保。



●オスカー・タルボット(桜守歌織) =20歳前後?



事前の予想や創作では完全無欠のスパダリ、しかし貴公子の仮面の下には深い闇。父との関係は悪い……というものが多かったですが、当たらずしも遠からずといったところでしょうか。昼行灯を装う厭世型の秀才(顔がいい)というキャラ造形は、私は予想外でした。

王立士官学校(厳密には王立陸軍大学)に入学後、2~3年留年しているということが序盤に語られます。この辺りは後述しますが、陸軍大は実際にも早ければ2年前後で卒業できることを考えれば、実年齢は20歳を超えているかもしれませんね。それでもちやほやされて囲いが絶えないのは、実家の格や資金、また本人のビジュアルや物腰によるものなのでしょう。また、アシュリーの一喝で目が覚めてからすぐに卒業試験をクリアし、さらに近衛兵に任官されたところからして、学問も軍事も当然できる――けれど、卒業試験だけを意図的に落第していたのでしょう。勘もよく、内輪に対しての気配りもしっかりしているあたり、誰も寄せ付けない無敵のプリンスというのも持ち上げすぎではないのかな、と考えます。

ある意味ではアシュリーの正体に誰よりも先に認知していた人間ですが、傍観者気質であることもあり、心の闇を吐露する終盤まではアシュリーの認識も「おもしれー女」止まりで、恋愛感情は抱いてなかったようにも見えます。その代わり目が覚めてからは、密室でいきなりハグをしたり(手を握っただけかもしれませんが)、おそらく先導して求婚に走ったりと、アグレッシブな男に変貌します。ただ、それが終盤になってからであることや、この手の物語での王道要素――例えば「身分や立場を超えて対等に向き合ってくれる」といった属性を従弟が持っていったこともあり、乙女ゲーでいう攻略対象キャラとしての魅力は他の二人よりはやや落ちるようにも思えました。一方で、Parade d'amourも星宙のVoyageも、低音ガッツリ効かせた歌織さんの歌声ありきの構成なので、やはりメインキャラには違いがないのでしょう。





●アリエル・ハワード(徳川まつり) =16歳くらい?



アリエルくんかわいい……。良い……。

初聴時のメモもアリエルくんかわいいという文字列が大量に記されていました。お兄様べったりな生意気年下属性、というのは皆の予想通りだったでしょうが、物語を動かすライバル枠としての役割が非常に大きかったですね。剣術勝負は定番ではありますが、実際に妄想シナリオに組み込んだ身としてはガッツポーズものでした。しかもそこから性別バレにつなげるのも。泣き虫なところも含めて、アリエルくんは本当に本当に解釈一致でしたね。お兄様が持つと思われていた属性まで持っていったので、動きのある彼がメインヒロインに見えてしまうほどです。ハーヴェイとはまた違った王道キャラですね。

他方で、どうも一学年100人は下らないらしい学生たちの中で次席をキープし続ける秀才であったのは意外でした。彼もまた努力をして好成績を獲ることで親の許しを得ていたのでしょうが、だからこそ一個人として見てくれるアシュリーに次第に魅かれていったのでしょうね。章ごとの考察はアリエルくんの分析あってこそなので、後ほど詳しく彼の変化については書いていきます。

出身は実在の貴族、サフォーク伯ハワード家。20世紀まで長くイギリスの要職を担っています。本家筋のノーフォーク公ハワード家は、王妃を出したこともある名門中の名門です。


序盤では男としては明らかに未熟だった彼ですが、好敵手と恋を通じて一年前の男に脱皮し、お兄様にも譲らない対抗心を持てるようになっていくという意味では、男性陣では彼の成長物語が一番わかりやすかったかもしれません。心が夢女子になっちゃう。プロポーズシーンとか。

「君という人間は、この世界で唯一、ボクに負けを味あわせたんだぞ。その上ボクの求婚を断るなんて、"そんなひどいこと、キミはしないだろ?"」

この少年と男の絶妙な混ざり具合の言い回しで堕ちた人、リアルでもミリシタ世界でも山ほどいるんだろうなあ……。アリエルくんルート書きたいですね。かわいい。私は浅学なので諏訪彩花さんをアイマスでしか知らないのですが、少年声でも実績があったりするのでしょうか? 




●ハーヴェイ・バーティ(田中琴葉)=18~19歳くらい?



みんな大好き、魂が受けなコトハくん。そして最大公約数的コトハくんをさらに+αした存在でした。

コトハくんというのはTB03のウォーカーくん的なカルト的人気があったアレですね。Twitterで「"コトハくん"」で調べるとその経過……もとい濃い妄想が見られますが、的中だった女性免疫のないヘタレ優等生キャラ、アシュリー(シホ)を支援する唯一無二のルームメイト、個性的な二人に対して常識的な苦労人といった創作は多くされており、ハーヴェイくんもその予想通り、アシュリーを最大限支援・カバーする役割でした。しかも生徒会長。普段の予想では逆神な私ですが、ハーヴェイについては概ね的中でしたね。

しかし付属で実装された属性は「(アシュリーに惚れて)何を考えているんだ、彼は男だぞ!!」ではなく、まさかのラッキースケベ属性。しかも入学式前に裸ないし下着姿を見て即バレというもので、それと引き換えにアシュリーちゃんの証文奪還ガバガバRTAのサポーターを一年間終始務めることになってしまいました。

後述する医学を志すという考えは、彼のキャラクター性に厚みを与えつつ、物語をスムーズに進行させる意味でも重要な属性でしたね。

あとは「ヒィッ!!」だの「うぇぇ!?」だの、上げる声がいちいち可愛らしく、強火妄想勢のイメージが概ね予想通りだったこともあり、人気はさらに高まりそうな感があります。オペラセリアで創作やるなら、ハーヴェイが頑張らないと他三人がアレなので話がまとまらないでしょうし……。

ちなみにちょっとググるだけでもわかりますが、ノリス、タルボット、ハワード、バーティなど、四人の姓はいずれも当時の実在の(一部は現存の)貴族名です。全く同一のものとしては書いていないとみられますが、アリエルの実家は実在の超名門一族……の分家ですが代々要職を務めており、その嫡子は士官学校に来る身分ではないのは明らかです。
また、ハーヴェイ・バーティの元ネタは、オックスフォード近郊に領地と邸宅を構えていたアビンドン伯バーティ家と思われます。こちらはハーヴェイが語るほどではないですが軍人も輩出しており、近代の当主も一時的に軍人を務めたケースがみられます。また、史実でノリス男爵家を継承しているのもこのバーティ家。18~19世紀には財政難だったようなことも英語版wikiには書かれていますが、これは劇中のノリス男爵家の元ネタでしょうか。(※アビンドン伯バーティ家ではなく本家筋のリンジー伯バーティ家が元ネタの可能性もありますが、一時は公爵位を持ってたりするなどハワード家にも気後れしなさそうな一族なので、ちょっと格が高すぎるかなと思いました)


ハーヴェイくんが進学する大学は、当時医学部があって貴族が進むイングランドの大学となるとオックスフォードかケンブリッジの二択となるので、実家から通えるくらい近い(はずの)オックスフォードでしょうね。







●物語考察

 

■序幕「決意」


いきなり詐欺で詰むノリス家。

ミリオンでの設定では(おそらく)妻子を残して蒸発or失踪している北沢父ですが、こちらのノリス男爵も大概でした。アシュリーの台詞からして、騙されたのも一度や二度ではないのでしょう。家族四人の幸せな家庭を失っている志保にこんな役やらせたり「家族みんなで暮らせるわ、昔みたいに!」と歌わせたりするのか……という声もありましたが、本人は「アシュリーの行動は褒められた行動ではないけれど、家族が一番大事というのは私も同じ」と納得しているので、いいんじゃないですかね。
これを書いたのは青木さんじゃないですが、交通事故で最愛の弟を亡くしている如月千早に、妹と相棒を遺して交通事故死する姉というとんでもねーキャスティングしたドラマCDに比べれば幾分マシ。

さて、この序幕では物語の場所と年代がピンポイントに明示されます。ヨーロッパで鉄道投資が熱狂を迎えた地域と時代と言えば、爆発的に鉄路が拡大した1840年代の「鉄道狂時代」のイギリス。ノリス伯爵のようなカモに儲け話という名の詐欺が巡ってくるあたりからして、爛熟期からバブル崩壊前の1845年ごろでしょうか。登場人物の名前や実在の貴族の名が示された時点でイギリスということは予想されていましたが、士官学校の描写からしてもイギリスが舞台であることは動きません。

フランスが舞台だと思って必死に付け焼刃の研究を重ねていた創作クラスタ(私)は崩れ落ちましたが、それはまた別の話。


■一幕「秘密」


いきなり本丸のロバート・ヘリック邸に潜入しようとする貴族のお嬢様。すごい行動力だな! そしてガバガバだな! と思ったら一年がかりの計画で士官学校に入学したり、そのための猛勉強で首席入学したりと、アシュリーちゃんはすさまじいエネルギーの持ち主ですね。

さて、ここで王立士官学校という名称が出てきます。当時の王立士官学校ロンドンの王立陸軍士官学校と、ロンドンから西に約50km離れたサンドハーストにあった王立陸軍大学の二つです。オペラセリアの舞台は後者とみられます。二次創作ではロンドンに遊びに行くデートの話とか書かれたりするんでしょうか?

兵科の関係で、後にオスカーが進む近衛兵になるには後者の陸軍大学ルートが自然であること、またロンドンであればアシュリーが初めての首都暮らしについて触れそうなこと、また、ハーヴェイが「大学に"入り直す"」という言い回しを使ったことからも、サンドハースト王立陸軍大学が物語の舞台と比定できます。

ちなみに、いきなり留年してると噂されるオスカーですが、19世紀の欧州の士官学校は卒業まで最短で1年、普通だと2~3年はかかっているようです。残念ながらサンドハーストの記録は英語の不得手な私では浚いきれませんでしたが、アシュリーたちの半世紀後の後輩ということになる後の首相・ウィンストン・チャーチルは、この陸軍士官大学に18歳の時に3度目の挑戦で合格。入学後は経済的に苦しみながらも、優等生として約1年半で卒業に至っています。ちなみに国も世代も違いますが、かのナポレオンは士官学校卒業に1年かからなかったそうで。おかしなことやっとる……。

一幕は各キャラの顔見世の色が強く、またアシュリーがどのように潜入したかが示されるパートとなっています。ハーヴェイに裸(下着姿?)を見られたのは証文奪還RTAの一環、という指摘もみられましたが、舌打ちしたり失敗したら即詰むようなごり押しの交渉をやっている時点で計算外だったのではないでしょうか。ラッキースケベと引き換えに一方的に不平等条約を承服させられるハーヴェイくん、かわいいですね。でも、どうせまじまじ見れたわけでもないので、もうアンラッキースケベですね。全裸or下着姿で自分より背の高い女の子(初対面)に壁ドンされて迫られるって性癖が歪みそう。

そして、早々にアシュリーの正体に気付くオスカー。とはいえ不仲の父や実家が害を被ることに無頓着なので、おもしれー女として見守ることになります。一方でキャンキャン吠える子犬系男子のアリエルくん。かわいいね。


■二幕「日々」


冒頭からアリエルやオスカーへのアシュリーの煽り文句がキレッキレ。そして、大貴族であるアリエルが親を説得してようやく士官学校に入学したことが明かされます。おそらく、入学・在学中の好成績もその条件の一つだったのでしょう。

アリエルにとって学業の成績は、名門ハワード家の子息としてではなく、一個人のアリエルとして、学内やオスカーに認められるための手段でもあります。しかし、その成績ではにっくきアシュリーに負けっぱなし。そりゃ噛みつきたくもなります。でも「ごめんなさいお兄様」とか「お兄様はいじわるです……」とかはすごいかわいい。また、ここでお坊ちゃん然としているオスカーが何かを抱えていることが示唆されます。

二幕で既にケンカップルの素養が示されているアシュリーとアリエルですが、敏いお兄様はアシュリーがアリエル覚醒の鍵になることに気付いたり、ハーヴェイも共犯者であるのをわかってていじったりと楽しそうですね。この時はまだ傍観者でしかないので。


■三幕「友」


士官学校での勉強の楽しさに、当初の目的を忘れてしまいそうになるほど学問にのめり込むアシュリー。王立士官学校は軍事以外の科目も幅広く履修できるため、持ち前のハングリー精神と成績優秀者になってロバート・ヘリックの屋敷に堂々と入る目標があるアシュリーにとっては、相乗効果もあったのでしょう。ここから語り口も格段に柔らかくなります。

劇中ではこの頃はもう入学から数カ月から半年ほど経過しているはずですが、対人関係で大きな変化が見られます。剣術の自主練習を巡ってアリエルと会話するアシュリーですが、二人とも言葉の使い方がくだけており(まだ棘はありますが)、アリエルともライバルとして仲が深まっていることがわかります。おそらく、小テストやちょっとした学内のイベントでも勝負を何度かしたのでしょう。ここでアリエルは歌詞にもある「君のことを、少し勘違いしていたみたいだ」という台詞を発するのですが、自主練習を知っただけでその言葉に至ったのではないことは、二幕までの彼らの会話との違いからも察することはできます。オスカーの見込んだ通り、この台詞に至る前の時点でもう二人は競い合い高め合うライバルだったんですね。しかしアリエルくん、よく相手に指差ししてますけど英国紳士としてそれはどうなんでしょう?

ここで「努力」について、アシュリーがアリエルに大きな刺激を与えます。学問や成績はオスカーや一族、あるいは周囲に認めさせるための成果・手段でしかなかったであろうアリエルと違って、アシュリーは学ぶことそのものが楽しい。それにアリエルは衝撃を受けたのが見てとれます。

そして、もうこの時点でアリエルは、お兄様に付きまとうアシュリーの排除が目的ではなく、アシュリーと競い合うことそのものが楽しくなっていることも隠せなくなっています。きっと途中からはウキウキで、アシュリーに日々勝負を仕掛けていたんでしょうね。そしてげんなりしつつも、優秀なアリエルと切磋琢磨すること自体には前向きなアシュリー。いいですよねこういう関係性。


一方で、試験の場で剣術勝負をすることになった二人に関連して、医学を志しつつ――けれど軍人一族ゆえに諦めムードのハーヴェイの身の上が語られます。ここでその原初の動機が「病弱な母を治療したい」であることが明らかになりますが、それに対して普段何かと辛辣なアシュリーの言葉が「素敵な夢ね」。後日、ハーヴェイが医者になるため大学に入り直すと告げた時の「良かった……」という万感の言い方からしても、アシュリーが「母の病を治したい(orたかった)」というハーヴェイの想いにかなり肩入れしていることがわかります。ではそれはなぜか。

おそらく、アシュリーの母は病気で故人となっているから、ではないでしょうか。序幕以降一切存在が示されず、弟妹も母親ではなくアシュリーに泣きついています。世間知らずなノリス男爵が制御不能なのも、妻を亡くしているからと考えられます。また、同じく母を病で亡くしたオスカーを強い口調で諭したことも、傍証の一つとなります。

ともあれそんなこともあり、アシュリーは「自分の未来は自分で決める」ことを強く訴えます。タジタジのハーヴェイくんかわいい。一方で、心の揺らぎを認めたくないがためにオスカーを頼らず、半ば意地になって独りでの戦いを続けたアシュリーは、彼女以外には無敗だったらしいアリエルを剣でも撃破します。すごいなアシュリー、どうやったんだ?

周囲の学生の反応からしても、アリエルが剣で敗れたというのは大きなニュースであることがわかります。そして何より、アリエル自身が完敗を潔く認め、アシュリーを讃えたことからして、彼女の剣技は本物だったのでしょう。体力的に劣るのはアシュリー自身も認めているので、おそらく皆が創作でやったように、初見殺しに近い戦術だったのでは?とも思えますが。

しかし勝利も束の間、ストレスと疲労でダウンするアシュリー。これハーヴェイくんお姫様抱っこしてますよね? しましたよね? そしてもうアシュリーとはライバルというより強敵と書いて「とも」と呼ぶような関係になっていたアリエルは、以前より幼さの抜けた声で自問自答します。

医務室で「体が限界」と告げられるアシュリーですが、反応からしても自覚はあったということなんでしょう。この手の女性が男装して学校に潜入する物語では、女性であることの偽装に苦心する描写が定番ではありますが、尺を削りに削ってもまだ足りないオペラセリアでは、ハーヴェイの補佐があっても相当の負荷がアシュリーにかかっていることをこうした形で端的に示したのは良かったかと思います。

そしてアリエルへの性別バレ。ここからは王道オブ王道ですね。そしてここで、自身が弱っていたこともあり、捨て鉢になってしまうアシュリー。ですがこれは、男装の限界を悟ったということも否定できませんが、強敵(とも)のアリエルを深く傷つけたという自責の念があの諦観につながったのではないでしょうか。アリエルとのライバルを超えた関係をアシュリーも心地よくなっていただけに、傷つけた彼によって全てが終わることで贖罪とするのもやむを得ない……と考えたのではないかと、私は想像します。

そしてそんな彼女を諭すハーヴェイ。彼の役割の真骨頂ですね。彼女が人生観を変えたハーヴェイが、今度はアシュリーを救う。パートナーとして強固な結びつきのある二人ですが、これを言えるのがハーヴェイくんのいいところであり、またミリシタ世界での観客が彼に酔いしれた理由なのでしょう。私もこんなハーヴェイくんが見たかったので、拍手喝采です。

ボロ泣きアリエルくんかわいいですね。彼、きっとプロポーズが成功しても失敗しても泣いちゃうでしょうね。かわいい。そして雨降って地固まる。ノベルゲーや乙女ゲーなら、ここまでが共通ルートな感があります。


■四幕「誓い」


一年間首席をキープし、ついにパーティー参加者として因縁の屋敷に足を踏み入れたアシュリー。でも屋敷を「成金趣味」と指摘する辛口評価は健在。そしてハーヴェイくんは上の学年の成績優秀者として呼ばれたのでしょうが、アシュリーが何をする気かわかりきっているので釘を刺してきますね。まあもちろん刺さらないんですが。

ここで「成金趣味」に対して、初期のように「お兄様を愚弄するのか!!」と突っ込んでくることもなく、あくまでアシュリーがロバート・ヘリックを批評しているのだと理解しているアリエルが登場します。物語中わかりやすい形で成長を遂げる彼ですが、あるいは成長だけではなく、この後の発言からしてもアシュリーの動機を遅ればせながらつかんでいたのかもしれません。喋り方もちょっと大人っぽくなってますね。

そして単身、書斎に潜入して証文を漁るアシュリー。あっこれゲームならバッドエンドフラグだと思ったら、すべてを知っていたオスカーはあっさり証文を手渡します。そして父親の金に頓着していないだけでなく、心の闇が明かされるオスカー。「カネなんて必要ないんだよ」と言いながら、何がしかの書類を握り潰す姿は、アシュリーにとっても意外だったのでしょう。しかし、母を失ったことや非道な父を憎んで内に閉じこもる姿がいかに無意味であるかを、アシュリーは厳しく指摘します。この物語は、自分の意思で自分の道を決めることの重要性を訴えるもの。傍観者を決め込んでいたオスカーも最後の最後で舞台に引きずり出され、演者としてスポットライトを浴びて自身と向き合うことになったのでした。

そして母の言葉を思い出し、愛に目覚めるオスカー。そしていきなりハグ。そりゃアシュリーも可愛らしく狼狽もしますよね。そしてこの直後、様子を窺っていた二人が突入したであろうからこそ、他二人を制してアシュリーと二人きりになったオスカーの行動が「抜け駆け」と評されるわけで。



■星宙のVoyage


好き……。早くライブで聴かせて……。リリイベ本当にやれるなら積み増すから……。

印象的なのは、Cメロ前の台詞パート。この出逢いを運命というアリエルに対して、アシュリーは「運命なんかじゃないわ。これは、きっと……」と答えます。おそらく、劇のテーマ同様、自分の意思で選んだ結果だと言いたいのでしょう。その後の「愛してる」四連呼に至っては、ライブでやったら悲鳴がすごそうだしティアラ生えそう。しかし香里有佐さん、オペラセリアで歌織さんの新境地を開拓しましたね。



■終幕「告白」


屋敷と領地を取り戻し、自主退学して(地元の?)学校に通いなおすことになったアシュリー。そんなアシュリーに対して求婚しようとバラの花をもって集まった三人ですが、オスカーが「うっかり」趣旨を伝えていなかったせいで騒動になるわけですが……お前絶対に事前通告なしの方が面白いと思って黙ってたでしょ。

そして、お兄様相手にも恋の対抗意識を燃やせるようになったアリエル。大人になったね。でも男装解いてるアシュリーの笑顔への耐性はゼロなんですね、かわいい。なんだかんだで、足繁くアシュリーの学校や実家に遊びに来たりするんでしょうね、彼は。

そして医学を志して大学に入り直したハーヴェイ。ただ軍と完全に人生を切り離すことはできないでしょうから、アシュリーに選ばれても選ばれなくても、10年ほど後には試練が訪れるでしょう。ナイチンゲールでおなじみの、クリミア戦争がありますし。


そして求婚されるアシュリーですが。求婚台詞も強烈ですし、改めて、誰を選んでもおかしくないシナリオ構成にしたのは素晴らしいですね。ハーヴェイくんの台詞は同じようなものを書いてたので、とってもご満悦でした。誰を選んでもいいし続きが気になるという意味では、二次創作もめちゃくちゃ捗ります。捗れ。みんな書いて描いて。











私がコトシホ、公式で言えばハーヴェイ×アシュリーを猛烈に推していたのは言うまでもありませんが、一方でこのドラマCDを聴いた結果、聴く回数を重ねるたびにアリエルくん株が猛烈に上がってきていて決めかねているところもあります。いいですよね、どっちも……。




1万字を超えてしまったのでそろそろ締めますが、期待を裏切らず、予想をさせながらもそれを上回るという意味でも、最高を塗り替えていくミリオンらしい素晴らしいドラマCDでした。やはり劇中劇は、ミリオンが他4ブランドを圧倒できる強みの一つですね。なんでTDやりましょう。ライブでもまたミュージカルやりましょう。聞いてるかJUNGO、勝股P。あっそうだJOVオリメンも頼むな。



また、ミリオンBCでは志保と琴葉に演技フラグが立っており、既に演技の魅力を知った歌織さんもいます。まつりはまだ目立つ出番がありませんが、ここは稲山覚也先生、いずれ一回くらい割いてオペラセリア・煌輝座を描いてみませんか? ね? ね??


今後はというと、ひとまずは創作意欲を復活させてくれたオペラセリアへの感謝も込めて、月内めどに公式設定で短編を一つ書いてみようかなと思います。アリエルくん主役で。あと誰かノウハウのある人が、オペラセリア合同誌を立ち上げてくれないもんですかね……。いくらでも出資しますよ。ほんと。

同様にハマった夜想令嬢をリアルタイムで浴びることができなかった私にとっては、オペラセリアには本当に楽しい経験をさせてもらっています。感謝してもしきれませんね。MTWの目玉ユニットであるようですし、8thライブなど今後のライブイベントでの披露が楽しみです。










MA4がミリオン前提の世界線だって話題になってるけど




ある意味で当然だし、今後おそらくシンデレラも283プロの話題も出るだろうし、なんなら315プロの所属アイドルにも言及する可能性さえあるのでは? という話と、アイマスとの距離の取り方の話。







8/5に発売されたMA4第一弾。2007年に初代MAが出る前からアイマスPやってる私も当然コロムビアの通販で買ったわけですが、王道で締めるところは締めつつ、攻めの姿勢も捨てないという感じもあって非常に良い出来でした。コロムビア系列については、プラスタやステラ連動のCDシリーズがドラマCD部分がいまいちだったのでその点もやや心配していましたが、今のところはそれよりは多少マシ、という感じでしょうか。曲に関しては二重丸ですね。




さて、今シリーズのドラマCDでは、ミリオンライブ(ミリシタ)の象徴である765プロシアターがある前提のトークがあり、局地的に話題になっているようです。今日も765プロ円満退社しました、というお気持ち表明がTLで話題になっていて、それを読んでいたらつい筆を執ってしまいました。

件のお気持ち表明は後述の理由もあり紹介しませんが、MA4で軽く他ブランドに触れるのは当たり前と思っていた私としては、「自分もかつてはいわゆる765右派だったから気持ちはわかる。しかし今回については出さない方が筋違いでは?」と思っていました。

以下、話を整理していきますが、別段誰かを批判する目的ではありません。お気持ち表明も昨年私自身がやったばかりなので悪いことだとは言いません。というかもうアイマスの華みたいなところもありますし。江戸における火事と喧嘩のような意味で。

先入観をもって読むとそう読めるかもしれませんが、私とて「ASとミリオンどっちかしかライブ・イベント行けないとしたらどうする?」と聞かれたらノータイムで前者を選ぶような人間です。気持ちはわかるというスタンスで書いてはおりますが、そこまでは責任が持てませんので申し訳ないです。





MASTER ARTIST 4はスタマス合わせのCDである



765ASのコロムビアで出されたCDシリーズは、原則すべてがゲームかアニメの連動です。MAどころか、アケマス時代のMPから、MW、MAを経てML、MS、MA2、AM、生っすか、MA3、PM、MP、そしてSM。以下、歴代シリーズをまとめてみましょう。


・MASTER PIECE     アケマス
・MASTER WORK     箱マス
・MA1          同
MASTER LIVE      L4U
MASTER SPECIAL    アイマスSP
・MA2            アイマス2
・ANIM@TION MASTER  アニマス
・生っすかSPECIAL    同
・MA3          OFA
・PLATINUM MASTER   プラチナスターズ
・MASTER PRIMAL    (ステラステージ)
・STELLA MASTER    ステラステージ



原則としたのは、2017年のMPシリーズがステラステージ発売前、かつゲーム実装曲がないため。ただ、このCDシリーズはステラステージ連動のライブ「初星宴舞」の核となるCDシリーズのため、広義のステラステージ連動としています。

こうした歴史を鑑みれば、MA4もまた、ゲーム連動であると考えられます、もちろん8月に予定されていたAS単独ライブの連動でもあるのですが、実態としてはスターリットシーズン(スタマス)連動、もしくはその前哨戦のCDであると考えるのが最も適切です。立ち位置的には、アイマス2発売の先駆けとなったMA2とほぼ同じ。MA2がまだ発売前のアイマス2の設定準拠だったのは、言うまでもありませんね。

スタマスはコロナがなければ、年末から来年始めごろの発売が見込まれていました。また、MA4はコロナがなければ、6月に単独ライブの応募シリアルをつけて第一弾が出て、その後2カ月刻みに8、10、12月と3枚ずつ発売していたはずです。その場合、裏ジャケも使いまわしの
トプクロではなく、スタマス衣装のイラストになっていた可能性が高いでしょう。

MA1やMA3のようにFINALEが出るかにもよりますが、当初計画のMA4は他ブランドの話題も織り交ぜながら、最終的に「(これまで話題になった)後輩や他事務所の子と今度合同プロジェクトを組んで、私たちがその中心メンバーとなることになった」というオチがつく可能性が高い(or高かった)でしょう。MA4で切り込んで、スタマス発売につなぎ、そのままコロムビアからスターリットマスターのCDシリーズが出る、というのが自然な流れです。CDシリーズ中の時間経過、というのは、MSで当初961だったひびたかが最終の06では765入りしているというケースもあるので、随分前ですが実績もあります。

何もMA4でやらんでも、という声も当然あるでしょうが、アイマス(スタマス)の主柱、要石たるASで地ならしくらいはやっとくのが筋じゃない?というのもまた一理あるのではないかと思います。他の3ブランドでは不可能ですし。

もちろん、筆者も14年目の古参ですしそこそこ面倒くさい性格なので、MA4のトークパートにスタマスの登場メンバー、例えば未来や静香、翼、あるいは他事務所の美嘉、果穂といった面々が声付きで登場したら「そりゃないわ、時期尚早」と批判側に回っていたでしょう。しかし特定アイドルの名前が出るわけではなく、スタマス開始の前提であるシアターができている、そのことに言及があるということには「そりゃスタマス連動なんだからそうじゃない?」というスタンスです。

おそらくですが、真、亜美、響が予定されている第二弾以降でも、仕事先で顔を合わせたシンデレラか283のアイドルについての言及がほんの少しあるのではないでしょうか。スタマスについても、何らかの形で315にも触れたいというバンナムの説明からすれば、例えば連動するMA4かスターリットマスターで律子が遠回しに涼に触れる可能性もゼロではないでしょう。

とはいえ、それも許せない……という人もごく一部ですが当然いるとは思います。繰り返しますが、そこを否定するわけではありません。フラグが立つ機会を奇跡的に逃し続けていたら、私もそっち側にいなかったという保証はないのですから。




アイマスの主柱、要石としての765AS



一般的に活動量においてASの全盛期と言われるアニマス以降から10thまでの間、ASが相当のリソースを割いて2ブランドの滑走路役を務めたのは言及するまでもないことですが、当時のような活動量が維持できないASが常時全力疾走はせずとも持続的な展開ができるのは、そうした取り組みによりコンテンツとしてのアイマスが大きくなったからゆえ……というのは、概ね同意を得られるところではないでしょうか。10thまで全力疾走ができたのも、2009年に「10thまでの5年」とゴールが示されていたからこそですし。

先日のニコ生でも若林直美神が過去形で示唆していたように、2018年夏(厳密にはMR2nd後の秋)以降はマジで何も決まってない状態というのが一時的にですがありました。(ミリシタのLEADER!!、あるいはセンターを担ったバンナムフェスについては18年末に告知されていたようですが)

ただ、あれが過去形で語られたり、石橋を叩いて渡る発言が多かった中村繪里子アイマス単独のドーム(想定される来年のMOIWは絶望的ですが)や20周年に言及するようになったあたり、ここからのロードマップはある程度示されていると考えられます。大規模ライブは2022年になっても厳しいままでしょうが、ゲームの方では来年のスターリットシーズン、またせっかく作ったモデルを1作でお蔵入りにすることはない以上、過去作でいうOFAやステラステージに相当するゲームも計画上では準備されているのではないかと考えられます。

中村繪里子今井麻美の両輪ほか、複数の演者が何度か「10thで終わると思っていた」と述懐していますが、結果的にASは花火のような鮮烈な散りざまではなく、演者も無理なく続けていける持続的展開、終わらないmy songを選びました。それはかつてのように、新鋭艦を従える絶対的な旗艦としてのASのイメージとは違ったものですから、今の展開はやきもきするすることも多いでしょう。ぶっちゃけると私も時々そうです。

アイマス自体は、全体としてはこれからピークアウトに向かう可能性が否定できません。ミリオン(と多分シャニマス)に関しては次の5年でアニメ化が控えているのでまだわかりませんが。ASはもちろん、デレミリの演者もぼちぼち年齢に加えて結婚出産育児といったハードルも増えてくる時期です。これらはASが築いてきたノウハウがある上、そもそも人数が違うのでさほどの障害にはならないかもしれませんが。

そんな中で、初期から携わるガミPやフェチ川の直近の発言を意訳すると、「765ASは一騎当千にしてコンテンツの切り込み隊長」という役割があるとみられます。今後しばらく展開が増えるであろう5ブランド単位の要になれるのは良くも悪くもAS以外にありませんし、また演者の経験値を生かせるという意味でも新たな試みを再び任される可能性は高いでしょう。

例えば、推進が明言されているMR。星井美希のSHOW ROOMは大きな話題を呼びましたが、あれ以上に難易度の高いMR ST@GE(アイマスMR)をASは全員が高水準で実現できます。スタマスモデルやミリアニモデルも活かして他ブランドのMRも今後出てくるでしょうが、ブランド全員が蓄積と経験を生かしたハイレベルのMCやキャラを崩さない当意即妙のパフォーマンスをできてしまう、というのは今のところASのみでしょう。おそらく、5年後でさえも。

据え置きの展開にも左右されますが、無理のない形で続けていく、という路線自体は長い模索もあった10th後の5年で確立されたのではないかと思われます。





■いつでも、しれっと帰ってくればいい



先日、個人的な考えをツイートしたところ少しばかり反応がありました。





もちろん、これは件のお気持ち表明に対してではありません。あの記事は筆者の方も述べている通り、主張そのものではなく表明自体が目的と読めます。古典で言う「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」的なものかもしれません。言いっぱなしではなく、わざわざHN(P名)を匿名にしているのに意図して可燃性控えめにしていますし。

どのブランドを追っていようが、アイマスが特定ユーザーの期待要望に100%答え続けることはありえません。ASもデレもミリもMも、初期構造のレベルから建て増しによるものまで含めて、相当の弱点や矛盾を抱えつつ上手く破綻の道へ進まないようにやりくりしているように見えます。そうした4ブランドの成功や失敗を踏まえて作られたシャニマスも、今後は無縁ではいられないでしょう(もう既にあるという意見を否定するわけではありません)。良くも悪くもそれらへの対応と変化なしに長寿コンテンツは成立しないというのは、MA4でも示唆されていますし「New Me, Continued」にもそうしたメッセージは込められていると感じます。

アニマスから入ったPでさえ、来年には10年目ですかつてディレ1が、趣味特技がなかったという中村繪里子に「10年くらい続けていること(が趣味特技)でいいんじゃない?」と言ったのは9thライブで明かされた有名なエピソードですが、趣味特技レベルに続けていれば個々に確立したアイマス論もあるでしょう。アイマスは宗教、というのも冗談じゃないPもいるでしょう。退けないものは退けない、認められないものは認められない、取捨選択を意識できている方ですら我慢ならないものはある、当然のことです。ミリオンにもどっぷり漬かり、765ミリオンエールスターライブ熱望し、一般的に転向左派扱いであろう私でも、ミリオンで一部の特定曲がカバーされたらキレ散らかすこともあるでしょうし、6thSSAでのJOVの一件はまーだ許してないからなJUNGOと勝股PでもMR ST@GE encore開催は心からありがとう。


少し脱線しましたが、もうどうしようもない、我慢できない、そういう時は、立つ鳥跡を濁さずの精神で慌てず騒がず、ちょっと距離を取るのがいいのではないでしょうか。大仰に騒いだり、減点要素ばかり探してあげつらうようになっては、しんどいだけですし人も離れますし、長期的には大好きだったアイマスの思い出まで自ら汚してしまいます。

一時は先行きが心配されたASの展開でさえ、よほどのことがない限り5年後も存在しているはずです。もちろんコロナ抜きでもかつてのようなライブはますます難しくなったり、単独展開の一方でプロジェクトルミナス、また今後飛躍するであろうミリオンの方での出番が増えることはあるかもしれませんが。

しんどい時は離れて、またしれっと帰ってくるくらい、長くアイマスPやってるとしばしば目にしてきましたから珍しいことではありません。例えばSPで離れたP、9.18で離れたPも、一定数はその後活動期間はともかくとして戻ってきているのを私は知っています。

かく言う私も、2015年の夏にとある事情(10thが主因ではない)で燃え尽き症候群になった後、16年から17年後半まではプラスタこそ買ったものの明確にアイマスと距離を取った時期がありました。今は少なからず後悔していますが、あの時の状況では仕方なかったし、一旦距離はとりつつも適切なタイミングで戻ってきたからこそ、またその間も多くのPさんがコンテンツを盛り上げ続けてくれていたからこそ、アイマスに触れた07年と同等かそれ以上に楽しめています。いつぞや匂わせたASが一区切りしたらアイマス引退、というのはほぼ撤回に近い状態ですが、AS第一の姿勢は今でも変わりないですし、日の目は見ないですが昨年のMR再演要請の件など、あちこちへのお手紙攻勢は今も続けています。

アイマスだけになるな、というのはディレ1が演者にかけた言葉として伝わっていますが、P側も同じことは言えるのではないでしょうか。一度距離を取ったら終わり、全力疾走をやめたら終わり、そんなことは決してないというのを、他ならぬASの演者さんたちも実践しているわけですし。

しんどければいつでも戻れるような距離の取り方で、少し休むのもいいでしょう。長距離走である以上、給水やピットインととらえてもいいでしょうし、風向きが変わればコンテンツの受け止め方も変わってくるはずです。クソデカ主語や暴言で立つ鳥跡を濁しまくった、とかとなるとまた別ですが。


アイマスは10年以上前と違い、単年で続くか終わるかが判断されるようなコンテンツではなくなりました。私もバンナム株主になって1年ほどが経ちますが、決算資料でも社の看板コンテンツとしてアイマスの名前がよく挙がっています。

誰かが離れているその間もアイマスというコンテンツは存続していますし、何より残っている人間が簡単には終わらせはしません。何ならファン増やす活動もやっときますよ。
私がそうであったように、時間やきっかけでわだかまりが解決してくれたら、また戻ってきてくればいいんじゃないでしょうかと、心から思います。







あっそうだ、ここまで読んだけどMA4まだ買ってない人は、お勧めなんでぜひ買ってみてください。これは予言ですが今後発売される「MA4 04 菊地真」は名盤です。

https://columbia.jp/idolmaster/imasnews/200731.html
https://www.amazon.co.jp/dp/B08B6DT81D








……そういや円満退社って言葉、私の副業の業界だと退社後も復帰したり形は変われど仕事に関わり得るという時に使われるのを最後に思い出しました。アイマスでもこの言葉を使ったディレ1が、しばしばアイマス絡みの場に足を運んだり、バンナムアイマス振り返り企画に登場したりしてましたね。

ミリシタでの菊地真のプロデュースはこの先どうすべきなのか #アイドル投票TD






ミリシタ3周年おめでとうございます。日頃の概ね満足のいく運営や、7thライブ中止後には思い切って過去の1st~5thライブを配信してくれた対応策には本当に頭が下がります。

周年フェスは大方の予想通りMPUでしたが、皆さんの引きはいかがでしょうか。私は一点狙いの朋花を50連で引けたので、あとはゆるゆると無料分だけ回すことにします。

なぜかと言うと、やめときゃいいのにアライブファクターをPRまで走って疲弊していたところに、直後のSSR真で天井したからですね。つまり、そもそも石ないです。







3周年を前に投下された、菊地真のSSR5枚目「雨が起こした奇跡 菊地真は真P界隈に衝撃を与えました。真Pにとって一つの目標であった「かわいい全振りの専用衣装」をようやく真が手にしたためです。


もちろん「かわいい」一つとっても各々の真Pの理想のかわいいは千差万別なので、いわゆるまこまこりんと(コミュやブログも含めて)距離が近い今回をどう評価するかもまたそれぞれなのでしょうが……。ただ、限定ということを度外視しても把握しているだけでも私を含め30人くらいの真Pが天井に至って死屍累々となっているあたり、おおむね高い評価なのではないかと思います。私も、カッコいいがしっかり描かれた上での今回については、肯定的な立場です。

真P各位の奮闘で勝ち取ったTCの「World Changer」、また新たな境地を開拓したMTWの「ラビットファー」もあり、昨年度の真はミリシタにおけるASとしては非常に出番に恵まれました。ファミ通の特集では担当ランキングで真とこのみさんの師弟が躍進と書かれていましたが、twitterでさまざまなアカウントを見ている体感でも、真Pは増え続けているのかな、という手応えはあります。

また、東京ドームで開かれたバンナムフェス初日でも平田宏美さんが戸田めぐみさんとともに765ミリオンスターズのメンバーとして「Beat the World!!!」を披露する大役を担いました。あの日のユニット曲4曲で、国内主要イベントで唯一オリメン披露済みのBtWがあの東京ドームで披露されたのにはいくつか理由があるでしょうが、一つとして賛否はありましたが歩とグリー時代からLTP、LTH、LTDと組み続け、積み重ねた絆が生んだ成果と言えるでしょう。

一方で、MTW消化済みの真にとって残るイベント実装可能性のある曲はLTPの「Fu-Wa-Du-Wa」のみ。これもメンバー編成などもあってはっきり言えば人気曲ではなくライブでの披露も一回きりのため、実装は相当後回しになることは想像に難くありません。SSRも今回で5枚組となったことで、早くても来春まではないでしょう。新規カードはミリクロ、ミリコレがあるかどうかです。つまり、イレギュラーなものがなければ真の出番はこのままでは1年どころかそれ以上先まで限られます。

「ASはスタマスやMA4があるじゃん」と言われればそれも一理あるのですが、経験を積み重ね、13人の世界線とは違った成長を遂げられているミリシタの世界線は真にとって貴重な舞台です。特に真は39プロジェクトのメンバーとの交友関係には偏りがあった過去もあり、まだまだ大鉱脈が眠っていると私は感じています。今回のめぐまこも良いですよね。うみまことかもどうですかね。


「Birth of Color」にはクールもかわいいも叶えていける、という歌詞がありますが、真は2年前にはミリシタで不足していた「かっこいい」をアピールし、今回はかなり振り切った「かわいい」を披露しました。ではこの先、ミリシタで真はどの方面を伸ばしていけばいいのか、また真PはどうPRしていけばいいのか、というのが今後の鍵となります。



「いや、考えてもその場がないじゃん」、と思う方もいるかもしれません。


ですが遠からず、その場は嫌が応にもやってくるでしょう。
それは、THE@TER CHALLENGE!!ことアイドル投票TCに続く「アイドル投票TD」です。





☆TDの時期はそう遠くない



しょっちゅう木の下に埋まるガバガバ予想に定評のある私ですが、今TDをやると予想するのにはそれなりに根拠はあります。まず、以下はMTWの未消化メンバーです。






ここまで来て混合はないでしょうが、残りは8ユニット、多くても9ユニットです。ミリオン信号機が揃うのか、もはや都市伝説めいた経緯がうわさされるレイジュリモモのユニット誕生はあるのか、演技ガチ勢ユニットもあるのでは等、色々と注目されるところですが……。

ミリシタ内のイベント消化次第ではありますが、年度内にもMTWは終わります。次のCDシリーズの01は4周年曲からでしょうから、このままだとMTWと次のシリーズに3ヶ月ほど空白が出ることになります。おそらく、その間をTDが埋めるのではないでしょうか。

諸事情で遅れに遅れていたTC03も来月末に発売され、リリイベを度外視すればTCはようやく終わり、状況は整います。約1年半が空き、ゲーム内のバランスなどの情勢もある程度は整備されて選挙をしやすい時期にはなりました。

TAイベントが全消化されていないのは気になりますが、TCがTB03のイベント開始前に発表され、1か月半後には役が発表されたことからして、もういつTDの発表があってもおかしくはないでしょう。もし4-6月にTDイベントを考えているなら、ミリシタのいわゆる半年ルールからしても8月中には投票を始めたいはずです。




最短であれば来週末。ただそれはちょっと早すぎるので、発表するなら次のMTW生、あるいはアイマス全体の周年生などもう少し後の機会かもしれませんが……。

いずれにせよ、秋までには投票がある心積もりでいた方がいいのかな、と私は考えます。





☆では、真はどうするべき?




やっと本題ですね。私はTXシリーズについては、役を獲るという大前提はありつつも、P側にとっては「担当の子のプロデュースのプレゼンを兼ねる」という企画だと捉えています。

TB、TCでは特にそうですが、この手の投票企画ではミリシタに限らず運営は莫大な量のビッグデータを得られます。課金の動きのような直接的なものから、それぞれのPが何を考え、どうPRをしているかまで。そしてすべてではありませんが、期間中のP側のプレゼンをその後くみ取ることもあります。

TCでもそうした傾向は一部で見られ、表裏ともに大量の記録を(次の選挙のためが第一義ですが)誰にでも見やすい形で残した真陣営の妄想や真のプロデュースのあり方についても、ある程度はベルベットやその後の真の描写に生かされたようにも考えられます。もちろんすべて、単なる偶然なのかもしれませんが。


TCの真陣営の活動の詳細については、以下の記事でまとめています。

【ミリシタTC】ある #TC菊地真 陣営Pの回顧録と分析、感想
https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1723739




菊地真は、カッコいいだけでなく他の子に負けないかわいいも持ち合わせる特性、また両者のギャップが大きな魅力です。幾多の菊地真の完成形でも、カッコいいもかわいいも兼ね備えるルートに進んだ作品のシナリオは比較的評価が高いです。

これについてはミリシタでも、メインコミュでようやく、ようやく真の高いプロ意識とともに触れられました。







TC投票が始まった18年当時はミリシタでASの出番がかなり限られ(これはまあ客観的には妥当ですが)、真の描写についても長年の真Pが首を傾げることがしばしばありました。それでもミリシタからの真Pがかなり増えているので、限られた出番で真の魅力を感じてくださった方が相当数いるのはありがたい限りです。

その中で、当時は「カッコいいもかわいいも真の魅力だが、ミリシタではカッコいいさえ十分にアピールできていない」という声が多数でした。18年末に既に収録されていたとみられるアイドルヒーローズの「黒髪」が明らかになっていれば話は別でしたが、そうした経緯もあって真陣営はベルベット役獲得で大半は一致し、開始一週間前から事実上の選挙活動を進めた電撃作戦も奏功して勝利を収めました。一方、妖精役やメイド役を期待する真Pもおり、結果的に道をたがえることも肯定した上での活動でした。(上述の振り返りではその経緯をまとめています)

その後、ライターが変わったのか真の描写は19年度からかなり改善され、MTW「ラビットファー」のイベントコミュでは真や雪歩ももちろん、このりおのセクシー師匠たちも暴走することなく「真のナチュラルな可愛さ」という明確な指針が登場します。

まこまこりんのように過剰に演じなくても、真は十分にかわいいのです。




メインコミュでの「透明感」については解釈が分かれるところですが、私はミリシタで提示されてきている真の可愛さについては、まこまこりん路線のようなこってり味ではなく、そのままの「透明感のある可愛さから、爽やか可愛い路線」まで広く余地を残したものと考えます。

これまで私は、TDが来た場合は両者の中間くらいを狙いすました「かわいい」をアピールすべきと考えていました。

52人の中で差別化するならカッコいいが強いのは承知の上ですが、TXは役獲得だけでなく「担当の子をどう描写してほしいか」のPR合戦でもあると仮定するならば、勝ち筋も見ながら真の「かわいい」をPRしていくことが、ミリシタでの真の可能性と活動の幅を広げるものだと判断したからです。

もちろん、内部的にもカッコいい一辺倒ではまとまらないという事情もあります。以下のTD模擬戦やTC反省会でも、ある程度それを意識して動いていました。


菊地真Pの集いの #アイドル投票TC #アイドル投票TD 関連議事録
https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1826458

菊地真P陣営の #アイドル投票TC 反省会と #アイドル投票TD 準備会議事録https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1839996

これらは1、2回目とも19年後半のものなので、考察はともかく模擬戦の内容も古くなってしまっています(年末に3回目もやってますが諸事情で議事録をまとめていません)







しかし、次の投票企画を前に妖精真が来ました。黒髪やベルベットのようなカッコいいでは三番煎じ、振り切った可愛いはやったばかり。となると、役次第ではありますが前回もあわや分裂の危機だった真陣営が一致団結するのは容易ではないですし、団結できなければ人気中堅レベルの真が役争いで上位を狙ったり運営へのアピールをするのは厳しいです。




☆考えられる指針



そんな中、役がまったく決まっていない状態で考えられる方向性は二つあります。



一つは、ナチュラルな可愛さ、あるいは爽やか可愛いの追究です。これにはわかりやすい喩えがありますね。




篠宮可憐役の近藤唯さんや、詩花役の高橋李依さんらを真沼に沈めたアニマス真回のこれ、いわゆる「麦わら白ワンピ真」ですね。ミリクロのピュアワンピース真がTDに間に合うかは微妙なところですが、この路線を強く推していくことは比較的他担当Pにもわかりやすく、真の魅力アピールにつなげられるでしょう。



もう一つは、13人の765プロ世界線でさえ機会がめったにない「センター・主人公狙い」路線です。

TXシリーズの投票企画は、あまり適切な言い方ではないですが、日頃脇役ポジションに回りがちな子が適切な戦略とPRで主人公格や重要な役を射止めることがあるのも大きな魅力です(無論ベストを尽くしても横綱相撲で押し切られることも多々ありますが)。


真はミリオンではBIRTHのユニットリーダーですが、ミリシタでは彼女がメインに描写されたわけでもありません。真自身、どちらかと言えば脇の方が活躍させやすいのは公式非公式の描写を問わず認知されているところですが、とはいえやはりTBやTCを見ていると「一度でいいから菊地真を主人公格として存分に活躍させたい」という欲はあるでしょう。

こちらは真P内部の団結は促せるかもしれませんが、浮動票にどう働きかけるかが重要になるはずです。特に真は、組み合わせ次第では前回勝っている関係でマイナス補正がかかる場合もあるので。



第三の道としては、真のお仕事コミュの妄想で出てくる「リボンの騎士サファイアのような役」を目指すというのがありますが、これはテーマと役ガチャに左右されるのでかなりシビアかな、とは思います。なお先述の模擬戦では意図的にそういう役を仕込んだことはありますが、当時はメインコミュや妖精真の前ということもあり、そこまで人気はありませんでした。








TDがいつあるのかは運営のみぞ知るですが、さすがにやらないという選択肢はないでしょう。

一方で、3周年記念映像で出ている以下の公式のメッセージからして、TDは「THE@TER DISCOVERY」、すなわち「魅力の新発見」を要求してくる企画になる可能性も少なくありません。こうなると役選びは新発見や開拓が前提となり、過去3回とまったく方向性が変わってくるので、選挙戦が混沌としてくることになります。真にとってそうなった方がいいのかは、まだわかりませんが……。


https://www.youtube.com/watch?v=woGVN0Zb8CI



真に限らず既存曲が枯渇したり使われる可能性が低い子にとっては、投票イベントはアピールだけでなく出番確保という意味でも正念場です。真はLTPがまだありますが、MTWまでのミリオンの既存ユニット曲を使い切っている子も既におり、その陣営は次も猛威を振るうでしょう。正直戦いたくない。


残された時間がどの程度あるにしても、真をミリシタの舞台でどう輝かせ、どんな曲を歌わせてやりたいか。そのためにはどんなアピールをするべきか。そのうちまた真Pで集まって、交流も兼ねてしっかり話し合えたらなあ……と思います。前回はそれが役獲得に直結しましたし。




それにしても真はかわいい。まこかわ。





「ミリオンライブ Blooming Clover」はゲッサンミリオンに並ぶかもしれない #ミリオンBC









アイマスには直接関係はないが、グラップラー刃牙シリーズにおいて地上最強の生物として君臨する範馬勇次郎の名台詞に以下のようなものがある。

「競うな 持ち味を生かせッッ!!」



勇次郎の友人で怪力無双のビスケット・オリバが、居合いのような神速の戦闘スタイルを使う中国拳法家と戦って苦戦し、相手のステージで戦ってしまったときに発した言葉だ。この後オリバは、そのアドバイスをもとに自身の持ち味である怪力と鉄壁の筋肉で相手をねじ伏せるのだが……。








比較されたり戦う相手より成果を出すために持ち味を生かすのは、漫画においても同様だろう。約1ヶ月前に6巻が発売され、7巻の発売が7月、そして7~8巻相当までが5月6日までウェブ先行公開されているアイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」(稲山覚也・作)もまた、持ち味を生かすことで大化けしているように思える。













ミリオンのコミカライズについては、旧ミリオンライブ時代の通称ゲッサンミリオン」(門司雪・作)が14~16年に連載され、高い評価を得ている。




未来と静香の関係性に主軸を置き、翼を加えたいわゆる信号機の物語として極めて完成度が高く、一部では「聖典」とさえ言われる。物語から生まれた曲のうち「君との明日を願うから」「アイル」は250を超えるミリオン発の曲の中でもトップクラスの評価があり、もしミリシタで実装されようものならイベントボーダーがぶっ壊れ、いつかライブで再演される時にはその日のセトリの看板として扱われるだろう。

ミリシタから本格的にミリオンの世界観に入り込むようになった私自身も、初手としてこの漫画を勧められ、現在のようにどっぷりとハマる要因の一つとなった。神格化されすぎとの指摘もあるが、連載当時のブランドの状況から某所で見た「Bクラス常連のプロ野球チームで山田哲人みたいな選手が台頭したらそらそうなるやろ」という意見にも頷かせられる。

アイマスのコミカライズは玉石混淆だが、私はスピンオフ系統を除けば、ゲッサンミリオンとざわわんことアイドルマスター2 The world is all one!!」(祐佑・作)が双璧と考える。




ざわわんも最終的には竜宮小町など765AS全員に出番があるものの、基本的には春香・響・雪歩のトリオユニット「SprouT」の物語である。ゲッサンミリオン同様、スポットライトを当てる子を絞って名作に仕上げたタイプの漫画だ。一貫して王道だったゲッサンミリオンと、961プロのスパイがプロデューサーになるという変化球から入って最後は直球の王道で締めたざわわんは路線としては違うものの、根底にあるコンセプトは遠くない。



◇ミリオンBCの持ち味とは



さて、本題である。


本稿で取り扱うミリオンBCは必然、このゲッサンミリオンと対比される漫画だった。現在6巻、連載では8.5巻相当まで物語が積み上がっている。単独コンテンツ化している例外を除けばアイマス関係のコミカライズは5巻が一つのメドなので(ゲッサンミリオンもざわわんも好評を受けて連載を延長して5巻)異例の長編となっている。連載開始は2017年春。ミリシタ発表直後からであり、世界観もミリシタ準拠。桜守歌織白石紬、事務員の青羽美咲は2巻途中からの加入となっている。ASはムビマス相当の場を踏んでいることが示唆されており、天海春香星井美希をはじめたまに出てきては先輩らしさを発揮していく。




BCの主人公は矢吹可奈北沢志保のいわゆるかなしほ、また2~5巻までは特に物語の中心となる、高坂海美箱崎星梨花を加えた「Clover」が主軸を務める。ゲッサンミリオンで主役を張った信号機は、既にある程度の人気がある「シグナル」というミリオンスターズ第一弾ユニットとして登場するが、要所で役割を果たすものの出番自体はそこまで多くない。

可奈も志保も、年齢的な理由もあるがアイドルとしての初期能力はどちらかと言えば低い部類に入る。BCではこの点がクローズアップされており、またCloverでは星梨花も体力面にかなり難がある。対してメンバー最年長の海美はミリオンスターズで屈指の身体能力を持っており、このギャップ、また同時期に結成されたお馴染みトライスタービジョン(田中琴葉、所恵美、島原エレナ、以下TSV)とダブルエース(横山奈緒佐竹美奈子)も比較的スペックが高めのユニットであったこと、これらがClover結成後の3巻からデビューライブまでの5巻に渡る物語のポイントとなる。


※全体的にBCの海美の身体能力はおかしなことやっとる




デビューライブ編は合間にTSVとダブルエースの話を挟みつつ、Cloverの葛藤と成長を描くストーリーとなる。ただ、BCで詳細に示された志保の家庭事情など重めの話や、4人の葛藤のパートが長いため、リアルタイムでは4巻途中あたりまでの評価はほどほどだったという印象が強い。また、BCの絵柄やプロデューサーの造形がゲッサンミリオンと比べればクセがあること、またギャグ表現では年少から年長まで遠慮なく表情を崩していったりするのもあってか、何かと先達と比べられ、また担当P以外には敬遠される向きもあったように思える。

風向きが変わったのは、デビューライブ前に結果が出せない中、弟の陸を泣かせてしまったことで志保が消息不明になり、アイドルを辞めようとした辺りからだろう。ムビマスとは真逆の形になるが、可奈、海美、星梨花が志保を救うシーンは、それまでの蓄積と「連鎖」を生かした名場面であり、この辺りから「連鎖」を生かすBCの強みが発揮され始める。

ここでいう連鎖とは、人間関係でもある。主な登場人物を信号機+数人に絞っていたゲッサンミリオンと違い、BCはCloverとシグナルを除く他ユニットを軸に、段階的ではあるが比較的広めにミリオンスターズの出番を増やしていく傾向がみられる。それは時に物語の進行を遅くするのだが、海美がかつて通っていたバレエ教室のエピソードや、悩む星梨花にドルオタらしい視点でアドバイスする松田亜利沙、そしてムビマスを思わせる関係性で志保の価値観を揺さぶる水瀬伊織といい、多様な人間関係の交錯がストーリーを構築するのだ。それは、3ユニットのライブシーンが描かれ、ユニットに選出していないメンバーが前座やサポート役としてライブにかかわる5巻も同様である。


Cloverの4人のみのストーリーでは、BCは良作の域を出ないだろう。

ただBCの持ち味であり強みは、繰り返すが連鎖である。その起点は可奈と彼女のアイドルとしての特性であり、それが波及してユニットメンバーを変えるきっかけになっていく。それはCloverだけに留まらず、高山紗代子765プロに合格して恩返しとばかりに彼女をサポートするきっかけになったり、ゲッサンミリオンでは物語の鍵だった最上静香の「時間問題」を春日未来が一定程度解決することにつながっていく。


Clover以外の――夜想令嬢などが中心になる6巻以降により顕著になるが、ミリオンBCは群像劇を描くことで十全に力が発揮されるのだ。






実は2巻の時点で示されていたコンセプトではあるのだが、連載期間を縛られない長編でなければ実現するのは困難である。どの段階で「ミリシタが安定飛行に入ったし期間決めずに描いていいよ」となったのかはわからないが、世界観――物語の風呂敷を恐れず拡げていけるようになったのが大きく奏功したのは間違いないだろう。5巻から6巻にかけてミリオンBCは既存作品との対比や連載期間の軛を脱して、単体ユニットメインからシアター全体を掘り下げ、交差させる群像劇に移行する路線を確立することで独自のポジションを確立していく。





夜想令嬢を軸に、さらに拡がる群像劇




デビューライブ編は、3ユニットが無事にライブを成功させ、Cloverは新曲「Clover days」を披露し、志保がコラでおなじみの例のシーン以来ぎくしゃくしていた弟のりっくんや、可奈との関係を改善させて一区切りとなる。既存のアイマスコミカライズなら、ここで連載完結となりそうな場面だ。

ちなみにTCの選挙戦やクルリウタのコミュを見ていると、このライブで「前座」を務める茜ちゃんこと野々原茜がより刺さるのだがそれは別の話。


やや脱線したが、BCでは6巻以降、新ユニットのストーリーが展開される。中心には引き続きCloverが居て、ユニットの方向性を模索しながら成長していく。後述する30話では、その完成形の一端が示されるのだが、そのきっかけにもなるのがミリシタのMTGユニット一番手にして、ミュージカル風の楽曲、そしてライブでもミュージカルをやり遂げることでアイマスの歴史に大きな一石を投じた「夜想令嬢」(二階堂千鶴天空橋朋花、所恵美、百瀬莉緒)だ。ちなみに筆者がミリオン沼に頭まで浸かり、万難を排してライブ現地参戦するに至った最大の要因でもある。 6巻以降は、彼女たちがCloverとともに世界を拡げていく。






分厚い設定資料集が存在していると明言されている夜想令嬢だが、実はゲーム本編での情報は意外に少ない。また、イベントコミュでも4人は最初からある程度適応しているが、専門家である演者さえ苦闘したエピソードを踏まえれば、実際には演劇をやるのは容易でないのは確かと言える。

BCの夜想令嬢は、演じることに長ける千鶴と朋花はともかく、恵美と莉緒が迷走することになる。形は違えど、それは「ミリシタでもこういう背景はあったのかもしれない」と思わせるエピソードだ。

BCの恵美は、夜想令嬢の前からTSVのメンバーとして活動している。この3人は旧ミリオンライブからの歴史ある組み合わせであるし、4thのアニメでも、琴葉合流コミュでも3人一緒だ。MTWでも念願だったユニット曲が近く公開されるのがほぼ確実である。 (5/7追記 どうも外したようで……予想記事以外で予想外すの恥ずかしいの極みです)




だがしかし、恵美はご存じの通り過剰なほどの気配り名人である。夜想令嬢としてレッスンをしていても慣れない演劇に苦戦し、自分らしさを封じて「うまく演じる」ことに苦悩し、失敗のたびに夜想令嬢のメンバーや「演じる仕事がしたくてアイドルを志した」琴葉のことを思う。さりとて慣れないメンバー間では迷惑をかけられないと弱音も吐けず、ますます泥沼に入り込む。

ちょうど同じ頃、可奈も「うまく歌う」ことで壁にぶち当たっており、志保ともケンカしてしまっていた。一人悩んでいた恵美は偶然可奈たちと出くわし、互いに「うまく歌う・演じる」ことが間違いではないかとまでは気づくのだが……。









ここでプロデューサーのはからいで派遣された双海亜美・真美の仲介もあり、志保を除くCloverとTSVが集結。ゲーセン、カラオケを通じて、迷宮入りしかけていた2人の悩みを解きほぐしていく。こうして可奈は志保から出されていた「宿題」をクリアして仲直りし、恵美も演技面で壁を一つ越える。







そして、演出家からは当初封じるよう指示していた「恵美らしい」温かさや優しさが、恵美自身が殻を破ったことで演じるエドガーに好影響をもたらしていると指摘される。これはドラマCDやゲーム内コミュでの夜想令嬢にも言えることだが、エドガーからは恵美らしさも滲むところはある。







一方、恵美ほどは演技に苦戦していないものの「私は私に自信がないから、どの演技が正解か自信がない――」という莉緒は、恵美を励ませなかった自責の念もあって、新しい挑戦としてセクシーを封印し、同様に可奈と志保のケンカを止められなかったことを悔いる海美と同時並行で迷走する。




※誰だお前。



ちなみに恵美と違って莉緒は演技能力自体はそこそこ高い(ので演技プランを複数用意できる)ので、この後はとあるイベントを経て、海美とともに宮尾美也のアドバイスもあって吹っ切れる。この辺りは再来月発売の7巻でも見られるので、無料公開ページか単行本で見てほしい。志保が演技方面に開眼するフラグも立てているので、かなり先の伏線にもなっている……気はする。


続いて千鶴は、後述するジュリア・星梨花と連なるエピソードで自分の選択と向き合うこととなる。

千鶴の演じる主演のアレクサンドラは、男装の麗人にして高潔な騎士である。高位のヴァンパイアさえ単騎で討ち取れる浄化の異能と卓越した剣技を持つが、妹のノエルを案ずるがあまり選択を誤り続け、劇中では明示はされていないもののおそらく最悪の結末を迎える(それがまた良いのだが)。

そのアレクサンドラを演じることは、ささいなきっかけでセレブを演じることになり、そのままスカウトされてしまい破綻と隣り合わせのセレブアイドル人生を歩むことになった千鶴自身と向き合うことを余儀なくする。これはゲーム内コミュでも触れられている。







千鶴自身の場合は「期待を裏切りたくない(そして破綻しない程度の才能と努力もできる)」、アレクサンドラの場合は妹を傷つけたくない、という違いはあるが、ある意味で同根の問題だ。


 
※1巻おまけより







「選択と責任」。


定期公演で彼女は、かつてのバンド仲間と出くわして過去と向き合うことになったジュリア、父親とアイドルを続けるか否かで対立してしまった星梨花とともにある曲を歌う。ゲッサンミリオンの「アイル」を想起させる演出で、また観客の多くはその背景までは理解できずとも最高のパフォーマンスに酔いしれるところも同じなのだが、今の道を進むことを肯定する歌を歌うことで、アイドル二階堂千鶴もまた、一歩前に進むのだ。





多分この曲は、冬ごろの8巻特装版CDに入るのではなかろうか。





そして、天空橋朋花である。

作中でも演劇に限らず、何もかも完璧とまではいかないものの天賦の才があると評価される朋花。しかし、彼女自身が自分から歩み寄るタイプではないため、夜想メンバーもそこまで踏み込めずにいた。って、こうやって書くとこの時点においても内外共通のキャラクター性なんだなあ……。

ミリオンBCでは、朋花の幼少時の姿が明確に描かれる。BCではこれまでも志保の家庭環境、うみみのあねね、星梨花パパ、ジュリアの過去のバンド活動、ひなたの実家などの新設定が公開され、いくつかはミリシタでそのまま登場している。7~8巻相当のジュリアのエピソードも、いずれメインコミュか何らかのイベントコミュ、あるいは曲名SSRで出てくるだろう。

全てがそうだとは言わないが、ミリオンBCは膨大な設定があるミリオンの設定をある程度先出しする役割も担っていると考えられる。現状ではコミュやイベントも出せる数が決まっており、塩漬けになっているものも多いはずだからだ。


本題に戻ろう。朋花は幼少時から天性のカリスマ性があり、それゆえにその運命にふさわしい自分であろうとしていたと本人の口から語られる。
 



しかし朋花はプロデューサーに「人に崇められるばかりも楽じゃなかっただろう?」と問われる。彼女は聖母であり続けることを幸せだとして「運命は自分の理外にあるが、それを幸せとするか不幸とするかは自分の心持ち次第です」と回答する。





そうした中で描かれたこの一コマは衝撃的だったのだが……。
一方で朋花は765プロに入り、仲間を得たことで生まれて初めて心境も変わった、そして「聖母として子豚ちゃんたちを導くのと同じくらいに、誰かとともに道を歩めることは心温まることなんですね」とも語る。この時の表情がまた良い。ブレハモのイベントの際にその一端はあったが、少なくともミリシタ時空において、ここまで朋花の内面が示されたのは初めてのはずだ。これもいずれゲーム本編で還流される内容だろう。もしかしたら次の曲名SSRもありうる。





この時よりさらに一歩二歩踏み込んでいるように思える。この辺り、天空橋朋花検定免許皆伝のこっこちゃんに機会があれば語ってほしいところであるのだが……。




さて、朋花ともっと仲良くなりたいとプロデューサーのところに押しかけてこの話を聞いた気配り名人揃いの夜想令嬢のメンバー3人は「ともにアイドルとして道を進む同志になりたい」と今まで以上に朋花との距離を詰めていく。そして4人で稽古に入る場面の見開き。このシーンは読んでいて、思わず山王戦の安西先生みたいになってしまった。




夜想令嬢、ユニットとして完成するには絶対に朋花との距離を詰めていく場面があってしかるべきなんですよね。朋花自身は上記のように思っていてもお友達作戦をするような子ではないし、だからこそ3人の方から距離感詰めていくシーンが必須なんですよ。それでこそあのミュージカルがさらに完成するわけですね。そういう意味でもこのユニットを深掘りしてくれたBCには感謝しかないんですよね(ろくろを回す)





そして、いよいよ月末の最新32話ではBC版夜想令嬢公演が描かれる。Cloverら他ユニットと連鎖して好循環を生み出しながら、公演の目玉として登場するミュージカルと「昏き星、遠い月」がどうなるのか楽しみで仕方がない。しかし、ここまで影も形もない伊織や昴はどうするんでしょ。ルカはともかくノエル抜きは無理がありそうだけれど……。




◇時代の風と「Clover days」という曲




夜想令嬢のエピソードと並行して、劇中では木下ひなたのストーリーも進行している。立派なアイドルになるまで家族とは会わないと決めていたひなた。シアターの「7日間連続公演」の初日にCloverとエミリーと共に出演することとなり、いよいよ満を持して家族を呼ぶことになったのだが……。
(ちなみに31話において、彼女の地元は北海道壮瞥町で確定した。出身ではないけれど土地勘ある道民の私が言うので間違っていることはありえない。おそらくミリシタでは「"Your"HOME TOWN」イベントの際にこの設定が還流されるはず)

しかし、無情にもひなたが出演する公演初日は、関東に台風が直撃することが確定的となっていた。




公演2日前、プロデューサーは公演初日の中止を決断する。可奈の「少しだけでも来てくれる人のためにできないか」という提案に、プロデューサーは「ファンやみんなに危険があるから中止にするんだ」と諭す。エミリーは「ひなたさんは家族を呼んでいる。ひなたさんが楽しみにしていたその公演がなくなるなんて嫌です」と彼女にしては珍しく大声を上げる。

しかしひなたは、かつてリンゴ農園が台風で壊滅した経験を挙げながら「生きていたら仕方ないことがある」と農家らしい諦観の笑顔を見せた後、明後日はライブもなく、家族にも会えないことを再確認し――








この回が掲載されたのは約一カ月前の3月末である。

既にミリオンクルーズやアイマスMR、SideMプロミやシャニのスプパが軒並み中止になっていたとはいえ、このエピソードがこのタイミングで載るように構築されたのは早くとも半年は前のことだ。しかし、あまりにもタイムリーすぎる。
だからこそ、偶然であってもこの回のエピソードは強く胸を打つ。

「何かできないか」

可奈の提案を皮切りに、シアターが一つになって動き出す。





この回は無料公開分より先のストーリーなので詳細は省くが、5巻のライブ場面と同じくらい、最終話かと思えるほどにこれまで拡げてきた世界を生かす構成になっている。贔屓の夜想令嬢を抜きにしても、私がミリオンBCが大化けしたと公言する所以だ。

悩んでいたひなたは、シアター一丸となって作り上げた成果を見ながら、改めてアイドルとしての原点を再確認する。そしてCloverはある方法で「Clover days」を披露するのだが……。





このコロナ禍の状況に、念願のアイマス15thイヤーが来年も含めて壊滅必至の状況に、ひなたのエピソードとこの曲の歌詞は刺さりすぎる。本当に、誂えたかのように。
舞い上げて Clover Days
長い長い 夜を越えたら
傷跡も痛みも 未来に変えよう(Aサビ)

追いかけて Clover Days

涙と 夜を越えたら
足跡を辿ろう また会えるはずさ(Bサビ)


歌詞全部乗っけると色々問題があるので、全体の歌詞は検索して確認してほしい。


コンテンツの顔となる曲は、望むか否かに関わらず、しばしば時代やブランドを巡る風を背に受けることとなる。リアルタイム組でない人間が言及するのは烏滸がましいという無粋を承知で言えば、おそらく「君との明日を願うから」もそうだったと思える。
Clover daysは第一義としてはCloverの軌跡を歌い、またミリオンBCという群像劇を象徴するような一曲だ。6thライブのライブ前やミリラジのほか、ニコニコでの予想メドレーやランキングでも聴く機会があるので、特装版未所持でも曲自体は知っている人は少なくないだろう。
ただ時勢の変化で、同時にこの時代にこそ求められる曲になったように思える。降りやまない雨の日、あるいは長い長いトンネルの先で再会を約するこの曲は、明日がまだ見えない今の状況で、否応なしにもう一つ意味を持つ曲になった。




アイマスのフルライブ開催は下手すると2022年まで待たされかねない情勢だが、それまでイベント依存度の高いこのコンテンツが生き永らえて再会の場が来るのなら、この曲はそのステージの目玉に相応しい曲となる。特装版の特典だったことを踏まえれば少し早いが、君明日やアイル同様に配信をして多くのPに知ってもらいたいし、万一好転に好転が重なって箱を抑え済みであるMOIWが開催されるなら、君明日を差し置いて披露されてもいい曲だと思える。





◇おわりに




ミリオンBCは今後も当面は連載が続く見通しで、5巻の匂わせを見る限り今後はロコのエピソードも予想される。ユニットを組むなら、他メンバー3人もこれまで露出が少なく、アイドルの価値観のストーリーもできて終始エモエモなじぇりぽか、出番待ちの茜ちゃんとのデュオだろうか?(じぇりぽの場合、桃子はざわわんに千早が終盤まで出られなかったような事情があるのがネックだが)


連載期間の縛りが(多分)ないこと、また連載継続中でCloverや夜想令嬢がたどる結末もまだ見えないという留意点はあるが、ミリオンBCは既存作品とは違った形で"アイマス"をやり切ろうとしている

クセは強いしアイドルの成長のために何かと曇りがちではあるが、泥臭さも含めて中村繪里子が10th後に語った「秘密の魔法も与えられた奇跡もわたしたちにはない。あるのは"日常"と"努力"の積み重ねだけです」という言葉も想起される作風である。
これが群像劇として完成に至ればアイマスコミカライズの金字塔になる可能性が十分に見込めるし、そうなれば少なくとも、まるで違うルートをたどりながら、ゲッサンミリオンと並ぶ評価に至るだろう。

ちなみに私が体調崩していたせいで記事掲載がギリギリになってしまったのが申し訳ないが、BCの7~8巻相当は本日6日いっぱいまで無料公開中である。この記事でちょっと興味を持った人、電書ベースでいいならまだギリギリ間に合います。よろしくお願いします。






スタマスに選抜されるデレ・ミリ・シャニの残り6人を予想する【スターリットシーズン】(10/1追記)

(10/1 追記)



本来予定されていた4月19日の発表の場はコロナの影響でなくなってしまったが、今年度内には発売が見込まれるアイマス最新作アイドルマスター スターリットシーズン」の続報が近くあると見込まれる。おそらく恒例通り、来週あたりのファミ通のはずだ。

スターリットシーズン(以下スタマス)は765プロオールスターズの13人を軸に、シンデレラ、ミリオン、シャニマスから各5人が加わって計28人が「プロジェクトルミナス」として結集するストーリーだ。デレミリシャニについては先行で各3人が発表され、19日に後続の各2人が判明するはずだった。そこで、近く発表されるであろう6人について、インタビューなどで示されている情報を基に予想してみようと思う。(以下、敬称略)



◇各事務所からの選考基準とは


ファミ通の前回特集では、坂上P(ガミP)と久夛良木Pのインタビューが掲載されていた。一騒動起きたことについての背景については前回の記事で述べているので、暇な方は読んでいただければ幸いである。後半で、スタマスがおそらくディレ1こと石原章弘バンナム退社前から企画として存在し、ステラステージ開発前の17年にどうにか形になるものの、ブランド間の調整などで手間取っているうちにここまで遅れてしまったという分析をしている。今記事でもその仮定を踏襲しているので、込み入った説明はしない。

スタマス発表を9.18になぞらえることへの違和感と、新展開への思い【スターリットシーズン】
https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1860291


さて。インタビューでガミPは、AS以外の選考基準について、以下のように述べている。


「アイドルの選出は1年くらい考えた」
「登場するアイドルの選定に関しては、アイドル達を交流させた時のエピソードや、プロデュースの幅が広がる組み合わせを考えて決めていった」
「ゲーム内設定でもアイドル達の推薦には意味があり、各事務所の思惑もある」

これらの説明からして、例えばユニットに重きを置かれている283プロの選出メンバーは、メンバー内で完結してしまうような組み合わせは避けられることになる。765プロなど他の事務所のメンバーとどう絡むか、また765AS側も、他事務所の彼女たちと交流することでどのような化学反応が起こるか。各作品の人気より、それらを重視した選出基準が重視されていることとなる。これはインタビューでも説明されたシンデレラとシャニマス代表のセンター格である城ケ崎美嘉小宮果穂の例が顕著であるし、甘奈・千雪のアルストロメリアのメンバーと引き離された大崎甜花に注目が集まるのも好例だろう(亜美真美や杏らのゲーム部が最低3人いるし案外なんとかなりそうだが)。美嘉も彼女がセンター格である以上、LiPPSからの追加メンバーは考えにくい。

また、ASが軸である以上、ASと属性が被ったり、特性を打ち消すタイプは避けられることも予想される(とはいえミリオン信号機はいるが)。例えば、三浦あずさより年上のしっかり者お姉さんタイプは選ばれにくそうだ、と推定できる。まあ、デレミリは年上組は「〇歳児」とネタにされそうなタイプが多くはあるが……。

また、こんなご時世になったので不透明ではあるが、15thイヤー後の目玉として、当然プロジェクトルミナスによるライブイベントは想定されているだろう。プロジェクトルミナスは28人。アイマス最大の祭典であった10thことMOIW2015が3ブランドで34人の出演だったので、28人+追加メンバーでのイベントとなるはずである。必然、そのライブに限らず選抜メンバーは各作品だけでなくルミナスでの出番も増加する。そうなると、ライブイベントに支障なく出られる演者が求められるのではないだろうか。

ある程度のイベント縛りがあるらしいミリ・シャニはともかく、デレについては……例えば、高い人気を誇りOFAなどでの登場実績もある高垣楓などは、それを基準と仮定するならばスタマスには呼ばれない、と想定できる。

また、一定程度は年齢バランスをとることも考えられる。ASと発表済みメンバーの年齢は以下の通りだ。

21 あずさ
20
19 律子
18 貴音、咲耶
17 春香、真、雪歩、美嘉、杏、甜花
16 千早、響
15 美希、伊織
14 やよい、蘭子、未来、静香、翼
13 亜美、真美
12 果穂

14、17歳がやや多い。バランスを取るならその世代は増えても1人程度だろうか。



もちろん以上の推測が大外れの可能性もあるが、この記事はその前提で考察してみる。
仮に15thイヤー合わせの映像化作品を単独ブランドではなくルミナスでやるならこの前提は崩壊するし、以下の予想は大惨事になるのだがその時は……まあ、木の下に埋めたりはせず笑って流してほしい。

(10/1追記)私の願望が叶い、15thイヤー合わせの映像化はミリオンになったので、予想はミリオンとシャニマスの微修正のみに留めます。













アイドルマスターミリオンライブ!


まずはミリオンから予想をしてみよう。最初がシンデレラでないのは、単に私の知識量の問題と、キャラクターの多さから予想が困難なので、先に他ブランドを埋めてそこから逆算したいため。

ミリオンは既に春日未来、最上静香、伊吹翼のいわゆる信号機の登場が発表されている。スタマスの世界線765プロが13+39=52人のミリシタに近いもののようだが、看板である信号機が出てくるのは、身内の765プロなので他事務所と違って看板を隠す必要がないから……ということだろう。ミリオン信号機はムビマスで声がかからなかったという歴史的経緯も影響していそうだが、しかし、あまりに無難すぎる。

というわけで、残り2人はある程度の変化球が想定される。無難なメンバーは呼ばないだろう。ミリシタの人気アイドルと言えば、周防桃子田中琴葉桜守歌織、白石紬、七尾百合子、望月杏奈、真壁瑞希北沢志保箱崎星梨花あたりがよく言われるところで、これにTCでも猛威を振るったASの如月千早星井美希を加えた面々がミリシタの人気上位と呼ばれがちだ(要出典)。

この中では、比較的王道の琴葉や百合子はまずないだろう。また、スタマス開発が本格化したのが17年ということもあり、ミリシタからの追加組である歌織・紬の登場も予想されそうだが、信号機とかおつむが選抜メンバーというのは攻めてなんぼのクレイジーなミリオンにしては守りすぎだろう。また、わかちこPならば「かおつむはミリシタ内で2年間しっかり推すので他の子を」と言いそうにも思える。

また、百合子同様ムビマスに出ている杏奈は、杏や甜花、ミリシタでも絡みがある亜美真美も含めた越境ゲーム部の結成が面白そうだが、そうなるとミリオンは中学生が4人になるし、28人しかいない中でゲーム部多すぎでは?というバランスの問題もあり、可能性は否定できないものの今回は外した。ミリオン初期から看板の一角である星梨花も、中学生組かつ入れてしまうとミリオンの内部で完結してしまう感が増すので外す。だいたいミリラジのせい。

ムビマスのダンサー組の代表格だった志保と矢吹可奈の登場を予想する声もある。そこそこ当たりが強いタイプの志保は、AS込みの大所帯では舎弟モードになる可能性がある静香より場を引き締め、時に引っかき回してくれそうではあるが、しかし賛否もあるムビマスの二番煎じは担当Pならずともあまり望ましいものではないだろう。また、かなしほも新規にミリオンに人を呼び込むにはやや食傷気味ではあるし、それでなくとも最近ぐっと面白くなってきたミリオンBCの主役格である(星梨花も)。つまりこの線も薄い。


前置きが長くなったが、その上で私は以下の面々を予想する。



(10/1追記) 天空橋朋花を✕→無印に修正。
半年の間にミリオンBCであそこまで描写されたことと、アニメ発表を受け。
無難すぎると評しましたが、アニメ前提なら信号機をここで出すのは堅い一手でしたね。




周防桃子(11)



余所の投票でも一強だったが、ド本命を挙げるならやはり現在のミリオン人気筆頭と言える桃子だろう。年少組でありながら芸歴が長く、性格も相まって他事務所どころかASにもある程度物申せたり、年少組に限らず絡みはいくらでも作れるなど、良くも悪くも物語の起点になれる。リコッタのような組み合わせもあれば、Twitterで漫画が話題になっていた果穂との絡みも非常に面白そうだ。後述するデレ側とも、かみ合いそうなメンバーはいる。また、ルミナスのPは765プロのPであるため、ミリシタ同様他人行儀になる必要がないというのも追い風だろう。

メタ的な理由を言えば低身長モデルを杏専用にしないだろうというところもあり、またイベントを考慮すれば演者の渡部恵子は今やニコ生常連かつミリオンの精神的支柱の一人でもある。



北上麗花(20)



桃子に次ぐ有力候補が麗花だろう。歌ってよし踊ってよしのミリオンスターズでも屈指の高スペック組だが、ルミナスに欠けている「成人組かつフリーダム勢(20歳だが)」のピースを埋めることもでき、それでいてあずさより年下である。面倒を見なくてはならないルミナスのメンバーは大変そうだが、それもまた見せ場であろう。

スタマスは越境歌唱はそこまで多くなさそうだが、Vo力団の一角を占める彼女なら他ブランドの曲も難なく歌いこなすし、全体曲でも存在感が消えることはないはずだ。AS版Vo力団と呼ばれる千早・あずさ・貴音らとの組み合わせも面白そうである。また、ライブでの活躍が想定される演者の平山笑美の歌唱力も言うまでもない。

また、ご存じの通り桃子と麗花はアイドルマスター2の没キャラとされる(画像の没データが存在する)。先述の内容からすれば参考程度だが、これも候補に挙げる理由だ。



アイマスの旧命名ルールだった軍艦名を冠するのは、ミリオンでは信号機の3人と桃子、麗花と名字が熊野とみられるジュリアのみ(杏奈も駆逐艦名だがこれは別枠説派)。また、ミリオンライブにおける背番号というかナンバーも、彼女らが48、49、50で歌織・紬追加まではトリ枠だった。公式が明言することはないだろうが、彼女らが誕生から10年余を経て本家の据え置きに登場するとしたら、粋な話である。
(一説にはこのレイジュリモモがプロトジュピターだったという見方もあり、ディレ1退社前最後のライブでジュリア役の愛美と桃子役の渡部恵子によるオーバーマスターが披露されていたりもするが、MTWで三人が組んだりでもしない限り真相は明かされることはないだろう)

ちなみにジュリアも候補に考えたのだが、ギターありきの彼女を出すには彼女のためだけに多くのモーションを用意するか、流用するならデレで木村夏樹多田李衣菜らを抜擢する必要がある。今回はその可能性は極めて低いと判断した。OFAやステラステージに相当する次回作があるなら有力になるが。


〇真壁瑞希(17)



感情表現が少ないポーカーフェイスの彼女もまた、その個性ゆえにルミナスに抜擢される可能性は高い一人だ。既存メンバーにもいないタイプだが、人付き合いを避けるような性格ではなくある程度誰ともかみ合うアイドルであり、また同じ事務所のアイドルにも対抗意識を燃やすなど内心は感情豊かで、良い意味で外面と内面のギャップがある子である。

また、もう一人の選出メンバーによってはミリオン最年長になる可能性もあるが、過去のユニットでの前例からすればそうした年上の役割もこなせるだろう。未来や翼がいないなら積極的にボケ役にも回れる。ユニット曲はSVを除いてミリオンスターズ内で完結しているため、スタマスに出られれば楽曲面でも新境地を開拓できるはずだ。

あと演者の阿部里果の歌唱がすごい。1月にあったクロノレキシカとXsのリリイベは最前かつ彼女の真正面だったが、強烈なパフォーマンスに圧倒された。


馬場このみ(24)



あずさより年上のアイドルは出にくいのではないかとは言いつつも、特性があまり競合しないこのみ姉さんならば話は別。スタマスに出たら、いい加減あずさがしている年齢の誤解は解けるのだろうか……。また、彼女とは別のタイプの面倒見のいい成人として、ミリオン組に限らず年少組を引っ張れる人材でもある。でも年少組とごっちゃにされるのも美味しい。

デレやシャニ側であれば、美嘉やデレ追加組本命と予想する彼女、小学生なのにはるかに自分よりでかい果穂あたりとの絡みが面白そうである。あとすごい歌が上手い。水中キャンディは岐路にいる疲れた社畜にも効くしいずれガンにも効く。聴け。




篠宮可憐(16)



主にVi方面で破格のスペックを持ちながら、自分に自信がないタイプのアイドルである篠宮可憐。彼女をルミナスに放り込んだら、「後輩」としてどんな壁にぶつかり、どう打破するか面白そうだ。シナリオによっては、ミリシタではたどり着いていない領域に至る彼女が見られるかもしれない。

自分に自信がないと言えばASの雪歩がいるが、彼女はLEADER!!コミュでそうであったように、スタマスではそのメンタリティも一歩先へ踏み出している……と思われる。


※演者にも大好評だったLEADER!!コミュ3話より

一定の実績があるメンバーや各事務所の精鋭揃いであるプロジェクトルミナスの中で悩み苦しむ場面もあるだろうが、春香や律子といった頼れる先輩もいる。また、そんな彼女と絡むことで、ミリシタ同様に先輩としてのASの成長を描くこともできるはずだ。





天空橋朋花(15) (10/1 ✕→無印に修正)



自身を「生まれながらの聖母」と評し、親衛隊や子豚ちゃんからの信仰を集める彼女は、全アイマスでも(少なくともCV付きでは)オンリーワンのタイプである。超然としている彼女がルミナスでミリシタ以上に個性を生かせるか?と思ったこともあったが、ミリオン最高のユニットである夜想令嬢での活動を通じて変化しつつあるミリオンBCでの彼女を見て、スタマスの選出基準に合致すること、また予想だにしない化学反応を起こしてくれるのではないかと思い大穴に入れてみた。

BCで変化のトリガーになった百瀬莉緒二階堂千鶴、所恵美がスタマスに呼ばれることはないだろうが、ASも含めた年少組に面倒見よく引っ張り回されるか、あるいは彼女の哲学を認める年上の子との絡みが面白そうである。個人的にはシャニ組や年少組と案外合ったりしそうではある。ただし、先述の通りミリオンは既に中学生が3人おり、これ以上増えるとバランスを欠く。そうした点が逆風となっているのもあり、とびきりの変化球でも穴馬か無印しかつけられない。

あとは特段理由でも何でもないが、演者の小岩井ことり「アイマスのおかげでもう少しだけ生きようと思った」今井麻美に告白するほどの演者P勢の一角でもあったりする。



✕徳川まつり(19)



朋花よりさらに可能性は低いが、変化球という意味ではまつりも一考の余地はある。キャラクター性というところでは後述するデレ組との絡みも見せ場になるだろうし、ミリPなら知っているように姫モードを解除すればとても真っ当な人間である。ミリオンの候補の中では比較的年長(19歳)という立場も活かせる場面もあるだろう。マシュマロネタも鉄板なので、主に765プロ以外の誰かが仕掛けてくれそうだが……。




ミリオンについては以上。スポーツ(フィジカル)タイプでは高坂海美永吉昴、という可能性もあるが、麗花が有力候補であることもあり×より下の無印と考える。大所帯での世話焼きタイプではムビマス実績のある佐竹美奈子や、加えてOFAにも出ている横山奈緒もいるが、そのタイプは他にもいるので可能性は低いだろう。10thでの「SuperやきうLover」コンビはまあ、MOIWがもし来年やれるようならチャンスはありそうだし……。事務所を超えた各アイドルの説明をしてくれる松田亜利沙とかあるか?とも思ったが、事務員勢揃いだしそのための抜擢はなさそう。






アイドルマスターシャイニーカラーズ

既に放課後クライマックスガールズから小宮果穂、アンティーカから白瀬咲耶アルストロメリアから大崎甜花の参戦が発表されている。
対象になっている可能性が低いストレイライトを含めても19人で数が少ない上に、選出基準の関係上で選ばれない子がかなりいる関係で予想自体は苦労しなかった(当たるとは言っていない)。

なお、過去の記事を読んでいただけている方には蛇足だが、私はシャニはそこまで時間をかけてプレーできておらず、ストレイライトまではある程度の数はWING優勝まではしているがTrueやコミュのコンプまでは到底至っていない、という状況である。ゆえに精度はミリオンよりお察し。


(10/1追記)
あさひを✕→〇、夏葉を〇→✕に修正します。
今ならストレイライト実装は十分行けると判断しました。





◎八宮めぐる(16)



シャニ本命は迷ったが、めぐる。イルミネーションスターズから誰かが選ばれるのはほぼ確実で、その場合はめぐるか灯織と思われる。

シャニマスのメンバー選出のコンセプトは、おそらく「ユニットから引き離された時にこの子はどうなるか」だろう。真乃はもちろん、灯織もなんだかんだ苦労しながら適応できそうだがめぐるはどうか。もちろんあの性格なので果穂や咲耶とともに積極的に他事務所の面々に絡んでいくことは想定されるが、咲耶ほどではないっぽいにしても結構な寂しがり屋で、どうも過去に色々あったと思われる彼女がイルミネから引き離されてどうなるか、というのは注目だろう。

イルミネから2人選ばれることが考えられない以上、彼女が選抜された場合はシャニの信号機では唯一の参戦となるはずである。同系統では元祖の美希や翼もいるので、そうした面での競演も期待される。また、演者の峯田茉優はシャニの演者では一、二を争うPであり、ルミナスとしてのライブイベントでの活躍も期待できるだろう。なんかバンナムフェスではASのダンス完コピしてたりしたらしいし……。さらにデレミリの担当2人と同じステージに立つ可能性も考えられる。




〇有栖川夏葉(20) (10/1 ✕に修正)



放クラ最年長の20歳児。他事務所のアイドルでも物怖じせず良い意味のライバル心を剥き出しにするだろうし、その強い向上心もあってASでは響や千早、真、あるいは令嬢つながりで伊織あたりとの絡みが期待できそうだ。数人単位のユニットなら、ルミナスの中でもリーダー格にも、頭の回転の速さを生かして律子とは違うベクトルのサポート役にも、さらにボケ役というかオチ役にも回れる強みがある。放クラでは2人目となるが、参戦しても果穂の特性を消さない。

Pドル要素が極めて強い、あるいは前提となる子がシャニマスには多い。そうした子は選出が難しいだろう。甜花ちゃんの成長のためにはアルストロメリアもない。また咲耶のことを考えれば、アンティーカはもう選ばれる可能性が低い。強いて言えば他事務所との絡みがいくつか想像できる田中摩美々だが、それよりは放クラからだろうし、その中では夏葉、次いで樹里の可能性が高いと考えた。消去法に近いのは否めないが、ASデレミリのメンバーと特性が被りにくい夏葉なら28人の中でも埋没はしないだろう。




△風野灯織(15)



可能性はあまり高くないが、イルミネ枠がめぐるではない場合は灯織となるはず。

蒼の系譜の中ではなんだかんだ取っつきやすい方であり、かつての千早や静香ほどは場をかき回してはくれないだろうが、真乃・めぐるが不在なこともあって色々と内面にため込んで追い込まれたりとストーリーを作ってくれるのではないだろうか。めんどくささ同様、蒼の系譜の特性であるストイックさ(と家庭の問題。凛は例外だが)も健在であるため、こんな機会でもなければできない千早や静香との絡みも面白そうである。




✕芹沢あさひ(14) (10/1 〇に修正)



ストレイライトでは特性上唯一ルミナスに呼びやすい上に無二の個性を発揮できる子……なのだが……。

おそらく10th後から構想はあったスタマスだが。ステラステージ発売前の17年春に本格始動した際は、ストレイライトどころかシャニマスさえまだサービス開始していない。ストレイライトが登場したのは19年春。そこから1年かけて3人の物語を掘り下げていったのだが、そんな状況のあさひをスタマスに呼べるか?ちゃんと描写できるのか? というと疑問符である。確かに、果穂、咲耶、甜花、めぐる、あさひと並べれば各ユニット1人ずつで平等ではあるのだが……。

ただまあ、アイマスは無茶振りと常にワンセットのコンテンツなので、ここまで引っ張った以上は高山Pとストレイライト担当ライターが血の汗を流しながら同時並行で何とかしている可能性もないではない。そしてもし参戦すれば、見せ場は無数にあって他事務所のメンバーにも刺激を与えてくれるだろうし、他事務所の天才タイプの子とどう向き合うのかも気になる。一方で保護者2人を欠いて色々とやらかしてもくれそうだし……と想像は膨らむ。おそらく人気もさらに出るだろう。そんなわけで穴馬に据えた。






アイドルマスターシンデレラガールズ

過去記事でバレバレなのだが、デレについてはASはもちろんミリよりもだいぶ知識量が少ない。アニメ後の躍進期と私がアイマス歴13年余のうちコンテンツと少し距離を取っていた期間が丸被りしてしまったせいもあるのだが、ともあれそれゆえに自信がない。なので、先に他ブランドの予想を固めてしまってからこちらの予想をせざるを得なかった。根拠も弱い。というわけで、ここからはご笑納してもらえれば幸いである。




安部菜々(17)



本命は7代目シンデレラガールにして、デレのアイドルでも信号機を除けば最上位クラスの知名度を誇るであろう安部菜々さん。外も中も含めてオカン気質でも、たぶん小鳥さんと同世代でも、永遠の17歳なので最年長ではない。

基本は色物キャラであり、また天賦の才能を持つタイプでもないが、全アイマスを通じてもこれほど「アイドル」に真摯な人もそういない。菜々さんがルミナスのメンバーに入れば、最古の春香から最新(候補)のあさひまで、広く絡みが期待できそうである。成人・年長組もそうだが、宇宙つながりでは貴音、他にもこのみ、まつり辺りも面白そうだ。また体力面に不安があると言及したら、ルミナスの予想メンバーでは麗花に振り回されたり夏葉にシゴかれそうな一人でもある。

また、演者の三宅麻理恵は言うまでもなくデレ演者を代表するガチP勢である。MORのマンスリーアシスタントも務めていた際の話しぶりでもわかるように、かなり広く各ブランドに通じているので、そうした面でも出番が見込まれる。



〇橘ありす(12)



年少組枠かつ(杏とは別ベクトルで)めんどくさい枠となれば、ありすの出番が回ってきそうだ。スタマスでは765プロのメンバー以外は原則Pドル要素を排するであろう関係上、選出された場合は、選抜メンバーの中で壁にぶつかり、そこから成長を遂げるタイプのストーリーとなる……と想定する。同世代かつ自分にない強みを持つ果穂、桃子との交流も見所になりそうである。あとは案外、丸くなっているであろう千早あたりになつく可能性もありそうだ。

鉄板ネタの料理関係でも、やべー焼きそばを作る20歳児と揃い踏みとなれば麺類ネタでもいけるか。残念ながらユニコーンが見える女子力焼きそばを作るメンバーはいないっぽいが。

なお、有名な話ではあるが演者の佐藤亜美菜はアケマスPである。



渋谷凛(15)



本来なら呼ばれなさそうなシンデレラの信号機である凛だが、一方でこの画像の通り、映像作品におけるASからシンデレラへの橋渡し役を務めたキャラクターでもある。もし3ブランドから信号機を一人は出すという方針なら、選ばれるのはおそらく凛だろう。美嘉がセンターでいるので、シンデレラチームのカバーはある程度任せてスタンドプレーが許されるのも大きい。

蒼の系譜は全員が揃う可能性もわずかながらあり、少なくとも凛が選ばれれば千早、静香の組み合わせは期待できる。MOIW2014のMUSIC♪や10thのねばねばうどんNever say neverのような競演にも期待できるし、もし彼女らの新曲があれば蒼い炎を滾らせてくれそうである。もし4人揃ってしまったら灯織はまあ、強く生きて。ご時世的には厳しいがもしMOIWがあるなら、どっちみち蒼カルテットは確実にあるし……。




緒方智絵里(16)



智絵里の場合、期待されるのはミリオンの候補でいう可憐に近いポジションになろうか。既存の単独展開でも描かれているところではあるが、選抜メンバーの中でどう自分の個性を生かしていくかが見せ場になりそうである。比較的相方の幅は広いタイプかとは思うが、ASなら春香や雪歩、あずさ辺りとの絡みが面白そうか。

杏とはアニデレでユニットを組んでいるため彼女とはある程度引き離すことになるだろうが、それでもしっかり役割が果たせるだろう。


前川みく(15)



強烈な個性を持ちつつ、なんだかんだ常識人なので他事務所を含めてクセの強いメンバーを支えられる……というか振り回されるのが映える。キャラクター性は言うまでもなく、28人いようが埋没することはないだろう。場合によってはアニデレのように暴発したり負け猫ムーブをしたりと、かつてのような暴れっぷりも期待できるところだ。


諸星きらり(17)



中・外ともにシンデレラガールズの柱の一人であるきらりの参戦の可能性もある。もし選ばれれば、美嘉の心労もいくぶん緩和されそうである。また、ASや咲耶、ミリの候補とは組み合わせが良さげな子もいる……のだが。

やや多い17歳組であり、また鉄板コンビであるあんきらが揃ってしまうとなると、内部完結を避けるというルールに抵触しかねない。さりとて絡まないのも不自然であるし、扱いが難しくなってしまうだろう。ルミナスにいたら絶対に面白いのだが、そうした理由もあり穴馬扱いに順位を下げている。


シンデレラでは他にも星輝子多田李衣菜あたりも可能性はあるだろうし、選出基準や他ブランドの候補から逆算する私の前提が外れであれば、小早川紗枝アナスタシアあたりも考えられる。というかシンデレラの予想はどんなに詳しくても困難ですねこれ……。




◇番外



スタマスではプロジェクトルミナスに立ちはだかるライバルが登場する見込みである。大げさに語るまでもないのではっきり言ってしまえば、それは961プロ玲音、詩花だろう。現状ネームドのライバルがいるのは各ブランドでも765プロだけであるし、この手の大型イベントに黒井社長が乗り込んでこないはずがない。

ミリシタで時間を開けつつも2人が登場し、ミリシタ感謝祭にサプライズで演者が登場し、その後のイベントで対決したのもその下地と考えられる。ZWEIGLANZとして登場するかはともかく、出ない理由がないだろう。玲音はともかく詩花はステラモデルをAS同様リファインするだけで済むはず、というのもある。







以上、駆け足で予想をしてみたが、どれだけ当たっているかはそう遠からずわかるはずだ。スタマスの発売は昨今の事情で2021年にずれ込むのがほぼ確定的だが、それでもライブと違って中止にはならないというのはいいことである。掌を返せるような作品となるよう、じっくり待ちたい。

スタマス発表を9.18になぞらえることへの違和感と、新展開への思い【スターリットシーズン】

(2/9 19:40 末尾に補足を追記、2/10 2:00 9.18の部分で本文追記)



アイドルマスターシリーズの据え置き最新作「アイドルマスター スターリットシーズン」が発表されて半月が経った。1月30日には坂上Pと久夛良木Pのインタビューを含む、ファミ通の特集記事も出た。





さて、アイマス新作発表時はもはや恒例だが、今回もまた大きな波紋があった。ゲームは越境形式だったが、SideMがプレイアブルにならなかったことや公式側の対応が拙かったことなどを理由に、SideMをプレーするユーザーを中心に激しい批判の声が上がったのだ。


ニコ生での発表や説明が拙かったことは賛否を問わずどの立場の方も一定程度の同意はあるだろう。まだゲームの一端が開示されただけではあるが、SideMユーザーの怒りも十分に理解できるし声を上げてよいと思う。
ただ、今月でアイマスP歴14年目に入り、かつて「9.18事件」と呼ばれた2010年の出来事をリアルタイムで体験した人間としては、今回の一件を9.18の再来だの過ちを繰り返しただのとする言説には、いささか違和感が拭えない。




この記事では、もう少数派になってしまった当時からのアイマスPとして、当時のこと、そして今回アイマス公式がそれを踏まえて何をしたと考えられるか、ということを記していきたい。
もちろん、年末の記事でも上げたように、私の考え方を誰かに押し付けるつもりはない。ここまで肥大化してしまったコンテンツだからこそ、古参ほど「Not for me」を貫くべきだと思うし、そもそもそんなことで言い争っても何の益もないのでブルーオーシャンで布教でもやってた方が有益である。したがって、私のこの文章も自己満に過ぎない。

だからこそ、以下の前提を違うと思う人はさすがに時間の無駄になると思うので、ここでUターンされることをお勧めする。


1.過去、据え置きアイマスは原則765ASのシマであった
2.今回はあくまで「アイマス据え置き新作」との触れ込みだった









◆そもそも、9.18事件とはなんだったか





端的に言えば、2010年9月18日の東京ゲームショウ2010とその直後の発表で、アイドルマスター2において水瀬伊織三浦あずさ双海亜美秋月律子の4人がプレイアブル(プロデュース)対象から外れることが明らかになったことに端を発する大炎上である。翌2011年に発表されたアイマス2そのもののシナリオが賛否を呼びやすいものだったこともあり(雪歩シナリオなど評価が高いものもあるが)、東日本大震災を経た11年春まで界隈は荒れっぱなしだった。7月から始まったアニメ版アイドルマスターが、アイマス2の設定をベースにしつつも傑作だったこと、同年11月に始まったシンデレラガールズが独自路線で成功したことでアイマスはさらなる拡大期に入ったが、アニマスが失敗していれば、2010年に演者に示されていた区切りとされていた2015年の10thで、コンテンツそのものが終焉に至っていてもおかしくなかった。

原因は複合的なものであるが、大まかに言えば竜宮小町ら4人の非プレイアブル可、それに対する公式――ガミPこと総合Pの坂上陽三(以下、登場人物の敬称略)と、ディレ1こと石原章弘ら公式側の誠意を欠いた対応が挙げられる。副次的要因としては、4人の非プレイアブル化と同タイミングで発表された、ライバルユニットのJupiter(ジュピター)3人の登場も燃料となった。最近ではジュピターは批判対象ではなかった、とする言説も見られるが、残念ながら事実誤認である。これについては、もう少し詳しく説明する必要があるので後述する。


さて、これを読んだだけであれば「なんだ、やっぱり同じじゃないか」と思う方もいるかもしれない。では次に、関連する事柄を時系列にしていこう。



2010年3月
THE IDOLM@STER MASTER SPECIALの最終作「SPRING」が発売し1st visionが完結。このCDとドラマCDは前年冬に録られたが、アイマス2アニマスなど2nd visionの展開が決まった後の収録だったとされる。ドラマCDのラストは、2ndでの大きな変化も想起させるものだった。収録時期では、アケマスから約5年間雪歩を担当した長谷優里奈の降板前最後のCDとなった。

・7月3-4日
過去最大規模となる幕張メッセイベントホールで開かれた5thライブで、アイマス2のPVが公開される。内容は13人全員がThe world is all one !!を歌うPVで、2日目のPVでは萩原雪歩役の交代が発表。PV明けに浅倉杏美が登場し、坂上Pとともに挨拶する。

・9月18日
この時は竜宮小町というユニットが出るということまでは認知されており、プロデュースできないのでは?、という疑念が上がる中、イベントに坂上P、若林直美下田麻美沼倉愛美原由実浅倉杏美が出演。前述の発表内容、また坂上が降壇し演者が矢面に立たされる形の構成になったことで、いわゆる「声優の盾」と呼ばれる忌まわしいワードが生まれるきっかけになってしまった。

その後、アイマスユーザーの反発の声、ニコニコ、2chを中心に多かったアイマスアンチの荒らし、これ幸いと嗅ぎつけてきたはちま、jin、やらおんなどのアフィブログの際限ない煽りにより、無関係の人間が大量に火事場に流入し事態は収拾がつかなくなる。古くからのアイマスPがアフィブログやそれらの記事に言及する人間を蛇蝎のように忌み嫌うのはこれがきっかけである。

・11月~
THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 2のFirst seasonが順次発売。非プレイアブルの4人は当初含まれていなかったが、約半年後に2nd seasonとして発売される。

・2011年2月24日
アイマス2発売。全体的に物議を醸しがちなシナリオだったこともあり、また反発の声が上がる→アフィブログにより燃える→のコンボが発生する。半月後にはそれどころではなくなったが。ただし、4人を一部プロデュースできるようになったPS3版も含めれば、アイマス2は前作を大きく上回る計約17万本が売れたとされる。


◆9.18の背景には何があったか。



まず、公式側から振り返ってみよう。当時から現職であり続ける坂上Pがこの件に触れる機会は少ないが、この記事でも度々登場するディレ1こと石原章弘は、バンナム退社を前にした2015年12月にこの件について踏み込んだ発言をしている。

まず、4人の非プレイアブル化は少なくとも石原は反発したとされる。退社前なので好き勝手に言ったという見方もないでもないが、退社後も坂上Pとの関係は継続していることから、誰かに責任をなすりつけたわけではないのだろう。

石原は語る。アイマス2はアニメ化を前提、並行した企画であり、そのためにも竜宮小町やジュピターはあの当時のアイマスに必要であった、そのことには納得していると。ただ一方で『自分の言葉の中に「本音・本心」に近い言葉が混じっていないので、説明する言葉に強い「説得力がない」「誠実さがない」と自分でも感じていました。正直に言うと、僕自身もアーケード版を企画し、自分で産み育ててきたアイドルを「完全なプレイアブル」にできないこと、TGSの時点ではまだ納得しきれていませんでした』とも述べ、ユーザーに不誠実な対応をしたことを詫びている。

このことには概ね嘘はないとみられる。例えば三浦あずさは、ASの生みの親である石原が、たかはし智秋の演技と歌唱力に惚れ込んでオーディション前に後付けで作り上げた思い入れの強いキャラクターである。(たかはしのLLCでの発言を聴く限り、AS初期メンバーの演者では事実上唯一のスカウトとみられる)上に抵抗したが及ばず、4人がプロデュース対象から外れるなど誠実な対応ができなかった、とも述べており、そうしたキャラをプレイアブルから外すのは断腸の思いであっただろう。
ただ、当時のバンナムの社風であったとされる極端な競争原理主義成果主義を反映したような商売手法のいくつか(CD歌唱メンバーを人気投票で決めると発表、反発を受け後に撤回)は、後にシンデレラで活用されたシステムなのでおそらく石原が積極的に採りたがった可能性は高いが。

また、初期から現在まで活躍しているある中核スタッフは、SNSでジュピターが08年から企画されていた、また他者からスタッフに預けられていたと明らかにした上で、9.18当日はこれから起きることを覚悟して泣きながら現地に向かったと書き残している。これらのことから、誰かは不明だが「上」とのぶつかり合いを経て2の仕様(とアニマスの骨格設定)が決まり、抗しきれなかった開発陣は炎上を想定しながらも突っ切るしかなかった、と考えられる。

石原は『急激に規模が大きくなっていったアイマスは、ここでいろいろな思惑がぶつかりあってしまったんだと、思います』としている。バンナムの中では色物弱小コンテンツでしかなかったアイマスが予想外の急成長を遂げ、DLCやCDの好調、5000人を超える箱でのライブをできるまでになったことで社に儲かりうるコンテンツとして見出されアニメ化まで決まった一方、当時の石原ではどうにもならないことが起きた、と判断できる。

一方で、この事件から石原は『自分の納得出来ないことはやらない』と覚悟を決めたとしており、その後企画が立てられたシンデレラガールズでは反発を押し切ってあのコンセプトを通している。個人的には首肯したくないが、9.18での挫折がシンデレラガールズの成功を生んだと言われたことがあるのはこのためだ。



さて、対するファンサイドである。

当時のアイマスは、07年の家庭用無印と発売と同タイミングで隆盛したニコニコ動画と切っても切れない関係にあった。コミュ動画や08~09年ごろをピークにニコニコを席巻したPV動画、ゲームのプレイ動画などと組み合わせたim@s架空戦記、いわゆる紙芝居のNovelm@sterなど、プロやセミプロだけでなく動画編集経験がない素人でさえ参入でき、しかも大量に素材が転がっているためゲーム未所持者でさえ動画を作れてしまうという異質な状態であった(実際、私の知る範囲でも10万再生を獲るような人気投稿者でさえXBOXやゲーム本体を持っていない人が複数いた。今さら蒸し返さないが)。

当時は今と比べればアイマスの展開などごくわずかで、公式の供給は少なく、ムーブメントや溢れる作品愛を注ぎ込む先は二次創作しかなかったのもある。アイマス公式はその想定外の――今風に言えばバズを最大限活用し、そのために音源丸上げのような動画を除いて著作権については見てみぬふりをした。どころか、多くのメンバーが見ていたニコマスの盛り上がりに言及したり、また最古参メンバーの一人であったある演者に至っては、特定の人気動画シリーズについてツイートしてしまうこともあるほどだった(さすがにすぐツイ消しされたが)。この頃のライブが前例も実績も少なくまだ手作り感あふれるものだったことも含め、ともかく牧歌的な時代であった。

しかしながら、この時はその牧歌的な空気が滅茶苦茶になった。ニコマスアイマスユーザーのメインのコミュニティである一方で、コメントが容易に消えなかったり当時の2chなどの掲示板以上に荒らしやすかった仕様だったことも災いし、大荒れからのお気持ち表明動画や掲示板上での感情任せの言葉のぶつかり合い、愉快犯的な煽動で泥沼になっていく。残念ながら、まだコンテンツもユーザーも若く、強固な紐帯もなく、そもそもの数も今より少なかったことも災いした。別のコンテンツで言えば軍艦やパークでもそうだったが、火事場に大量に無関係の、あるいは関係の薄い野次馬が押しかけ、あるいはさらに火をつけると、本来のユーザーの存在感はますます小さくなる。




直後のラジオで天ヶ瀬冬馬役の寺島拓篤が出演し(ああいう配慮のできる方なので、当時も相当慎重なスタンスだったと評価されているが)、また沼倉愛美が好意的な反応をしたことも火に油となった。これもジュピター叩きの要因になってしまったところであり、ここでもアイマス公式と坂上Pは演者を守れなかった。さらには4人のプロデュース可とジュピター排除を求めた署名活動まで持ち上がり、実際にお金を落とすユーザーがどの程度いたのかはわからないが署名を集めて提出するという騒ぎまで持ち上がった。アイマス2やジュピターを肯定的に見ようものなら四方八方から罵声が飛んできかねない騒動の中、公式は演者への誹謗中傷や罵倒をやめるよう声明まで出したが、すぐに鎮火までには至らなかった。

Twitterも今ほどの定着度はなかった時代だが、SNS掲示板で際限なく自分の不満と同質の、あるいは納得できるベクトルの意見ばかりを収集し、偏った意見だけを取り込んでモンスターになってしまう方も、残念ながらいた(この手の話に限らないが)




こうした騒ぎの中、直後から人気トップクラスも含めて相当数の動画投稿者が連載を中断したりシリーズを削除することが続くことになる。また、言及がなくとも長期的にモチベ低減→連載中止につながった投稿者もいたことも想像に難くない。ニコマス自体が爛熟期である意味「辞め時」とみた人もいるとは思うので、一概には言えないが。


ニコマスで08-15年まで連載をしていた私も、当時はコミュニティが崩壊していくのを見てヤケ酒を飲むほどだったが、こういう発言をするくらいには連載中止や削除がつらかったし、このままコンテンツが終焉に向かうと思っていた節もあった。外れて良かったが。


また、アイマス2に関連する(と認定されたものも含む)二次創作やイラスト群も、アイマス2を肯定するのかと槍玉に挙げられることがあった。これは火勢が鎮圧に近い状態になった後も終わらず、結果的に創作をストップせざるを得なくなったケースもあるなど、アイマス2ネタを使うことが創作サイドにとって多大なリスクだった時期が少なからずあった。これらに関しては、残念ながらユーザー同士の内戦の色が濃かった、と記憶している。今では所謂「あまあま」コンビのイラストなども普通に描かれているが、アニマスくらいまではやろうものなら焼き討ち対象にされていたのが現実だったし、それがわかっていたからこそ当のアニマスでも接触には慎重に慎重を期していた。








ともあれ、どこまで企業の利益につながっているかも読み切れない、実態の不確かなニコニコでのアイマスバブルはこの辺りから緩やかに下り坂へと向かい始める。また、これを契機にアイマス公式も、実際に金を落とすユーザーとも石原風に言えば「緊張感」を持った関係を意識していくこととなり、野放図で牧歌的な時代が終わることとなる。



◆だからこそ、9.18と今回は違う





駆け足で昔を振り返ったが、ここからは今回の件が当時とどう違うかを一つずつ考えてみたいと思う。


まず、一つ目。

あの時は、SP美希や雪歩の演者交代などで蓄積した不満はあったものの、それは9.18で発生した不満に比べれば相対的に小さなものだった。トリガーも燃料もあくまで、あの日と直後に発生した出来事だ。

対して、今回の一件は、SideM側のこれまでの展開で蓄積した不満が燃料であり、あのニコ生はトリガーのみであったと推察する。私はMについては曲とアニメ履修だけだが、フォロワーにゲームをプレイしている層も多いのでどういう点が不満かはしばしば伝わってくる。その不満には理解を示すし、その不満があったからこそトリガーになったのだろう。ただこの辺りは記事の主題ではないので、何か言うことはない。


次に、経緯の違いがある。アイマス2の際は、全員が登場しプロデュースできると受け止めるPVを発表してから、二ヶ月経っての事件であった。MSSの思わせぶりな台詞もあってアイマス新作がどうなるか不安に思っていたところに、全員登場のPVが届けられて(雪歩の件はともかく)安堵したユーザーも多かった……からの、続報でのアレである。そりゃ荒れようというものだ。

対して、今回は5ブランド越境ゲーと銘打たれていたわけではなく、後述するがおそらく数年前に一度潰えた企画を叩き直して出してきたものだ。9.18の再来と言うならば、PVでジュピターかドラスタを登場させた上で、4月に非プレイアブルだと発表しながらその演者を壇上に上げるくらいしてようやく再来と言えるだろう。

ただし、15thPVをニコ生冒頭に流したのは論外の悪手と言える。あれは5ブランド合同との誤認を招くので厳しく批判されて然るべきだ。





では、9.18で厳しく批判された公式の態度……今回で言えば坂上Pと久夛良木Pの対応はどうだったか。



ファミ通インタビューにおいて、坂上Pは876と315プロからのプレイアブル出演を明確に否定している。『今回はプロジェクトルミナスを中心に考えているので、彼女たちを描くことに注力します。なので、期待には応えられません』とだ。私の知る限り、坂上Pは「まだ言えない」「余地があるので言えない」「そうだけど今は公表しない」という場合、このインタビューで玲音と詩花について聞かれた時と同様に「ノーコメント」を使うので、これは最終決定と言えるだろう。また、久夛良木Pはニコ生同様、「できるかぎりという思いはあるので、一部のアイドルは何らかの形で登場させたい」としている。

実際問題、SideMがメインのユーザーでさえ、まったくの同列で315プロのアイドルが他4ブランドの子たちとステージに立つと考えていたのは少数派だったのではないかと感じている。

客観的な視点として、一体につき数百万とされる最新モデルの制作にしても、男性モデルと女性モデルの共存は容易ではなく、アイマス2のジュピターくらい「寄せて」ようやくである。また、モデルの作り方が変わればダンスモーションの流用はできないし、何より歌い分けの問題がある。その上で出せても数人であれば、起用することでの期待値と天秤にかけてもこうならざるを得ないところはある。石原は退社直前までしばしば予算が少ないと愚痴っていたし、アイマス生みの親の一人である小山順一朗(コヤ所長)の回顧からしても、バンナムは稼ぎの柱であってもそこまで大盤振る舞いしてくれないらしいが。

それらを度外視して出せてもその分のプレイアブル人数が減るのなら、例えばデレミリシャニ枠が圧迫されたとユーザーに認識されたり、ありえない仮定だがASメンバーをそぎ落とした場合、それこそ想定されるのは9.18の再来であり、継続購入ユーザーだけでなくかつてと同じような構図で、M側への猛烈なヘイトが押し寄せかねない。そうなると起きるのは内戦である。そういう意味でも、リスクは冒せない……となる。

むろん、これは理屈と算盤の問題であり、どのコンテンツを重視しているかで違うユーザーの感情の問題とは別である。





「インタビューでこういうふうにハッキリ言ってくれたら荒れなかったのに」



30日のファミ通発売後、そうしたツイートを散見した。坂上P自身は少なくとも表向き、ああいうヘラッとした感じのキャラクターではあるが生き馬の目を抜くような当時のバンナムを泳ぎ切ってきた人物だ。残念なキャラ性と令和の時代にはかなり古いコンプライアンス感覚については今更ではある一方、そうした意見が出ることなど百も承知だっただろう

そもそも知らない人も多いだろうがアイマスのニコ生は原則リハーサルありである。ニコ生のあのやり取りは演者も含めて放送前に一度やっているのだ(毎回かは不明だが、ミニコーナーのゲームすらリハをやっている)。そうした中で、かつて批判されさんざん痛い目をみた坂上Pが、越境において自身と久夛良木Pに風当たりが強くならない立ち回りを考えなかったはずがない。ではなぜ敢えて、自分が矢面に立って集中砲火を受けかねない行動に出たのか。


これは、ニコ生より先に実施されているはずのファミ通のインタビューも踏まえれば明快である。彼は10年前の過ちを繰り返さず、自らの体を張って演者への飛び火リスクを極限まで下げたのだ。



坂上Pは、今度こそ壇上の演者を守った




あの日のニコ生には、ASから中村繪里子天海春香)、デレから佳村はるか城ヶ崎美嘉)、ミリからMachico(伊吹翼)、そしてシャニからは河野ひより(小宮果穂)の4人が出演した。中村がSideMの件について舌鋒鋭く質問する場面で、喝采を送ったり溜飲を少しは下げた視聴者もいただろう。アイマスのセンターは、中村繪里子はSideMのことを見捨てたりしない、と。

だが、坂上Pがファミ通のインタビューのように、あるいはもっと踏み込んでMの不参加についてより納得される形で、あるいはより理詰めで言及していたらどうだっただろう。まず、中村の当該の質問はなくなるか、かなり弱いニュアンスとなる。
公式サイドは隙の少ない対応をした。しかし不満のあるユーザーはまだ相当数いる。その濁流は一定程度公式にも向かうが、それがすべてではない。ではどこに向かうか。


出演した演者である。



頭に血が上ったユーザーというのは、個人の人間性にも左右されるが苛烈な言葉遣いを厭わない。そしてそれを見て、さらに煽ってやろうという輩が口汚い言葉を使い、それをアフィサイトなどが拡散して収拾がつかなくなる。かつては、そんな経緯で「可能性を生み出しただけでアウト」なるユーザーが言ったかもわからない言葉まで生まれた。

10年前を念頭に置いた最悪の想像ではあるが、中村には「寺島を同志とか言っておきながらM不参加に何も言わないのか」「それでもアイマスのセンターか」と罵声が飛ぶだろう。発表時期的にSideMを飛び越して参加した形になるシャニにもその矛先は向かい、河野に対して「Mを差し置いておきながら何ニヤニヤしてる」といった声がぶつけられる。考えすぎと思うかもしれないが、残念ながら集団としてのアイマスユーザーには前科があり、上記のように囃し立てる層も、より過激に煽る非ユーザーはどこにでもいる。


それを想定する企業広報の視点に立とう。どう転んでも不満が出る案件で会見や発表会、パネルディスカッション、あるいは株主総会があるとする。せめて特定のステークホルダーのリスクを極限まで下げたい、その時どうするか。
定番の一つが、誰かが批判される役に回り、第三者に批判させたくない側からそれを指摘させる、あるいは株を上げる行動をさせるのである。おそらく、そうした案件に関わったことがある一定程度の年齢の方であれば、同じ考えに至った方もいるだろう。


失敗すれば茶番劇になるが、中村なら台本を作らなくてもそうしていたであろう実績ある人物だったこともあり、結果を見ればリスク管理は成功だった。批判は坂上Pと久夛良木Pに集まり、笑いありのお楽しみコーナーやゲームへの期待を語ってなお、出演した演者への飛び火は私の観測範囲でほぼなかった。おそらく頼まれなくても質問はしていただろう中村の協力を得て、9.18の再来は意識的に回避されたのである。

なお、12月のツイートを今回の件に結び付けるのは早計だろう。我らが中村先生は相方と違って意味深ツイートの尻尾出さないので確かめようはないけれど、多くの舞台やラジオ、イベントを抱えている身だ。直近も成立しなかった企画や終了することになった番組もある。時系列的にも、今回の件だとするにはやや遅すぎる。


……というかこれは公式も悪いんだけど、仕方ないとはいえ何かとセンターオブセンターに比重かけすぎるから春香も繪里子もその役割に縛られて個を出しにくくなってるのは何とかしてほしい。最近はぬーさんが多少分担したりと工夫している節もあるけれども。



余談だが。
Mの5thライブをあの10thと同日程のメラドで開催するというのは、寺島の当時の発言を踏まえればバンナムの最高に粋な采配であり、15周年に重ねたAS単独ライブの日取りと同様、コスト度外視でコンテンツのアニバ―サーリーを重視する公式の姿勢を改めて示したものと言える。去年はバンナムフェス初日で東京ドームを仕切り、そして翌年はこれ以上ない酬いとなる場所でのドームライブ。たとえドームというのが詐欺と思えるレベルの、地獄の窯のような暑さで交通も不便な箱であっても、正直羨ましい。
発表の順番が逆だったならばもう少し違う結果だったのでは……と思うが、ただの朝三暮四で終わった可能性もあるので、こればかりは何とも言えない。







◆不満が出ない発表は不可能だった




では、そもそも不満が出ないような手法はできたのか。いくつか考えてみたが、越境というコンセプトが前提にある以上はおそらく無理である、と言わざるを得ない。
ここまで肥大化し、ユーザーのベクトルも利害関係も四方八方に向かっているコンテンツではどう転んでも以下のようになるのが目に見えている。





スターリットシーズンは10thの頃のスリースターズを背景としていること、また久夛良木Pから「現在の開発チームと本格的に動き出したのは、17年夏ごろ」と明言されている。ステラステージの開発中だ。しかも、この発言であればそれ以前から企画そのものはあったと読みとれる。
企画が遅れに遅れ、そうこうしているうちに途中でシャニマスのサービスインで現在の形になったのは間違いない。その背景は、坂上Pが18年6月のミリシタ1周年イベントで「技術検証の一環」として出してきたこのPVからも読み取れる。



ミリオンアニメ化への布石の可能性もないでもないが、このPVはどうもスタマスの原型か試作品のように見える。今のところ他にこの技術を活用している場面もないので、これはスタマス開発途中の副産物をアウトプットしたとみるべきだろう。

そして、スリースターズでの展開と言えば、2014年5月発売のOFAが挙げられる。DLCのゲストとしてデレミリの計12人が参加し(876も引き続き参加)、デレからは島村卯月渋谷凛本田未央双葉杏神崎蘭子高垣楓、ミリからは春日未来、最上静香、伊吹翼、矢吹可奈箱崎星梨花横山奈緒が登場した。そして10thライブ後には、スリースターズを統括していた石原がこんな意味深なことを言っている。


765プロPS4で新作が予定されています。歴史が途絶えている訳ではありません。でも『アイマス』は彼女たちだけにカメラが向けられていた世界ではなくなり、より多くのアイドルたちが活躍する世界になりつつあります」


推測だが、スタマス形式の企画自体は5年ほど前からあったのだろう。OFAと10thライブを布石にプラスタのタイミングかステラのタイミングで本来出すはずだったのが、石原の退社かもしくは何らかの事情で企画が保留されたか先送りとなり(その場合、石原退社時のコメントで坂上Pが「あの件どうするのと考えた」と発言したあの件とは3ブランド合同ゲームだったことが濃厚となる。ミリシタやMアニの可能性もあるが)、構想だけが浮いたまま久夛良木Pに引き継がれ、結局形にならずに遅れてしまった……のではないだろうか。設定がアイマス2やムビマスのED後からつながっているように感じさせるものであることも、根拠の一端である。

3~4年前に出したかった企画であれば、合同は3ブランドでという時代だったゆえに反発が起きるリスクも小さい。だが企画が遅れに遅れ、その間にSideMが伸び、末っ子のシャニ追加が必須となってさらに難航し、そうこうしているうちに15周年を迎えてしまったというのが本音だろう。また、スタマスのラスボスは先日お目見えした961プロの玲音・詩花による「ZWAIGLANZ」が有力候補の一つだが、詩花、玲音の実装ペースを見るに、ミリシタ側としてはスタマスがもっと早く出ることも想定していたのではないだろうか。

ともあれ、おそらく候補が16人だったシャニマスはともかく(ストレイライトまで候補だったらスケジュール的に無茶振りもいいところである。久夛良木Pは泣いていい)、デレミリは5枠であればどう転んでも「自分の担当がいない」と憤る声が出てしまうだろう。公式サイドはそういう選び方はしていないと明言しているが、良くも悪くも声の大きい人気上位の担当ならなおさらである。

デレミリシャニの残る初期メンバー各2人の発表は、順当なら追加情報が出される4月となる。想像の余地を残したことと今後への期待感を持たせたことが第一義ではあるだろうが、これも緩衝対策の一環だろう。4月は4月でまた面倒なことになりそうではあるが。




◆それでも、据え置き新作は作らなければならない




どうやっても荒れるんだから合同・越境なんてやらなければいい、という声がある。
前述のとおり、人数制限もある以上どう転んでも(実際に買うユーザーかは抜きにして)不満の声が上がるのがスタマスである。ASメインのPならいいだろとか言われそうだが、残念ながらASメインですら、越境=765ミリオン世界線前提ということもあり不満を噴出させる層はいるくらいだ。無論、それは俗に言う右派のごく一部で、多くの層が歓迎しているのは事実だが。

話を戻す。該当記事が消えてしまったようなのでうろ覚えだが、モバマス成功後、坂上P、石原の2人が据え置き新作について語る機会があった。OFAの発表前なので、13年ごろだったと思うのだが……。

記事での言及は、ソシャゲは成功しても据え置きが保守本流であるということは忘れていないという内容だった。その後にOFAが発表されたので事実上の据え置き発表予告であったのだが、ではなぜ本流なのか。

アイマスがヒットしたのは、元をたどれば各時代ごとの傑出したグラフィックと3Dモデルのダンスによるところが大きい。(楽曲は初期から評価されていたが、ライブが高く評価されるようになったのはもっと後であるし、当初のコンセプトだと今ほどは重視されていない
そしてアイマス2、プラスタと進化を続けることで技術革新も進み、その恩恵が各ブランドに広く行き渡ったというメリットもある。例えば、昨年の39モード実装など我々を驚かせる進化を遂げてきているミリシタも、ステラステージで培った技術を還流されていることが昨年のエンジニア向けの発表会で明示されている。ソシャゲ隆盛の時代も陰りが見えてきつつあるとも言われる現状だが、最先端の技術を研究・検証・発信してキープし続けることはアイマスが走り続けるためには必須なのだ。見込める利益は、覇権を握るソシャゲほどではなくとも。

また、アイマスの据え置きゲーは、新モデルを作った場合は原則2本のゲームを作ってきた。箱無印とL4Uアイマス2とOFA、プラスタとステラと、だ。スタマスがよほど商業的不振にならない限りはどういう形式になるかはともかくもう一本は見込めるし、そうなればそのタイミングで追加されるアイドルも出るだろう。いずれにしても、数は多くないかもしれないが、スタマス経由で今まで手を出していなかったブランドも遊び始めるユーザーは出てくるだろう。私はバンナムフェスのシャニの立場を肯定的に「新規ファンつかみ取り大会」と評したが、これはどのブランドも多かれ少なかれそうだし、ASだって同じである。というかデレミリよりその色は濃いかもしれない。以前の記事で何度か触れたが、近年では、ゲームでASに最初に触れるのはミリシタが主流になりつつあるのだから。

ASメンバーが、既に一定の関係性は築きつつあるミリオンの子たち以外とかかわった時どんな化学反応が起きるのか。また、それ以外の3ブランドも初の本格的越境で同様のことが期待される。これは明確にポイントであり、新作に期待したいところである。


また、4ブランド統一規格の、最新の3Dモデルができたのも大きい。これでAS以外もいわゆる「MR ST@GE」(アイマスMR)形式の公演ができるようになる。先日のミリシタ感謝祭の美咲ちゃんMRや2年前のBrilliant Party!での専用モデル新造を見てもわかる通り、ミリシタやデレステのモデルでは、等身大サイズでのアイマスMRは無理だ。だが、今回の新モデルなら支障はない。越境がベースになりそうだが、人数次第ではデレミリ版単独のアイマスMRもできるようになるだろう。箱の問題はあるが、遠からず美嘉や未来と直接「話す」こともできるようになるのだ(シャニは演者練度的にもう少し蓄積が必要そう)。

なのでそういう意味でも、渋谷のバンナムシアターができる頃には、この件は別としてMはMで等身大でも映える新モデルを作ってあげてほしいのだが……。MRはアイマスが目指すべき到達点の一つなのは間違いないのだし。今回、初のSteamでの販売に踏み切ったのはバンナムシアター構想と同時に発表した海外展開ともリンクしているのだし、そろそろ建設に着手してくれるのだろうか。



◆期待の声も要望も、どちらも上げたい




スタマスがまだ一割程度の情報しか開示されていない以上、現段階ではこれ以上どうこう言うのは難しいだろう。ゲームとしての評価も下しようがない。ただそれは、プラスにせよマイナスにせよ声を上げるなという意味ではない。私も日頃そうしているしJOVの件では特にそうだが、ちゃんと公式に届くルートで意見を届けるのがベストだ。今回の件に限らず、SNSに意見を上げるだけでは承認欲求は満たせても、何度も書いた通り望んだ形の拡散にはならないことも多い。
もっと強く声を届けたいなら、バンナム株主になるのも手だろう。一時期7000円近くまで高騰していたが、四半期決算を受けて7日現在は約6300円まで下がっている。これ以上下がると昨年の購入価格を割りかねない私は気が気でないのだが、今ならたった63万で株主になれるのだ。一応公式サイドが「愛のある叱咤は、時には制作スタンスを見直すきっかけにもなる」と明言している以上、届け方を間違わなければ声が何かを変えることある。叱咤激励も歪まずに直接届いてこそだ。

もちろん、冒頭から何度も書いてある通り、これはあくまで私のスタンスを兼ねた主張であって、それを誰かに強制しようというものではない。ここまでしょうもないブロマガを12000字を読んだ奇特な方でも「Not for me」でなんら問題はないと思う。






(以下追記)
当たり前すぎて書かなかったけれど、リプとか飛んでくるので補足を。
Q・9.18のこと許してるとか、株主になったとか、おまえ公式の犬なの?
A・許してたらTGSの動画も正視できただろうし、石原のこともしょっちゅう枕詞で「功罪半ばする」なんて書かんわ。日付指定で当時のツイート発掘したら、キレ散らかした後にしばらく無気力状態になってる20代前半の私のツイートが見れますよ。今回はあくまで9.18とは事情が違うよというだけです。株も第一義としては、意見を言えるチャンスを増やすための投資に過ぎません。でなければ8万くらい利益出せた時に売ってます。
Q・Mはハブられていいと思ってるの?
A・思ってたらMRの話で「MはMで3Dモデル作って」なんて言いませんし、MRは他のコンテンツ見ても女性向けが強いところがあると思うのでASの次に重視していいブランドと思います。ただ、AS(スリースターズ)を軸としたコンセプトのプロデュースゲーの延長戦ではプレイアブルは難しく、出てくるとして2のジュピターやOFAの玲音みたいな感じではないか、と思っています。また、ツイートで何度も主張しているようにパーティーゲーやSLG形式なら無理なく5ブランドを混ぜられるので、それはそれで荒れるし稼ぎにくいでしょうがその方向性は模索して然るべきと思います。
(追記ここまで)






余談。
インタビューの内容や、ASとのキャラクター性被りはある程度避けたいはずということを考慮されれば、残りは誰が選ばれるだろうか。(DLCは一旦考慮しないものとする)

デレはいかんせん候補が多すぎる上に時間不足で十分に追えていないので、信号機ではないことくらいしか読めないのだが、比較的クセの強いティーンの子を持ってきそうではある(美嘉の胃はまた死ぬ)。ミリは開発時期的には歌織・紬がまず予想されるが、参戦すれば最年長枠となる歌織さんをここで持ってくるかどうか?という疑問もある。25歳児の御方がOFAから続投するならまた話は別だが。スタマスの源流であるアイマス2の没キャラであった(とされる)、レイジュリモモ辺りからの選出や、ムビマス派生とするなら可奈志保を筆頭としたダンサー組、あるいは他とキャラ被りをしないで済みそうな瑞希、あたりもあるかもしれない。シャニはストレイライトは対象外となると、イルミネから灯織orめぐるのどちらかと、放クラかアンティーカから一人か?となるのだが……。役割分担を考えると、夏葉か樹里かなあ。


あと気になるのは、15thイヤー中の映像作品どうすんの、というところである。何も考えていないとは思えないしやるならミリオンだとこれまでは確信していたが、この発表で少しわからなくなったのも事実だ。最近の赤羽根Pの出番の多さ的にも。




765ミリオンASの未来への光芒を垣間見た、クロノレキシカとXsのリリイベレポ







結論から書くと、早けりゃ来年度後半に765ミリオンオールスターライブをやるんじゃね、という話。

















先週の1/11、都内で開かれたミリオンのMTW02・03、クロノレキシカXsのリリイベ昼の部に参加してきた。アイマス全体でも、新年一発目のライブイベントである。

言うまでもなく、お目当てはラビットファーでおなじみのXs(萩原雪歩菊地真星井美希水瀬伊織)目当てである。残念ながらくぎゅは欠席だったが、Xsのセンター格であるあずみんが、アイマスのライブイベントとしては18年8月のプロミ以来1年5カ月ぶりに復帰というのが楽しみだった。
ただ、私は発売時点ではリリイベ日時が定まっていなかったことや、次に控える私にとっての本命・TC02のWorld Changerリリイベに資金的な面で注力していたことから、今回用意したシリアルは各2枚のみ。しかしながら、バンナムフェスで同行した方に譲っていただいたシリアルが幸運にも昼の部に当選し、なんと10番台の整理番号を引き当てた。最前列である。当然、アイマスライブで最前席は初めてだ。(MRは1st千早回で最前に座ったが、あれはD席かE席の中央がベストポジションなので……)






Xsは小悪魔的な可愛さを追求したユニットである。真Pに懸念されていた真や雪歩の暴走がほぼなく、Pもまともで、大人組のこのみ・莉緒は助言役を全うするなど、イベント・ドラマCDともに合格点の出来だった。このイベントでも提示された「真のナチュラルなかわいさ」をどう伸ばしていくかは、19年に「カッコいい」をしっかりアピールした真にとって、そして今後の真Pのプロデュースにとっても大きなテーマとなるだろう。





http://www.yomiuriland.com/lanlan-hall/

座ったのは左側ブロック最前列の、右から三席目。結果的には逆を抑えるべきだったのだが……。ともあれ、バンダイナムコアーツのテヅカ?さんの前説を経て、Flyers!!!のイントロとともにルミエール・パピヨンを着たクロノレキシカのうち4人(七尾百合子役・伊藤美来、永吉昴役・斉藤佑圭、ロコ役・中村温姫、真壁瑞希役・阿部里果)と、エボリューション・ウイングを着たXsの3人が登場。バンナムフェス欠席だったあずみんはこれが初の着用で、産後間もないこともあってかロングスカートタイプだった。キャラカラーはちゃんと入っていたが、元々は借り物らしい。おそらく若林神のものを一部改造したのだろう。


それにしても近い。
演者さんが近すぎる。



LEADER!!リリイベでも4列目だったのでほぼ間近だったが、その比ではない。その距離わずか3メートルである。そして遮るものも何もない。一挙手一投足どころではなく、視線の動きからライブで額に滲む汗まですべて肉眼で見られるのだ。シリアル各2枚、イベントではPRを取っただけなのにとんでもないご褒美である。

クロノレキシカの挨拶を経て、Xsはあずみん、アッキー、平田さんの順で挨拶。あずみんにはおかえりコールもあり、アッキーはおにぎり波を放ち(今回は口上飛んだりしなかった)、そして平田さんはLEADER!!の時より若干テンションが高くて声援も他の子より黄色率が高かった……気がする。

MCでは両ユニットのセンターが司会を務め、まずは楽曲の振り返り。

平田さんはXsの編成について、「真が入ったのが意外だった。貴音とかなら色っぽさもあるし」と発言。これに対してあずみんは「真で聴いてみたいという真好きの人がいたんじゃないか」みたいなことを言っていてアッキーも「そうですよ」とか便乗していた。わかるわ。

ドンロプについては平田さんから「歌詞凄くない?」という振りがあり、そこから歌詞やら曲
タイトルの発音のしづらさの話になり、クロノレキシカの四人が「ドンロプスキュリテ」を揃って言うことに。でもあんまり揃ってなかったような……。でもみんな拍手する。

あずみん「優しい~。会場は味方だね~(妖刀)」

ちなみに「中二病」「病み曲(闇曲?)」「耽美」というダークな雰囲気に合わせるために、みっく曰くレコーディングではしかめっ面で歌ったとのこと。そして「Xsの皆さんはセクシーな表情でレコーディングしたんですか?」と反撃を仕掛け、平田さんが「やったやった」とか言い出したせいであずみんがセクシーポーズをするはめに。先輩だろうが油断している奴は刺せという理念はすっかりミリオンスターズにも継承されているらしい。


ミリオンメッセージウェーブは散々レポが挙がっているので割愛。最初は「島がもらえる」との触れ込みだったが、あずみんの「パソコンが壊れて仕事ができないのでパソコンが欲しい」という欲望丸出しのリクエストを経て、平田さんが手袋が欲しいというので七人分の手袋が景品となったが、残念ながら達成はできなかった。一回目はタンバリンが出なかったので、割とチャンスはあったのだが鉄棒……。

見所としては、温姫さんが「(ロコ語に)変換しなきゃならないから最後の回答役は……」と言って真ん中あたりに収まったのに、結局「絶望」を「鉄棒」と勘違いしたせいでドンロプ冒頭の歌詞が変わってしまったり。中村温姫さん、要所要所で自然にロコを見せるのも巧いけどとにかくキュートな方だなあと感じさせられる。ライブでは「ロコじゃん……」ってなるし。

また、今日は不憫枠に押し込もうとする誰かはいないのに不憫ポジになるまいと率先して回避ムーブをとるアッキーが面白かった。一体誰のせいであんなことに……。


◆ライブパート


先陣を切ったのはXsで、一曲目はもちろんラビットファー。ちなみに今回のライブは全員イヤモニなしだった。
フォーメーションは上手から平田さん、あずみん、アッキーの配置で、伊織パートはあずみんとアッキーが中心にカバーしていたような……気がする……。

あずみんに制限がある中でどうするのかな、と思っていたのだが、この後のDreamy Dreamも含め、Xsは「あえてダンスを統一しない」という選択肢を選んだ。
平田さんはいつものように真らしく元気でモーション大きめのダンス。手先指先をビシッと決めて魅せるのもいつも通り。アッキーは感謝祭向けレッスンもしているのもあってか、かなり仕上がっていた。表現に柔らかさを入れつつ、要所にキレのあるダンスを見せてくるのはさすがだ。一方であずみんは終始、ふわっと、優雅な動きを意識していたように思えた。
激しいダンスは元々得意ではないし、それでなくとも身体の方も戻り切っていないのだからそうするしかないのだが、ドレスのようなロングスカートと振り付けがよく合い不自然さは感じない。漫画なら「シャララララ~ン♪」とかいう表現になるやつである。あえて統一せず、三者三様の表現をしたのは大正解と言えただろう。
今後単独ライブなどでオリメンで披露する場合は、くぎゅも加わるし練習時間も増えるのでまた振り付けが変わってくるだろう。そういう意味では、リリイベだけの特殊演出が見られたのかもしれない。

平田さん曰く「ラビットファーは可愛く歌わなきゃいけないので、重圧が凄かった。ちょっとだけでも太い声を入れようものなら『どうしてそんなことしたんですか』と言われた」とのこと。それを聴いてゲラみんになっていたあずみんは「雪歩としてはぴったりで、頑張ってる雪歩の曲としてはいいと思ったんですけど、浅倉が歌う曲としてはどうなんだと……」。アッキーは「美希なら小悪魔いけるでしょみたいな流れがあって、頑張って小悪魔にならなければという思いだった」。三者三様の重圧?があったようである。

二曲目のDreamy Dreamは、自分のパート外では眠っている演出だったりと、よりふわふわした感じで曲の世界観を重視した印象を受けた。この曲のイントロでは欠伸をするので、3メートル先でアッキーの生あふぅを見れたのが僥倖である。もう美希じゃん……。
この曲については、よりよもさんのイラストレポがとてもよくまとまっているのでご紹介。







そしてクロノレキシカ。今回は四人なので、みっく・ゆっけさんのダブルセンターだった。

二曲通じて言えることだが、ゲーム再現をしているのでダンサブルである。披露が明言されているミリシタ感謝祭でも期待していいだろう。センター両名はもちろんだが、特に目立ったのは阿部里果さん。やべーなあの人。現地も含めて散々見てきたから知ってはいたが、強いボーカル、キレッキレのダンス、汗を滲ませながら魅せる表情の一つ一つがハイレベルである。ステージが得意なミリオンスターズ39人の中でも、ViDaVoの総合力では五指に入るだろう。最前かつ眼前でそのパフォーマンスを見られて本当に良かった。

曲間のMCではみっくが「しょっぱなから鉄棒が……」と言いかけて蒸し返す。しかし目の前で見てもびっくりするくらい細身なのにDa値高いですね。ゆっけさんは背が高くて脚が長いのもあるけれど、それを差っ引いてもルミエール・パピヨンのスカートが一番短く見える。旦那さんが同業界とはいえすっげーな! 
クロノレキシカとして笑顔を見せず、陶酔するように歌うのは難易度が高いそうで、ミリシタの難易度19を引き合いに「(ゲーム同様の高い難易度が)課せられてるのかな」「難しかった」との言葉が相次いだ。私はいまだにMMのフルコンのめどが立ちません。

なお、曲についてはゆっけさんから「キャラカラーもいいけど、全部赤もカッコよくない?」と提案があった。これを受け、次の「囚われのTeaTime」では客席は赤一色になってたらしい。私は視認できてないが、今後の感謝祭や7thでより確立されていくのだろう。

「囚われのTeaTime」も、これまた歌うのも踊るのも難易度の高い曲である。あべりかさんはEscapeで培った経験もあるのだろうがマリオネットのようなカクカクした動きが上手く、そしてソロパートは強烈だった。特に「席に着きましょ Teatime Teatime」の部分は痺れるくらいの圧があった。こんなん聴いたらCD音源物足りなくなるわ、といういつものアレだ。感謝祭もVRで見てみるつもりだが、また彼女に注目したい。








4曲が終了したところで恒例の挨拶タイム。全部は覚えていないのだが、印象に残ったのが、ゆっけさんの「先輩方とステージに立つのが初めてなんです」という言葉だ。
ハッチポッチは欠席だったためだが、そもそもハッチポッチ参戦メンバーでさえ、それ以降に混成ステージがバンナムフェス以外はほぼなかったのだから、2年以上のブランクがある。そのため「ゲームの中で聴いた声の、美希だー、真くんだー、雪歩だー」という思いだったそうだ。これについては後述する。ちなみに「ママドルマスターを目指す」という発言はしっかりウケていた。続くあずみんはママドルマスターでゲラみんになったせいで挨拶内容が飛んでいた。

アッキーは「Xsはもう一人伊織ちゃんがいるので、今日はいない伊織ちゃんに髪を寄せてみました」とのことで、伊織に近い髪型にしていたことを説明。

アッキー「初星宴舞で宏美さんが、お休みのあずみんの髪型を」
あずみん「そう!!!!!(食い気味)」
アッキー「寄せてきたっt」
あずみん「そう!!!!!!!!(食い気味)」
アッキー「凄い素敵だったn」
あずみん「凄い嬉しかった……!!!(食い気味)」

昨夏のミリラジでも見た「ガチ勢」の風景だった。なお、くぎゅの許可はこれからとるらしい。

そして平田さんである。「混合チームはハッチポッチ以来」としたうえで、バンナムフェスでルミエール・パピヨンを着たことに触れ、クロノレキシカに視線をやりながら「改めて見ると、スカートが短い……!」と感慨深げな様子で、またルミエール・パピヨン=若さとのこと。ゆっけさんが「私はそっち(母親組)側」と言及するも、「それに袖を通せるのが若さ」と返すのが平田さんである。バンナムフェス、似合ってたと思いますけども……。

そして「今回は別々の衣装になったけど、同じ衣装で、同じ舞台でやりたい」と思いを語り、言うのはタダと前置きした上でこう言ったのだ。

ハッチポッチ2、上層部お願いしますよ!!」



昼の部のトークパートで会場が一番沸いた瞬間だった。そのままの勢いで入った「Flyers!!!」がさらに盛り上がったのも言うまでもない。





MTWシリーズが混成でなかったのは、残念ではある。ミリオンスターズと絡む場合、何かと相手が限られていたり、TCでも5人中AS4人編成のユニットだった真のPとしては、できれば混成ユニットが見てみたかった。
ただ、2020年に色々と展開がある中で、そこは検討された上で見送られたのだろう。今後の展開が公開された今となっては、MTW混成になった場合はASメンバーの拘束時間がとんでもないことになってしまうのが明らかだ。これはやむを得ないだろう。

一方で、このリリイベを見て感じたのが、MTWのリリース順には意味があるのではないか?ということである。

今のところ、MTWはミリオンスターズとASのユニットが交互に出てきている。これはメインコミュ同様、MTGで出番がなかったASを優先的に出しているというのがまず一つ考えられる。身もふたもない言い方をすれば、TCを経て、ミリシタもASで儲けられると判断したのもあるだろう。AS単独イベントの弾のために優先していると推理する向きもあったが、MA4が出るとなった今ではそれは邪推である。TDの日程もTBTCと違った以上、交互が必須というほどは急がなくてもいい。ではなぜか。

ゆっけさんの発言で、ASメンバーと同じステージに立つのが初めてという発言があった。LTDリリイベやハッチポッチ、古くは8thやMOIWなどで共演経験のあるメンバーもいるが、全員が全員そういうわけではない。

ミリシタのサービスインから2年半が経った。ゲーム上や大半の人のファン心理としては、両者の心理的・物理的な溝はかなり埋まってきていると言える。ただ、演者側はどうか。ハッチポッチの時はまだまだという感じがあったし、今もメンバーによって濃淡があるのは否めないだろう。MTWで交互としているのは、そこを埋めていく意図もあるのではないだろうか。リリイベも一緒にやり、Flyers!!!も一緒に歌う。必然、距離感は縮まるだろう。アッキーとぬーさんが参戦する感謝祭にも、39人と13人の溝を埋めていく効果は少なからずある。今の取り組みを進めれば、52人単位のイベントはある程度、当たり前にもなっていくはずだ。(むろん、ASはASで単独展開もあるし、52人単位は39人単位よりはるかにフットワークが重くなるので、一定の距離感はあってしかるべきとは思うが)


その先に何があるか。それはハッチポッチ2……と言うよりは、765ミリオンオールスターライブであろう。

765ミリオンは、15thイヤーのような特別な意味がなくても、越境が容易なブランドだ。というか両者についてはそもそも越境という概念自体が、もはや古いという見方もあるだろう。前回の記事でも書いたが、ASをミリシタから知ったというPだって今珍しくないご時勢なのだ。

完全に一体であることは必須ではないしそうするべきではないが、一方で仕切りはあれど気軽にそれを取り外せる関係、というのが個人的な落としどころである。喩えがわかりにくいかもしれないが、襖はあれど人も家具も容易に行き来できるし、襖を開ければ一つの大広間になる和室、というイメージだ。

まだASユニットも2組残っているMTWシリーズやTCなどを通じた活動で、その機運は高まっていくだろう。TC曲やJOV、バンナムフェスで大反響だったオリメン未披露の過去曲などの存在もそれを後押しするし、MORなどでも公然と合同のリクエストが演者サイドから出てきている。ミリシタ感謝祭で、7thにTC組のゲスト参戦が発表されるかもしれないが、そうなればさらに動きが加速されることが見込まれる。今回は先にAS単独ライブがあることで、余計な火種が生じる心配も少ない。

ミリオンが例の宝刀を抜くか抜かないか、TDはいつやるのか、それにも左右されるが、そう遠くない未来、765ミリオンオールスターライブは実現するはずだ。早ければMOIW前の20年度末、おそらくMOIW後の21年度中までには。そして今ならば、ハッチポッチのようなコンセプトライブではなく、真っ向勝負のライブでも一体となって最高を更新できるはずだ。常々AS単独も765ミリオンも両方見たいと言い続けている私としては、そうなれば願ったり叶ったりである。


このリリイベを通じて、そんな未来予想図を考えさせられた。






にしてもミリシタ感謝祭、発表は何やるんでしょうね。

◎7th詳細発表
◎エミつむともか(orエミつむ)の新ユニット発表
○かおつむ新ソロ曲のフルを披露
△次の次のMTWユニットが信号機
×ガミP登壇からの待ち望んだ重大発表の映像明けに「君との明日を願うから」でPのガバガバ涙腺を完全に破壊

くらいでしょうか。TDはないでしょ。まだ孤島残ってるし孤島イベントも最短で3月だし。