紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

再燃焼こそが、未来への唯一無二のパスポート――ミリオン7thライブReburn参加レポ



 

「感情をぶっ放さずしてなんの命だ!」という名言がある。


 
 

 私を2015年以前から知っている方には説明するまでもないが、三国志の主要人物・曹操を主役にした漫画「蒼天航路」という作品がある。総じてエンタメとして傑作と言える漫画で、エキセントリックで感情豊かな天才軍人にして詩人、そして政治家の曹操と、個性あふれる武将たちの物語は、しばらく三国志から離れていた学生の頃の私が深くその分野に再度ハマるきっかけになった。今回の冒頭の言葉も、その曹操の台詞だ。




 今回のミリオン7thライブ「Q@MP FLYER!!! Reburn」。私は改めて、ハレの日に感情をぶっ放すことの大切さを思い出した。もとい、思い出させてもらった。今回はその感謝の思いを軸に、ライブレポとしてまとめてみたい。




 なお、今回は演者については名前+さん付け表記とする。「お前普段ミンゴスとかこっこちゃんとか言うとるやんけ」と突っ込まれそうであるが、ちゃんと公平を期したいのと、次週のミリラジに一部の内容を送るのと、あとこのブロマガは時々妙に読まれてしまい、オペラセリア煌輝座の記事なんかが顕著だがグーグル検索1ページ目中位くらいに表示されるせいで「誰かに読まれている可能性がある」という理由もある。ミリオン関係者はエゴサしてるのを隠さないし、あと弊社もそうだが企業の広報営業畑の人間は結構ああいうのを読んでいたりするのだ。怖い。
 
 話がそれてきたので、本題に入る。まあ、要は色々あるのだ。




■ひたすらに心を殺した1年3カ月


 2019年末から2020年初。07年からのアイマスPである私は希望に満ち満ちていた。古参Pとして光属性でありたいとか、2021年度後半にも765ミリオンオールスターライブやるんじゃないかとか、まあ色々だ。MA4、MR再演、据え置きゲー、765AS単独ライブ、MOIWが見えていて、しかも珍しく休みを取りやすい年度だったとなればそりゃそうもなる。

ミリオンが例の宝刀を抜くか抜かないか、TDはいつやるのか、それにも左右されるが、そう遠くない未来、765ミリオンオールスターライブは実現するはずだ。早ければMOIW前の20年度末、おそらくMOIW後の21年度中までには。そして今ならば、ハッチポッチのようなコンセプトライブではなく、真っ向勝負のライブでも一体となって最高を更新できるはずだ。常々AS単独も765ミリオンも両方見たいと言い続けている私としては、そうなれば願ったり叶ったりである。

 1月のXsとクロノレキシカのリリイベに最前参戦した後のこの一文はあまりに眩しくつらすぎて、今回の執筆まで長くこの記事を見返せていなかった。

 あらゆる手を駆使して再演を要望し、またあらゆる手を尽くしてチケットを取れていたMR美希・あずさ・春香回はシアターごと消えた。両日確保し、意気揚々と久々の山梨再訪を楽しみにしていたミリオン7thライブも消えた。目前と思われていたTC02リリイベも霧散した。そして悲願のAS単独も。合同プロミも。バンナムフェス2ndも、おそらく本来なら今頃に東京ドームで開催されていたであろうMOIWも、何もかもがなくなった。

 いつしか私は、テンションを下限まで抑えて「どうせ集団免疫が見えてくる22年までは何もない」と、これ以上傷つかないための予防線を張るようになっていた。ちなみにこれ、メンタルダメージ軽減できる代わりに長引くと鬱になりやすくなるのでやめてね。

 一方で20年末あたりから示唆されて、年が明けて正式発表となった7th Reburn。客入れ開催に向けた小美野Pの熱弁には感動しつつも、5月下旬はコロナ第四波の直撃があると3月にはほぼ確実視されていたことから、Day2のチケットは握っていても半ば諦めていた。野外開催の強みが消えるが、せめて完全中止ではなく配信ができれば……振り返るとそんなツイートをしていた。

 しかし、バンナムとライブチームは緊急事態宣言下でもリスク覚悟で踏み込んでくれた。それはこのライブに懸ける想いもあったし、我々への信頼もあったし、何よりこの7thRまで潰れれば、ブランドの根幹にかかわるという思いもあったのだろうと推測する。



 ミリオンライブは、アイマスでは初めてライブを前提・根幹に据えて設計されたブランドだ。演者に大きな負荷をかける一方で、生み出されるライブパフォーマンスの素晴らしさは今更語るまでもない。ただ、20年1月の感謝祭を最後に有観客ライブが封じられた約1年半は、ただでさえ高性能と引き換えにピーキーな運用性だった戦闘機が片翼をもがれたようなものだったと思う。ミリオンというブランドは、設計上ライブ抜きではカタログスペック通りに飛ぶことはできない。アニメ化決定のビッグニュースがなければ、ストールしたりきりもみ回転に陥ってもおかしくなかったかもしれない。

 また、その設計思想ゆえに楽曲も他のブランド以上に「ライブで披露されてこそ完成する」という側面もある。MTWをMTGと比較して劣るとする評価もあるが、ドラマパート補正が大きくかかるカップリング曲はともかく、表題曲は決して引けを取らないと考える。おそらく、今はそういう評価をしていてもライブで一通り披露されれば手の平を返す人も少なくないだろうと確信している。みんなParade d'amourでティアラ生えろ。


 いずれにせよ、浮沈のかかるミリオンとしてもアイマスのコンテンツ全体としても大きな挑戦となったのがこの7thRだった。

 そして結論から言えば。この7thライブは伝説になるのだろう。




■Day1 揺るぎないきらめきは、あの日からのエール


 今回はDay1がLV、Day2が現地だった。本音を言えば、花咲夜やアクアリウスなどが揃うDay1現地を狙っていたのだが、今回はどちらか取れただけでも重畳である。仕事の都合上絶対に感染できないということもあり、緊急事態宣言やまん延防止措置が取られている首都圏には一切入らず、鉄道を乗り継いで静岡に入り、レンタカーで甲府LVに向かうという旅程でどうにか上司の許可を得た。空路を使えば片道4時間半の道のりが運転込みの7時間半に化けたので、移動は過去の遠征で最も過酷だったが……。

 開催1週間前になり、いよいよライブ強行が確定した段階で私は例によってセトリの予想予習メドレーを作った。少しでも今回のライブが盛り上がってほしい、少しでも多くの人がライブに触れるようになってほしいという思いで、全力で予想した。「どうせ」の予防線を張ってギリギリまで作らなかったことを後悔しながら。



 
 当日。15年ぶりの来訪だった静岡市内でうっかり道を間違えたこともあり、甲府のLV会場に飛び込んだ時には協賛の読み上げが始まっていた。このご時勢なので荒い息を必死に鎮めて、MR以来1年3カ月ぶりに電池を装着したミックスペンラ2本を握る。気持ちの切り替えも十分でないままだったが、久しぶりのovertureで久しく錆び付いていたスイッチが少しずつ切り替わるのを感じた。コールこそできないが、開場に集った同好の士たちの空気が変わり、期待とわずかな不安で固唾を呑む気配。ああ、これがライブだ。長く絶えていたハレの日が帰ってきたのだ。メインステージにキャンプ場のような設営がされた曇天の会場に、演者たちが登場する瞬間をただ待った。

 一曲目は、予想通りのFlyers!!!。てっきり新披露目された例の野外仕様衣装で出てくると思っていたので、ガールスカウト風の衣装には面食らった。でもキュートでよく似合っているし、キャンプをテーマにした野外でのライブには持ってこいだ。提案した方に金一封を差し上げたいので振込先を教えてほしい。

 LV会場はと言えば、当然コールはないのだがコールがある風の振りをしっかりできている感じだった。スタンディングもコールもないが、色とりどりのサイリウムが振られる景色は、かつてのライビュと変わりない。

 続けての二曲目のレジェガ。春香以外のオリメンがいたことには予想動画投稿後で気付いて「あちゃー、漏れてたな」と思っていたが、歌うだけならともかく全員枠は考えにくいと思ってたので驚いた。この曲をここに配置した意図は言うまでもないが、私たちに「伝説の目撃者になれ」というメッセージだったのだろう。

 次のランニング・ハイッこそ本命視されていた曲だったが、その次は中谷育役の原嶋あかりさんをセンターにしたアニマル☆ステイション!だった。そうか、ソロはスペシャルメドレー形式ではなくコンセプトに合うものを複数人で歌うのか。「これは普段とはまるで違うライブになる」。そう確信できた。

 空に手が触れる場所。富士山麓で麗花ソロを歌うならこれが確定枠と予想していたが、北上麗花役・平山笑美さんと野々原茜役・小笠原早紀さんのデュオには「そ、そう来たか~!」と烈海王のようになった。今回はMTGはやらないし7thの後の発表だったトリトリはやらない。やらないが……ぷっぷかプリンはやる。二日目のCleasky同様、巧みな人選である。そしてまた、小笠原さんがひたすらに楽しそうで、茜ちゃんを感じさせるのが印象的だった。Day1はLVなので概ね均等に演者さんを見ることができたが、一番楽しそうなのは茜ちゃんのキャラクター性を差し引いても彼女ではなかっただろうか。

 HOME, SWEET FRIENDSHIP。これも初日に来るとは予想していたが、本当に来てびっくりした。

ライブを大切にしてきたミリオンの、「ただいま」と「おかえり」を象徴する曲として、この曲を位置付けてくる可能性はありそうです。

 概ねいい線いっていたのではないだろうか。松井洋平さんも後ほどそれと当たらずしも遠からずな言及をしていた。Bigバルーン◎は、一度リストに入れて外した曲だったので驚いた。ASの冬フェスのような風船をばらまく演出を想像していたので、このご時世ではセトリから削ると思っていたのだが、Reburnで小規模に切り替えたのだろうか。

 前半戦で私が特筆したいのは、駒形友梨さん(高山紗代子役)と大関英里さん(佐竹美奈子役)による「Melody in scape」だ。これはもう中止になった7thの有力候補でもどうしても聴きたかったので、イントロで思わず手を叩いてしまったと記憶している。歌詞を見てもらえばわかるしフルを聴いてもらえばもっとわかるが、野外ライブに、そしてこのご時勢にこそ歌われるべき曲だ。そしてこの日の二人は、とにかく仕上がっていた。
 歌唱力ならミリオンでもトップクラスと評価される駒形さんは、後述するがこの日の個人的MVPだった。デコ出しの髪型もこれまた個人的にだが歴代ライブの髪型で一番良かったのではないだろうか。一方で大関さんも、負けじと必死に食らいついていくようで、情感たっぷりの歌い方が強く印象に残る。前半の大きな見せ場に気合いが乗っているように見えた。
 この日の大関さんは主役とまではいかないものの、この曲、MTW新曲、自身のソロのグループ歌唱と見せ場が多く、全体を通じて気持ちの籠ったパフォーマンスが印象的だった。共に元々の7thでも大事なポジションだったと思われるだけに、この日に懸けるものがあったのだと思う。
 自分にはどうしようもない出来事でうまくいかないことが多くても、諦めない。時に立ち止まってもいい、それでも、もう一度歩き出そう。この歌詞に、勇気づけられた方も多いのではないだろうか。これは7thRに一貫するテーマの一つでもあった。
 
 そしてそこからの君だけの欠片。エミリーソロが歌われるならこの曲一択だよなと思っていたのでイントロには「そらそうよ」とにんまりしていたが、シャルシャロ組のデュオ披露というのがわかるとまたしても烈海王になった。そしてFlooding。今後しばらくチャンスがなさそうなクレブル5人曲はオリメン初披露のShooting Starsではなかったが、原作再現という意味ではこっち優先でしかるべきだし(SSsなら時間帯的にアンコール直前まで引っ張る必要もあるし)、雨が降る前提のライブだったのだからこちらだろう。

 もし雨が降ってゲッサンの原作再現ができたらそれはそれで伝説だったのだろうけど、他の曲が台無しになったので曇りで持ちこたえてくれて良かったと思う。


 だいたい、衣装は防水でも化粧や機材はそうもいかないし。


 その余韻に浸っていたら、MCを経てついにチュパカブラの登場である。今回は予定調和ではあったが、これが本来通りいきなり初披露されていたら、大混乱だったろうなと……。色々あったが、宣伝ソングというコンセプトは大成功だったし他ブランドにまで広く知られることになったし、ライブ向けでコール出来たらめちゃくちゃ楽しいだろうし、なんだかんだ歌詞も熱いのでまた歌われてほしい。
 ちなみに音源の朋花より1.5倍くらい色気たっぷりな天空橋朋花役・小岩井ことりさんの「チュパカブラ」には会場からざわつきが漏れた。この日はセンター格のこの曲に加え、さらに艶を増した百花月下、そして本人にとって思い入れの強いであろう星屑のシンフォニアなど、持ち曲でいかんなく実力を発揮していたように思う。

 夕食のおかわりやここぞの夕風のメロディーを経て、投入されたのがMTWのSuper Duper、そして百花は月下に散りぬるを。やはりMTW曲はライブ映えするし、A面曲はMTGと比べても遜色ないどころか互角だ。ミリオンでも鉄板の一つであるみななおコンビのSuper Duperは予想通りダンスに比重が置かれ、大関さんと横山奈緒役・渡部優衣さんの二人の身長差も演出に組み込まれていたのが印象深い。感情をたっぷり込めた歌声も良かったが、歌唱もダンスも8thではさらに洗練されたパフォーマンスを発揮してくれるだろう。百花月下は、初披露の感謝祭に比べても特に扇の扱いと表情の見せ方に磨きがかかっていたように思える。延期になったバンナムフェス2ndでも披露予定だったので、じっくり技を磨いてきたのだろう。扇を使う時の表情一つをとっても、朋花・紬・エミリーそれぞれを演じる演者の個性が際立っていた。しかしVi値が高い。


 この辺りから本格的に辺りが暗くなり、ブルシン夜に輝く星座のようにを経て、いよいよこの日のド本命、「待ちぼうけのLacrima」が披露される。歌唱力自慢が並ぶミリオンでも大半のPがVo力五指に入れるであろう愛美・駒形・平山の力強いボーカルは、今回もCD音源を凌駕していた。収録で歌わせても抜群に上手い三人だが、やはりその歌を待ち望んだ観客がいて、歓声は上げられずとも一挙手一投足を見逃すまいと見つめる目と拍手と緊張感があって初めて、CD音源を超える歌声を出せるのではないだろうか。すべてを出し切った後、大きな拍手を浴びる三人のやり切った表情を見て、私はそう感じていた。

 そしてそこからの「絵本」である。しかもしほかおデュオ。絵本は8thに温存すると思っていたが、まさかの披露だった。しかし、場の空気を自分色に塗り替えることにおいてはミリオンでも屈指の北沢志保雨宮天さんである。高まった空気を整え、見事に終盤戦への橋渡しをやってのけた。
 そして今回の特徴的な演出である、演者とダンサーによるランタン設置。かなり足元が暗くなっていたセンターステージと花道を照らしつつ、キャンプの夜を演出する妙手だったと思う。ああ、キャンプの夜ってこんな雰囲気だったよなあと浸っていたところで、この日の切り札が投入された。
 

 ジュリア役・愛美さんと周防桃子役・渡部恵子さんによる「流星群」。

 流星群自体は来ると思っていた人も多かっただろう。だがこの二人で、キャンプファイヤーを背にしての弾き語り。ライブから一週間がたった今、TAの話題は今更出すまでもないだろうが、なんだかんだユーザーの「野外ライブでやってほしいこと」には応えてくれた二日間の象徴的な曲だったといえる。ミリオン7thR初日のハイライトをと言われれば、Glow Mapや待ちぼうけのLacrimaとともにこの曲を挙げる人も多いだろう。自分の観測範囲ではあるが、ファンアートもこの流星群が圧倒的だった。

 そしてそこからのSTANDING ALIVE星屑のシンフォニア。前者は松井さん出演のMORでああいう形で触れられた以上、確定で来ると思っていたが星屑と重ねて二曲連続とは恐れ入った。「これが見たかった」と案の定撃沈されながら、時間変化や天候を十二分に生かしたまるで10thを彷彿とさせる見事なセトリに、「こ、このセトリは……石原!?」と、無想転生を発動したケンシロウの背後にトキを見るラオウみたいになっていた記憶がある。
 Twitterでも書いた通り、セトリはJUNGOや勝股Pだけで決めているものでもないし(ミリオンでさえ演者意向が多少は通ることからしても)、過去三回のライブはどうしても新曲発表の縛りが強かったので讃えるにも批判するにもかの人だけを挙げるのは良くない。ただ、今回についてはスクリーン演出もARも控えめで、演者と曲の強さ、野外の環境という素材の良さを前面に出していたのは素晴らしかったと思う。ここも7thRが後々評価されるであろうポイントだろう。


 雲間から月が覗いたブレハモを経た、アンコール明け。やるならここかなと思っていた曲が入り、甲府LVは声援禁止なのにざわめいた。

 「なんどでも笑おう」。アイマス15周年記念曲であり、各ブランドの単独ライブとしては初の披露だった。一方、私はマスクの下でこの日最も気持ち悪いどや顔をしていた。
 予想メドレーでこの曲を挙げた時は、まあ色々言われた。私自身も、実際可能性は高くはないとも思っていた。ただ、テレビ番組という形ではあるが一度5ブランド勢揃いで披露された以上、一応各ブランドで披露する条件は整っていた。
 また、ここでミリオンがやらなければ当然シャニ福岡でもやれない。そうなるとせっかくの15thイヤーにライブでの披露がないまま終わってしまうことになる。確かに15th曲なのだからまずASが、というのは筋ではあるのだが、それは平時だったらの話だ。事実上の首都圏縛りがあり、多くが母親という立場で、スタマスもまだ発売されていないASのリベンジの場はもう少し先の未来の話だ。何事もなければ、あの10thと同日程でドームライブを果たすはずたったSideM5thか翌月のAS単独からブランドごとの披露が始まっていただろうが、それが水泡に帰した以上はせっかくの5ブランド横断曲を塩漬けにすべきではない。
 となれば、直系かつなんどでも笑おうをイベントでがっつりやったミリオンが先鞭をつけるべきだ。そうすればシャニも歌いやすくなるし、SideM、シンデレラのライブを経てスタマス後のライブで満を持して大トリ……と思っていた。
 ※追記 無事シャニでも披露されたとのこと。確信していたがDay1でやらなかったせいでおいおいマジか高山Pと動揺していたけれど、これで各ブランドで歌い継いでトリに回すロードマップは完成したのではないだろうか。



 社会情勢で思ってもいなかった属性が付与された感もあるが、なんどでも笑おうは本当に良い曲だ。5ブランドで歌う曲は間違いなくいつかライブで披露されるのだし、それまでは各ブランドで歌い継がれれば待ち望んだその日の破壊力はさらに上がるだろう。

 「Glow Map」「Thank you!」については、このレポの構成上Day2に回したいのでここではいったん省く。そっちで思いを込めているので見捨てずに最後まで読んでいただければ幸いだ。


 さて、この日のMVPはと聞かれて、私はライブ直後、MVP駒形さん、準MVP愛美さんというツイートをしていた。この二人と平山さんはこのライブのいわば主役格で、センターの最上静香役・田所あずささん同様に野球でいえば「毎打席得点圏に走者がいるチャンスで打席が巡ってくる」ポジションだった。打てば当然ヒーロー、もし凡退すれば戦犯。そして彼女らは見事に打って、その日のMVPになった。
 では、そのチャンスを作ったのは誰か。もちろん全員なのだが、特筆するとしたら、それは前述したとおり渾身のパフォーマンスを見せた大関さん、そしてもう一人は桜守歌織役・香里有佐さんだろう。

 7thRはLTP~LTFが軸となったこともあり、今回はMTW枠もなかった香里さんはありていに言えば脇役ポジションだった。しかし、グッスリで年長者・先生属性としての歌い方を見せたかと思えば、ブルシンでも青属性のメンバーに負けない存在感を発揮。極めつけは志保ソロの切り札・絵本でのデュエットと、万能ぶりを発揮した。またしても野球で例えるなら、ファイターズファン的には打線の主役ではないが上位打線にチャンスで回せて自分で長打も打てて、いないと守備が崩壊する金子誠(15年間内野のレギュラーを担った名手)みたいなポジションになってきたような……。わかりにくいなこれ。でもカープ菊池涼介とかだと完全に主役だしなあ。

 Voについては6thSSAから東京ドームの大舞台を経てさらに成長した感があり、自身が要となるParade d'amourMUSIC JOURNEYの披露が確実な8thでその評価はさらに上がりそうな予感がある。ミリオンVo力5強(メンバー諸説あり)に食い込んでくるかもしれない。また、田所さんに関しては8thでいちぽむとしての出演になるため、ゲスト枠を除けば久々に山崎はるかさんと同日、つまり公演のセンター兼まとめ役から外れることになるはず。自身のパフォーマンスにおおむね専念できたバンナムフェスのように、個人としての強さを見せつける場面に注目したい。

 さて、この日はLV近場のドーミーインに宿泊したが、本当に久々の現地となる翌日に向けてワクワクが止まらなかった。二日目の座席はAブロック中央寄り前列。ライブは2ブランドしか現地に行かない私としては、今後の試行回数的にもおそらく最初で最後レベルの良席だろう(リリイベで最前は引いたことはあるが)

 一方で、雑魚メンタルゆえに何かと小難しいことを考えがちなこともあり、ニコ生で久方ぶりのハイテンションになりながらも「明日のライブ、どんな感じで臨めばいいんだろうな」と気持ちの持っていき方に多少の迷いがあったのも事実だった。



■Day2 夢を超えた夢をつかむため、この"再燃焼"が必須だった



 翌日の山梨県は快晴だった。何かと不運だの持ってないだの呼ばわりをされがちなミリオンだが、結果的に梅雨時の富士山麓というハイリスクな環境で、これだけの好天を引いたのだから今回に関しては天運に恵まれたと言っていいだろう。天気が前後一日でもズレるだけで雨だったのだ。雨が降れば、おそらくライブもこれほどの評価は得られなかった。

 久々の吉田のうどんを堪能し、学生時代以来となる富士急ハイランドへ。




 周りを歩いている人たちが皆、同好の士である特別の空間。ライブ現地開演前の高揚感は本当に久しぶりだった。





 Aブロック前方、スクリーン正面あたり。前に数人いるが、市松模様の席配置ということでよりステージが近く感じた。
 身長180cmで肩幅も広い私としては、今回のような席配置は非常にありがたかった。ライブ中に隣の人と肩が接触する心配もなく、快適に過ごせるのは悪くない。懸案だった腰が痛まなかったのも、新兵器のザムストの腰部サポーターに加え、姿勢を制限されなかったのが影響しているだろう。
 もっとも、それは本来なら来られたはずの人が来られなかったためだ。私のいるAブロックにも空席はいくつかあったし、何なら最前列にさえそれはあった。社会情勢や自身の立場で涙を呑んで断念した人がいることを思うといたたまれなくなるし、たとえ座席が窮屈でも一日も早く現状が解消されることを願う。
 
 ライブ前の一曲は、けがで出演を見合わせた舞浜歩役の戸田めぐみさんの前説からの「Beat the World!!」だった。前日より一曲少ないセトリを見る限り、おそらく最序盤にこの曲が配置されていたのだろう。一年越し、そして屋外でのミラソニ、RtFという見せ場に燃えていたであろう戸田さんの無念を思うと複雑だったが、真Pとしてもせめて盛り上げたいという思いでタオルを回し、黒枠として持ってきていた真のリウムも振った。


 ライブはLVならまんべんなく演者さんを見る(見ることになる)が、せっかくの現地ということで、誰を優先的に追うかをずっと考えていた。私がミリオンで好きな子を10人挙げろと言われれば、夜想令嬢とオペラセリア煌輝座の面々、加えて静香、このみ師匠、美也あたりだろうか。とりあえず所恵美役の藤井ゆきよさん、田中琴葉役の種田梨沙さん、宮尾美也役の桐谷蝶々さん、馬場このみ役の高橋ミナミさん辺りかなあと思っていたが、それ以外でもう一人候補がいた。

 ロコ役の中村温姫さん。中村さんと書くとどうしても我らがセンターオブセンターがちらつくので以下、温姫さんと表記する。
 
 
 過去記事でも書いているが、私は当初ノーマークだったJelly PoP Beans(ロコ、歩、桃子、昴)に6th福岡とSSAライブで打ち抜かれた。本来そんなに刺さる曲調でもないはずだったのだが、ユニットの2曲はとても素晴らしく、またゲーム内でのロコを軸としたユニットも、エモエモなメンバー4人がそろった演者としてのユニットもぶっ刺さった。衣装も良かった。ユニットの演者ネタつながりで言えば、某ウマ娘ナリタタイシンのような後半の怒涛の追い込みで、私の中のMTGユニット上位圏に入った。
 また、温姫さん自身のパフォーマンスも言語化が難しいのだが「とてもロコ」なのだ。キャラクターの縛りもあるがミリオンスターズ内でも傑出して歌えるとか踊れるとかそういうわけではないし、ASだと事務所の先輩の今井麻美さん、あるいは原由実さん、ミリオンにおける上田麗奈さんのような「憑依型」でもないのだが、とにかくロコがライブしていたらこんな感じなんだろうなと思わせる意味で注目している存在だったし、それにも引っ張られてミリオンで好きな順に並べたら、いつの間にか10位台グループにはロコが入るようになっていた。
 あと「サンクスです~」はいずれ万病に効くようになる


 今回、開幕のFlyers!!!で私の正面にいたのは彼女だった。



 Flyers!!!は、思い入れの深い曲だ。私がミリオンの沼、そしてアイマスライブ沼に首まで引きずり込まれた6th福岡で楽曲が公開され、私がフルライブで初めて両日現地を踏んだSSAで目玉として披露された。バンナムフェスで、一番見たかった形で披露された時には見事に崩れ落ちた。温姫さんも参加していた昨年1月のリリイベでは幸運にも最前で見られて、このコンテンツの輝かしい未来を確信していた。それだけにイントロから、楽しかった思い出や公私共にひたすらしんどかったこのコロナ禍の一年やらの感情の激流に飲み込まれ、Aメロは左手でリウムを振りながら右手はしきりに目元を拭っていた。
 
 そんな時だった。温姫さんが私のいたブロックに視線を走らせ、にっこり笑ったのだ。別に目が合ったわけではない……と思う。単なる偶然だ。ただ、それで彼女と彼女にオーバーラップするロコに「ライブをエンジョイするならスマイルですよ!」と言ってもらえたような気がしたし、温姫さん自身も「うれしい」「楽しい」「笑っていよう」という気持ちを前面に出してパフォーマンスをしていた。
 
 かつて、メンバーでも遅い初陣となった3rd福岡には、ディレ1なき後はミリオンの母親代わりだった今井さんに「人生の勝負だと思え、お前の人生はこれにかかってると思え」と発破をかけられて臨んだとされるが、まさにこのライブでも「今を精一杯生きる姿をちゃんと見てて」という歌詞を体現しているようだった。




 残念ながら失われた期間は二度と戻らないし、今後も15thイヤーについては「たられば」を語る場面はあるだろう。それでもこのコンテンツは少しでもその忘れ物、落とし物を回収できるように取り組んでいる。
 久しぶりのライブ現地は楽しい。楽しいなら、マスクをしていて表情が分かりにくくても笑おう。きっとそうすればもっと楽しい。




 同様に屋外ライブが序盤の山場だったミリオンBCでも、志保の弟のりっくんが同じことを言っていたのを思い出した。それでようやく、このライブでの感情の持っていき方も吹っ切れたし、そのきっかけをくれた温姫さんには本当に感謝したい。だから、この日は多くの場面でなるべくその姿を追うようになった。
 また、ここで完全にリミッターを外したせいかDay1と違ってこのあと数曲の記憶がガバガバなので、レポとしては断片的になってしまうことをお許しいただきたい。ただそのくらい、声が出せなくてもこのライブが楽しかったのだ。

 ともあれ私は、思い切り感情をぶっ放した。MR ST@GE以来、1年3ヶ月ぶりだった。








 ちょっと冷静になれたのは、福田のり子役の浜崎奈々さんと桐谷さんによる「マイペース☆マイウェイ」あたりからだろうか。なるほどその二人を組ませるか!と納得したところからの、「STAR ELEMENTS」による未来飛行。歌詞的にもアニメ版「階のスターエレメンツ」の18話くらいで流れそうな感じだったが、最近連発されていたこの曲も、未来・琴葉・可奈役の三人でやるとまったく趣が変わってくる。あと、煽ったウェーブに追いつけなくてわたわたしてる種田さんがとても可愛らしかった。

 そして、絶対的Performor。本来の7thなら、ライブ直前の公開・実装で、大きな目玉になっていただろう。残念ながらコールはできず、戸田さんも欠いての披露だったが、リーダー不在を補いうるくらいのエネルギーを感じた。8thではこれまた戸田さんの低音が光りそうなライブ向けのカップリング曲も控えているが、社会情勢や戸田さんのコンディションの問題もある。予想通り6thに近い三ケ所でのツアー形式なら、いちぽむ他との共演になるであろうトリの公演でなるべく万全を期してほしいと思う。その時がコール解禁済みだったら、本当に盛り上がるだろう。

 続けて、ソロ曲やるなら屋外ライブらしく歌われそうだなあと思っていた「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」ファンタジスタ・カーニバル」の2曲。大神環を演じる稲川英里さんは、いつものウイッグなしでもちゃんと環してるからさすがだ。ゲームはやってるけどライブや演者コンテンツ見たことない、という人でもすぐわかるだろう。

 かーらーのー、まさかの「ビッグバンズバリボー!!!!!」である。おおむね昨年踏襲であることからセトリに考えなかったわけではないが、それはどちらかと言えば「ぴょんさんと温姫さんで紗代子と奈緒の枠を補ったら5人でやれるなあ」という発想だった。ところが、センターステージ上がったのはまさかのTB2位コンビの春日未来役・山崎はるかさんと温姫さんによるデュオ。なるほどその手があったか!と膝を打った。原作では敵同士なので、「私たちは一心同体ィィ!?」となったのも笑った。
 6thSSADay1で最も盛り上がったバリボーでコールできないのは地獄だったが、その分二人のパフォーマンスをじっくり見られたのは良かったと思う。山崎さんに関しても、今回のライブは距離が近かったのもあるが「春日未来」をこれまでになかったほど感じさせられ、改めて変人天才曲者だらけのミリオンを束ねるセンターとしての強さを思い知った。彼女が私のブロックの至近にいたチュパカブラでは、一部LVにも抜かれていたようだが、チュパぐるみを怪訝に見つめたり謎ポーズを取っていたところも未来っぽさがあった。
 
 そしてエタハモ。来るとは断言していたが、やはりコールできないのはしんどい。とはいえ面子が完全に私得だったので、楽しすぎて記憶がない。藤井さんが至近まで来たのはこのライブではここだけだったような……気がする。この曲はもうオリメンでも最高の舞台で披露したし、どんどん新しい組み合わせを模索してほしいところだ。
 続いたのはこれまた予想していた三人版のインヴィンシブル・ジャスティ。なんだかもう内川ばりに「勝ちすぎて申し訳ない」と言いたくなるくらいの的中率だったが、座席の都合上三人は背中を見ている場面が長かった。ただ、私は背後カメラのアングルが好きなのでこれはこれで。高音が強い伊吹翼役・Machicoさんを残る二人が低音域で手厚く支える構成もさることながら、個人カラーの新衣装が特撮というかヒーローものの系譜を感じさせ、これまたバッチリ合っていた。正面からのアングルは、アンコール上映会で堪能したい。

 カレーとナッツでお腹いっぱいになった後は、誰もが予想したであろうオレンジの空の下。場面はまさに青空が夕日に染まる頃で、ここで歌わずしていつ歌うというタイミングだ。ちらっと見たがスクリーンの映像が夕日も映してとても綺麗だったので、これもアンコールでじっくり見たい。この曲が完璧なシチュで披露されただけでも、野外でやった価値はあったと言えるくらいだ。豊川風花役・末柄里恵さん以外はオレンジ系カラーの面子で固めたのは良くも悪くもハッチポッチを思い出したが、まあ許容範囲である。



 そして、会場の誰も予想していなかった曲のイントロが流れる。客席には動揺、いや困惑の気配さえもあったかもしれない。センターステージで揺らめく炎の前に立ったのは、トライスタービジョンの三人だった。
 種田さん、藤井さん、そして島原エレナ役の角元明日香さんによるLTP曲「カワラナイモノ」。視界の範囲内の琴葉Pや恵美Pが何が起きているかを理解したのか、一人、また一人と崩れ落ちるのが見えた。たぶんきっと、この景色を幻視したのかもしれない。



 昨年に7thのメンバーが発表され、TSVの名前が並んでいた時、多くの人がMTWでこの三人が組むことを予想していた。(その後ミラソニが発表され、琴葉はオペラセリア煌輝座、恵美は君彩というそれぞれMTW屈指のユニットを組むに至ったが)
 様々な事情もあり、ライブではTSVの3人だけで歌ったことはミリオンの歴史でも一度たりともなかった(ゲームやミリオンBCではカバー曲を歌っているし、フェス限では三人揃ったが)。それだけに、種田さん休業中の4thアニメPVやミリシタでの合流コミュを経ていた各々のPに「いつかこの三人で」という強い思いがあったのは私もよく知っていた。それだけに何か歌ってくれたらいいなとは思っていたが、まさかこの曲とは。

いくつも時をかさねて 自分らしい足取りで
今ここに立っていられるのは きっとみんなのおかげだよ
いつも心の真ん中 いろんな気持ちをくれる
出会えた奇跡に、ありがとう
ずっと大人になっても一緒にいれますように

 元々は青春と卒業の曲ではあるけれど、ここまでこの三人にマッチするとは思わなかった。また、以前に三人で青春の始まり、真っ盛りの曲であるチェリーをカバーした後のカワラナイモノというのもまたこの選曲に花を添えている。
 距離があるので細かい表情までは確認できなかったが、特に藤井さんの万感の歌声、そして互いに視線を交わしながら歌声を重ねた大サビに胸が熱くなった。夕陽に照らされた三人の姿は、初日の流星群やMelody in scape、待ちぼうけのLacrima等々と同様、後年にミリオン7thRの伝説の一つとして語られるのだろう。これも提案者に金一封差し上げたい。マジで誰ですかこんな発想できたの。
 ともあれ最高の形で、琴葉合流以来、多くの人が一度はやってほしいと思っていた忘れ物の一つをミリオンライブは披露してくれたのだ。
 

 その一方で、時間的にもあの曲がそろそろだと皆が気付き、ワクワクを隠せなくなっていたように思う。Reburnを掲げた7thRのDay2目玉、ジレるハートに火をつけて。灼熱少女のメンバーがメインステージと両サイド、そしてセンターステージに散って登場すると、リウムが一斉に激しく振られた。

 圧巻だった。ばらけて配置されてはいるが、全員がそれぞれキャンプファイヤーの炎を背負って、激しく情熱を燃やす。流星群とはまるで違う炎の使い方に我々も燃え上がりながら、5th以来となる5人のパフォーマンスに滾った。私の目の前は稲川さんだったが、環として燃え上がるその姿は、ひたすらカッコ良かったと思う。また、その次に近かったセンターステージの上田さんもまさに海美といった感があり、この日の主役の一人として観衆を魅了していた。ジレハは一度でいいから現地で見てみたいと願っていたが、想定されたパイロではなく「そこにあるものを活かす」形で五つの炎を表現するとは。今までと違って広く散って配置されているため演者に課せられたハードルも過去の披露以上だったかもしれないが、見事に成し遂げたと言える。桐谷さんが遠かったのはちょっと残念だったが仕方ない。

 そして赤つながりで、クロノレキシカによる「dans l'obscurité」。過去二回もなかなかメンバーが揃わず、今回も永吉昴役の斉藤佑圭さんがお休みだったが、七尾百合子役でダンスにが得意な伊藤美来さんを軸にした演出はあのリリイベの時以上だったし、真壁瑞希役の阿部里果さんは相変わらず歌もダンスもキレッキレ、今回が初披露の望月杏奈役・夏川椎菜さん、そして中村温姫さんも負けじと力強いパフォーマンスを見せていた。5人揃えばさらに強くなるのは言うまでもないので、難しいとは思うが8thでどうにかうまく事が運んでくれることを祈りたい。

 さらに、このりおコンビのSherry 'n Cherryによる「Cherry Colored Love」。高橋さんの衣装のパーツが外れるアクシデントこそあったが動じることもなく(うまいこと装飾っぽくも見える外れ方だったのも幸いだった)、夕闇の下、アダルティな二人による歌唱は前の二曲とは違った炎の揺らめきを感じさせる。百瀬莉緒役の山口立花子さんもこの日はあの6th並みに仕上がっていたように見えた。ちなみにこの二人、カメラが追い付けていなかったのでLVではほぼ抜かれていなかったっぽいが、最後のThank you!のわちゃわちゃの時に二人でハートマークを作っていた。

 さて今夜はここからどう締めにいく?と思ったら一部ゲッサンミリオン再現の瞳の中のシリウス、次にMarionetteは眠らないと来て、6人体制のRaise thr Flagが披露された。強い。サジタリアスの要、戸田さんを誰がカバーするかと思っていたが、4人がかりで補うとは。特に、ミラソニの相棒でもある浜崎さんの低音のカバーが非常にパワフルで「アタシが歩の分まで歌う」とばかりの強い意思を感じた。前日の大関さん・香里さんにあたる枠は、この日は浜崎さんと角元さんではないだろうか。この二人が要所要所でしっかり支えたからこそのDay2だった。

 そして星空と月の下、LTF曲最後の一、Starry Melodyが歌われる。琴葉と種田さんにとっても一つのやり残しだった曲で、ステージでは初歌唱となった。ああ、これはいい締めだ。野外ライブの特性と天候を活かしきった素晴らしいライブだった。そう思い、「まあ今日はでかい発表は無いかな」と思いながら告知を見ていたら――






 完全版リフレインキスの発表。天体公演のステージ映像、そして四人のシルエットからあのイントロが流れ始めた瞬間、会場から声にならない呻き声が漏れた。確かにアライブファクター級の激戦になる曲が突っ込まれるかもとは書いたが、ここに来てこの曲か、と。いわば田中琴葉欲張りセットか。
 私のブロックの斜め前には、琴葉Pが二人いたが、当然泣き崩れ、抱き合いながら喜んでいた。思わずもらい泣きしそうになったが、それも当然だろう。この曲は琴葉Pにとっては最大の心残りだったし、特に6thSSAで赤い世界が回収されてからは、いつか来る「はず」のこの曲の未練と葛藤していたはずだ。




 ミリオンは「一人じゃ届かない 一人も手放さない」をモットーに掲げる。人気差はあっても扱いの差は極めて小さい。もちろんこれも39人と52人ではかなり様相が変わってくるし(ARMoooのドラマパートで、律子が若林さんの絶賛していたUNION!!の歌詞をラップにして練習をするという粋な演出もあったが)、ライブは39人でも完結できるがブランドとしては52人でないと世界観が破綻するあたりは、直系ブランドとしての難しさでもあるのだが……この話はこじれやすいので今回はしない。
 肝心なのは、やり残しと忘れ物は時間がかかってもきっちり回収していくスタイルであるということだ。琴葉周りの件もそうだし、6thで39人でつないだソロパートの大トリに5thはお休みしていた斉藤さんを指名したことなど、枚挙にいとまはない。だからJOVの件もちゃんと頼みますよ。

 やり残しは、時に指に深く刺さった棘のようにいつまでも残るものだ。それが原動力になるケースももちろんあるが、たらればの要因ともなり、前に進む足を引っ張ることもある。
 
 今回の7thライブも、このブランドにとってそうだったと言えるかもしれない。



 あまりにも大きな心の穴が開いていた一年前。ミリシタ三周年曲「Glow Map」のティザーPVが生配信で披露された時、誰しもが気付いただろう。「ああ、ここは富士急コニファーフォレストだ。本当はここで披露するはずだったんだ」と。
 
次第にそれは7th幻視ネタへの定着につながっていくわけだが、それは傷口を塞ぐ行為である同時に、拭い去れないほどの「たられば」を生んだ。もし7thライブができていたら。富士急でGlow Mapが見れていたら。コロナさえなければ。
 悲願であり夢だったアニメ化という輝いた未来はあったが、ようやく最大の武器を取り戻したミリオンが次のステージに進み、夢を超えた夢をつかむには。やはり「やれずに燻っていた7thを、その時できる完璧な形でやり切る」ことが必要不可欠だったのではないか。

 そして、そのライブには我々観客も必要だった。




 先日に「逃げ恥婚」で大ニュースになった星野源さんは熱烈なアイマスPとしても知られるが、その魅力について、我々も含めて皆である種の嘘を作り上げ、その嘘が嘘でなくなっていく瞬間が見れることにあると語っていた。

 その賛否はともかく、アイマスライブの魅力の一つは、その場にいる全員が作る共同幻想にあるというのは私も同感だ。ライブでは演者さんを巫女としてキャラクターを降ろすことにより、いわゆる「ステージに○○がいた」「完全に○○だった」という事象を引き起こせるわけだが、どんなに優れた憑依型演者であっても、配信ライブでは限界があるように見える。
 やはり、我々も現地に行って媒介とならなければその完成度は一定以上には上がらない。夢に終わった7thライブという幻を超えるには、同じ季節、同じ場所、同じメンバー、そして大半を踏襲したセトリで、その「幻の最高」を超えていくライブを実現して燻っていた思いを完全に燃え尽きさせるしかない。だからこその、「Reburn」だったのだ。


 今回の7thRがいずれ伝説と呼ばれるのだとすれば、演者と小美野P以下ライブチームがリスク承知でライブ成功の前提となる有観客にどこよりも踏み込んで邁進し、気まぐれな梅雨の天気との戦いに勝ち、おそらく感染のリスクにも勝ち、極めて難易度の高いライブをやり切ったことに尽きるのではないだろうか。そのための最後のピースが、このGlow Mapだった。

 Glow Mapはそれまでのミリオン系全体曲の中では異色の、静かな入りから次第に盛り上げてサビで一気に高める曲調だ。星空の下、富士山麓の林の中で歌うのにこれほど適した全体曲はない。一日目のLVではCメロで案の定撃沈したが、この日は「感情をぶっ放しつつ、ライブを楽しむ」という方向性が固まっていたおかげで耐えきれた。

 そして、「行ってきます」はセンターの山崎さんではなく、MVで担当した上田さん。ここでも、やり残しをきっちりクリアしていった。
 花火が打ちあがる中、惜しみなく送られる万雷の拍手。万感の表情の演者たち。少し前後するが、MCでは藤井さんの「みんな、(SSAからの)この二年何してた?」という言葉で涙する方も多く、木戸さんも阿部さんもぽろぽろと涙をこぼしていた。我々も、演者も、一年間溜めに溜めてきた思いをここでようやく出し切り、完全燃焼できたのではないか。これできっと、次のステージへと迷いなく進める。

 決してスマートではないのかもしれない。ゲーム展開も含めて、キャラ人気を問わずなるべく均等に、かつ足並みを揃える姿勢は、時にブランドの動きをひどく鈍重にもする。だが、このブランドはこれでいいのだと思う。だからこそ坂上陽三Pも、ミリオンの強みを「総合力」と評したのだろう。

 
 ……なお、Glow Map最後の花火は初日LVで見てたのに、現地では思ったより近くてビビった。





ちなみに歩ソロがとてもいいのでみんな聴いてほしい。いつかきっと、戸田さんもどこかのステージでこの曲に参加できるはずだ。忘れ物はきっちり回収するし、何年でも待つのがこのブランドのスタイルなのだから。


あ、ちなみに真のソロもとても良いです。









 楽しい時間はあっという間――そんな定番のMCが流れる中、私はUOを四本取り出していた。
 今日は本当に楽しかった。マスクをつけたままではあるが、笑って、燃えて、きっとそんな我々の姿も演者に届いていたはずだ。きっとこれからも、少なくとも2ブランドのアイマスライブには参加していくが、7thRは特に忘れ難いライブになるはずだ。そんな素敵な思い出になるきっかけの一つをくれた温姫さんに、感謝を届けたい。そう思った。

 アンコール前に近くの二人組がやっているのを見て思い出したが、温姫さんは事前にこんなツイートをしていた。





 ぼっち参戦の私には「ロ」「コ」を両方用意することはできないが「ロ」ならできる。最後のThank you!でロを作ろう、そう決めていた。
 
 ……が、前半戦にこちら側ばかりにいたから当然なのだが、アンコール後の温姫さんは上手側やセンターステージが定位置で、一切こっちに来なかった。その代わりにこのりおハートマークとかも見られたのだが、手元にはタイミングを逸した四角形のUOが光るのみ。とりあえずばらして振っていたが、結局チャンスは訪れなかった。

 演者が次々とステージを去っていく中、反対側のステージ上手にいた温姫さんはいつもの「サンクスです~」を連呼しながら、観客席に背を向けようとしていた。こりゃ厳しいか、と思いながらダメもとで「ロ」を掲げていた時だった。遠くにいた彼女は私のいる下手のAブロックに目を向けると、マイクを持った片手を私の方向に指してくるっと回転させて。ロコを感じさせる笑顔のままで、そのまま走っていった。

 そうして、私の7thライブの炎もきっちり完全燃焼できた。
 
(6/27追記 マイクを持った片手と記憶していましたが、映像を見る限りマイク持ってない左手でしたので訂正します。幻覚じゃなくて良かった)



 なおこの日の温姫さんは、この日ステージに立てなかった昴と歩のカラーのシュシュまで使っていた。じぇりぽの絆、という表現も現実の前には安く思える。何と評すればいいのか適切な言葉が思いつかない。ただ、少なくとも。

 アイマスの「ドラマチックなナカムラ」は二人ではない、三人いる。この日、心からそう思った。















■おわりに



翌日のコニファー。撤収が始まっていた



 ライブ後、8thツアーが発表されなかったのは残念という感想が多々見られた。ただ、決まっていてもあそこで発表しないのは既定路線だったろう。
 私事で恐縮だが、弊社もいわゆる大規模イベントと呼ばれる催しの運営をしている。私は事業畑ではないので運営にがっつり関わるわけではないのだが、今年は厳しい状況の中、キャパ制限はありつつも何とか完遂を果たせた。その時点で肩の荷が下りていた私は「これで次も問題なくやれますね」と担当者に話しかけたが、その方は「2週間経って感染なしが確認できないと次の話もできない」と厳しい表情だった。

 おそらく、アイマスライブもそうなのだろう。プロミでツアーを発表できたはずのSideMも間を空けた。そしてミリオンも、シャニも次回ライブイベントを発表しなかった。おそらく、少なくとも関係者の感染や観客のクラスターはなかったと判明して初めて、内定している次の具体的発表に移れるのだろう。開催から一週間が経過したが、そういう意味でも現地、LV組ともに万一がないように念には念を押して、あと数日は緊張感をもって生活すべき時期と言える。

 そんなわけでアニメはともかく、8thの発表自体はそこまで遠くないだろう。残念ながら夏から秋の第5波は高い確率であるようなので、20~30代も接種し集団免疫がはっきり見えてくる年始辺りからの開始にした方がマスク付きでのコール可、あるいは2回接種者のみコール可といった取り組みに踏み込めるかもしれないが。いずれにせよ、MCでの演者の来年云々はまだあまり気にしなくていい気がする。

 ああ、それにしても。感情をぶっ放せるライブは、本当に楽しかった。












 ちなみに吉田のうどんは二回食べた。やはり良い。うどんは強いコシがあってなんぼである。コシのないうどんなど論ずるに値しない……なんて火種をばらまきつつ、筆を置きたい。





 ここまで約20000字の長文を読んでいただき、ありがとうございました。

アイドルマスターミリオンライブ!、この歪でも愛しきコンテンツ

(この記事は95%をミリオン7thDay1の開始前に書いています)





 昨年10月初旬。世間では感染がやや落ち着き、GoToトラベルが話題になっていた頃のことだ。私は社内では唯一アイマス趣味をカミングアウトしている後輩と久々のサシ飲みを楽しみ、その後輩のリクエストもあってとある店を訪れていた。もちろん非公式だが、店内がアイマス一色という珍しい店だ。
 カウンターの話題はコロナ後の楽しみや翌日に開かれる同人イベントなどだったが、コンテンツの将来の話しになるとマスターは「ASはあと2、3回ライブやったら総とっかえ」だの「スタマスは買わない」だのなかなか飛ばしてくる。私も3年前なら愚地独歩のごとく「なんだァ? テメェ……」となっただろうが、ぼちぼちいい大人だし良くも悪くも聞きなれた物言いだし、せっかく連れてきた後輩に嫌な思いをさせたくもないのでスルーしていたのだが、ミリオンについてセルランだのスロット送りだの揶揄し始めたところで、さすがに合わせ技一本で勘定を申し出た。
 後輩と別れ、関西弁の酔客の間を縫いながら地下鉄駅に向かう帰路。もうあの店に行くことはないだろうなと思いつつ、ふっと思い当たった。

 ああ、かつては好意を持っているとは言い難かったミリオンライブに。酒席ではといえ煽られたら内心キレられるくらい、私は魅かれるようになったんだな、と。



 
 
 人間の記憶というのは、美化されがちなものだ。よくある「俺の若い頃は~」や「昔は良かった」的なアレである。年数が過ぎれば過ぎるほど、人間の記憶は都合よく解釈・改変されてしまいやすい。仕事柄、中高年の昔話を聞くことが多い私だが、これは別に年寄りに限ったことではない。先日もTwitterで話題になった、9.18とJupiterにまつわる記録の「美化」の話もそうだろう。あれを見て、今回の記事を書こうと決めたのだが。

 私は2007年2月からの古参に分類されるアイマスPだが、ミリオンにどっぷり漬かったのは2017年サービス開始のミリシタから、もっと言えば2018年春からだ。今は周年ライブとなれば万難を排してチケットを取りにいくスタンスだが、ここに至るまでには紆余曲折もあった。……のだが、今回の7thRのDay2現地を経れば、その衝撃がきっかけで過去の記憶も都合よいところだけ残して変わってしまうかもしれない。自戒と自省を込めて、たとえ文面に都合の悪い言葉が並ぼうと、このブランドとどう向き合ったかを振り返ってみようと思う。まあ、今ですら記憶と解釈があてになるかと言えばやや怪しいのだけれど。


■「ミリオンライブ? うーん……」


「グリーでもモバマスやるのか」

ミリオンライブが発表された日の私のツイートがこれだ。当時はライブに参加しておらず……というよりは仕事のブラックっぷりと不運でASのライブ参戦もできておらず、声優コンテンツに今ほど興味なかったころだ。加えてソシャゲというものに冷淡な姿勢だったこともあり、アイマス第三のコンテンツにも上記のような雑なツイートしかしていない。

 他人のふんどしで相撲を取るようで恐縮なのだが、先日もミリオンのリアルライブとの関わりを漫画で描いていた地獄のミサワ氏と境遇はほぼ一緒である。それなりに熱のある真や千早のPではあっても、平田宏美さんやミンゴスを特別に意識したり追ってはいなかった。演者は演者、キャラはキャラとほぼ割り切っていた。

 で、実際にサービス開始してしばらくしたミリオンに対しても、私は好意的ではなかった。アニマスの絵柄がベースなのもあってか、当初は言葉を選ばなければ「パチモンくせえ」と思っていたし、ASとミリオンスターズの関係性の設定にも首をかしげていた(これはグリー時代から徐々にミリシタに近い形に是正された感じだが)。過剰なお色気重視も「公式がやるのは違うんだよなあ」と思っていたし、さらに言えば「世代交代」の気配も好かなかったし、ムビマスでもストーリーの都合上、ミリオンの特定メンバーに好感を持ちにくかったのも影響した。いわゆる声優オタクだったのなら、特に初期は演者への依存度が高かったこのブランドももう少し積極的に触ったのかもしれないが。

 そういう事情もあり、私はASのソロ曲だけは履修しつつも、ミリオンには積極的にタッチしなかった。ライブにも参戦できていなかったから、10thイヤー時点ではアニメ効果もあってシンデレラの方がよほど詳しかったと思う。

 2015年。10thでは伝説と化しつつある西武ドームでの2Daysライブが開かれた。あれがアイマス初の単独の屋外ライブでは?と言われたりもしているがそれはそれ。しかし、私はこの時仕事の都合で海外におり、ライブが発表された時点でライビュすら見られないのが確定していた。
 加えて、この頃ははっきりとアイマスに対する熱が下降してきていた。私はニコニコで7年ほど、いわゆる「im@s架空戦記シリーズ」を連載しており、幸いニコマスの歴史の中でも上々の評価をいただけていた。それが完結したのが15年5月。あとがき的な動画をアップしたのはまさにライブのあった7月だったが、その後の燃え尽き症候群は明らかだった。「ドームライブ」に立ち会えなかったことや一区切り感、動画連載中にあまりできてなかった趣味やスポーツの再開なども背景だった。そのため、音ゲーが苦手なこともありデレステのムーブメントにも乗ることはなかった。この辺り、ちょっと歯車がズレていたら普通にデレの方を熱心に追いかけてたかもしれないし、あるいは途中で周囲のフォロワーのようにぶち折れていたかもしれない。

■「俺は、とんでもない損をしていたのではないか」


 ミリオンがスマホアプリで音ゲーになる、と知ったのは武道館で開かれたミリオン4thライブから数日経った頃だったか。すでに記憶が怪しい。ただ、歌織・紬の参戦とASも出るというのは第二報後の早期から認識していた。2017年の私は複数の人生の選択が控えており、アイマスと明確に距離を取ることも考えていた。それでもミリシタを事前登録したのは、スマホゲーとは思えぬモデルの良さや、やはりなんだかんだ言ってもASも出るというのが大きかったと思う。ただ、熱の問題もさることながらとんでもなく忙しかったこともあり、サービス開始直後に気になっていた静香のSSRを引いたものの、たまにログインして覗く程度の扱いだった。選挙ウォッチャー的には絶対に面白いはずのTBも、ログイン分程度しか投票していない。というか繁忙期だったので新発売されたステラステージさえほとんどプレイできていなかった。

 そんな私を巡る状況を一変させたのが、2018年のAS単独ライブ「初星宴舞」だった。

 「もう最後かもしれないし」という軽い気持ちで応募したら当たってしまった現地の衝撃は、すさまじいものだった。特に、「隣に…」の披露に生で立ち会えたのはずっと自慢できるだろうし、前述のとおりミリオンのソロ曲はきっちり履修していたので、それぞれのソロパートも特段の支障はなかった。ただ一曲を除いては。

 「合言葉はスタートアップ!」。
 この曲のイントロが流れ、5人がステージに立った時、会場は大きく沸いていた。だが私は独り、この曲が何の曲なのかわからなかった。コロムビアのCDにはこんな曲はなかったはずだ。ランティスか? フロンティアワークスか? わからないまま、このライブで唯一、盛り上がる会場との熱の差を感じた瞬間だった。

 終演後、この曲がミリオンのLTHシリーズの曲で、ASだけで構成されていたこと、今回が待ち望まれていたオリメン披露だったことを知った。LTHのユニット曲は、恥ずかしながら真のいるBirthの曲を一度聴いたくらいだった。

 アイマスライブとはこんなに良いものだったのか。参加しようとしていたのに大病で断念した7th以来、頑張れば行けた9th大阪or東京を除いて、私は仕事の都合でASのライブに行く検討さえもできていなかった。ライブに行きたい。またASの演者の皆様のパフォーマンスを見たい。

 翌月のディレイビューイングも仕事に邪魔されつつも見終わった後、私はミリオンライブにろくに触れてこなかったことで、仮にASだけを追うにしても多大なる損をしていたことを悟った。まとまった仕事を片付ける必要があったのとステラステージのコンプ、ASの過去ライブの円盤をかき集めて見ていたので時間はかかったが、4月下旬にそれまでたまに覗く程度だったミリシタを本格的に開始する。以後、今日までログインは途切れていない。

■「なんだこのコンテンツ、面白いぞ!?」


 食わず嫌いだったものにハマる、あるいは昔は合わなかったものを年を重ねてから食べるとハマる、なんてことはよくあるもので。学生時代はまったく旨いと思わなかったナスに20代後半からハマったのと同様、私は少しずつミリオンとミリシタの世界に触れていった。完走した最初のイベントが口に合うEscapeだったこと、複数の方から勧められた傑作「ゲッサンミリオン」を読んだのも大きかったと思う。この漫画は本当に完成度が高く、今は私が勧める側だ。先述の後輩も、私がゲッサンを読ませてミリオンに落とした。



 やるとなれば全員を好きになりたい私にとっては、39人は時間をかければギリギリどうにかなる範囲内だったし、ちょこちょこ過去の曲も集めて知識を深めていた。ただ、この時点ではミリオン最大の武器であるライブに手を出すつもりはさらさらなかった。知識もろくにないのにライブを見るのは私の流儀に反するし、何よりASの方で過去の欠落を今更ながら埋めていてそれどころではなかったからだ。この頃のASはMRのような革新的な試みに取り組む一方で、本当に先行き不透明だったためやきもきしていたが……(実態としてはスタマスに向けた諸々は動き始めていたと後に明かされたが)。

 発売日にきっちり買ったのはEscapeのCDが初めてだったが、ドラマパートが思いのほか良くできていたことに驚いた。その旨をツイートしたところ、「夜想令嬢もいいですよ」と勧められている。あんまりピンと来なかったので保留していたのだが、

 10月。私は夜想令嬢という特大の沼にドボンする。






■ミリシタ感謝祭、そしてTC


 夜想令嬢、そしてミリオンに明確に沼落ちしたきっかけは、無料生中継されていたミリシタ感謝祭だった。特に、所恵美を演じる藤井ゆきよ天空橋朋花を演じる小岩井ことりの熱演に目を引かれた。そして夜想令嬢だけではない。この日初披露されたラスト・アクトレス、そしてハーモニクス。「こんなものをタダで見てしまっていいのか!?」と驚愕し、とりあえず夜想令嬢のCDを取り寄せ、気になったCDもまとめて購入した。この感謝祭では、とあるカバー曲……というよりはその制作者のリップサービスで「ないわー」ともにょったりもしたが、それはそれ。

 そして、この感謝祭ではTCの開催が告知された。ASも、真も参加する。これは大きな好機だと思った私は水面下で様々な動きを開始したが、それは過去の記事にまとめているので割愛する。重要なのは、彼を知り己を知らば……ということでこの機にミリオンスターズの39人をもっと知らなければいけないということだった。手持ちの曲が一気に増え、グリー時代の情報も漁り、個々への理解度が急速に深まったのもこの秋から冬にかけてだった。5thのディレイビューイングにも参加し、まだ不十分な知識なりに「ミリオン6thライブ、行ってみるか」と決意したのもその帰路だった。もっとも、この少し後に翌春に異動で地方に遷ることが決まり、結局はすべてライビュでの観戦となったのだが。


■衝撃の6thライブ福岡。そして6thSSA



 年始にハッチポッチの円盤を視聴し、TCで無事勝利し、その発表ニコ生で「小笠原早紀さん、めっちゃ清いなこの人……ミリオンは変人ばかりと聞いてたけど、こんな守護らねばならぬ人がいたのか」とか思ったりしつつ、ドタバタしながら迎えた4月。引っ越し直後の多忙の中で、私は6th仙台のライビュに参加した。ただ、遷ってきた県はミリオンのライビュが満席に埋まるほどの地域ではなく、会場の盛り上がりはなかった。また見に行けたのが後に大好きになる水中キャンディも初恋バタフライもやったday1ではなくday2だったのもあり、帰宅後の感想ニコ生での私の反応は今一つだった。何なら「ASのライブ見たい」とか早々に言い出して視聴者に苦言を呈されているのが確認できる。

 それが、神戸day1のライビュでは精神的に安定していたことやSTAR ELEMENTSの「そうきたかー!」という驚き、初めてオリメンを見たU?U!の盛り上がりなどで一気に引き込まれた。帰宅後のニコ生では、どうも「福岡は連休取って両日見る」と言っていたようである。最大の目当てである夜想令嬢がいるし、ミリシタに引き込まれた最初の一手であるEscapeも、感謝祭で強烈なパンチを食らい、ハーモニクスと餞の鳥の二段構えで撃墜されたD/Zealもいる。ソロでも気になっている子が多いFa公演は、見ない選択肢はなかった。

 迎えた福岡公演は、ライビュだったにも関わらず鮮烈だった。予想を上回り期待に応える各ユニットパート。後方からナリタタイシンのごとく追い込んでMTG上位評価グループに食い込んできた伏兵ユニット・じぇりぽ。ソロも揃って強烈で、私がミリオンのライブに完全にはまったのはこの両日が決定打だった。アイマスライブに対する価値観が変わった日と言っていい。

 とりわけ夜想令嬢は、まさかの演劇公演だった。ある意味で演者にとっては歌ったり踊ったりするよりも本職ではあるのだが、四者四様の演技に引き込まれた。特にday1は、感謝祭は不在だった百瀬莉緒役・山口立花子から目が離せなかった。夜想のユニットパートはMCまで一貫してキャラクターとして演じており、それもまた良かった。特にday2の夜想令嬢のMCラスト。アドリブじみた藤井ゆきよのあの演技は、ゲーム同様の所恵美の姿が重なった気がした。

 無警戒だったじぇりぽのメンバーも強烈だった。中村温姫の一挙手一投足には「完全にロコじゃん……」となったし、それ以後ライブでは常に目で追うようになった。渡部恵子のソロパートでは、似てるのは髪形くらいなのに確かに桃子が見えた。炎のごとく熱い女・戸田めぐみの熱演とMCを見て「平田さんとのBtWが生で見たい」と強く感じたし、唯一未披露だったソロ曲を引っさげてトリを飾った斉藤佑圭のパフォーマンスとコールアンドレスポンスで盛り上がる会場の様子には痺れた。そしてSSAでのユニット集結ライブが告知されるや、私はAS以外では禁忌としていたCDつむつむに手を出す。幸い、独身でいる分にはもはや増やさなくても何とかなる程度の資産があったし、人生の選択肢も結局現状維持を選んだので、もはや出費に縛りをかける理由はなかったのもあるが。





 ミリオンは初の現地となったSSAは、ある一点だけを除いては本当に本当に楽しいライブだった。生の夜想令嬢は、福岡での最高を平然と塗り替えていった。特に、二階堂千鶴夜想ではアレクサンドラ)を演じる野村香菜子の切れ味は福岡の比ではなかったと思う。
 ある一点の話は過去記事にまとめているので今更蒸し返さないし、もう決着しているから書かない。……いや、決着したは言い過ぎか。今後万一があれば、たぶんあの時ほどではないにしろ荒れ狂うだろう。そこは真Pとしてのある種の矜持だし。
(※追記、4人がいた7thRのDay1も後半戦まで気が気でなかった)

 まあそれはそれ、翌月のバンナムフェスで早くも念願が叶い、BtWを現地観戦、リコッタとエタハモのオリメン初披露で大盛り上がりし、そしてAS入りのFlyers!!!で崩れ落ちた私は、15thイヤー期間に予想されたMOIW以上に見たいものができていた。4thのアニメPVで描かれたこれだ。





 ハッチポッチ形式もいいのだが、オリメン重視でまだ揃っていない曲をきっちり回収し、TCほかも5人そろえるライブが見たい。とりわけ、ミリオンではオリメン未披露曲の多い真のPとしてはその思いは強まる一方だった。もちろん一番見たいのは待ちに待ったAS単独ライブだったが、それも19年末に発表され、「765ミリオンはいつかなー」と楽観視していた。MORや20年1月に参加したXs・クロノレキシカのリリイベでのトークからしても、それは時間の問題に感じた。その後どうなったかは書くまでもないので、省略するが。


■長年の食わず嫌いの解消。ミリオンBCという傑作

 他方、19年春からはミリオンBCのおかげで、ムビマス以来私の中でいまいち食わず嫌い傾向のあった北沢志保矢吹可奈の株が爆上がりした。





 ゲッサンに比べれば癖のあるBCだが、可奈や志保らCloverを軸とした物語からミリオンスターズ全体、そして要所で登場するASによる群像劇路線に拡大してからは一層面白くなった。特に、群像劇路線に展開してもCloverのメンバーが霞むどころかかえって輝くのは脚本の妙だろう。私自身を省みても、よーく考えれば千早から始まる青の系譜の一角を気に入らないわけがないのだが、食わず嫌いとは恐ろしいものである。

 まだ単行本していないところも含めると、Clover以外で特に秀逸だったのはやはり夜想令嬢、とりわけ天空橋朋花関連だろう。ツイート見ている方にはバレているので演者の影響が大きいのも否定はしないが、アイマスに出会った学生時代まで遡ってもまったく引っかかるタイプではなかった朋花にやられたのはBCの影響が一番大きい。そしてこんな情勢下になった直後、ミリオン7thが中止された頃に紙面掲載された30話で、この漫画の評価は不動のものとなった。あのタイミングと重なったのは、ただの偶然だが、それにしても出来すぎていた。

 繰り返すがミリオンBCは素晴らしい傑作であるし、それが現在進行形である。未読の方や絵柄でスルーしている方は騙されたと思って、木下ひなた編が始まるあたりまででいいので単行本を読んでみてほしい。




千早もがっつり出てくる桃子編次第では、アイマスコミカライズNo.1の座も獲りうるんじゃないかな。


 志保に関しては、昨年のオペラセリア・煌輝座も非常に素晴らしかった。というかオペラセリアはミリオンMTWのユニットでは断トツの筆頭評価である。何ならリリイベを信じて既につむつむしている。何かとMTGと比較されがちなMTWだが、個人的にA面曲については遜色ないと思っている。後述するが、多分にライブでやれてない差が大きすぎるだけではないだろうか。8thツアー?で披露されれば、評価は互角ほどに落ち着くと思う。


ライブで夜想みたいにやってくれんかなあ……。


■ライブという最大の武器にして弱点


 見てのとおり、私が沼落ちしたのはミリオン最大の武器であるライブの影響が大きい。それでも(絶対にありえないが)ASと日程がかぶったらノータイムで判断する価値観ではあるが、ライブ現地は初星からだった私にとって、ライブの魅力はとにかく挑戦的で手札も多いミリオンに教えてもらった部分も少なくない。
 私にアイマスライブの魅力を教えてくれたのはASだし、キャラクターのダブらせ方についてはミリオンよりはっきりと一日の長がある。だが、アイマスライブの厚みと多様性を教えてくれたのはミリオンだ。ってこれじゃ地獄のミサワの二番煎じじゃん。チクショー、ミサワめ。


 ただこうした情勢下、それは諸刃の剣になってしまった。各ブランドでもライブ重視のブランドがライブを封じられれば窮地に陥るのは当然だし、特に小美野Pらの一連の発言を見る限り、ミリオンは現地客入れにこだわるスタンスなので余計に後れを取ったのだろう。アイマス各ブランドはそれぞれの事情に応じた大打撃をこうむったが、ミリオンはライブあってこそのコンテンツゆえに、この一年余はそのギャップ、あえて言えば歪みに苦しんだのだと思う。コロナが集団免疫の獲得で落ち着いて、来年にマスクありコール可のライブができるようになったとしても、演者の年齢や立場の変化による路線の再検討には早晩ぶち当たるだろう。だからこそ、そういう意味でもアニメ化には期待がかかるわけだが……。

 とはいえ、歪み自体は先行するASはもちろん、他所のブランドにも当然ある。どこもそれぞれ課題は抱えており、何なら歪み自体もブランドの推進力だったり、構造上根治が不可能なものも多い。ミリオンの場合はライブ重視ゆえのコロナ禍での難しさと次第に厳しくなってきた持続性、打破を模索しているもののよく言えばぬるくても続けられる、悪く言えばマンネリになりがちなミリシタの展開だろう。それと、39人であることと52人であることの使い分けの難しさ。これはミリシタ初期はああするしかなかったと思うし、後にひとりも手放さないコンテンツであることを軸に据えた代償なのだろうが、おおむね均等ゆえに成長が遅く感じてしまうという人も少なからずいる。
 ただ、安易に人気キャラに傾斜しないスタンスは私はこのブランドの美点だと思うし、UNION!!の精神は可能な範囲で貫いてほしいところだ。キャラクターの成長についても、遅い遅い言われながらもコミュ2周目見てるとしっかりと足跡を刻んでいるのだし。このあたりはアニメとの同時展開次第にもなるのだろうか。ASの出番と曲での絡みは徐々に増えてきているから、そのあたりも今後に期待したいところだ。扱いはまあ、据え置き展開もスタマスの次くらいまでは続きそうな以上は今ぐらいが程よい気がするし、アニメもBCくらいがベターだろう。19年夏以降のミリシタでの真の扱いには概ね満足しているし、メインコミュは良かった。
 さんざん書いているのでここでは書かないが、基本的に765プロが13人の世界線も52人の世界線も並立した上で、それぞれ違う表情が見られるならそれに越したことはない。スタマス世界線のMA4みたいに色々と変動するし、後述するバンナムの方針的にそれもどうなるかわからないが。



 個人的には、確かにしょうもないミスが多発したり(これは少なからずリモートワークの代償っぽいが)マンネリ感もあったものの、ライブができていればその不満もあれほどは出なかったと思うし、はけ口のようにもならなかった気がする。7thRが成功すれば、day2の発表次第でもあるがまた空気は変わるだろう。結局はライブに頼っていると言われればそこまでだが、しかし頼るだけのコンテンツの強さがあるんだからしゃーない。ミリオンのライブは面白いし現地があまりにも強すぎるのだ。いつまでできるか、どこまで要求水準を調整できるかという課題が付きまとうだけで。
 個人的には、まだまだ進化するというかバンナムがやる気満々のMRとの同時並行を工夫することで、ミリオンも演者負担を減らして歪みがひび割れになる前に、ソフトランディングを目指すのがいいのではないだろうかと思う。まだ何とも言えないが、ミリアニのモデルはMR仕様に転用できそうだし。




 長々と偉そうに書いたが、ライブは本当にいいものだ。非日常の空間で、余計なことを考えずに感情と勘定のリミッターを外して楽しめる。ひたすらに感情を抑え続けたこの一年三ヶ月で、ハレとケの大切さを改めて思い知った。社会情勢に左右されるのは致し方ないが、ライブは人生を彩るためには不要でも不急でもない。私はアイマスがなければこの世にもういなかった可能性もあるし、少なくとも今の仕事からはドロップアウトしていたと思うが、この情勢下になって一層、趣味のあることの重要性を思い知った。


 もう2018年以前の、大先輩の華凉さんの熱いライブ語りにさえ「ほーん」とすましていた私には戻れないし、これ以上持病の椎間板ヘルニアが悪化しない限りは、仕事次第ではあるが2ブランドの現地を常に目指し続けると思う。今回もかなり無理を重ねてDay2現地にこぎつけた。冒頭にも書いたが、多分また、ライブ後は価値観を揺さぶられるだろう。



 実は18年秋から19年初にかけて、私は親しい人たちに「15thでASが一区切りしたら私もアイマスは一区切りかな」と話していた。
 ただ、15thがこうなったこともあり、またアイマス全体で横軸を強化して5ブランド体制堅持の方向にかじを切ったのもあってか、どうも20thまでは可能な範囲で続けてくれるようだ。というかミリシタの方向性変えない限り一区切りはもう難しいよねというか。ミリ女とかの動き見てても。


 ……何より、今はもう一つ、どこまで行けるのか最後まで見届けるブランドが増えた。これが現状の偽らざる心情と評価だ。過去の発言引っ張り出されてボロクソに言われるかもしれないが、こればかりはもうしょうがない。

 あの当時の発言は改めて撤回した上で、願わくば社会情勢が落ち着いた後、6年前には行けなかったあの場所で大声援が巻き起こるライブに、私も現地で立ち会いたい。



 それにしてもミリオン7thライブReburn、本当に楽しみだ。あと吉田のうどんも楽しみだ。
(2021.5.22 山梨に向かう列車内にて)


(※追記 当たり前ですが、私は"讃岐うどん"も"武蔵野うどん"も"吉田のうどん"も大好きです。"実家の味噌汁もとい地元のうどん"は一層特別ですが)

オペラセリア煌輝座 最高を塗り替えたドラマCDの感想・考察(ネタバレあり)








本日9/23、ミリオンのMTW11「オペラセリア・煌輝座」が正式な発売日を迎えましたね。
とはいえ四連休明けの発売日設定ということもあり、流通のルールの影響で早い地域では18日夜くらいから手に入った人もいるとか。私も誘惑に抗えず、誉れのないフラゲを19日に地元の店でやりました。でもって、毎日仕事で100km以上車を走らせていた世間での四連休に8周ほど聞いたので、さっそく感想・考察をしていきたいと思います。


いや、総評としてはすっげー良かったですね!








■概要


オペラセリア・煌輝座は、歌劇団だのサクラモリ大戦だの言われた新曲・Parade d'amourを引っさげ、7月中旬にゲーム内イベントが実施されました。この頃から既に私が狂っていたのはフォロワーならご存知と思います。なにせ、断片的な情報だけで5万字を超える創作をやった強火妄想勢の一角でしたから。

ドラマCDでは非常に多くの情報が開示され、時代、場所については特定に至りました。それは後述するとして、あらすじとしては以下の通りです。





貧乏な地方貴族の娘、アシュリー・ノリス(演・北沢志保は、父親が鉄道投資詐欺に騙されて屋敷も農地も奪われてしまい、家族も四散の憂き目に遭ってしまった。頼りない父親に代わり、アシュリーは証文を持つ成金貴族で大商人、ロバート・ヘリックの屋敷に侵入しようとするがことごとく失敗。そこでターゲットをロバートの息子、オスカー・タルボット(演・桜守歌織に切り替え、彼に近づくため性別を偽って王立士官学校に入学する。年度末には成績優秀者を招く宴がロバートの屋敷であるため、学校で成績優秀者になるか、お坊ちゃんというオスカーと親しくなれば証文を奪い取るチャンスが巡ってくると考えたからだ。かくしてアシュリーは、生徒会長でルームメイトのハーヴェイ・バーティ(演・田中琴葉、オスカーの従兄弟でライバルとなるアリエル・ハワード(演・徳川まつり)らとともに、使命を秘めて士官学校で勉学に励むこととなる――。


こんな感じですね。シナリオは最近、畏敬を込めて「アイマス界の小林靖子」という異名までつけられてしまったバンナム青木朋さん。共著も含めて、MTG、MTW、TCなどの多くのシナリオを担当しているほか、夜想令嬢の「昏き星、遠い月」の作詞、及び6thライブの夜想令嬢の演劇脚本も手掛けています。

夜想令嬢のほか、Escape、ラスト・アクトレス、World Changer、クルリウタなどまあ人死にがよく出る印象で、特にクルリウタで一層名を上げられたような気がします。一方でりるきゃんやHANABI団、TBTCでは空猫珈琲店やGmWなども手掛けているので、シリアスが目立つだけで幅広く書ける方なのだと思われます。……あれ? でもなんか茜ちゃんに厳しくない?







■登場人物総評









●アシュリー・ノリス(北沢志保)=冒頭15歳、最終的には17歳前後?



主人公らしい主人公でしたね。やや猪突気味ですが、行動力とハングリー精神の化身。確実に攻め。そしてParade d'amourの歌詞を体現するような存在でした。「世界は思うより広くて美しい」「鎖のように まとわりつく運命には負けない 自分の意思で変えてみせるさ 守るべきものは誰が決めることじゃない」という歌詞は彼女が男性陣三人へ送ったメッセージであり、また彼らからは形を変えて贈り返されたものでもありました。アシュリーを三人が惚れさせようとするのではなく、アシュリーが意図せず三人を惚れさせてしまうところが肝。求婚者の誰を選んでもよく、また誰が選ばれても非難が出ないような主人公になったのは、青木さんの筆の巧みさかと思われます。

多くの創作で予想されていたものとは違って、物語スタート時点で家族も離散寸前、屋敷も領地も奪われていることもあり、思った以上にダウナーかつ狂犬沢志保。特に煽り台詞や語録で打線が組めるほどでした。試しに組んだ。


1(遊) ムカつく(直球)
2(二) やっぱり貴方ムカつくわ
3(左) (アリエルは)子供より聞き分けがないんじゃないか
4(三) なんだ、オスカーの犬か
5(捕) やたらと人に噛みつかないように、首輪と鎖でも付けたらどうですか?
6(一) 田舎貴族にトップを取られるなんて、都の貴族も大したことないんだな
7(指) 伯爵家のお屋敷にしては随分と成金趣味だな
8(右) ああそうですか、貴方の好みとか知りませんけど
9(中) 吠えるなら校舎の外で吠えたらどうだ?
 (投) あの男がそうなのね。えっらそうに……


すごい。ハーヴェイくんの胃が壊れそう。

とはいえ、当初の復讐心が初めて知る学びの楽しさで揺らいでしまったり、学校になじんで段々性格が明るくなっていく辺りは、志保らしさもあって非常に好感の持てるものでした。そして時折にじみ出る年頃の女の子らしさもまた。ラストシーンも可愛らしく、そりゃイベントコミュではああいうファンレターが来るよな、と納得したものです。しかし独学で首席取れて、その後も並外れた努力ありきとはいえとうとう一年間トップを譲らなかったのはとんでもない資質ですね。

私はミリオンBCがぶっ刺さった勢なので近く別個に記事を上げますが、もう認めないといけないような気がします。昔は苦手でしたけど、良いですね志保。



●オスカー・タルボット(桜守歌織) =20歳前後?



事前の予想や創作では完全無欠のスパダリ、しかし貴公子の仮面の下には深い闇。父との関係は悪い……というものが多かったですが、当たらずしも遠からずといったところでしょうか。昼行灯を装う厭世型の秀才(顔がいい)というキャラ造形は、私は予想外でした。

王立士官学校(厳密には王立陸軍大学)に入学後、2~3年留年しているということが序盤に語られます。この辺りは後述しますが、陸軍大は実際にも早ければ2年前後で卒業できることを考えれば、実年齢は20歳を超えているかもしれませんね。それでもちやほやされて囲いが絶えないのは、実家の格や資金、また本人のビジュアルや物腰によるものなのでしょう。また、アシュリーの一喝で目が覚めてからすぐに卒業試験をクリアし、さらに近衛兵に任官されたところからして、学問も軍事も当然できる――けれど、卒業試験だけを意図的に落第していたのでしょう。勘もよく、内輪に対しての気配りもしっかりしているあたり、誰も寄せ付けない無敵のプリンスというのも持ち上げすぎではないのかな、と考えます。

ある意味ではアシュリーの正体に誰よりも先に認知していた人間ですが、傍観者気質であることもあり、心の闇を吐露する終盤まではアシュリーの認識も「おもしれー女」止まりで、恋愛感情は抱いてなかったようにも見えます。その代わり目が覚めてからは、密室でいきなりハグをしたり(手を握っただけかもしれませんが)、おそらく先導して求婚に走ったりと、アグレッシブな男に変貌します。ただ、それが終盤になってからであることや、この手の物語での王道要素――例えば「身分や立場を超えて対等に向き合ってくれる」といった属性を従弟が持っていったこともあり、乙女ゲーでいう攻略対象キャラとしての魅力は他の二人よりはやや落ちるようにも思えました。一方で、Parade d'amourも星宙のVoyageも、低音ガッツリ効かせた歌織さんの歌声ありきの構成なので、やはりメインキャラには違いがないのでしょう。





●アリエル・ハワード(徳川まつり) =16歳くらい?



アリエルくんかわいい……。良い……。

初聴時のメモもアリエルくんかわいいという文字列が大量に記されていました。お兄様べったりな生意気年下属性、というのは皆の予想通りだったでしょうが、物語を動かすライバル枠としての役割が非常に大きかったですね。剣術勝負は定番ではありますが、実際に妄想シナリオに組み込んだ身としてはガッツポーズものでした。しかもそこから性別バレにつなげるのも。泣き虫なところも含めて、アリエルくんは本当に本当に解釈一致でしたね。お兄様が持つと思われていた属性まで持っていったので、動きのある彼がメインヒロインに見えてしまうほどです。ハーヴェイとはまた違った王道キャラですね。

他方で、どうも一学年100人は下らないらしい学生たちの中で次席をキープし続ける秀才であったのは意外でした。彼もまた努力をして好成績を獲ることで親の許しを得ていたのでしょうが、だからこそ一個人として見てくれるアシュリーに次第に魅かれていったのでしょうね。章ごとの考察はアリエルくんの分析あってこそなので、後ほど詳しく彼の変化については書いていきます。

出身は実在の貴族、サフォーク伯ハワード家。20世紀まで長くイギリスの要職を担っています。本家筋のノーフォーク公ハワード家は、王妃を出したこともある名門中の名門です。


序盤では男としては明らかに未熟だった彼ですが、好敵手と恋を通じて一年前の男に脱皮し、お兄様にも譲らない対抗心を持てるようになっていくという意味では、男性陣では彼の成長物語が一番わかりやすかったかもしれません。心が夢女子になっちゃう。プロポーズシーンとか。

「君という人間は、この世界で唯一、ボクに負けを味あわせたんだぞ。その上ボクの求婚を断るなんて、"そんなひどいこと、キミはしないだろ?"」

この少年と男の絶妙な混ざり具合の言い回しで堕ちた人、リアルでもミリシタ世界でも山ほどいるんだろうなあ……。アリエルくんルート書きたいですね。かわいい。私は浅学なので諏訪彩花さんをアイマスでしか知らないのですが、少年声でも実績があったりするのでしょうか? 




●ハーヴェイ・バーティ(田中琴葉)=18~19歳くらい?



みんな大好き、魂が受けなコトハくん。そして最大公約数的コトハくんをさらに+αした存在でした。

コトハくんというのはTB03のウォーカーくん的なカルト的人気があったアレですね。Twitterで「"コトハくん"」で調べるとその経過……もとい濃い妄想が見られますが、的中だった女性免疫のないヘタレ優等生キャラ、アシュリー(シホ)を支援する唯一無二のルームメイト、個性的な二人に対して常識的な苦労人といった創作は多くされており、ハーヴェイくんもその予想通り、アシュリーを最大限支援・カバーする役割でした。しかも生徒会長。普段の予想では逆神な私ですが、ハーヴェイについては概ね的中でしたね。

しかし付属で実装された属性は「(アシュリーに惚れて)何を考えているんだ、彼は男だぞ!!」ではなく、まさかのラッキースケベ属性。しかも入学式前に裸ないし下着姿を見て即バレというもので、それと引き換えにアシュリーちゃんの証文奪還ガバガバRTAのサポーターを一年間終始務めることになってしまいました。

後述する医学を志すという考えは、彼のキャラクター性に厚みを与えつつ、物語をスムーズに進行させる意味でも重要な属性でしたね。

あとは「ヒィッ!!」だの「うぇぇ!?」だの、上げる声がいちいち可愛らしく、強火妄想勢のイメージが概ね予想通りだったこともあり、人気はさらに高まりそうな感があります。オペラセリアで創作やるなら、ハーヴェイが頑張らないと他三人がアレなので話がまとまらないでしょうし……。

ちなみにちょっとググるだけでもわかりますが、ノリス、タルボット、ハワード、バーティなど、四人の姓はいずれも当時の実在の(一部は現存の)貴族名です。全く同一のものとしては書いていないとみられますが、アリエルの実家は実在の超名門一族……の分家ですが代々要職を務めており、その嫡子は士官学校に来る身分ではないのは明らかです。
また、ハーヴェイ・バーティの元ネタは、オックスフォード近郊に領地と邸宅を構えていたアビンドン伯バーティ家と思われます。こちらはハーヴェイが語るほどではないですが軍人も輩出しており、近代の当主も一時的に軍人を務めたケースがみられます。また、史実でノリス男爵家を継承しているのもこのバーティ家。18~19世紀には財政難だったようなことも英語版wikiには書かれていますが、これは劇中のノリス男爵家の元ネタでしょうか。(※アビンドン伯バーティ家ではなく本家筋のリンジー伯バーティ家が元ネタの可能性もありますが、一時は公爵位を持ってたりするなどハワード家にも気後れしなさそうな一族なので、ちょっと格が高すぎるかなと思いました)


ハーヴェイくんが進学する大学は、当時医学部があって貴族が進むイングランドの大学となるとオックスフォードかケンブリッジの二択となるので、実家から通えるくらい近い(はずの)オックスフォードでしょうね。







●物語考察

 

■序幕「決意」


いきなり詐欺で詰むノリス家。

ミリオンでの設定では(おそらく)妻子を残して蒸発or失踪している北沢父ですが、こちらのノリス男爵も大概でした。アシュリーの台詞からして、騙されたのも一度や二度ではないのでしょう。家族四人の幸せな家庭を失っている志保にこんな役やらせたり「家族みんなで暮らせるわ、昔みたいに!」と歌わせたりするのか……という声もありましたが、本人は「アシュリーの行動は褒められた行動ではないけれど、家族が一番大事というのは私も同じ」と納得しているので、いいんじゃないですかね。
これを書いたのは青木さんじゃないですが、交通事故で最愛の弟を亡くしている如月千早に、妹と相棒を遺して交通事故死する姉というとんでもねーキャスティングしたドラマCDに比べれば幾分マシ。

さて、この序幕では物語の場所と年代がピンポイントに明示されます。ヨーロッパで鉄道投資が熱狂を迎えた地域と時代と言えば、爆発的に鉄路が拡大した1840年代の「鉄道狂時代」のイギリス。ノリス伯爵のようなカモに儲け話という名の詐欺が巡ってくるあたりからして、爛熟期からバブル崩壊前の1845年ごろでしょうか。登場人物の名前や実在の貴族の名が示された時点でイギリスということは予想されていましたが、士官学校の描写からしてもイギリスが舞台であることは動きません。

フランスが舞台だと思って必死に付け焼刃の研究を重ねていた創作クラスタ(私)は崩れ落ちましたが、それはまた別の話。


■一幕「秘密」


いきなり本丸のロバート・ヘリック邸に潜入しようとする貴族のお嬢様。すごい行動力だな! そしてガバガバだな! と思ったら一年がかりの計画で士官学校に入学したり、そのための猛勉強で首席入学したりと、アシュリーちゃんはすさまじいエネルギーの持ち主ですね。

さて、ここで王立士官学校という名称が出てきます。当時の王立士官学校ロンドンの王立陸軍士官学校と、ロンドンから西に約50km離れたサンドハーストにあった王立陸軍大学の二つです。オペラセリアの舞台は後者とみられます。二次創作ではロンドンに遊びに行くデートの話とか書かれたりするんでしょうか?

兵科の関係で、後にオスカーが進む近衛兵になるには後者の陸軍大学ルートが自然であること、またロンドンであればアシュリーが初めての首都暮らしについて触れそうなこと、また、ハーヴェイが「大学に"入り直す"」という言い回しを使ったことからも、サンドハースト王立陸軍大学が物語の舞台と比定できます。

ちなみに、いきなり留年してると噂されるオスカーですが、19世紀の欧州の士官学校は卒業まで最短で1年、普通だと2~3年はかかっているようです。残念ながらサンドハーストの記録は英語の不得手な私では浚いきれませんでしたが、アシュリーたちの半世紀後の後輩ということになる後の首相・ウィンストン・チャーチルは、この陸軍士官大学に18歳の時に3度目の挑戦で合格。入学後は経済的に苦しみながらも、優等生として約1年半で卒業に至っています。ちなみに国も世代も違いますが、かのナポレオンは士官学校卒業に1年かからなかったそうで。おかしなことやっとる……。

一幕は各キャラの顔見世の色が強く、またアシュリーがどのように潜入したかが示されるパートとなっています。ハーヴェイに裸(下着姿?)を見られたのは証文奪還RTAの一環、という指摘もみられましたが、舌打ちしたり失敗したら即詰むようなごり押しの交渉をやっている時点で計算外だったのではないでしょうか。ラッキースケベと引き換えに一方的に不平等条約を承服させられるハーヴェイくん、かわいいですね。でも、どうせまじまじ見れたわけでもないので、もうアンラッキースケベですね。全裸or下着姿で自分より背の高い女の子(初対面)に壁ドンされて迫られるって性癖が歪みそう。

そして、早々にアシュリーの正体に気付くオスカー。とはいえ不仲の父や実家が害を被ることに無頓着なので、おもしれー女として見守ることになります。一方でキャンキャン吠える子犬系男子のアリエルくん。かわいいね。


■二幕「日々」


冒頭からアリエルやオスカーへのアシュリーの煽り文句がキレッキレ。そして、大貴族であるアリエルが親を説得してようやく士官学校に入学したことが明かされます。おそらく、入学・在学中の好成績もその条件の一つだったのでしょう。

アリエルにとって学業の成績は、名門ハワード家の子息としてではなく、一個人のアリエルとして、学内やオスカーに認められるための手段でもあります。しかし、その成績ではにっくきアシュリーに負けっぱなし。そりゃ噛みつきたくもなります。でも「ごめんなさいお兄様」とか「お兄様はいじわるです……」とかはすごいかわいい。また、ここでお坊ちゃん然としているオスカーが何かを抱えていることが示唆されます。

二幕で既にケンカップルの素養が示されているアシュリーとアリエルですが、敏いお兄様はアシュリーがアリエル覚醒の鍵になることに気付いたり、ハーヴェイも共犯者であるのをわかってていじったりと楽しそうですね。この時はまだ傍観者でしかないので。


■三幕「友」


士官学校での勉強の楽しさに、当初の目的を忘れてしまいそうになるほど学問にのめり込むアシュリー。王立士官学校は軍事以外の科目も幅広く履修できるため、持ち前のハングリー精神と成績優秀者になってロバート・ヘリックの屋敷に堂々と入る目標があるアシュリーにとっては、相乗効果もあったのでしょう。ここから語り口も格段に柔らかくなります。

劇中ではこの頃はもう入学から数カ月から半年ほど経過しているはずですが、対人関係で大きな変化が見られます。剣術の自主練習を巡ってアリエルと会話するアシュリーですが、二人とも言葉の使い方がくだけており(まだ棘はありますが)、アリエルともライバルとして仲が深まっていることがわかります。おそらく、小テストやちょっとした学内のイベントでも勝負を何度かしたのでしょう。ここでアリエルは歌詞にもある「君のことを、少し勘違いしていたみたいだ」という台詞を発するのですが、自主練習を知っただけでその言葉に至ったのではないことは、二幕までの彼らの会話との違いからも察することはできます。オスカーの見込んだ通り、この台詞に至る前の時点でもう二人は競い合い高め合うライバルだったんですね。しかしアリエルくん、よく相手に指差ししてますけど英国紳士としてそれはどうなんでしょう?

ここで「努力」について、アシュリーがアリエルに大きな刺激を与えます。学問や成績はオスカーや一族、あるいは周囲に認めさせるための成果・手段でしかなかったであろうアリエルと違って、アシュリーは学ぶことそのものが楽しい。それにアリエルは衝撃を受けたのが見てとれます。

そして、もうこの時点でアリエルは、お兄様に付きまとうアシュリーの排除が目的ではなく、アシュリーと競い合うことそのものが楽しくなっていることも隠せなくなっています。きっと途中からはウキウキで、アシュリーに日々勝負を仕掛けていたんでしょうね。そしてげんなりしつつも、優秀なアリエルと切磋琢磨すること自体には前向きなアシュリー。いいですよねこういう関係性。


一方で、試験の場で剣術勝負をすることになった二人に関連して、医学を志しつつ――けれど軍人一族ゆえに諦めムードのハーヴェイの身の上が語られます。ここでその原初の動機が「病弱な母を治療したい」であることが明らかになりますが、それに対して普段何かと辛辣なアシュリーの言葉が「素敵な夢ね」。後日、ハーヴェイが医者になるため大学に入り直すと告げた時の「良かった……」という万感の言い方からしても、アシュリーが「母の病を治したい(orたかった)」というハーヴェイの想いにかなり肩入れしていることがわかります。ではそれはなぜか。

おそらく、アシュリーの母は病気で故人となっているから、ではないでしょうか。序幕以降一切存在が示されず、弟妹も母親ではなくアシュリーに泣きついています。世間知らずなノリス男爵が制御不能なのも、妻を亡くしているからと考えられます。また、同じく母を病で亡くしたオスカーを強い口調で諭したことも、傍証の一つとなります。

ともあれそんなこともあり、アシュリーは「自分の未来は自分で決める」ことを強く訴えます。タジタジのハーヴェイくんかわいい。一方で、心の揺らぎを認めたくないがためにオスカーを頼らず、半ば意地になって独りでの戦いを続けたアシュリーは、彼女以外には無敗だったらしいアリエルを剣でも撃破します。すごいなアシュリー、どうやったんだ?

周囲の学生の反応からしても、アリエルが剣で敗れたというのは大きなニュースであることがわかります。そして何より、アリエル自身が完敗を潔く認め、アシュリーを讃えたことからして、彼女の剣技は本物だったのでしょう。体力的に劣るのはアシュリー自身も認めているので、おそらく皆が創作でやったように、初見殺しに近い戦術だったのでは?とも思えますが。

しかし勝利も束の間、ストレスと疲労でダウンするアシュリー。これハーヴェイくんお姫様抱っこしてますよね? しましたよね? そしてもうアシュリーとはライバルというより強敵と書いて「とも」と呼ぶような関係になっていたアリエルは、以前より幼さの抜けた声で自問自答します。

医務室で「体が限界」と告げられるアシュリーですが、反応からしても自覚はあったということなんでしょう。この手の女性が男装して学校に潜入する物語では、女性であることの偽装に苦心する描写が定番ではありますが、尺を削りに削ってもまだ足りないオペラセリアでは、ハーヴェイの補佐があっても相当の負荷がアシュリーにかかっていることをこうした形で端的に示したのは良かったかと思います。

そしてアリエルへの性別バレ。ここからは王道オブ王道ですね。そしてここで、自身が弱っていたこともあり、捨て鉢になってしまうアシュリー。ですがこれは、男装の限界を悟ったということも否定できませんが、強敵(とも)のアリエルを深く傷つけたという自責の念があの諦観につながったのではないでしょうか。アリエルとのライバルを超えた関係をアシュリーも心地よくなっていただけに、傷つけた彼によって全てが終わることで贖罪とするのもやむを得ない……と考えたのではないかと、私は想像します。

そしてそんな彼女を諭すハーヴェイ。彼の役割の真骨頂ですね。彼女が人生観を変えたハーヴェイが、今度はアシュリーを救う。パートナーとして強固な結びつきのある二人ですが、これを言えるのがハーヴェイくんのいいところであり、またミリシタ世界での観客が彼に酔いしれた理由なのでしょう。私もこんなハーヴェイくんが見たかったので、拍手喝采です。

ボロ泣きアリエルくんかわいいですね。彼、きっとプロポーズが成功しても失敗しても泣いちゃうでしょうね。かわいい。そして雨降って地固まる。ノベルゲーや乙女ゲーなら、ここまでが共通ルートな感があります。


■四幕「誓い」


一年間首席をキープし、ついにパーティー参加者として因縁の屋敷に足を踏み入れたアシュリー。でも屋敷を「成金趣味」と指摘する辛口評価は健在。そしてハーヴェイくんは上の学年の成績優秀者として呼ばれたのでしょうが、アシュリーが何をする気かわかりきっているので釘を刺してきますね。まあもちろん刺さらないんですが。

ここで「成金趣味」に対して、初期のように「お兄様を愚弄するのか!!」と突っ込んでくることもなく、あくまでアシュリーがロバート・ヘリックを批評しているのだと理解しているアリエルが登場します。物語中わかりやすい形で成長を遂げる彼ですが、あるいは成長だけではなく、この後の発言からしてもアシュリーの動機を遅ればせながらつかんでいたのかもしれません。喋り方もちょっと大人っぽくなってますね。

そして単身、書斎に潜入して証文を漁るアシュリー。あっこれゲームならバッドエンドフラグだと思ったら、すべてを知っていたオスカーはあっさり証文を手渡します。そして父親の金に頓着していないだけでなく、心の闇が明かされるオスカー。「カネなんて必要ないんだよ」と言いながら、何がしかの書類を握り潰す姿は、アシュリーにとっても意外だったのでしょう。しかし、母を失ったことや非道な父を憎んで内に閉じこもる姿がいかに無意味であるかを、アシュリーは厳しく指摘します。この物語は、自分の意思で自分の道を決めることの重要性を訴えるもの。傍観者を決め込んでいたオスカーも最後の最後で舞台に引きずり出され、演者としてスポットライトを浴びて自身と向き合うことになったのでした。

そして母の言葉を思い出し、愛に目覚めるオスカー。そしていきなりハグ。そりゃアシュリーも可愛らしく狼狽もしますよね。そしてこの直後、様子を窺っていた二人が突入したであろうからこそ、他二人を制してアシュリーと二人きりになったオスカーの行動が「抜け駆け」と評されるわけで。



■星宙のVoyage


好き……。早くライブで聴かせて……。リリイベ本当にやれるなら積み増すから……。

印象的なのは、Cメロ前の台詞パート。この出逢いを運命というアリエルに対して、アシュリーは「運命なんかじゃないわ。これは、きっと……」と答えます。おそらく、劇のテーマ同様、自分の意思で選んだ結果だと言いたいのでしょう。その後の「愛してる」四連呼に至っては、ライブでやったら悲鳴がすごそうだしティアラ生えそう。しかし香里有佐さん、オペラセリアで歌織さんの新境地を開拓しましたね。



■終幕「告白」


屋敷と領地を取り戻し、自主退学して(地元の?)学校に通いなおすことになったアシュリー。そんなアシュリーに対して求婚しようとバラの花をもって集まった三人ですが、オスカーが「うっかり」趣旨を伝えていなかったせいで騒動になるわけですが……お前絶対に事前通告なしの方が面白いと思って黙ってたでしょ。

そして、お兄様相手にも恋の対抗意識を燃やせるようになったアリエル。大人になったね。でも男装解いてるアシュリーの笑顔への耐性はゼロなんですね、かわいい。なんだかんだで、足繁くアシュリーの学校や実家に遊びに来たりするんでしょうね、彼は。

そして医学を志して大学に入り直したハーヴェイ。ただ軍と完全に人生を切り離すことはできないでしょうから、アシュリーに選ばれても選ばれなくても、10年ほど後には試練が訪れるでしょう。ナイチンゲールでおなじみの、クリミア戦争がありますし。


そして求婚されるアシュリーですが。求婚台詞も強烈ですし、改めて、誰を選んでもおかしくないシナリオ構成にしたのは素晴らしいですね。ハーヴェイくんの台詞は同じようなものを書いてたので、とってもご満悦でした。誰を選んでもいいし続きが気になるという意味では、二次創作もめちゃくちゃ捗ります。捗れ。みんな書いて描いて。











私がコトシホ、公式で言えばハーヴェイ×アシュリーを猛烈に推していたのは言うまでもありませんが、一方でこのドラマCDを聴いた結果、聴く回数を重ねるたびにアリエルくん株が猛烈に上がってきていて決めかねているところもあります。いいですよね、どっちも……。




1万字を超えてしまったのでそろそろ締めますが、期待を裏切らず、予想をさせながらもそれを上回るという意味でも、最高を塗り替えていくミリオンらしい素晴らしいドラマCDでした。やはり劇中劇は、ミリオンが他4ブランドを圧倒できる強みの一つですね。なんでTDやりましょう。ライブでもまたミュージカルやりましょう。聞いてるかJUNGO、勝股P。あっそうだJOVオリメンも頼むな。



また、ミリオンBCでは志保と琴葉に演技フラグが立っており、既に演技の魅力を知った歌織さんもいます。まつりはまだ目立つ出番がありませんが、ここは稲山覚也先生、いずれ一回くらい割いてオペラセリア・煌輝座を描いてみませんか? ね? ね??


今後はというと、ひとまずは創作意欲を復活させてくれたオペラセリアへの感謝も込めて、月内めどに公式設定で短編を一つ書いてみようかなと思います。アリエルくん主役で。あと誰かノウハウのある人が、オペラセリア合同誌を立ち上げてくれないもんですかね……。いくらでも出資しますよ。ほんと。

同様にハマった夜想令嬢をリアルタイムで浴びることができなかった私にとっては、オペラセリアには本当に楽しい経験をさせてもらっています。感謝してもしきれませんね。MTWの目玉ユニットであるようですし、8thライブなど今後のライブイベントでの披露が楽しみです。










MA4がミリオン前提の世界線だって話題になってるけど




ある意味で当然だし、今後おそらくシンデレラも283プロの話題も出るだろうし、なんなら315プロの所属アイドルにも言及する可能性さえあるのでは? という話と、アイマスとの距離の取り方の話。







8/5に発売されたMA4第一弾。2007年に初代MAが出る前からアイマスPやってる私も当然コロムビアの通販で買ったわけですが、王道で締めるところは締めつつ、攻めの姿勢も捨てないという感じもあって非常に良い出来でした。コロムビア系列については、プラスタやステラ連動のCDシリーズがドラマCD部分がいまいちだったのでその点もやや心配していましたが、今のところはそれよりは多少マシ、という感じでしょうか。曲に関しては二重丸ですね。




さて、今シリーズのドラマCDでは、ミリオンライブ(ミリシタ)の象徴である765プロシアターがある前提のトークがあり、局地的に話題になっているようです。今日も765プロ円満退社しました、というお気持ち表明がTLで話題になっていて、それを読んでいたらつい筆を執ってしまいました。

件のお気持ち表明は後述の理由もあり紹介しませんが、MA4で軽く他ブランドに触れるのは当たり前と思っていた私としては、「自分もかつてはいわゆる765右派だったから気持ちはわかる。しかし今回については出さない方が筋違いでは?」と思っていました。

以下、話を整理していきますが、別段誰かを批判する目的ではありません。お気持ち表明も昨年私自身がやったばかりなので悪いことだとは言いません。というかもうアイマスの華みたいなところもありますし。江戸における火事と喧嘩のような意味で。

先入観をもって読むとそう読めるかもしれませんが、私とて「ASとミリオンどっちかしかライブ・イベント行けないとしたらどうする?」と聞かれたらノータイムで前者を選ぶような人間です。気持ちはわかるというスタンスで書いてはおりますが、そこまでは責任が持てませんので申し訳ないです。





MASTER ARTIST 4はスタマス合わせのCDである



765ASのコロムビアで出されたCDシリーズは、原則すべてがゲームかアニメの連動です。MAどころか、アケマス時代のMPから、MW、MAを経てML、MS、MA2、AM、生っすか、MA3、PM、MP、そしてSM。以下、歴代シリーズをまとめてみましょう。


・MASTER PIECE     アケマス
・MASTER WORK     箱マス
・MA1          同
MASTER LIVE      L4U
MASTER SPECIAL    アイマスSP
・MA2            アイマス2
・ANIM@TION MASTER  アニマス
・生っすかSPECIAL    同
・MA3          OFA
・PLATINUM MASTER   プラチナスターズ
・MASTER PRIMAL    (ステラステージ)
・STELLA MASTER    ステラステージ



原則としたのは、2017年のMPシリーズがステラステージ発売前、かつゲーム実装曲がないため。ただ、このCDシリーズはステラステージ連動のライブ「初星宴舞」の核となるCDシリーズのため、広義のステラステージ連動としています。

こうした歴史を鑑みれば、MA4もまた、ゲーム連動であると考えられます、もちろん8月に予定されていたAS単独ライブの連動でもあるのですが、実態としてはスターリットシーズン(スタマス)連動、もしくはその前哨戦のCDであると考えるのが最も適切です。立ち位置的には、アイマス2発売の先駆けとなったMA2とほぼ同じ。MA2がまだ発売前のアイマス2の設定準拠だったのは、言うまでもありませんね。

スタマスはコロナがなければ、年末から来年始めごろの発売が見込まれていました。また、MA4はコロナがなければ、6月に単独ライブの応募シリアルをつけて第一弾が出て、その後2カ月刻みに8、10、12月と3枚ずつ発売していたはずです。その場合、裏ジャケも使いまわしの
トプクロではなく、スタマス衣装のイラストになっていた可能性が高いでしょう。

MA1やMA3のようにFINALEが出るかにもよりますが、当初計画のMA4は他ブランドの話題も織り交ぜながら、最終的に「(これまで話題になった)後輩や他事務所の子と今度合同プロジェクトを組んで、私たちがその中心メンバーとなることになった」というオチがつく可能性が高い(or高かった)でしょう。MA4で切り込んで、スタマス発売につなぎ、そのままコロムビアからスターリットマスターのCDシリーズが出る、というのが自然な流れです。CDシリーズ中の時間経過、というのは、MSで当初961だったひびたかが最終の06では765入りしているというケースもあるので、随分前ですが実績もあります。

何もMA4でやらんでも、という声も当然あるでしょうが、アイマス(スタマス)の主柱、要石たるASで地ならしくらいはやっとくのが筋じゃない?というのもまた一理あるのではないかと思います。他の3ブランドでは不可能ですし。

もちろん、筆者も14年目の古参ですしそこそこ面倒くさい性格なので、MA4のトークパートにスタマスの登場メンバー、例えば未来や静香、翼、あるいは他事務所の美嘉、果穂といった面々が声付きで登場したら「そりゃないわ、時期尚早」と批判側に回っていたでしょう。しかし特定アイドルの名前が出るわけではなく、スタマス開始の前提であるシアターができている、そのことに言及があるということには「そりゃスタマス連動なんだからそうじゃない?」というスタンスです。

おそらくですが、真、亜美、響が予定されている第二弾以降でも、仕事先で顔を合わせたシンデレラか283のアイドルについての言及がほんの少しあるのではないでしょうか。スタマスについても、何らかの形で315にも触れたいというバンナムの説明からすれば、例えば連動するMA4かスターリットマスターで律子が遠回しに涼に触れる可能性もゼロではないでしょう。

とはいえ、それも許せない……という人もごく一部ですが当然いるとは思います。繰り返しますが、そこを否定するわけではありません。フラグが立つ機会を奇跡的に逃し続けていたら、私もそっち側にいなかったという保証はないのですから。




アイマスの主柱、要石としての765AS



一般的に活動量においてASの全盛期と言われるアニマス以降から10thまでの間、ASが相当のリソースを割いて2ブランドの滑走路役を務めたのは言及するまでもないことですが、当時のような活動量が維持できないASが常時全力疾走はせずとも持続的な展開ができるのは、そうした取り組みによりコンテンツとしてのアイマスが大きくなったからゆえ……というのは、概ね同意を得られるところではないでしょうか。10thまで全力疾走ができたのも、2009年に「10thまでの5年」とゴールが示されていたからこそですし。

先日のニコ生でも若林直美神が過去形で示唆していたように、2018年夏(厳密にはMR2nd後の秋)以降はマジで何も決まってない状態というのが一時的にですがありました。(ミリシタのLEADER!!、あるいはセンターを担ったバンナムフェスについては18年末に告知されていたようですが)

ただ、あれが過去形で語られたり、石橋を叩いて渡る発言が多かった中村繪里子アイマス単独のドーム(想定される来年のMOIWは絶望的ですが)や20周年に言及するようになったあたり、ここからのロードマップはある程度示されていると考えられます。大規模ライブは2022年になっても厳しいままでしょうが、ゲームの方では来年のスターリットシーズン、またせっかく作ったモデルを1作でお蔵入りにすることはない以上、過去作でいうOFAやステラステージに相当するゲームも計画上では準備されているのではないかと考えられます。

中村繪里子今井麻美の両輪ほか、複数の演者が何度か「10thで終わると思っていた」と述懐していますが、結果的にASは花火のような鮮烈な散りざまではなく、演者も無理なく続けていける持続的展開、終わらないmy songを選びました。それはかつてのように、新鋭艦を従える絶対的な旗艦としてのASのイメージとは違ったものですから、今の展開はやきもきするすることも多いでしょう。ぶっちゃけると私も時々そうです。

アイマス自体は、全体としてはこれからピークアウトに向かう可能性が否定できません。ミリオン(と多分シャニマス)に関しては次の5年でアニメ化が控えているのでまだわかりませんが。ASはもちろん、デレミリの演者もぼちぼち年齢に加えて結婚出産育児といったハードルも増えてくる時期です。これらはASが築いてきたノウハウがある上、そもそも人数が違うのでさほどの障害にはならないかもしれませんが。

そんな中で、初期から携わるガミPやフェチ川の直近の発言を意訳すると、「765ASは一騎当千にしてコンテンツの切り込み隊長」という役割があるとみられます。今後しばらく展開が増えるであろう5ブランド単位の要になれるのは良くも悪くもAS以外にありませんし、また演者の経験値を生かせるという意味でも新たな試みを再び任される可能性は高いでしょう。

例えば、推進が明言されているMR。星井美希のSHOW ROOMは大きな話題を呼びましたが、あれ以上に難易度の高いMR ST@GE(アイマスMR)をASは全員が高水準で実現できます。スタマスモデルやミリアニモデルも活かして他ブランドのMRも今後出てくるでしょうが、ブランド全員が蓄積と経験を生かしたハイレベルのMCやキャラを崩さない当意即妙のパフォーマンスをできてしまう、というのは今のところASのみでしょう。おそらく、5年後でさえも。

据え置きの展開にも左右されますが、無理のない形で続けていく、という路線自体は長い模索もあった10th後の5年で確立されたのではないかと思われます。





■いつでも、しれっと帰ってくればいい



先日、個人的な考えをツイートしたところ少しばかり反応がありました。





もちろん、これは件のお気持ち表明に対してではありません。あの記事は筆者の方も述べている通り、主張そのものではなく表明自体が目的と読めます。古典で言う「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」的なものかもしれません。言いっぱなしではなく、わざわざHN(P名)を匿名にしているのに意図して可燃性控えめにしていますし。

どのブランドを追っていようが、アイマスが特定ユーザーの期待要望に100%答え続けることはありえません。ASもデレもミリもMも、初期構造のレベルから建て増しによるものまで含めて、相当の弱点や矛盾を抱えつつ上手く破綻の道へ進まないようにやりくりしているように見えます。そうした4ブランドの成功や失敗を踏まえて作られたシャニマスも、今後は無縁ではいられないでしょう(もう既にあるという意見を否定するわけではありません)。良くも悪くもそれらへの対応と変化なしに長寿コンテンツは成立しないというのは、MA4でも示唆されていますし「New Me, Continued」にもそうしたメッセージは込められていると感じます。

アニマスから入ったPでさえ、来年には10年目ですかつてディレ1が、趣味特技がなかったという中村繪里子に「10年くらい続けていること(が趣味特技)でいいんじゃない?」と言ったのは9thライブで明かされた有名なエピソードですが、趣味特技レベルに続けていれば個々に確立したアイマス論もあるでしょう。アイマスは宗教、というのも冗談じゃないPもいるでしょう。退けないものは退けない、認められないものは認められない、取捨選択を意識できている方ですら我慢ならないものはある、当然のことです。ミリオンにもどっぷり漬かり、765ミリオンエールスターライブ熱望し、一般的に転向左派扱いであろう私でも、ミリオンで一部の特定曲がカバーされたらキレ散らかすこともあるでしょうし、6thSSAでのJOVの一件はまーだ許してないからなJUNGOと勝股PでもMR ST@GE encore開催は心からありがとう。


少し脱線しましたが、もうどうしようもない、我慢できない、そういう時は、立つ鳥跡を濁さずの精神で慌てず騒がず、ちょっと距離を取るのがいいのではないでしょうか。大仰に騒いだり、減点要素ばかり探してあげつらうようになっては、しんどいだけですし人も離れますし、長期的には大好きだったアイマスの思い出まで自ら汚してしまいます。

一時は先行きが心配されたASの展開でさえ、よほどのことがない限り5年後も存在しているはずです。もちろんコロナ抜きでもかつてのようなライブはますます難しくなったり、単独展開の一方でプロジェクトルミナス、また今後飛躍するであろうミリオンの方での出番が増えることはあるかもしれませんが。

しんどい時は離れて、またしれっと帰ってくるくらい、長くアイマスPやってるとしばしば目にしてきましたから珍しいことではありません。例えばSPで離れたP、9.18で離れたPも、一定数はその後活動期間はともかくとして戻ってきているのを私は知っています。

かく言う私も、2015年の夏にとある事情(10thが主因ではない)で燃え尽き症候群になった後、16年から17年後半まではプラスタこそ買ったものの明確にアイマスと距離を取った時期がありました。今は少なからず後悔していますが、あの時の状況では仕方なかったし、一旦距離はとりつつも適切なタイミングで戻ってきたからこそ、またその間も多くのPさんがコンテンツを盛り上げ続けてくれていたからこそ、アイマスに触れた07年と同等かそれ以上に楽しめています。いつぞや匂わせたASが一区切りしたらアイマス引退、というのはほぼ撤回に近い状態ですが、AS第一の姿勢は今でも変わりないですし、日の目は見ないですが昨年のMR再演要請の件など、あちこちへのお手紙攻勢は今も続けています。

アイマスだけになるな、というのはディレ1が演者にかけた言葉として伝わっていますが、P側も同じことは言えるのではないでしょうか。一度距離を取ったら終わり、全力疾走をやめたら終わり、そんなことは決してないというのを、他ならぬASの演者さんたちも実践しているわけですし。

しんどければいつでも戻れるような距離の取り方で、少し休むのもいいでしょう。長距離走である以上、給水やピットインととらえてもいいでしょうし、風向きが変わればコンテンツの受け止め方も変わってくるはずです。クソデカ主語や暴言で立つ鳥跡を濁しまくった、とかとなるとまた別ですが。


アイマスは10年以上前と違い、単年で続くか終わるかが判断されるようなコンテンツではなくなりました。私もバンナム株主になって1年ほどが経ちますが、決算資料でも社の看板コンテンツとしてアイマスの名前がよく挙がっています。

誰かが離れているその間もアイマスというコンテンツは存続していますし、何より残っている人間が簡単には終わらせはしません。何ならファン増やす活動もやっときますよ。
私がそうであったように、時間やきっかけでわだかまりが解決してくれたら、また戻ってきてくればいいんじゃないでしょうかと、心から思います。







あっそうだ、ここまで読んだけどMA4まだ買ってない人は、お勧めなんでぜひ買ってみてください。これは予言ですが今後発売される「MA4 04 菊地真」は名盤です。

https://columbia.jp/idolmaster/imasnews/200731.html
https://www.amazon.co.jp/dp/B08B6DT81D








……そういや円満退社って言葉、私の副業の業界だと退社後も復帰したり形は変われど仕事に関わり得るという時に使われるのを最後に思い出しました。アイマスでもこの言葉を使ったディレ1が、しばしばアイマス絡みの場に足を運んだり、バンナムアイマス振り返り企画に登場したりしてましたね。

ミリシタでの菊地真のプロデュースはこの先どうすべきなのか #アイドル投票TD






ミリシタ3周年おめでとうございます。日頃の概ね満足のいく運営や、7thライブ中止後には思い切って過去の1st~5thライブを配信してくれた対応策には本当に頭が下がります。

周年フェスは大方の予想通りMPUでしたが、皆さんの引きはいかがでしょうか。私は一点狙いの朋花を50連で引けたので、あとはゆるゆると無料分だけ回すことにします。

なぜかと言うと、やめときゃいいのにアライブファクターをPRまで走って疲弊していたところに、直後のSSR真で天井したからですね。つまり、そもそも石ないです。







3周年を前に投下された、菊地真のSSR5枚目「雨が起こした奇跡 菊地真は真P界隈に衝撃を与えました。真Pにとって一つの目標であった「かわいい全振りの専用衣装」をようやく真が手にしたためです。


もちろん「かわいい」一つとっても各々の真Pの理想のかわいいは千差万別なので、いわゆるまこまこりんと(コミュやブログも含めて)距離が近い今回をどう評価するかもまたそれぞれなのでしょうが……。ただ、限定ということを度外視しても把握しているだけでも私を含め30人くらいの真Pが天井に至って死屍累々となっているあたり、おおむね高い評価なのではないかと思います。私も、カッコいいがしっかり描かれた上での今回については、肯定的な立場です。

真P各位の奮闘で勝ち取ったTCの「World Changer」、また新たな境地を開拓したMTWの「ラビットファー」もあり、昨年度の真はミリシタにおけるASとしては非常に出番に恵まれました。ファミ通の特集では担当ランキングで真とこのみさんの師弟が躍進と書かれていましたが、twitterでさまざまなアカウントを見ている体感でも、真Pは増え続けているのかな、という手応えはあります。

また、東京ドームで開かれたバンナムフェス初日でも平田宏美さんが戸田めぐみさんとともに765ミリオンスターズのメンバーとして「Beat the World!!!」を披露する大役を担いました。あの日のユニット曲4曲で、国内主要イベントで唯一オリメン披露済みのBtWがあの東京ドームで披露されたのにはいくつか理由があるでしょうが、一つとして賛否はありましたが歩とグリー時代からLTP、LTH、LTDと組み続け、積み重ねた絆が生んだ成果と言えるでしょう。

一方で、MTW消化済みの真にとって残るイベント実装可能性のある曲はLTPの「Fu-Wa-Du-Wa」のみ。これもメンバー編成などもあってはっきり言えば人気曲ではなくライブでの披露も一回きりのため、実装は相当後回しになることは想像に難くありません。SSRも今回で5枚組となったことで、早くても来春まではないでしょう。新規カードはミリクロ、ミリコレがあるかどうかです。つまり、イレギュラーなものがなければ真の出番はこのままでは1年どころかそれ以上先まで限られます。

「ASはスタマスやMA4があるじゃん」と言われればそれも一理あるのですが、経験を積み重ね、13人の世界線とは違った成長を遂げられているミリシタの世界線は真にとって貴重な舞台です。特に真は39プロジェクトのメンバーとの交友関係には偏りがあった過去もあり、まだまだ大鉱脈が眠っていると私は感じています。今回のめぐまこも良いですよね。うみまことかもどうですかね。


「Birth of Color」にはクールもかわいいも叶えていける、という歌詞がありますが、真は2年前にはミリシタで不足していた「かっこいい」をアピールし、今回はかなり振り切った「かわいい」を披露しました。ではこの先、ミリシタで真はどの方面を伸ばしていけばいいのか、また真PはどうPRしていけばいいのか、というのが今後の鍵となります。



「いや、考えてもその場がないじゃん」、と思う方もいるかもしれません。


ですが遠からず、その場は嫌が応にもやってくるでしょう。
それは、THE@TER CHALLENGE!!ことアイドル投票TCに続く「アイドル投票TD」です。





☆TDの時期はそう遠くない



しょっちゅう木の下に埋まるガバガバ予想に定評のある私ですが、今TDをやると予想するのにはそれなりに根拠はあります。まず、以下はMTWの未消化メンバーです。






ここまで来て混合はないでしょうが、残りは8ユニット、多くても9ユニットです。ミリオン信号機が揃うのか、もはや都市伝説めいた経緯がうわさされるレイジュリモモのユニット誕生はあるのか、演技ガチ勢ユニットもあるのでは等、色々と注目されるところですが……。

ミリシタ内のイベント消化次第ではありますが、年度内にもMTWは終わります。次のCDシリーズの01は4周年曲からでしょうから、このままだとMTWと次のシリーズに3ヶ月ほど空白が出ることになります。おそらく、その間をTDが埋めるのではないでしょうか。

諸事情で遅れに遅れていたTC03も来月末に発売され、リリイベを度外視すればTCはようやく終わり、状況は整います。約1年半が空き、ゲーム内のバランスなどの情勢もある程度は整備されて選挙をしやすい時期にはなりました。

TAイベントが全消化されていないのは気になりますが、TCがTB03のイベント開始前に発表され、1か月半後には役が発表されたことからして、もういつTDの発表があってもおかしくはないでしょう。もし4-6月にTDイベントを考えているなら、ミリシタのいわゆる半年ルールからしても8月中には投票を始めたいはずです。




最短であれば来週末。ただそれはちょっと早すぎるので、発表するなら次のMTW生、あるいはアイマス全体の周年生などもう少し後の機会かもしれませんが……。

いずれにせよ、秋までには投票がある心積もりでいた方がいいのかな、と私は考えます。





☆では、真はどうするべき?




やっと本題ですね。私はTXシリーズについては、役を獲るという大前提はありつつも、P側にとっては「担当の子のプロデュースのプレゼンを兼ねる」という企画だと捉えています。

TB、TCでは特にそうですが、この手の投票企画ではミリシタに限らず運営は莫大な量のビッグデータを得られます。課金の動きのような直接的なものから、それぞれのPが何を考え、どうPRをしているかまで。そしてすべてではありませんが、期間中のP側のプレゼンをその後くみ取ることもあります。

TCでもそうした傾向は一部で見られ、表裏ともに大量の記録を(次の選挙のためが第一義ですが)誰にでも見やすい形で残した真陣営の妄想や真のプロデュースのあり方についても、ある程度はベルベットやその後の真の描写に生かされたようにも考えられます。もちろんすべて、単なる偶然なのかもしれませんが。


TCの真陣営の活動の詳細については、以下の記事でまとめています。

【ミリシタTC】ある #TC菊地真 陣営Pの回顧録と分析、感想
https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1723739




菊地真は、カッコいいだけでなく他の子に負けないかわいいも持ち合わせる特性、また両者のギャップが大きな魅力です。幾多の菊地真の完成形でも、カッコいいもかわいいも兼ね備えるルートに進んだ作品のシナリオは比較的評価が高いです。

これについてはミリシタでも、メインコミュでようやく、ようやく真の高いプロ意識とともに触れられました。







TC投票が始まった18年当時はミリシタでASの出番がかなり限られ(これはまあ客観的には妥当ですが)、真の描写についても長年の真Pが首を傾げることがしばしばありました。それでもミリシタからの真Pがかなり増えているので、限られた出番で真の魅力を感じてくださった方が相当数いるのはありがたい限りです。

その中で、当時は「カッコいいもかわいいも真の魅力だが、ミリシタではカッコいいさえ十分にアピールできていない」という声が多数でした。18年末に既に収録されていたとみられるアイドルヒーローズの「黒髪」が明らかになっていれば話は別でしたが、そうした経緯もあって真陣営はベルベット役獲得で大半は一致し、開始一週間前から事実上の選挙活動を進めた電撃作戦も奏功して勝利を収めました。一方、妖精役やメイド役を期待する真Pもおり、結果的に道をたがえることも肯定した上での活動でした。(上述の振り返りではその経緯をまとめています)

その後、ライターが変わったのか真の描写は19年度からかなり改善され、MTW「ラビットファー」のイベントコミュでは真や雪歩ももちろん、このりおのセクシー師匠たちも暴走することなく「真のナチュラルな可愛さ」という明確な指針が登場します。

まこまこりんのように過剰に演じなくても、真は十分にかわいいのです。




メインコミュでの「透明感」については解釈が分かれるところですが、私はミリシタで提示されてきている真の可愛さについては、まこまこりん路線のようなこってり味ではなく、そのままの「透明感のある可愛さから、爽やか可愛い路線」まで広く余地を残したものと考えます。

これまで私は、TDが来た場合は両者の中間くらいを狙いすました「かわいい」をアピールすべきと考えていました。

52人の中で差別化するならカッコいいが強いのは承知の上ですが、TXは役獲得だけでなく「担当の子をどう描写してほしいか」のPR合戦でもあると仮定するならば、勝ち筋も見ながら真の「かわいい」をPRしていくことが、ミリシタでの真の可能性と活動の幅を広げるものだと判断したからです。

もちろん、内部的にもカッコいい一辺倒ではまとまらないという事情もあります。以下のTD模擬戦やTC反省会でも、ある程度それを意識して動いていました。


菊地真Pの集いの #アイドル投票TC #アイドル投票TD 関連議事録
https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1826458

菊地真P陣営の #アイドル投票TC 反省会と #アイドル投票TD 準備会議事録https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1839996

これらは1、2回目とも19年後半のものなので、考察はともかく模擬戦の内容も古くなってしまっています(年末に3回目もやってますが諸事情で議事録をまとめていません)







しかし、次の投票企画を前に妖精真が来ました。黒髪やベルベットのようなカッコいいでは三番煎じ、振り切った可愛いはやったばかり。となると、役次第ではありますが前回もあわや分裂の危機だった真陣営が一致団結するのは容易ではないですし、団結できなければ人気中堅レベルの真が役争いで上位を狙ったり運営へのアピールをするのは厳しいです。




☆考えられる指針



そんな中、役がまったく決まっていない状態で考えられる方向性は二つあります。



一つは、ナチュラルな可愛さ、あるいは爽やか可愛いの追究です。これにはわかりやすい喩えがありますね。




篠宮可憐役の近藤唯さんや、詩花役の高橋李依さんらを真沼に沈めたアニマス真回のこれ、いわゆる「麦わら白ワンピ真」ですね。ミリクロのピュアワンピース真がTDに間に合うかは微妙なところですが、この路線を強く推していくことは比較的他担当Pにもわかりやすく、真の魅力アピールにつなげられるでしょう。



もう一つは、13人の765プロ世界線でさえ機会がめったにない「センター・主人公狙い」路線です。

TXシリーズの投票企画は、あまり適切な言い方ではないですが、日頃脇役ポジションに回りがちな子が適切な戦略とPRで主人公格や重要な役を射止めることがあるのも大きな魅力です(無論ベストを尽くしても横綱相撲で押し切られることも多々ありますが)。


真はミリオンではBIRTHのユニットリーダーですが、ミリシタでは彼女がメインに描写されたわけでもありません。真自身、どちらかと言えば脇の方が活躍させやすいのは公式非公式の描写を問わず認知されているところですが、とはいえやはりTBやTCを見ていると「一度でいいから菊地真を主人公格として存分に活躍させたい」という欲はあるでしょう。

こちらは真P内部の団結は促せるかもしれませんが、浮動票にどう働きかけるかが重要になるはずです。特に真は、組み合わせ次第では前回勝っている関係でマイナス補正がかかる場合もあるので。



第三の道としては、真のお仕事コミュの妄想で出てくる「リボンの騎士サファイアのような役」を目指すというのがありますが、これはテーマと役ガチャに左右されるのでかなりシビアかな、とは思います。なお先述の模擬戦では意図的にそういう役を仕込んだことはありますが、当時はメインコミュや妖精真の前ということもあり、そこまで人気はありませんでした。








TDがいつあるのかは運営のみぞ知るですが、さすがにやらないという選択肢はないでしょう。

一方で、3周年記念映像で出ている以下の公式のメッセージからして、TDは「THE@TER DISCOVERY」、すなわち「魅力の新発見」を要求してくる企画になる可能性も少なくありません。こうなると役選びは新発見や開拓が前提となり、過去3回とまったく方向性が変わってくるので、選挙戦が混沌としてくることになります。真にとってそうなった方がいいのかは、まだわかりませんが……。


https://www.youtube.com/watch?v=woGVN0Zb8CI



真に限らず既存曲が枯渇したり使われる可能性が低い子にとっては、投票イベントはアピールだけでなく出番確保という意味でも正念場です。真はLTPがまだありますが、MTWまでのミリオンの既存ユニット曲を使い切っている子も既におり、その陣営は次も猛威を振るうでしょう。正直戦いたくない。


残された時間がどの程度あるにしても、真をミリシタの舞台でどう輝かせ、どんな曲を歌わせてやりたいか。そのためにはどんなアピールをするべきか。そのうちまた真Pで集まって、交流も兼ねてしっかり話し合えたらなあ……と思います。前回はそれが役獲得に直結しましたし。




それにしても真はかわいい。まこかわ。





「ミリオンライブ Blooming Clover」はゲッサンミリオンに並ぶかもしれない #ミリオンBC









アイマスには直接関係はないが、グラップラー刃牙シリーズにおいて地上最強の生物として君臨する範馬勇次郎の名台詞に以下のようなものがある。

「競うな 持ち味を生かせッッ!!」



勇次郎の友人で怪力無双のビスケット・オリバが、居合いのような神速の戦闘スタイルを使う中国拳法家と戦って苦戦し、相手のステージで戦ってしまったときに発した言葉だ。この後オリバは、そのアドバイスをもとに自身の持ち味である怪力と鉄壁の筋肉で相手をねじ伏せるのだが……。








比較されたり戦う相手より成果を出すために持ち味を生かすのは、漫画においても同様だろう。約1ヶ月前に6巻が発売され、7巻の発売が7月、そして7~8巻相当までが5月6日までウェブ先行公開されているアイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」(稲山覚也・作)もまた、持ち味を生かすことで大化けしているように思える。













ミリオンのコミカライズについては、旧ミリオンライブ時代の通称ゲッサンミリオン」(門司雪・作)が14~16年に連載され、高い評価を得ている。




未来と静香の関係性に主軸を置き、翼を加えたいわゆる信号機の物語として極めて完成度が高く、一部では「聖典」とさえ言われる。物語から生まれた曲のうち「君との明日を願うから」「アイル」は250を超えるミリオン発の曲の中でもトップクラスの評価があり、もしミリシタで実装されようものならイベントボーダーがぶっ壊れ、いつかライブで再演される時にはその日のセトリの看板として扱われるだろう。

ミリシタから本格的にミリオンの世界観に入り込むようになった私自身も、初手としてこの漫画を勧められ、現在のようにどっぷりとハマる要因の一つとなった。神格化されすぎとの指摘もあるが、連載当時のブランドの状況から某所で見た「Bクラス常連のプロ野球チームで山田哲人みたいな選手が台頭したらそらそうなるやろ」という意見にも頷かせられる。

アイマスのコミカライズは玉石混淆だが、私はスピンオフ系統を除けば、ゲッサンミリオンとざわわんことアイドルマスター2 The world is all one!!」(祐佑・作)が双璧と考える。




ざわわんも最終的には竜宮小町など765AS全員に出番があるものの、基本的には春香・響・雪歩のトリオユニット「SprouT」の物語である。ゲッサンミリオン同様、スポットライトを当てる子を絞って名作に仕上げたタイプの漫画だ。一貫して王道だったゲッサンミリオンと、961プロのスパイがプロデューサーになるという変化球から入って最後は直球の王道で締めたざわわんは路線としては違うものの、根底にあるコンセプトは遠くない。



◇ミリオンBCの持ち味とは



さて、本題である。


本稿で取り扱うミリオンBCは必然、このゲッサンミリオンと対比される漫画だった。現在6巻、連載では8.5巻相当まで物語が積み上がっている。単独コンテンツ化している例外を除けばアイマス関係のコミカライズは5巻が一つのメドなので(ゲッサンミリオンもざわわんも好評を受けて連載を延長して5巻)異例の長編となっている。連載開始は2017年春。ミリシタ発表直後からであり、世界観もミリシタ準拠。桜守歌織白石紬、事務員の青羽美咲は2巻途中からの加入となっている。ASはムビマス相当の場を踏んでいることが示唆されており、天海春香星井美希をはじめたまに出てきては先輩らしさを発揮していく。




BCの主人公は矢吹可奈北沢志保のいわゆるかなしほ、また2~5巻までは特に物語の中心となる、高坂海美箱崎星梨花を加えた「Clover」が主軸を務める。ゲッサンミリオンで主役を張った信号機は、既にある程度の人気がある「シグナル」というミリオンスターズ第一弾ユニットとして登場するが、要所で役割を果たすものの出番自体はそこまで多くない。

可奈も志保も、年齢的な理由もあるがアイドルとしての初期能力はどちらかと言えば低い部類に入る。BCではこの点がクローズアップされており、またCloverでは星梨花も体力面にかなり難がある。対してメンバー最年長の海美はミリオンスターズで屈指の身体能力を持っており、このギャップ、また同時期に結成されたお馴染みトライスタービジョン(田中琴葉、所恵美、島原エレナ、以下TSV)とダブルエース(横山奈緒佐竹美奈子)も比較的スペックが高めのユニットであったこと、これらがClover結成後の3巻からデビューライブまでの5巻に渡る物語のポイントとなる。


※全体的にBCの海美の身体能力はおかしなことやっとる




デビューライブ編は合間にTSVとダブルエースの話を挟みつつ、Cloverの葛藤と成長を描くストーリーとなる。ただ、BCで詳細に示された志保の家庭事情など重めの話や、4人の葛藤のパートが長いため、リアルタイムでは4巻途中あたりまでの評価はほどほどだったという印象が強い。また、BCの絵柄やプロデューサーの造形がゲッサンミリオンと比べればクセがあること、またギャグ表現では年少から年長まで遠慮なく表情を崩していったりするのもあってか、何かと先達と比べられ、また担当P以外には敬遠される向きもあったように思える。

風向きが変わったのは、デビューライブ前に結果が出せない中、弟の陸を泣かせてしまったことで志保が消息不明になり、アイドルを辞めようとした辺りからだろう。ムビマスとは真逆の形になるが、可奈、海美、星梨花が志保を救うシーンは、それまでの蓄積と「連鎖」を生かした名場面であり、この辺りから「連鎖」を生かすBCの強みが発揮され始める。

ここでいう連鎖とは、人間関係でもある。主な登場人物を信号機+数人に絞っていたゲッサンミリオンと違い、BCはCloverとシグナルを除く他ユニットを軸に、段階的ではあるが比較的広めにミリオンスターズの出番を増やしていく傾向がみられる。それは時に物語の進行を遅くするのだが、海美がかつて通っていたバレエ教室のエピソードや、悩む星梨花にドルオタらしい視点でアドバイスする松田亜利沙、そしてムビマスを思わせる関係性で志保の価値観を揺さぶる水瀬伊織といい、多様な人間関係の交錯がストーリーを構築するのだ。それは、3ユニットのライブシーンが描かれ、ユニットに選出していないメンバーが前座やサポート役としてライブにかかわる5巻も同様である。


Cloverの4人のみのストーリーでは、BCは良作の域を出ないだろう。

ただBCの持ち味であり強みは、繰り返すが連鎖である。その起点は可奈と彼女のアイドルとしての特性であり、それが波及してユニットメンバーを変えるきっかけになっていく。それはCloverだけに留まらず、高山紗代子765プロに合格して恩返しとばかりに彼女をサポートするきっかけになったり、ゲッサンミリオンでは物語の鍵だった最上静香の「時間問題」を春日未来が一定程度解決することにつながっていく。


Clover以外の――夜想令嬢などが中心になる6巻以降により顕著になるが、ミリオンBCは群像劇を描くことで十全に力が発揮されるのだ。






実は2巻の時点で示されていたコンセプトではあるのだが、連載期間を縛られない長編でなければ実現するのは困難である。どの段階で「ミリシタが安定飛行に入ったし期間決めずに描いていいよ」となったのかはわからないが、世界観――物語の風呂敷を恐れず拡げていけるようになったのが大きく奏功したのは間違いないだろう。5巻から6巻にかけてミリオンBCは既存作品との対比や連載期間の軛を脱して、単体ユニットメインからシアター全体を掘り下げ、交差させる群像劇に移行する路線を確立することで独自のポジションを確立していく。





夜想令嬢を軸に、さらに拡がる群像劇




デビューライブ編は、3ユニットが無事にライブを成功させ、Cloverは新曲「Clover days」を披露し、志保がコラでおなじみの例のシーン以来ぎくしゃくしていた弟のりっくんや、可奈との関係を改善させて一区切りとなる。既存のアイマスコミカライズなら、ここで連載完結となりそうな場面だ。

ちなみにTCの選挙戦やクルリウタのコミュを見ていると、このライブで「前座」を務める茜ちゃんこと野々原茜がより刺さるのだがそれは別の話。


やや脱線したが、BCでは6巻以降、新ユニットのストーリーが展開される。中心には引き続きCloverが居て、ユニットの方向性を模索しながら成長していく。後述する30話では、その完成形の一端が示されるのだが、そのきっかけにもなるのがミリシタのMTGユニット一番手にして、ミュージカル風の楽曲、そしてライブでもミュージカルをやり遂げることでアイマスの歴史に大きな一石を投じた「夜想令嬢」(二階堂千鶴天空橋朋花、所恵美、百瀬莉緒)だ。ちなみに筆者がミリオン沼に頭まで浸かり、万難を排してライブ現地参戦するに至った最大の要因でもある。 6巻以降は、彼女たちがCloverとともに世界を拡げていく。






分厚い設定資料集が存在していると明言されている夜想令嬢だが、実はゲーム本編での情報は意外に少ない。また、イベントコミュでも4人は最初からある程度適応しているが、専門家である演者さえ苦闘したエピソードを踏まえれば、実際には演劇をやるのは容易でないのは確かと言える。

BCの夜想令嬢は、演じることに長ける千鶴と朋花はともかく、恵美と莉緒が迷走することになる。形は違えど、それは「ミリシタでもこういう背景はあったのかもしれない」と思わせるエピソードだ。

BCの恵美は、夜想令嬢の前からTSVのメンバーとして活動している。この3人は旧ミリオンライブからの歴史ある組み合わせであるし、4thのアニメでも、琴葉合流コミュでも3人一緒だ。MTWでも念願だったユニット曲が近く公開されるのがほぼ確実である。 (5/7追記 どうも外したようで……予想記事以外で予想外すの恥ずかしいの極みです)




だがしかし、恵美はご存じの通り過剰なほどの気配り名人である。夜想令嬢としてレッスンをしていても慣れない演劇に苦戦し、自分らしさを封じて「うまく演じる」ことに苦悩し、失敗のたびに夜想令嬢のメンバーや「演じる仕事がしたくてアイドルを志した」琴葉のことを思う。さりとて慣れないメンバー間では迷惑をかけられないと弱音も吐けず、ますます泥沼に入り込む。

ちょうど同じ頃、可奈も「うまく歌う」ことで壁にぶち当たっており、志保ともケンカしてしまっていた。一人悩んでいた恵美は偶然可奈たちと出くわし、互いに「うまく歌う・演じる」ことが間違いではないかとまでは気づくのだが……。









ここでプロデューサーのはからいで派遣された双海亜美・真美の仲介もあり、志保を除くCloverとTSVが集結。ゲーセン、カラオケを通じて、迷宮入りしかけていた2人の悩みを解きほぐしていく。こうして可奈は志保から出されていた「宿題」をクリアして仲直りし、恵美も演技面で壁を一つ越える。







そして、演出家からは当初封じるよう指示していた「恵美らしい」温かさや優しさが、恵美自身が殻を破ったことで演じるエドガーに好影響をもたらしていると指摘される。これはドラマCDやゲーム内コミュでの夜想令嬢にも言えることだが、エドガーからは恵美らしさも滲むところはある。







一方、恵美ほどは演技に苦戦していないものの「私は私に自信がないから、どの演技が正解か自信がない――」という莉緒は、恵美を励ませなかった自責の念もあって、新しい挑戦としてセクシーを封印し、同様に可奈と志保のケンカを止められなかったことを悔いる海美と同時並行で迷走する。




※誰だお前。



ちなみに恵美と違って莉緒は演技能力自体はそこそこ高い(ので演技プランを複数用意できる)ので、この後はとあるイベントを経て、海美とともに宮尾美也のアドバイスもあって吹っ切れる。この辺りは再来月発売の7巻でも見られるので、無料公開ページか単行本で見てほしい。志保が演技方面に開眼するフラグも立てているので、かなり先の伏線にもなっている……気はする。


続いて千鶴は、後述するジュリア・星梨花と連なるエピソードで自分の選択と向き合うこととなる。

千鶴の演じる主演のアレクサンドラは、男装の麗人にして高潔な騎士である。高位のヴァンパイアさえ単騎で討ち取れる浄化の異能と卓越した剣技を持つが、妹のノエルを案ずるがあまり選択を誤り続け、劇中では明示はされていないもののおそらく最悪の結末を迎える(それがまた良いのだが)。

そのアレクサンドラを演じることは、ささいなきっかけでセレブを演じることになり、そのままスカウトされてしまい破綻と隣り合わせのセレブアイドル人生を歩むことになった千鶴自身と向き合うことを余儀なくする。これはゲーム内コミュでも触れられている。







千鶴自身の場合は「期待を裏切りたくない(そして破綻しない程度の才能と努力もできる)」、アレクサンドラの場合は妹を傷つけたくない、という違いはあるが、ある意味で同根の問題だ。


 
※1巻おまけより







「選択と責任」。


定期公演で彼女は、かつてのバンド仲間と出くわして過去と向き合うことになったジュリア、父親とアイドルを続けるか否かで対立してしまった星梨花とともにある曲を歌う。ゲッサンミリオンの「アイル」を想起させる演出で、また観客の多くはその背景までは理解できずとも最高のパフォーマンスに酔いしれるところも同じなのだが、今の道を進むことを肯定する歌を歌うことで、アイドル二階堂千鶴もまた、一歩前に進むのだ。





多分この曲は、冬ごろの8巻特装版CDに入るのではなかろうか。





そして、天空橋朋花である。

作中でも演劇に限らず、何もかも完璧とまではいかないものの天賦の才があると評価される朋花。しかし、彼女自身が自分から歩み寄るタイプではないため、夜想メンバーもそこまで踏み込めずにいた。って、こうやって書くとこの時点においても内外共通のキャラクター性なんだなあ……。

ミリオンBCでは、朋花の幼少時の姿が明確に描かれる。BCではこれまでも志保の家庭環境、うみみのあねね、星梨花パパ、ジュリアの過去のバンド活動、ひなたの実家などの新設定が公開され、いくつかはミリシタでそのまま登場している。7~8巻相当のジュリアのエピソードも、いずれメインコミュか何らかのイベントコミュ、あるいは曲名SSRで出てくるだろう。

全てがそうだとは言わないが、ミリオンBCは膨大な設定があるミリオンの設定をある程度先出しする役割も担っていると考えられる。現状ではコミュやイベントも出せる数が決まっており、塩漬けになっているものも多いはずだからだ。


本題に戻ろう。朋花は幼少時から天性のカリスマ性があり、それゆえにその運命にふさわしい自分であろうとしていたと本人の口から語られる。
 



しかし朋花はプロデューサーに「人に崇められるばかりも楽じゃなかっただろう?」と問われる。彼女は聖母であり続けることを幸せだとして「運命は自分の理外にあるが、それを幸せとするか不幸とするかは自分の心持ち次第です」と回答する。





そうした中で描かれたこの一コマは衝撃的だったのだが……。
一方で朋花は765プロに入り、仲間を得たことで生まれて初めて心境も変わった、そして「聖母として子豚ちゃんたちを導くのと同じくらいに、誰かとともに道を歩めることは心温まることなんですね」とも語る。この時の表情がまた良い。ブレハモのイベントの際にその一端はあったが、少なくともミリシタ時空において、ここまで朋花の内面が示されたのは初めてのはずだ。これもいずれゲーム本編で還流される内容だろう。もしかしたら次の曲名SSRもありうる。





この時よりさらに一歩二歩踏み込んでいるように思える。この辺り、天空橋朋花検定免許皆伝のこっこちゃんに機会があれば語ってほしいところであるのだが……。




さて、朋花ともっと仲良くなりたいとプロデューサーのところに押しかけてこの話を聞いた気配り名人揃いの夜想令嬢のメンバー3人は「ともにアイドルとして道を進む同志になりたい」と今まで以上に朋花との距離を詰めていく。そして4人で稽古に入る場面の見開き。このシーンは読んでいて、思わず山王戦の安西先生みたいになってしまった。




夜想令嬢、ユニットとして完成するには絶対に朋花との距離を詰めていく場面があってしかるべきなんですよね。朋花自身は上記のように思っていてもお友達作戦をするような子ではないし、だからこそ3人の方から距離感詰めていくシーンが必須なんですよ。それでこそあのミュージカルがさらに完成するわけですね。そういう意味でもこのユニットを深掘りしてくれたBCには感謝しかないんですよね(ろくろを回す)





そして、いよいよ月末の最新32話ではBC版夜想令嬢公演が描かれる。Cloverら他ユニットと連鎖して好循環を生み出しながら、公演の目玉として登場するミュージカルと「昏き星、遠い月」がどうなるのか楽しみで仕方がない。しかし、ここまで影も形もない伊織や昴はどうするんでしょ。ルカはともかくノエル抜きは無理がありそうだけれど……。




◇時代の風と「Clover days」という曲




夜想令嬢のエピソードと並行して、劇中では木下ひなたのストーリーも進行している。立派なアイドルになるまで家族とは会わないと決めていたひなた。シアターの「7日間連続公演」の初日にCloverとエミリーと共に出演することとなり、いよいよ満を持して家族を呼ぶことになったのだが……。
(ちなみに31話において、彼女の地元は北海道壮瞥町で確定した。出身ではないけれど土地勘ある道民の私が言うので間違っていることはありえない。おそらくミリシタでは「"Your"HOME TOWN」イベントの際にこの設定が還流されるはず)

しかし、無情にもひなたが出演する公演初日は、関東に台風が直撃することが確定的となっていた。




公演2日前、プロデューサーは公演初日の中止を決断する。可奈の「少しだけでも来てくれる人のためにできないか」という提案に、プロデューサーは「ファンやみんなに危険があるから中止にするんだ」と諭す。エミリーは「ひなたさんは家族を呼んでいる。ひなたさんが楽しみにしていたその公演がなくなるなんて嫌です」と彼女にしては珍しく大声を上げる。

しかしひなたは、かつてリンゴ農園が台風で壊滅した経験を挙げながら「生きていたら仕方ないことがある」と農家らしい諦観の笑顔を見せた後、明後日はライブもなく、家族にも会えないことを再確認し――








この回が掲載されたのは約一カ月前の3月末である。

既にミリオンクルーズやアイマスMR、SideMプロミやシャニのスプパが軒並み中止になっていたとはいえ、このエピソードがこのタイミングで載るように構築されたのは早くとも半年は前のことだ。しかし、あまりにもタイムリーすぎる。
だからこそ、偶然であってもこの回のエピソードは強く胸を打つ。

「何かできないか」

可奈の提案を皮切りに、シアターが一つになって動き出す。





この回は無料公開分より先のストーリーなので詳細は省くが、5巻のライブ場面と同じくらい、最終話かと思えるほどにこれまで拡げてきた世界を生かす構成になっている。贔屓の夜想令嬢を抜きにしても、私がミリオンBCが大化けしたと公言する所以だ。

悩んでいたひなたは、シアター一丸となって作り上げた成果を見ながら、改めてアイドルとしての原点を再確認する。そしてCloverはある方法で「Clover days」を披露するのだが……。





このコロナ禍の状況に、念願のアイマス15thイヤーが来年も含めて壊滅必至の状況に、ひなたのエピソードとこの曲の歌詞は刺さりすぎる。本当に、誂えたかのように。
舞い上げて Clover Days
長い長い 夜を越えたら
傷跡も痛みも 未来に変えよう(Aサビ)

追いかけて Clover Days

涙と 夜を越えたら
足跡を辿ろう また会えるはずさ(Bサビ)


歌詞全部乗っけると色々問題があるので、全体の歌詞は検索して確認してほしい。


コンテンツの顔となる曲は、望むか否かに関わらず、しばしば時代やブランドを巡る風を背に受けることとなる。リアルタイム組でない人間が言及するのは烏滸がましいという無粋を承知で言えば、おそらく「君との明日を願うから」もそうだったと思える。
Clover daysは第一義としてはCloverの軌跡を歌い、またミリオンBCという群像劇を象徴するような一曲だ。6thライブのライブ前やミリラジのほか、ニコニコでの予想メドレーやランキングでも聴く機会があるので、特装版未所持でも曲自体は知っている人は少なくないだろう。
ただ時勢の変化で、同時にこの時代にこそ求められる曲になったように思える。降りやまない雨の日、あるいは長い長いトンネルの先で再会を約するこの曲は、明日がまだ見えない今の状況で、否応なしにもう一つ意味を持つ曲になった。




アイマスのフルライブ開催は下手すると2022年まで待たされかねない情勢だが、それまでイベント依存度の高いこのコンテンツが生き永らえて再会の場が来るのなら、この曲はそのステージの目玉に相応しい曲となる。特装版の特典だったことを踏まえれば少し早いが、君明日やアイル同様に配信をして多くのPに知ってもらいたいし、万一好転に好転が重なって箱を抑え済みであるMOIWが開催されるなら、君明日を差し置いて披露されてもいい曲だと思える。





◇おわりに




ミリオンBCは今後も当面は連載が続く見通しで、5巻の匂わせを見る限り今後はロコのエピソードも予想される。ユニットを組むなら、他メンバー3人もこれまで露出が少なく、アイドルの価値観のストーリーもできて終始エモエモなじぇりぽか、出番待ちの茜ちゃんとのデュオだろうか?(じぇりぽの場合、桃子はざわわんに千早が終盤まで出られなかったような事情があるのがネックだが)


連載期間の縛りが(多分)ないこと、また連載継続中でCloverや夜想令嬢がたどる結末もまだ見えないという留意点はあるが、ミリオンBCは既存作品とは違った形で"アイマス"をやり切ろうとしている

クセは強いしアイドルの成長のために何かと曇りがちではあるが、泥臭さも含めて中村繪里子が10th後に語った「秘密の魔法も与えられた奇跡もわたしたちにはない。あるのは"日常"と"努力"の積み重ねだけです」という言葉も想起される作風である。
これが群像劇として完成に至ればアイマスコミカライズの金字塔になる可能性が十分に見込めるし、そうなれば少なくとも、まるで違うルートをたどりながら、ゲッサンミリオンと並ぶ評価に至るだろう。

ちなみに私が体調崩していたせいで記事掲載がギリギリになってしまったのが申し訳ないが、BCの7~8巻相当は本日6日いっぱいまで無料公開中である。この記事でちょっと興味を持った人、電書ベースでいいならまだギリギリ間に合います。よろしくお願いします。






スタマスに選抜されるデレ・ミリ・シャニの残り6人を予想する【スターリットシーズン】(10/1追記)

(10/1 追記)



本来予定されていた4月19日の発表の場はコロナの影響でなくなってしまったが、今年度内には発売が見込まれるアイマス最新作アイドルマスター スターリットシーズン」の続報が近くあると見込まれる。おそらく恒例通り、来週あたりのファミ通のはずだ。

スターリットシーズン(以下スタマス)は765プロオールスターズの13人を軸に、シンデレラ、ミリオン、シャニマスから各5人が加わって計28人が「プロジェクトルミナス」として結集するストーリーだ。デレミリシャニについては先行で各3人が発表され、19日に後続の各2人が判明するはずだった。そこで、近く発表されるであろう6人について、インタビューなどで示されている情報を基に予想してみようと思う。(以下、敬称略)



◇各事務所からの選考基準とは


ファミ通の前回特集では、坂上P(ガミP)と久夛良木Pのインタビューが掲載されていた。一騒動起きたことについての背景については前回の記事で述べているので、暇な方は読んでいただければ幸いである。後半で、スタマスがおそらくディレ1こと石原章弘バンナム退社前から企画として存在し、ステラステージ開発前の17年にどうにか形になるものの、ブランド間の調整などで手間取っているうちにここまで遅れてしまったという分析をしている。今記事でもその仮定を踏襲しているので、込み入った説明はしない。

スタマス発表を9.18になぞらえることへの違和感と、新展開への思い【スターリットシーズン】
https://ch.nicovideo.jp/sidenp/blomaga/ar1860291


さて。インタビューでガミPは、AS以外の選考基準について、以下のように述べている。


「アイドルの選出は1年くらい考えた」
「登場するアイドルの選定に関しては、アイドル達を交流させた時のエピソードや、プロデュースの幅が広がる組み合わせを考えて決めていった」
「ゲーム内設定でもアイドル達の推薦には意味があり、各事務所の思惑もある」

これらの説明からして、例えばユニットに重きを置かれている283プロの選出メンバーは、メンバー内で完結してしまうような組み合わせは避けられることになる。765プロなど他の事務所のメンバーとどう絡むか、また765AS側も、他事務所の彼女たちと交流することでどのような化学反応が起こるか。各作品の人気より、それらを重視した選出基準が重視されていることとなる。これはインタビューでも説明されたシンデレラとシャニマス代表のセンター格である城ケ崎美嘉小宮果穂の例が顕著であるし、甘奈・千雪のアルストロメリアのメンバーと引き離された大崎甜花に注目が集まるのも好例だろう(亜美真美や杏らのゲーム部が最低3人いるし案外なんとかなりそうだが)。美嘉も彼女がセンター格である以上、LiPPSからの追加メンバーは考えにくい。

また、ASが軸である以上、ASと属性が被ったり、特性を打ち消すタイプは避けられることも予想される(とはいえミリオン信号機はいるが)。例えば、三浦あずさより年上のしっかり者お姉さんタイプは選ばれにくそうだ、と推定できる。まあ、デレミリは年上組は「〇歳児」とネタにされそうなタイプが多くはあるが……。

また、こんなご時世になったので不透明ではあるが、15thイヤー後の目玉として、当然プロジェクトルミナスによるライブイベントは想定されているだろう。プロジェクトルミナスは28人。アイマス最大の祭典であった10thことMOIW2015が3ブランドで34人の出演だったので、28人+追加メンバーでのイベントとなるはずである。必然、そのライブに限らず選抜メンバーは各作品だけでなくルミナスでの出番も増加する。そうなると、ライブイベントに支障なく出られる演者が求められるのではないだろうか。

ある程度のイベント縛りがあるらしいミリ・シャニはともかく、デレについては……例えば、高い人気を誇りOFAなどでの登場実績もある高垣楓などは、それを基準と仮定するならばスタマスには呼ばれない、と想定できる。

また、一定程度は年齢バランスをとることも考えられる。ASと発表済みメンバーの年齢は以下の通りだ。

21 あずさ
20
19 律子
18 貴音、咲耶
17 春香、真、雪歩、美嘉、杏、甜花
16 千早、響
15 美希、伊織
14 やよい、蘭子、未来、静香、翼
13 亜美、真美
12 果穂

14、17歳がやや多い。バランスを取るならその世代は増えても1人程度だろうか。



もちろん以上の推測が大外れの可能性もあるが、この記事はその前提で考察してみる。
仮に15thイヤー合わせの映像化作品を単独ブランドではなくルミナスでやるならこの前提は崩壊するし、以下の予想は大惨事になるのだがその時は……まあ、木の下に埋めたりはせず笑って流してほしい。

(10/1追記)私の願望が叶い、15thイヤー合わせの映像化はミリオンになったので、予想はミリオンとシャニマスの微修正のみに留めます。













アイドルマスターミリオンライブ!


まずはミリオンから予想をしてみよう。最初がシンデレラでないのは、単に私の知識量の問題と、キャラクターの多さから予想が困難なので、先に他ブランドを埋めてそこから逆算したいため。

ミリオンは既に春日未来、最上静香、伊吹翼のいわゆる信号機の登場が発表されている。スタマスの世界線765プロが13+39=52人のミリシタに近いもののようだが、看板である信号機が出てくるのは、身内の765プロなので他事務所と違って看板を隠す必要がないから……ということだろう。ミリオン信号機はムビマスで声がかからなかったという歴史的経緯も影響していそうだが、しかし、あまりに無難すぎる。

というわけで、残り2人はある程度の変化球が想定される。無難なメンバーは呼ばないだろう。ミリシタの人気アイドルと言えば、周防桃子田中琴葉桜守歌織、白石紬、七尾百合子、望月杏奈、真壁瑞希北沢志保箱崎星梨花あたりがよく言われるところで、これにTCでも猛威を振るったASの如月千早星井美希を加えた面々がミリシタの人気上位と呼ばれがちだ(要出典)。

この中では、比較的王道の琴葉や百合子はまずないだろう。また、スタマス開発が本格化したのが17年ということもあり、ミリシタからの追加組である歌織・紬の登場も予想されそうだが、信号機とかおつむが選抜メンバーというのは攻めてなんぼのクレイジーなミリオンにしては守りすぎだろう。また、わかちこPならば「かおつむはミリシタ内で2年間しっかり推すので他の子を」と言いそうにも思える。

また、百合子同様ムビマスに出ている杏奈は、杏や甜花、ミリシタでも絡みがある亜美真美も含めた越境ゲーム部の結成が面白そうだが、そうなるとミリオンは中学生が4人になるし、28人しかいない中でゲーム部多すぎでは?というバランスの問題もあり、可能性は否定できないものの今回は外した。ミリオン初期から看板の一角である星梨花も、中学生組かつ入れてしまうとミリオンの内部で完結してしまう感が増すので外す。だいたいミリラジのせい。

ムビマスのダンサー組の代表格だった志保と矢吹可奈の登場を予想する声もある。そこそこ当たりが強いタイプの志保は、AS込みの大所帯では舎弟モードになる可能性がある静香より場を引き締め、時に引っかき回してくれそうではあるが、しかし賛否もあるムビマスの二番煎じは担当Pならずともあまり望ましいものではないだろう。また、かなしほも新規にミリオンに人を呼び込むにはやや食傷気味ではあるし、それでなくとも最近ぐっと面白くなってきたミリオンBCの主役格である(星梨花も)。つまりこの線も薄い。


前置きが長くなったが、その上で私は以下の面々を予想する。



(10/1追記) 天空橋朋花を✕→無印に修正。
半年の間にミリオンBCであそこまで描写されたことと、アニメ発表を受け。
無難すぎると評しましたが、アニメ前提なら信号機をここで出すのは堅い一手でしたね。




周防桃子(11)



余所の投票でも一強だったが、ド本命を挙げるならやはり現在のミリオン人気筆頭と言える桃子だろう。年少組でありながら芸歴が長く、性格も相まって他事務所どころかASにもある程度物申せたり、年少組に限らず絡みはいくらでも作れるなど、良くも悪くも物語の起点になれる。リコッタのような組み合わせもあれば、Twitterで漫画が話題になっていた果穂との絡みも非常に面白そうだ。後述するデレ側とも、かみ合いそうなメンバーはいる。また、ルミナスのPは765プロのPであるため、ミリシタ同様他人行儀になる必要がないというのも追い風だろう。

メタ的な理由を言えば低身長モデルを杏専用にしないだろうというところもあり、またイベントを考慮すれば演者の渡部恵子は今やニコ生常連かつミリオンの精神的支柱の一人でもある。



北上麗花(20)



桃子に次ぐ有力候補が麗花だろう。歌ってよし踊ってよしのミリオンスターズでも屈指の高スペック組だが、ルミナスに欠けている「成人組かつフリーダム勢(20歳だが)」のピースを埋めることもでき、それでいてあずさより年下である。面倒を見なくてはならないルミナスのメンバーは大変そうだが、それもまた見せ場であろう。

スタマスは越境歌唱はそこまで多くなさそうだが、Vo力団の一角を占める彼女なら他ブランドの曲も難なく歌いこなすし、全体曲でも存在感が消えることはないはずだ。AS版Vo力団と呼ばれる千早・あずさ・貴音らとの組み合わせも面白そうである。また、ライブでの活躍が想定される演者の平山笑美の歌唱力も言うまでもない。

また、ご存じの通り桃子と麗花はアイドルマスター2の没キャラとされる(画像の没データが存在する)。先述の内容からすれば参考程度だが、これも候補に挙げる理由だ。



アイマスの旧命名ルールだった軍艦名を冠するのは、ミリオンでは信号機の3人と桃子、麗花と名字が熊野とみられるジュリアのみ(杏奈も駆逐艦名だがこれは別枠説派)。また、ミリオンライブにおける背番号というかナンバーも、彼女らが48、49、50で歌織・紬追加まではトリ枠だった。公式が明言することはないだろうが、彼女らが誕生から10年余を経て本家の据え置きに登場するとしたら、粋な話である。
(一説にはこのレイジュリモモがプロトジュピターだったという見方もあり、ディレ1退社前最後のライブでジュリア役の愛美と桃子役の渡部恵子によるオーバーマスターが披露されていたりもするが、MTWで三人が組んだりでもしない限り真相は明かされることはないだろう)

ちなみにジュリアも候補に考えたのだが、ギターありきの彼女を出すには彼女のためだけに多くのモーションを用意するか、流用するならデレで木村夏樹多田李衣菜らを抜擢する必要がある。今回はその可能性は極めて低いと判断した。OFAやステラステージに相当する次回作があるなら有力になるが。


〇真壁瑞希(17)



感情表現が少ないポーカーフェイスの彼女もまた、その個性ゆえにルミナスに抜擢される可能性は高い一人だ。既存メンバーにもいないタイプだが、人付き合いを避けるような性格ではなくある程度誰ともかみ合うアイドルであり、また同じ事務所のアイドルにも対抗意識を燃やすなど内心は感情豊かで、良い意味で外面と内面のギャップがある子である。

また、もう一人の選出メンバーによってはミリオン最年長になる可能性もあるが、過去のユニットでの前例からすればそうした年上の役割もこなせるだろう。未来や翼がいないなら積極的にボケ役にも回れる。ユニット曲はSVを除いてミリオンスターズ内で完結しているため、スタマスに出られれば楽曲面でも新境地を開拓できるはずだ。

あと演者の阿部里果の歌唱がすごい。1月にあったクロノレキシカとXsのリリイベは最前かつ彼女の真正面だったが、強烈なパフォーマンスに圧倒された。


馬場このみ(24)



あずさより年上のアイドルは出にくいのではないかとは言いつつも、特性があまり競合しないこのみ姉さんならば話は別。スタマスに出たら、いい加減あずさがしている年齢の誤解は解けるのだろうか……。また、彼女とは別のタイプの面倒見のいい成人として、ミリオン組に限らず年少組を引っ張れる人材でもある。でも年少組とごっちゃにされるのも美味しい。

デレやシャニ側であれば、美嘉やデレ追加組本命と予想する彼女、小学生なのにはるかに自分よりでかい果穂あたりとの絡みが面白そうである。あとすごい歌が上手い。水中キャンディは岐路にいる疲れた社畜にも効くしいずれガンにも効く。聴け。




篠宮可憐(16)



主にVi方面で破格のスペックを持ちながら、自分に自信がないタイプのアイドルである篠宮可憐。彼女をルミナスに放り込んだら、「後輩」としてどんな壁にぶつかり、どう打破するか面白そうだ。シナリオによっては、ミリシタではたどり着いていない領域に至る彼女が見られるかもしれない。

自分に自信がないと言えばASの雪歩がいるが、彼女はLEADER!!コミュでそうであったように、スタマスではそのメンタリティも一歩先へ踏み出している……と思われる。


※演者にも大好評だったLEADER!!コミュ3話より

一定の実績があるメンバーや各事務所の精鋭揃いであるプロジェクトルミナスの中で悩み苦しむ場面もあるだろうが、春香や律子といった頼れる先輩もいる。また、そんな彼女と絡むことで、ミリシタ同様に先輩としてのASの成長を描くこともできるはずだ。





天空橋朋花(15) (10/1 ✕→無印に修正)



自身を「生まれながらの聖母」と評し、親衛隊や子豚ちゃんからの信仰を集める彼女は、全アイマスでも(少なくともCV付きでは)オンリーワンのタイプである。超然としている彼女がルミナスでミリシタ以上に個性を生かせるか?と思ったこともあったが、ミリオン最高のユニットである夜想令嬢での活動を通じて変化しつつあるミリオンBCでの彼女を見て、スタマスの選出基準に合致すること、また予想だにしない化学反応を起こしてくれるのではないかと思い大穴に入れてみた。

BCで変化のトリガーになった百瀬莉緒二階堂千鶴、所恵美がスタマスに呼ばれることはないだろうが、ASも含めた年少組に面倒見よく引っ張り回されるか、あるいは彼女の哲学を認める年上の子との絡みが面白そうである。個人的にはシャニ組や年少組と案外合ったりしそうではある。ただし、先述の通りミリオンは既に中学生が3人おり、これ以上増えるとバランスを欠く。そうした点が逆風となっているのもあり、とびきりの変化球でも穴馬か無印しかつけられない。

あとは特段理由でも何でもないが、演者の小岩井ことり「アイマスのおかげでもう少しだけ生きようと思った」今井麻美に告白するほどの演者P勢の一角でもあったりする。



✕徳川まつり(19)



朋花よりさらに可能性は低いが、変化球という意味ではまつりも一考の余地はある。キャラクター性というところでは後述するデレ組との絡みも見せ場になるだろうし、ミリPなら知っているように姫モードを解除すればとても真っ当な人間である。ミリオンの候補の中では比較的年長(19歳)という立場も活かせる場面もあるだろう。マシュマロネタも鉄板なので、主に765プロ以外の誰かが仕掛けてくれそうだが……。




ミリオンについては以上。スポーツ(フィジカル)タイプでは高坂海美永吉昴、という可能性もあるが、麗花が有力候補であることもあり×より下の無印と考える。大所帯での世話焼きタイプではムビマス実績のある佐竹美奈子や、加えてOFAにも出ている横山奈緒もいるが、そのタイプは他にもいるので可能性は低いだろう。10thでの「SuperやきうLover」コンビはまあ、MOIWがもし来年やれるようならチャンスはありそうだし……。事務所を超えた各アイドルの説明をしてくれる松田亜利沙とかあるか?とも思ったが、事務員勢揃いだしそのための抜擢はなさそう。






アイドルマスターシャイニーカラーズ

既に放課後クライマックスガールズから小宮果穂、アンティーカから白瀬咲耶アルストロメリアから大崎甜花の参戦が発表されている。
対象になっている可能性が低いストレイライトを含めても19人で数が少ない上に、選出基準の関係上で選ばれない子がかなりいる関係で予想自体は苦労しなかった(当たるとは言っていない)。

なお、過去の記事を読んでいただけている方には蛇足だが、私はシャニはそこまで時間をかけてプレーできておらず、ストレイライトまではある程度の数はWING優勝まではしているがTrueやコミュのコンプまでは到底至っていない、という状況である。ゆえに精度はミリオンよりお察し。


(10/1追記)
あさひを✕→〇、夏葉を〇→✕に修正します。
今ならストレイライト実装は十分行けると判断しました。





◎八宮めぐる(16)



シャニ本命は迷ったが、めぐる。イルミネーションスターズから誰かが選ばれるのはほぼ確実で、その場合はめぐるか灯織と思われる。

シャニマスのメンバー選出のコンセプトは、おそらく「ユニットから引き離された時にこの子はどうなるか」だろう。真乃はもちろん、灯織もなんだかんだ苦労しながら適応できそうだがめぐるはどうか。もちろんあの性格なので果穂や咲耶とともに積極的に他事務所の面々に絡んでいくことは想定されるが、咲耶ほどではないっぽいにしても結構な寂しがり屋で、どうも過去に色々あったと思われる彼女がイルミネから引き離されてどうなるか、というのは注目だろう。

イルミネから2人選ばれることが考えられない以上、彼女が選抜された場合はシャニの信号機では唯一の参戦となるはずである。同系統では元祖の美希や翼もいるので、そうした面での競演も期待される。また、演者の峯田茉優はシャニの演者では一、二を争うPであり、ルミナスとしてのライブイベントでの活躍も期待できるだろう。なんかバンナムフェスではASのダンス完コピしてたりしたらしいし……。さらにデレミリの担当2人と同じステージに立つ可能性も考えられる。




〇有栖川夏葉(20) (10/1 ✕に修正)



放クラ最年長の20歳児。他事務所のアイドルでも物怖じせず良い意味のライバル心を剥き出しにするだろうし、その強い向上心もあってASでは響や千早、真、あるいは令嬢つながりで伊織あたりとの絡みが期待できそうだ。数人単位のユニットなら、ルミナスの中でもリーダー格にも、頭の回転の速さを生かして律子とは違うベクトルのサポート役にも、さらにボケ役というかオチ役にも回れる強みがある。放クラでは2人目となるが、参戦しても果穂の特性を消さない。

Pドル要素が極めて強い、あるいは前提となる子がシャニマスには多い。そうした子は選出が難しいだろう。甜花ちゃんの成長のためにはアルストロメリアもない。また咲耶のことを考えれば、アンティーカはもう選ばれる可能性が低い。強いて言えば他事務所との絡みがいくつか想像できる田中摩美々だが、それよりは放クラからだろうし、その中では夏葉、次いで樹里の可能性が高いと考えた。消去法に近いのは否めないが、ASデレミリのメンバーと特性が被りにくい夏葉なら28人の中でも埋没はしないだろう。




△風野灯織(15)



可能性はあまり高くないが、イルミネ枠がめぐるではない場合は灯織となるはず。

蒼の系譜の中ではなんだかんだ取っつきやすい方であり、かつての千早や静香ほどは場をかき回してはくれないだろうが、真乃・めぐるが不在なこともあって色々と内面にため込んで追い込まれたりとストーリーを作ってくれるのではないだろうか。めんどくささ同様、蒼の系譜の特性であるストイックさ(と家庭の問題。凛は例外だが)も健在であるため、こんな機会でもなければできない千早や静香との絡みも面白そうである。




✕芹沢あさひ(14) (10/1 〇に修正)



ストレイライトでは特性上唯一ルミナスに呼びやすい上に無二の個性を発揮できる子……なのだが……。

おそらく10th後から構想はあったスタマスだが。ステラステージ発売前の17年春に本格始動した際は、ストレイライトどころかシャニマスさえまだサービス開始していない。ストレイライトが登場したのは19年春。そこから1年かけて3人の物語を掘り下げていったのだが、そんな状況のあさひをスタマスに呼べるか?ちゃんと描写できるのか? というと疑問符である。確かに、果穂、咲耶、甜花、めぐる、あさひと並べれば各ユニット1人ずつで平等ではあるのだが……。

ただまあ、アイマスは無茶振りと常にワンセットのコンテンツなので、ここまで引っ張った以上は高山Pとストレイライト担当ライターが血の汗を流しながら同時並行で何とかしている可能性もないではない。そしてもし参戦すれば、見せ場は無数にあって他事務所のメンバーにも刺激を与えてくれるだろうし、他事務所の天才タイプの子とどう向き合うのかも気になる。一方で保護者2人を欠いて色々とやらかしてもくれそうだし……と想像は膨らむ。おそらく人気もさらに出るだろう。そんなわけで穴馬に据えた。






アイドルマスターシンデレラガールズ

過去記事でバレバレなのだが、デレについてはASはもちろんミリよりもだいぶ知識量が少ない。アニメ後の躍進期と私がアイマス歴13年余のうちコンテンツと少し距離を取っていた期間が丸被りしてしまったせいもあるのだが、ともあれそれゆえに自信がない。なので、先に他ブランドの予想を固めてしまってからこちらの予想をせざるを得なかった。根拠も弱い。というわけで、ここからはご笑納してもらえれば幸いである。




安部菜々(17)



本命は7代目シンデレラガールにして、デレのアイドルでも信号機を除けば最上位クラスの知名度を誇るであろう安部菜々さん。外も中も含めてオカン気質でも、たぶん小鳥さんと同世代でも、永遠の17歳なので最年長ではない。

基本は色物キャラであり、また天賦の才能を持つタイプでもないが、全アイマスを通じてもこれほど「アイドル」に真摯な人もそういない。菜々さんがルミナスのメンバーに入れば、最古の春香から最新(候補)のあさひまで、広く絡みが期待できそうである。成人・年長組もそうだが、宇宙つながりでは貴音、他にもこのみ、まつり辺りも面白そうだ。また体力面に不安があると言及したら、ルミナスの予想メンバーでは麗花に振り回されたり夏葉にシゴかれそうな一人でもある。

また、演者の三宅麻理恵は言うまでもなくデレ演者を代表するガチP勢である。MORのマンスリーアシスタントも務めていた際の話しぶりでもわかるように、かなり広く各ブランドに通じているので、そうした面でも出番が見込まれる。



〇橘ありす(12)



年少組枠かつ(杏とは別ベクトルで)めんどくさい枠となれば、ありすの出番が回ってきそうだ。スタマスでは765プロのメンバー以外は原則Pドル要素を排するであろう関係上、選出された場合は、選抜メンバーの中で壁にぶつかり、そこから成長を遂げるタイプのストーリーとなる……と想定する。同世代かつ自分にない強みを持つ果穂、桃子との交流も見所になりそうである。あとは案外、丸くなっているであろう千早あたりになつく可能性もありそうだ。

鉄板ネタの料理関係でも、やべー焼きそばを作る20歳児と揃い踏みとなれば麺類ネタでもいけるか。残念ながらユニコーンが見える女子力焼きそばを作るメンバーはいないっぽいが。

なお、有名な話ではあるが演者の佐藤亜美菜はアケマスPである。



渋谷凛(15)



本来なら呼ばれなさそうなシンデレラの信号機である凛だが、一方でこの画像の通り、映像作品におけるASからシンデレラへの橋渡し役を務めたキャラクターでもある。もし3ブランドから信号機を一人は出すという方針なら、選ばれるのはおそらく凛だろう。美嘉がセンターでいるので、シンデレラチームのカバーはある程度任せてスタンドプレーが許されるのも大きい。

蒼の系譜は全員が揃う可能性もわずかながらあり、少なくとも凛が選ばれれば千早、静香の組み合わせは期待できる。MOIW2014のMUSIC♪や10thのねばねばうどんNever say neverのような競演にも期待できるし、もし彼女らの新曲があれば蒼い炎を滾らせてくれそうである。もし4人揃ってしまったら灯織はまあ、強く生きて。ご時世的には厳しいがもしMOIWがあるなら、どっちみち蒼カルテットは確実にあるし……。




緒方智絵里(16)



智絵里の場合、期待されるのはミリオンの候補でいう可憐に近いポジションになろうか。既存の単独展開でも描かれているところではあるが、選抜メンバーの中でどう自分の個性を生かしていくかが見せ場になりそうである。比較的相方の幅は広いタイプかとは思うが、ASなら春香や雪歩、あずさ辺りとの絡みが面白そうか。

杏とはアニデレでユニットを組んでいるため彼女とはある程度引き離すことになるだろうが、それでもしっかり役割が果たせるだろう。


前川みく(15)



強烈な個性を持ちつつ、なんだかんだ常識人なので他事務所を含めてクセの強いメンバーを支えられる……というか振り回されるのが映える。キャラクター性は言うまでもなく、28人いようが埋没することはないだろう。場合によってはアニデレのように暴発したり負け猫ムーブをしたりと、かつてのような暴れっぷりも期待できるところだ。


諸星きらり(17)



中・外ともにシンデレラガールズの柱の一人であるきらりの参戦の可能性もある。もし選ばれれば、美嘉の心労もいくぶん緩和されそうである。また、ASや咲耶、ミリの候補とは組み合わせが良さげな子もいる……のだが。

やや多い17歳組であり、また鉄板コンビであるあんきらが揃ってしまうとなると、内部完結を避けるというルールに抵触しかねない。さりとて絡まないのも不自然であるし、扱いが難しくなってしまうだろう。ルミナスにいたら絶対に面白いのだが、そうした理由もあり穴馬扱いに順位を下げている。


シンデレラでは他にも星輝子多田李衣菜あたりも可能性はあるだろうし、選出基準や他ブランドの候補から逆算する私の前提が外れであれば、小早川紗枝アナスタシアあたりも考えられる。というかシンデレラの予想はどんなに詳しくても困難ですねこれ……。




◇番外



スタマスではプロジェクトルミナスに立ちはだかるライバルが登場する見込みである。大げさに語るまでもないのではっきり言ってしまえば、それは961プロ玲音、詩花だろう。現状ネームドのライバルがいるのは各ブランドでも765プロだけであるし、この手の大型イベントに黒井社長が乗り込んでこないはずがない。

ミリシタで時間を開けつつも2人が登場し、ミリシタ感謝祭にサプライズで演者が登場し、その後のイベントで対決したのもその下地と考えられる。ZWEIGLANZとして登場するかはともかく、出ない理由がないだろう。玲音はともかく詩花はステラモデルをAS同様リファインするだけで済むはず、というのもある。







以上、駆け足で予想をしてみたが、どれだけ当たっているかはそう遠からずわかるはずだ。スタマスの発売は昨今の事情で2021年にずれ込むのがほぼ確定的だが、それでもライブと違って中止にはならないというのはいいことである。掌を返せるような作品となるよう、じっくり待ちたい。