紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

765ASが東京ドームに立つ意味は、終着点ではなくMOIWへの道標 #バンナムフェス







7月12日、前振りもなくいきなり発表された「バンナムフェス」アイマスを軸にバンナムの各種コンテンツを結集して、東京ドームでライブをやるというこれまでにない規模のイベントだ。




https://fes.bn-ent.net


まだキャストは確定ではないが、両日ともに少なくとも半分以上はアイマス関係である。司会もDay1に中村宗悟(SideM 天道輝)、Day2は中村繪里子(765AS 天海春香松嵜麗(シンデレラ 諸星きらりと3/4がアイマス関係だ。石油王はノーカン。

今回はあくまでバンナムとしてのイベントの中軸を担うだけでMOIWのようなアイマスイベントではないが、東京ドームはアイマスにとって極めて大きな意味を持つ場所でもある。今回のイベントがアイマスというコンテンツ、そして何よりも765ASにとって何をもたらすか。少し考えてみた。

現段階で言えることは限られるが、一つ言えるのは今回の東京ドームはアイマスとしての試金石、そして何よりこれまで考えられていた「到達点」ではなく、15thのM@STER OF IDOL WORLD2020への「道標」、そして言葉を選ばず言うなら「通過点」であることだ。
(以下、敬称は略する)



■ドームという言葉の魔力


「ドームですよっ、ドームっ!」

アイマスにそれなりの期間触れた人間で、この言葉を知らない人はいないだろう。無印アイドルマスター・高ランクの天海春香コミュにおける「東京ドームでのライブ」での一節だ。ゲームでも東京ドームは最大の箱であり、ここでのラストライブを成功させることがトゥルーエンドの条件だった。当時はドームライブの成功=ゲームクリアだったのだ。

転じて、かつてバンナムの中でも色物の弱小コンテンツ扱いだったアイマスが、ライブの締めなどで「次の目標」として使っていた言葉だった。



アイマスが次第に大きくなり、中規模の箱を使えるようになって以降はドームが遥か遠くの目標ではなくなり、このフレーズは封印されてきた。そして時は流れて2015年7月、10thライブにおいて会場はとうとう西武ドームになり、中村繪里子による万感の「ドームですよ、ドーム!」が解禁されたのだ。10thライブは今更語るまでもない、アイマス史上最大規模のお祭りだった。

ゲームの最終目標となる東京ドームではなく、夏暑く春秋寒い何とも言えない球場ではあるが、ドームはドームだ。ディレ1考案の日没を計算に入れたセトリもライブを盛り上げた。
3万8000人を収容する箱で、両日の動員数はLV込みで10万人。スタッフもASの演者もここが集大成という思いもあっただろうし、細氷やFirst step、Destiny、M@STERPIECEなど各曲の出来は今なお過去最高と言えるだろう。

さらに上を目指すなら東京ドームという本命の箱はあり、加えてプラスタの開発も始まっていたものの、あの時にASははっきり区切りにしても良かった。最高のライブを花道に、あの my song を歌わないという選択肢もあったのだ。

事実、アイマスを牽引してきたディレ1こと石原章弘はこのライブの半年後、アイマスについてはやり遂げたとばかりにバンナムを去った。周年ライブも途絶えた。10thにおいて如月千早というキャラクター表現の完成形を見せた今井麻美は「もうライブはない」と髪を切り、10thに参加できなかった仁後真耶子も同様に髪を切り「もう(イベントに)呼ばれることはない」とまで感じていた。ASの単独イベントは17年1月末のプロミまで開かれず、ライブイベントは同年10月のハッチポッチ、AS単独ライブは今井の「歌だけのライブがやりたい」という涙の訴えを経て、18年1月の初星宴舞でようやく実現した。

そこでようやく、たかはし智秋らが「Pが光る杖を振るようになるまでやる」と還暦になるまでアイマスライブに関わるとぶちあげ(発言自体はプロミ17でもあったが)、多くのASPに去就が心配された仁後も「誰か一人でも望んでくれる人がいる限り、やよい(の髪型)をやりたい」(初星宴舞)「おばあちゃんになるまでやりたい」(プロミ18)と宣言した。半分が既婚となったASの演者が年齢との向き合い方や結婚・出産・育児からの復帰、今後のASの方向性、演じるキャラクターとの折り合いをつけ、「終わらないコンテンツ」をどう続けていくかという針路とデレミリの後輩たちに残すノウハウを確立するまでに、10thから2年半がかかったといえる。

他方、他のアイマスのヒットとパンナムによる人的資源の傾斜、PS4据え置きの商業的不振もあり、現状のASの活動は「無理せず細く長く続ける」「2020に何かの形を示す」ことが明示される程度となっていた。プロミ2018の二日目には、複数の演者や関係者の発言から今後の据え置きでの展開が白紙状態であることが明らかになったし、事実その後はアイマスMR(これは極めて好評かつ、今後も継続していくべき取り組みではあるが)、また52人体制をさらに推進したミリシタにおける活動がせいぜいだった。

そのため良くも悪くもドームという箱でのライブは現実味は薄まり、MOIW形式にしても15thでどうにかなるかどうか、というところだった。AS単独はもちろんAS中心のドーム公演も困難であり、それをやる時はゲーム同様、あるいは隣のコンテンツ同様、ファイナルだろうなというのが個人的な考えだった。



■進む作品間のボーダレス化




その間にもアイマスはさらに大きくなり、バンナムのメインコンテンツの一角を占めるようになった。かつてのように、石原と総合Pの坂上陽三をもってしても抗えなかった何かにより、鎮火が困難なレベルの炎上が起きることもなかった。
アニマス・ムビマスの成功による幅広い浸透、そこから続いたデレアニを下地に台頭したシンデレラガールズアイマスの稼ぎ頭となった。ライブでのパフォーマンスは高い一方でゲーム展開は苦戦したミリオンライブは、心機一転したミリシタで挽回を見せ、グリー時代は距離を置いていたASPさえも一定規模取り込んでいる。強みとするライブコンテンツの力は言うまでもなく、9月のSSA公演では、人数や「一人も手放さない」という構造的な問題もあって抜けずじまいだった宝刀を、とうとう鞘から抜く可能性もあるだろう。SideMはアイマスの弱点だった女性客に大きく浸透しただけでなく既存顧客の男性からも一定の支持を得ており、ライブコンテンツも高い動員力を誇る。昨年には末っ子のシャイニーカラーズも生まれ、今後が期待される。

そうした中で、アイマスはそれらの作品間の垣根を超えるような取り組みを少しずつ始めていた。各アイマスの演者らが集うゆくm@sくるm@sや周年ニコ生を経て、昨年10月にアイステの後継番組として始まったTHE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO  はその代表と言えるだろう。

今やASのエースだけでなくアイマス全体のエース兼中間管理職となり、全シリーズに精通する役割を担った沼倉愛美をメインパーソナリティに据え、概ね1月交代で各シリーズからマンスリーアシスタントを呼ぶ。P兼務の演者や制作側を次々と呼ぶことによるクオリティの高さは言うまでもなく、普段触れないシリーズの楽曲を知る機会にもなるこの番組は、開始から約9カ月を経た今も好調を持続している。


9年前の一件もあって慎重に慎重を重ねていたSideMとの越境についても、まずシリーズ間の橋渡しの常連・秋月涼役の三瓶由布子を起用し、次に合同ニコ生にも登場した経験があり、古参Pさえ感服する熱意で知られるP兼演者の益山武明を投入。昨日の14周年ニコ生では、ついに中村繪里子天ヶ瀬冬馬役・寺島拓篤が隣席で共演するに至った。


このボーダレス化の目指す先には何があるか。


もちろん、P側をより多くのアイマスコンテンツに触れさせたいというのもあるだろう。ただそれ以上に、5コンテンツ合同のイベント、アイマスの15thを祝うM@STER OF IDOL WORLD2020の開催を見越したもののはずだ。そのためのボーダレス化であり、そのためのバンナムフェスなのだ。だからこそ、数年をかけて丹念に境界線に手を入れてきたのだろう。



■東京ドームは「終着点」ではなくなった



アイマスのセンターオブセンター・中村繪里子は10th後の近年、その発言に極めて慎重を期してきた。ASが暗中模索をしていた感のあった17年2月のプロミ、翌18年1月の初星宴舞でもそれは顕著だった。




(今週末に一挙放送するので、ぜひ見てください。特に初星は必見です)


あるMCにおいて中村は、今年の抱負として「アイマスの全チームで………………何かやりたい」という発言をする。何かしらのイベントという意味ではあったが、ここでライブとまでは言えないのが当時の状況だった。アイマス演者の両輪、もしくは片翼でもある今井以上に、慎重に慎重を重ね、石橋を叩いてなお渡らないような発言が目立っていたのだ。これは18年後半に録った初星BDのオーコメでも同様だった。

何も決まっていなかった時期というのも当然あっただろう。
ただそれ以上に、中村が自身の発言の重さを理解していたと考えられる。中村繪里子の言葉は、下手をすれば総合Pたる坂上陽三のそれを凌駕しかねない。その影響力が巨大化したアイマスにとって悪い方向に向かうことを恐れて、慎重な物言いに終始していたのではないか。その分、同じくAS最古参の若林直美たかはし智秋釘宮理恵下田麻美らが「まだ律子が立ってないドームに立ちたい(若林、MORゲスト回)」「2020に765の新境地を実現する(たかはし、初星オーコメ)」「(ASで)新たに丸裸の自分をさらすような何かを始めるなら、嫌がらずにやる(釘宮、初星オーコメ)」など、フリーダムに未来を語っていたが。


その中村繪里子が、バンナムフェス発表を機に踏み込んだ発言を相次いで発信した。まるで、それまで蓄積した鬱憤を晴らすかのように、だ。14周年ニコ生では、20周年にまで言及した。









ASとして、アイマスのセンターとして、これからの道に覚悟が決まったのもあるだろう。

ただそれ以上に、はっきりと道筋が開いたからこそのこの発言とみるべきだ。東京ドームにアイマス単独で立つことは、よほどのことがなければ言及できない。周年ニコ生では15thのロゴや「赤」揃い踏みのイラストなどが発表され、坂上がライブを匂わせる意味深な発言もした。

もはや疑うまでもない、15thのMOIWは実現する。それも東京ドームで。いや、今のアイマスの規模ならば、MOIW形式かつ東京ドームを軸にしたツアー(≠ドームツアー)すら可能なはずだ。そもそも、10thDAY2でもステージに立てたのは34人。2DAYのライブでも人数制限が厳しい以上、それ以上の形式を用意する可能性は高いだろう。
ただし札幌ドームは論外だが。私は行きやすいけど。




バンナム公式は、19年7月~21年7月を15th期間と設定した。2年間、異例の長さである。いくら五輪の余波があるとはいえ、単体のライブ一回で終わるなら、ここまで長く設定する必要はない。つまり、合同ライブツアー、もしくは連動イベントの企画は既に始動しているのだろう。

だからこそ、その試金石となるのがバンナムフェスなのだ。二日に分かれてとはいえ5コンテンツすべてが東京ドームに立ち、アイマスを軸としたフェスでどれだけの人と金が動くか、Mも含めた……もっと言えばASとJupiterが同じステージに立つような合同ライブでどういう層に新たな反応が、あるいは喚起があるのか確かめる。
アソビストアやe+のビッグデータを使えば、アイマスPのみを抽出したそれらのデータも取れるだろう。そして「東京ドーム=ゴール、終わり」という図式を崩す。そのためのバンナムフェスだ。

東京ドームが最初で最後の機会ではないことを補強する材料は他にもある。今回のASの布陣だ。



ニコニコ大百科im@sライブの記事より)

今回のASは、初日は765ミリオンオールスターズとして、二日目は765オールスターズとしてステージに立つ。初日は中村繪里子今井麻美の両輪に、アイマスのエース・沼倉愛美、そして私の担当の菊地真役にしてガールズのカリスマ・平田宏美の4人。二日目はこれに加えて仁後真耶子若林直美たかはし智秋釘宮理恵長谷川明子の9人がASとして立つ。欠席は下田麻美浅倉杏美原由実の3人だ。

そう、産休中の浅倉が不在なのは当然としても、最古参かつアイマスとしては初のステージだった04年の池袋のイベント以降、主要イベント皆勤でライブのキーパーソンでもあった下田が不在なのだ。3rdから皆勤だった原の初欠席はともかく、下田に関してはあるいは…と思われる理由はあるものの、これが10thのように最後の可能性も高いのであれば何らかの形でステージに立つだろう。逆説的に言えば、下田が今回はステージに立たないからこそ、またドームでライブをやれることが少なくとも計画として決まっているのではないか、とも考えられる。
もっと言えば、これっきりの機会ならミリオンのセンターである山崎はるかがブッキング済みで来られないような状況も作らなかっただろう。





■東京ドームで見せる、ASのパフォーマンスへの期待


「やよい、律子、美希! 成功したよーーっ!!」


10th二日目、最終曲の「アイ MUST GO」を歌い終えた後、今井が叫んだ言葉だ。この時は中村・今井ら9人と滝田樹里がステージに立っていたが、仁後、若林、長谷川は欠席し影ナレのみの出演だった。その後、2018年のアイマスMRではやよい、律子、美希の10th欠席組によるmy song がセトリに組み込まれる粋な演出もあったが、今回のバンナムフェスではついに三人がドームに立つことになる。ドーム公演を熱望していた若林はもちろん、初星では参加メンバーがこぞって名前を挙げるほど出色のパフォーマンスを見せた長谷川、セトリによっては東京ドームでも山火事を起こすであろう仁後の活躍に期待が集まるところだ。

何度も繰り返すが、バンナムフェスはアイマスだけのライブではない。そこはわきまえるべきだ。となると、セトリに変化球はなく良く言えば直球、悪く言えば無難なセトリになるとみるべきだろう。事実、AS以外はユニットが明示されていたり、ある程度選曲が読めるような布陣ととなっている。

例えば初日の765ミリオンは、

中村繪里子天海春香役)
今井麻美如月千早役)
平田宏美菊地真役)
沼倉愛美我那覇響役)
Machico伊吹翼役)
郁原ゆうエミリー スチュアート役)
愛美ジュリア役)
渡部恵子周防桃子役)
渡部優衣横山奈緒役)
諏訪彩花徳川まつり役)
末柄里恵豊川風花役)
浜崎奈々福田のり子役)
戸田めぐみ舞浜歩役)
村川梨衣松田亜利沙役)

となっている。これはかなりわかりやすい。グリー時代からの人気曲の「HOME, SWEET FRIENDSHIP」「エターナルハーモニー」のオリメンを初めて揃え、オリメンでは国内初となる「深層マーメイド」、ドームらしいタオル曲である「Beat the World」で綺麗に分けられる。これに全体曲が多くて2曲くらいだろう。BNTかUNION!!か、はたまたFlyers!!!か。

そう、Flyers!!!である。絶賛品薄中でトレンドを身にまとったりしている新曲だが、この曲にはBサビからCメロにかけて印象的なフレーズがある。






むろん、この歌詞の第一義はミリオンのことだ。UNION!!と比べて、より明確に未来を見据えた曲である。そこを履き違えるつもりは毛頭ない。無理だと言われていた夢が何かは、あるいはSSAでわかるかもしれない。

ただ、ただである。これが初日に歌われるなら。

15年前の04年1月、池袋のイベントでたった約30人の前で中村・今井がステージに立ったのがアイマスライブの始まりだ。その二人は今も変わらずアイマスの両輪であり続け、バンナムフェス初日も50000人以上の観衆の前に立つのだ。夢物語に過ぎなかった東京ドームは、現実の舞台としてここに結実し、さらにその先のアイマス単独の東京ドーム公演さえも見えてきている。その中でもしこの曲を歌えるのならば、この二人の心境はいかばかりか。そして、それを見守ってきた人たちはなんと幸甚であろうか。ぜひ見たい。



(変わらずセンターオブセンターである春香、もはや慈母のごとき包容力に満ちた千早の各ソロは必聴である。あと真ソロも必聴である。必聴である)



一方で、二日目のASとしてのセトリは読めない。定番曲であるところの「READY!!」、最新曲の「LEADER!!」のどちらかは来そうではあるが、他にも歌マスや「自分REST@RT」などもある。演者からも極めて評価の高い「Destiny」でステージ原作再現をする可能性もある。ユニット曲に至ってははっきり言って読みようがない。

ひとつ論題があるとすれば「M@STERPIECE」を解禁するのか、だろう。

前回披露の10thDAY2から4年3カ月。ASでこの曲を唯一歌えていない若林も今回はいる。舞台としては十分に整っている。
ただ、やるとして単独で歌うのか、同日のミリオンとはどうか、となる。シンデレラは信号機がいない。また、シャニマスをこの曲に加えていいのか。メンバー的には765ミリオンでやるのは問題ないと思うが、シャニの19人をそっくり上げるのはバランス的にもどうか、MOIWに先送りでもいいのではないか、という意見は上がるだろう。当然だ。
確かに、そういう試みはバンナムフェスよりもMOIW向けだ。アイマス単独ならまったく条件が違ってくるし、全コンテンツ混成のマスピは選択肢に入るだろう。




■おわりに


長々と書いたが、筆者としてもとにかくこの企画が楽しみで仕方ない。中村繪里子が、今井麻美が、ASのメンバーが東京ドームに立つ。それだけでも大枚をはたくだけの価値がある。たとえ先が示唆されていても、今回現地に居合わせなければ一生後悔するだろう。

そうした中で、最後に言えることは一つだ。









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(8/3追記)

通し券ご用意、やったぜ。