紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

サブスクが解禁された今こそ「 ミリオンライブ! Blooming Clover 」を読んでほしいという叫び #ミリオンBC

   

 

 12月17日、アイドルマスターミリオンライブ!のサブスクが満を持して解禁されましたね。事前のやらかしの際から予想されていましたが、SideM同様に最新のCDシリーズまでほとんどの楽曲となる490曲(全体曲のバージョン違い含む)を解禁する思い切った施策となりました。ブランドとしては乾坤一擲の賭けになる形ですが、その中で話題になってTwitterのトレンド入りまでした曲がありました。

 

 2017年から電撃マオウで連載中のコミカライズアイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」(作・稲山覚也さん、以下ミリオンBCと表記)発の曲、「Clover Days」です。

 

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 この曲は、2019年に発売された5巻の劇中で披露されたオリジナル曲で、主人公ユニット「Clover」の矢吹可奈北沢志保箱崎星梨花高坂海美の四人による曲です。ミリオンに縁遠い方向けに演者も説明すると、順に木戸衣吹さん、雨宮天さん、麻倉ももさん、上田麗奈さんですね。

 

 5巻特装版のCDに収録されていましたが長らく単曲販売はなく、ライブ披露もなかったため「隠れた名曲」扱いでしたが、2020年11月のアイマス三昧で紹介されたことでTwitterのトレンド入り。その後押しもあってか、2021年1月に配信での販売が始まりました。そのため、配信をしている旧譜が原則入るミリオンのサブスクにも収録されることとなりました。

dic.nicovideo.jp

 

 

 配信されている情報もそこまで行き渡っていなかったのもあってか、今回のサブスクで大きな話題になった名曲「Clover Days」。その曲を生み出したミリオンBCは、今まさに序盤からの週刊追っかけ連載配信が始まりました。現在は恒常的に公開されている3話までに加えて、6話までが順次公開されています。4話は22日正午まで読めます。

 

idolmaster-official.jp

 

 

 要は12/22正午までに読み始めれば、いずれは既刊12巻~の最新話まで無料でも読める、ということです。追っかけ連載は以下の両プラットフォームで始まっています。

 

「Comic Walker」

https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM01200495010000_68/

ニコニコ静画
https://seiga.nicovideo.jp/comic/35890

 

 ミリオンBCは、私が思うミリオンライブというブランドのあり方と魅力を最も体現したコミカライズであり、数多のアイマスコミカライズで最も面白い作品です。サブスクでコミカライズ発の曲が話題になっている今こそ、この傑作をより多くの方に読んでいただき、あわよくば単行本を揃えるにまで至ってほしいという思いで、今回の記事を書きました。

 

 実は2年前にもBCの記事は書いているのですが、今度は公式サイドに失礼がなく諸々支障が出ないような形で、仕事と思って書きたいと思います。そのため、画像も単行本の表紙、及び特設サイトの試読部分からの引用のみ、アイマス関連の動画、音源も公式とサブスクからという体裁を徹底します。

 

 

 

 

 ■「ブランドのあり方を体現」とは何か?

 

 皆さんは、ミリオンのブランドとしての魅力を聞かれた時に何と答えるでしょう?

 

 

 楽曲。もちろんこれは筆頭に上がると思います。この先のことは断言できませんが、向こう数年は5ブランドの中で最多の曲数を誇るでしょう。

 ライブ。これもその通りだと思います。ミリオンはアイマスとしては初めて、ライブイベントの継続的開催を前提として設計されたブランドで、特にグリー時代は演者のステージパフォーマンスに魅かれてミリオンの沼に沈んだ方も多いでしょう。

 

 では、ブランドのあり方とは?

 

 私は、ミリオンライブというブランドの魂はミリシタの1st Anniversary曲、「UNION!!」に込められていると思います。

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 本気の夢だから ぶつかり合うこともある

 不器用につないだ絆が(強さ)

 ひとりじゃ届かない ひとりも手放さない

 叶えたい景色があるから!

※「UNION!!」Aメロより引用

 

 

 ミリオンライブは、後発ブランドのようなユニット制ではありません。そのため、楽曲シリーズごとにユニットメンバーは離合集散することとなります。

 また、はじまりのアイドルマスターであり現在もなお単独ブランドとしても挑戦者であり続けている765プロオールスターズ(765AS)の13人がいることも大きな特徴です。時期によって楽曲シリーズへの参加の有無は分かれているのですが、2019年以降はゲーム・楽曲CD内では765ASとミリオンスターズ39人は概ね同列の扱いとなっています。だからこそいい加減765ミリオンスーパーライブの開催をしてほしいのですが……。

 

 話が逸れました。ブランドのあり方とは何か、です。

 ミリオンは他のブランドにない先輩後輩関係、楽曲シリーズごとに離合集散するメンバーの関係性により、思いもよらない化学反応が生まれること、そしてユニットの垣根がないことで、「全員」ということに内外で強いこだわりがあります。そして、先輩が後輩を導くだけでなく、後輩に触発されてさらに成長する先輩の姿も見られます。

 

 単一ブランドとしての765ASが、紆余曲折の末にアニマス・ムビマスを通じて確立した路線を継承しているとも言えるでしょう。それによるメリットデメリットはどちらもありますが、これこそ「UNION!!」で表現されている強みであり、私の思うブランドとしてのあり方と魅力です。

 来秋から始まるアニメではメインは信号機の三人中心になるでしょうが、3月にプロローグMV「セブンカウント」を公開したイベントでも、まず濃淡はあれど全員が出ることを強調し、そして765ASも出ることを示唆していました。(後者はMVの後の山崎はるかさんと狭間和歌子Pのやり取りに注目)

 

youtu.be

 

 以前の記事でもたびたび触れた通り、そのあり方はブランドそのものを鈍重にするデメリットもあり、メディア展開によっては相性が良くないものもあります。

 アニメもその最たるものですが、成否がどうなるかはともかくミリアニの方向性は長年をかけてその落としどころを見つけた作品なるのでしょう。

 

 

 しかし、例えば大河ドラマのような尺があるのなら、そのあり方は最高の武器になります。それが、ミリオンBCでは存分に生かされているのです。

 前置きが長くなりました。それでは本題に入りましょう。

 

 

 

 

 

個性(ちがい)を分かり合うことで、拡がり、重なる世界

 

 ミリオンBCは既刊12巻。来年2月に13巻、おそらく来夏に14巻が発売されます。ネタバレに最低限の配慮をしつつ、その世界がどのように拡がってきたかを紹介しましょう。

 

 なお、ミリオンBCの世界線は「律子がアイドルのまま、765ASがアニマスに極めて近いルートを通り、ダンサー組なしで横アリで単独ライブを実施した」と推定されるところから物語が始まります。(竜宮小町結成の有無や961プロとの関係は不明、ただ大々的かはともかく千早がゴシップ誌に狙われる展開はあったと示唆されています)

 

※1話試し読みページより引用

 

 

 

 

◆1巻~2巻途中 かなしほ編

 主人公の矢吹可奈北沢志保の二人を軸に、彼女たちのデビューから初ステージまでを描きます。比較的王道であり、後述する「ゲッサンミリオン」の未来と静香に重なる部分もあります。2巻途中から正式にミリシタ時空に入り、白石紬・桜守歌織と事務員の青葉美咲が加入。

※ミリオンBC 1巻表紙より引用

 

◆2巻途中~5巻 Clover編

 可奈と志保、そして星梨花と海美を加えた4人が「Clover」としてユニットを結成します。Cloverは同時に劇場の外のステージに立つことになった田中琴葉・所恵美・島原エレナの「トライスタービジョン」と、横山奈緒佐竹美奈子の「ダブルエース」とともに出演することになりますが、志保の抱える問題やCloverのユニットとしての課題にスポットが当たり、その解決がメインテーマとなっていきます。

 また、765ASから天海春香水瀬伊織らが登場し、可奈やCloverの背中を押す形となります。ムビマスを意識した展開は、アイマス2の問題点をリカバーして物語として昇華させたコミカライズ「The world is all one !!」との関係性も想起させます。

 実際、ムビマス以来漠然としたマイナスイメージが抜け切れていなかった志保に対する(彼女自身には全くの責任のない)もやもやが晴れ渡ったのはこの漫画がきっかけでした。次の章とオペラセリアを経て今ではミリオンスターズで好きな順に並べたら五指に入るようになったのも、BCの影響が大きかったです。

 

 また、冒頭で触れた「Clover Days」は、劇中ではこの章で初めて披露された曲です。

 

※4巻表紙より引用。BCで私が一番好きな表紙です。

 

 この章が終わるのがゲッサンミリオンが完結した5巻末ということもあり、ここで完結――という形もあったのでしょうが、物語は続きます。

 

 そして、ここまででも十分名作だったミリオンBCは、Cloverを軸とした群像劇路線に舵を切ることで一気に世界を広げ、ミリオンライブのあり方を体現していきます。

 

 

 

 

 

夜想令嬢&北海道編(6巻~9巻)

 Cloverのユニットとしての成長を描きながら、並行して天空橋朋花、所恵美、百瀬莉緒二階堂千鶴のユニット夜想令嬢」、ジュリアとかつてのバンド仲間との再会と葛藤、Cloverの一員である箱崎星梨花と父の衝突、そして北海道編主人公と言える木下ひなたと、エミリーを軸に物語が展開されます。宮尾美也、永吉昴、水瀬伊織の実質的な当番回もあります。

※19話試し読みページより引用

 

 一気に登場人物が増え、物語も同時並行で進んでいきます。この辺りから稲山先生の漫画と構成センスがより発揮されるようになり、「その章のメインメンバーが最初の話で登場し、伏線がばらまかれる」「並行して展開していた物語を、美しい形で一つに収斂させる」といった作風がよりわかりやすくなります。この章に限りませんが、伏線の配置がきめ細やかで、章の完結後に最初から読み返すと新たな発見があります。

 

 また、ミリオン公式から提供された膨大な設定を、ゲームに先駆けて登場させるケースもさらに増えていきます。もはや人気キャラとなりつつある箱崎父も確立したキャラクターとして登場したのはここが初出。(先行例では、他にも北沢家や海美の姉、ジュリアのバンド時代の仲間たちもですね)

 天空橋朋花についても、当番回の28話でそれまでグリマス・ミリシタともに明かされていなかった過去描写がある程度示されることとなりました。

 

※25話試し読みページより引用

 

 夜想令嬢はMTGシリーズからの既存ユニットですが、びっくりするくらいの掘り下げでした。8巻特装版のドラマCDはめぐともの聖地。というか朋花の描写が全般的にすごい。今でこそ結構ミリシタ内で掘り下げられたりしてますが、まだ「年相応朋花ちゃん」路線の描写すらほぼなかった時期でしたから……。

 

 

 

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周防桃子&如月千早編(9巻~14巻見込み)

 私の趣味でアイドル名で表記します。一般的には秋編とも呼ばれています。

 「プロとは何か」というテーマで、可奈と志保、そして周防桃子如月千早福田のり子、ロコを中心に物語が展開されます。望月杏奈、豊川風花、真壁瑞希もお当番回があり準メイン格。765ASのメンバーが章を通じたメインキャラクターになるのはこれが初めて。まだすべては単行本化されていないので詳細は伏せますが、最後に「新曲」と765ASのとある曲――私を含めた一部の古参には聖域扱いされていたであろう――が披露され、それでいてミリオンスターズのメンバーがその曲を歌う描写には納得しかないという圧巻のラストシーンが展開されます。

 特に桃子については、山あり谷ありから彼女の答えまでを描き切っており、これ以上の描写は今後他媒体でもできないのでは? とさえ思いました。これは志保にも言えることですが……。

 

※ミリオンBC10巻表紙より引用

 

 

 

 

 

◆現行章(14巻見込み~)

 電撃マオウ本誌連載中の新章。少なくとも前半はClover…の特に高坂海美篠宮可憐、松田亜利沙、北上麗花四条貴音萩原雪歩が中心になるとみられます。また、ゲッサンミリオンの主役だったためBCでは出番が控えめだった信号機の描写も増えてきた印象(伊吹翼は前章からですが)。この調子だと最終章あたりで七尾百合子の当番回もあるでしょうか。

 章のテーマはおそらく、UNION!!の歌詞にもある「本気の夢だから ぶつかり合うこともある」にかかる部分でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 ざっと要約しましたが、見ての通り章によってClover以外のメインメンバーは大きく変わる形となります。ただ、見逃してはいけないのは、

 

 「誰かの決意や行動が、時には章をまたいで網目のように拡がり続ける」ことです。

 

 

 例えば、可奈の行動は劇中で未来(と静香)や紗代子に大きな影響を与え、特に前者は彼女にある行動を決意させました。この波はさらに伝播するか、あるいは今後可奈とCloverに形を変えて還ってくることになるはずです。Clover編での亜利沙の行動が、新章で形を変えて彼女自身にも還ってきているように。

 これはBCに限らずミリオン全体に言えることですが。固定ユニット制のブランドではないため、特定の数人が濃密な関係を築き続けるわけではありません。しかし自由自在な組み合わせが生み出す化学反応もまた、網の目のような関係性と波及効果をもたらします。52人、あるいは39+13人という数字が多いかどうかの議論はあるかもしれませんが、この仕組みとの相性については丁度いい規模なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 そして、夜想令嬢&北海道編では。思い悩む千鶴がとあるステージで吹っ切れた姿を見せる描写があります。27話ではロコをはじめとするメンバーが、その舞台を見届けていました。

※27話試し読みページより引用

 

 このステージでは、ジュリアのソロ曲「スタートリップ」が新解釈で描かれる、ジュリアにとってはゲッサンミリオンにおける「アイル」回に匹敵する回となりますが、ジュリア、千鶴、星梨花の圧巻のステージを見終えた後のロコはこう感想を漏らします。

 

 

 

「今日のチヅルのステージは…エクセレントでした。そんなチヅルを見ていたら、オーディエンス(観客)としてのロコはハッピーなのに、アーティストで…アイドルのロコはなんだかくやしくて…」 

 

 

 そんなロコに千鶴は「ステージは一人で作るものではない」と答えた上で感謝を述べるのですが、この場面が後々、大きな意味を持ってきます。

 

 時は流れて48話(2月発売の13巻冒頭)。ステージを前に逡巡する桃子を見たロコは、オリジナルのロコアートを作り上げて皆の前で発表します。それは千鶴や瑞希、翼やCloverたち他のメンバーが積み重ねてきた行動の延長線上に生まれた作品でした。

 可奈と志保がいたから。Cloverがいたから。夜想令嬢や他のメンバーがいて連綿と物語を繋いできたからこそ、ブランド全体で見ても、ロコにとって過去最高の見せ場がやってきたのです。

 きっと、何かが欠けていたらこのアートは生まれていなかったはず。

 

※ミリオンBC公式アカウント「電撃・アイマス担当Pどものつぶやき」のツイートより引用

 

 

 そして、この場には千早も居合わせていました。作中ではソロツアーで全国を巡るなどトップに近い位置にいる千早ですが、この章の初めからある命題への結論が出せていませんでした。しかしロコの作品や後輩たちの行動に影響を受け、まだ単行本化されていないこの後の回で、それまでの彼女であれば到底出し得なかったであろう答えを出すこととなります。

 

 

 

 そう、これです。これなんです。

 

 

 私が学生時代以来かれこれ16年目の古参Pというのも大きいのですが、このブランドの良さは、刺激や好循環が先輩から後輩への一方通行ではなく、相互であることが確立されてきたことも大きいと考えます。ミリシタ内でもLEADER!!イベントコミュの雪歩がそれを語りますが、今のところは終わる時期が定められていない(と思われる)ミリオンBCでは、この相互の好循環をたっぷり尺を割いて描いているのです。

 

 それは、春香も同様です。彼女はともすれば765のセンター、アイマスのセンターとして、等身大の彼女よりもどこか聖人じみた姿で描かれる機会が増えました。それはやむを得ないのですが、どこかもどかいし思いを抱えている古参P、そして春香Pもいたと思います。

 3巻で本格的に登場する春香は、一緒にレッスンした未来、可奈にアドバイスを送ります。その言葉はムビマス、そしてアイマス10周年を迎えた際に中村繪里子さんが残した「秘密の魔法も与えられた奇跡も私たちにはない。あるのは日常と努力の積み重ねだけです」という言葉にもつながるものでした。

 しかし、桃子&千早編で再登場した春香は、ユニットとしても個人としても一回り成長した可奈の姿を見ることになります。そして、ステージで躍動する彼女を炎を宿した瞳で見据えたまま、プロデューサーにこう言うのです。

 

「――私も、負けていられませんね」と。

 

 

 

 

 作品がここまで至ったからこそ、より一層ミリオンBCを好きになったんです。

 

 

 

 

 

 以前のMORで、朋花役の小岩井ことりさんは自身の演者としての経歴を振り返りました。かつて今井麻美さんのニコニコSSGにて「アイマスがあったおかげでもうちょっと生きたいと思った」と考えていたという彼女にとって念願だったアイマスデビュー、2ndでの周年ライブデビューを経て、次に挙げたのは2014年の765ASの9thライブ東京でした。今井さんが「Blue Symphony」をソロで披露し、感想で千早として「恵美、志保、琴葉、新しい翼をありがとう!!」と叫んだあのライブです。(この日、現地にはオリメンの藤井ゆきよさんがいました)

 

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 先輩の世話になりっぱなしだったと感じていた小岩井さんはそれを見て「そうか、私たちは先輩たちにとって新しい翼でもあるのか」と感じ、コンテンツに向き合う意識が変わったそうです。

 初期のライブ中核メンバーを除いたミリオンの演者さんたちの多くにとって、フルライブで765ASと並び立ったのは、17年のハッチポッチが初めて。既に4thを経て一定の完成度に達していた後輩たちは、十年に渡って道を切り拓いてきた先輩に負けじと奮闘し、それを見たブランク明けの先輩たちもかつてないほど必死になって仕上げてきたことが多くの演者から明かされています。

 

 22年現在の結論としては、近しい後輩の存在は765ASの演者にとって絶大な刺激になり、可能な範囲での持続とさらなる成長を促すことになったと言えます。様々な意見もある765ミリオンの関係性ですが、こと演者に限って言えば、この関係性が現在進行形で未来を明るく照らしていると言ってもいいでしょう。

 ミリオンBCでも、千早や春香に限らず、765ASメンバーにその現象が起きていることは新章の雪歩などで示唆されています。

 

 もちろんこれが一番とは言いませんが、ミリオンのブランドとしての魅力の一つには、確実にその要素があります。だからこそ、その魅力をしっかり描いているミリオンBCは、私にとって「UNION!!」にも象徴されるブランドのあり方と魅力を最も体現していると感じるのです。

 

 私の担当の菊地真はASでまだ唯一出番らしい出番はありませんが、推定されるストーリーからして、いずれ出番があるでしょう。稲山先生なら安心してその日を待っていられます。

 

 

 

 

 

■いつかの「その日」のために

 

 かつてのBCは、連載開始時には完結していた先行のコミカライズである「ゲッサンミリオン」とよく比較されていました。しかしながら、未来と静香(と翼)の描写に大半のリソースを絞って5巻で描き切ったゲッサンミリオンと、主人公格は可奈・志保とCloverでも、おそらく52人に全員に一度は見せ場があるであろう大河ドラマに育ったミリオンBCでは路線がそもそも別のものになったと考えます。

 そうであるなら、個人の好みではなく優劣で語るのはもはやナンセンスでしょう。どっちも傑作、あとは方向性の好みの問題でしょう。

 もちろん私はゲッサンミリオンも大好きです。あの作品をダイマされてなかったらミリオンに沼落ちしてなかったか、していてももっと遅かったでしょうし。

 

 BCの画風はザ・公式という感じではないかもしれませんが、特にClover編の後半あたりからは漫画としての構成力・見せ方がより洗練されており、大ゴマ、見開きの使い方も抜群です。もし画風を理由に敬遠しているのだとしたら、あまりにももったいない話です。ミリオンが好きなら、765AS以来のアイマスが好きなら、読んで損をすることはまずありません。

 

 何なら、「お前の勧めで全巻揃えて読んだけど全く面白くなかった」というなら、単行本のお代をライブ現地でお渡ししてもいいくらいです。ミリオン9thもMOIWも、おそらく次のライブとその次のミリオン10thライブも現地にいるでしょうから、遠慮なく言ってきてください。それくらいの自信と覚悟をもって、私はこのコミカライズを推しています。全巻を読まずとも、Clover Daysが初披露とはまた違う文脈を帯びた30話「立派なアイドル」までは読んでみてほしいところです。一つ先に至った、矢吹可奈の姿も見られます。

 

 

 

 それと、あくまでこれは個人的な――私の悪い癖から出る繰り言ですが。

 この30話が本誌で公開されたのが、偶然にもコロナ禍で7thライブが消滅したタイミングだったことも踏まえれば。劇中とは違い、この曲はコロナ禍を抜けた先の然るべき場で披露すべき曲という立ち位置になったと思っています。

 

 今ミリオンBCを読んでおけば、いつの日かライブでClover Daysが披露された時に、最大級にその瞬間を楽しむことができます。4人の演者さんはいずれも忙しく、特に現状では人気絶頂の上田さんをライブで拘束するのは極めて困難と言われますが、アイマス伝統の「言えば叶う」はきっと今回も健在のはずです。

 

 

 

 未読だけれど過去の公式番組やサブスクで「Clover Days」を聴いて良いなと思ったり、群像劇路線までに離脱していたけどやっぱり読み進めてみようかな、と思ったなら。

 

 

 今のうちにミリオンBCを読んでおいて、いつか来るその時に最高の感動を味わいませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 ということで、改めて追っかけ連載の配信サイトを再掲しておきますね。ここまで1万字弱の記事を読んでいただきありがとうございました。

 

「Comic Walker」

https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM01200495010000_68/

ニコニコ静画
https://seiga.nicovideo.jp/comic/35890

 

 

 

 

 

 ちなみに、可奈のMS2の新曲「グローインミュージック!」は、それまでのソロ曲とは一線を画した仕上がりになっていて、また違った形で彼女の成長を感じさせるものになっています。9thで確実に披露されるので、CDや音源を買っていなかった方はこちらもぜひサブスクで聴いてみてください。(コールできないのが残念ですが)

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角川公式の各話の試し読みページはこちらから。

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