紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

たどり着いたゴールは次へのスタート ――「 #オケマス2022 」現地参加レポート

 

 

 2005年サービス開始のアーケード版アイマス、及び2007年のXBOX360アイマスには、トップクラスのアイドルになった如月千早がフルオーケストラを引っさげてライブをするコミュがありました。

 

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 アケマスの開発時に作られた「蒼い鳥」は、椎名豪さんが収録に勝手にオーケストラを呼んで予算を吹っ飛ばした逸話もあります。また、アイマス生みの親の一人である元石原ことディレ1原案の「朝焼けは黄金色」でもアイドルがフルオーケストラをバックに歌うライブプランが登場することから、アイマス公式にとっても初期からの夢、目指すゴールの一つだったのかもしれません。

 そんなアイマス初のオーケストラコンサート、オケマスこと「THE IDOLM@STER ORCHESTRA CONCERT ~SYMPHONY OF FIVE STARS!!!!!~」に両日現地参戦してきました。今回は言葉に尽くせないくらい素敵な二日間を過ごさせていただきましたが、その感想をまとめていきたいと思います。

 

 

 

 

 今回のオーケストラコンサートは、絶対に行かねばならない舞台でした。メインは真Pですが千早Pの端くれでもある私にとって、おそらく最初で最後であろう「今井麻美さんがフルオーケストラをバックに千早の曲を歌う」という機会は、絶対に逃がせないものだったからです。香里有佐さん演じる桜守歌織もミリオンスターズ39人では上から10人に入るくらいには好きなので(夜想令嬢、オペラセリア・煌輝座、MPUのメンバーで10人中9人埋まってるって話は前にしましたっけ……?)、こちらも二度とない機会かもしれない千早・歌織のデュオ歌唱は見逃せないものでした。

 

 また、例によってセトリ予想予習動画も上げました。結果的には、守備範囲内はおおむね当てられたので及第点でしょう。

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 そんなわけで、今年6回目のアイマス遠征、6回目の東京駅です。

 

 

 

 

 

 

 

 

■DAY1

 

 まさか今年だけで3回も来るとは思わなかった幕張。

 

 

 サンリッチDay2後の感想会で「思い入れ深いけどキャパ的にまたここに来るのは勘弁してほしいっすねー」と言ってから4カ月。早くも幕張メッセイベントホールに還ってくる日が来るとは思いませんでした。

 

 この日の私の服装は、直前に新調したジャケットと明るいベージュ系のパンツ。靴は革靴。ドレスコードはないと言われている以上は「あんまり畏まったものを着るのもどうかな……」と思ったので、両日分のチケット+アーカイブ代くらいの価格帯からカジュアルなものを選びました。こっちでの仕事も入れてきたので青系のスーツも持ってきて、day2は現場の様子を見て決めようかなー、という構えでした。

 

 

 

 

 

 

 現地では思った以上にスーツや礼服の方が多かったですし、女性はしっかりしたドレスの方もいらっしゃった印象です。ただ、あのアリーナの状況を思うと男性はジャケットくらいがちょうどいいなと感じました。次回がどの季節にどこであるかにもよりますが、国際フォーラムのようなコンサートホールだった場合はフルグラまで行くとちょっといかがなものかな……と思います。

 

 

 

 

 仕事ではこうした演奏会に居合わせる機会がある私ですが、完全プライベートでのオーケストラコンサート参加は初めて。少し緊張しながら同僚のPさん方と久闊を叙する……というほど間は空いていないのですが、皆さんと話していると初めてのオケコンを楽しみにしておられるようでした。

 この日はアリーナC4ブロック真ん中あたり。各楽器にマイクをつけ、スピーカーも普段のライブより強化されていたためか音響は思っていたより良かったのですが、当日も話題になった通りぎっちり詰められたパイプ椅子はなかなかしんどいものがありました。ここは数少ない改善点だと思います。

 とはいえ、このオケマス自体が早くて今春、あるいは7月中旬にゴーサインが出た企画でしょうから(JUNGOいわく、シンデレラの月末のライブより後のオファーだったとのこと)、取れる箱が限られていること、音響調整に慣れていること、MRをやりやすいであろうこと――などを考えると、幕張メッセイベントホールは必然だったのでしょう。

 身長180cmで肩幅もある私にとってはなかなか窮屈な環境でしたが、いざコンサートが始まると、狭さや椅子の硬さなんかは気にする余裕はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 第一幕・星の交響曲の初手は、765ASの「READY!!」。

 来る可能性は高いとは思っていましたが、素晴らしい演奏と現地ならではの音圧を浴びた私は予想外にもいきなり涙していました。

 

 虎の子の防振双眼鏡を持参するのを忘れたことで、音を聴きとることに全集中できたのもあるのでしょう。聴くだけなら脳の処理能力に幾分余裕ができることで、走馬灯じみた思い出ボムの連鎖が始まったためでした。アニメのOPを初めて見た時の昂奮、ゲームやアニメの名場面の数々、ムビマス、その場に居合わせられなかったMOOIW2015、今回と同じ会場の幕張でライブ初現地した初星宴舞。苦難の時期とMR ST@GE、風穴を開けたTCの投票イベント、この曲がday2の先陣を切ったバンナムフェス、長い空白期間を経て再び765AS+が集ったサンリッチカラフル――。

 ベクトルはまるで違えど、今まで幾度も感じた「ここまで来た」という思いが爆発していたように思います。READY!!が終わった後は感情も少し落ち着きましたが、第二楽章で星屑のシンフォニアが始まるとまたダメでした。

 

 

 星屑のシンフォニア

 今回のテーマ的に「サンリズム・オーケストラ」同様にミリオン枠で当確の曲と思っていました。ミリシタのサービス開始から本格的にミリオンに入り、いつか765ミリオンの正統派フルライブを開いてほしいと強く願っている私にとって。4thでの演出が象徴的なこの曲でオリメンが一堂に揃うことは、必ずたどり着いてほしいゴールです。

 真を演じる平田宏美さんがオリメンで歌えていないミリオンの曲はいくつもありますが、あの一件のあったJOVを除けば、「オリメン未披露曲どっちやってほしい?」と二択で提示されればこっちを優先してしまうでしょう。7thRの演出も、あの最高のライブを象徴するものでまさしく白眉でした。

 そんな大好きな曲が、原曲とはまるで表情の違う優しい音色で奏でられたわけです。それはもう、撃沈しますよね。

 

 もしMTSのフルライブが予想通り来年に開かれてもこのメンバーは同日に揃えられないので、その次に期待したいところです。

 

 

 ……話がそれました。星屑の後に演奏されたAnniversaryも、しっかり予習していたのもあって非常に良いものでした。流れ星キセキを挟んで再び戻ってくるのも良い編曲だったと思います。休憩時間、「夜想令嬢のEverlastingが演奏された」とツイートしている人が多く「あれはAnniversaryじゃね?」と首を傾げましたが、ちょっと似ているのも確かなんですよね。けれど私はそう思わなかった……というか、そう認識してたら座席で矢吹丈みたいになってたはず。

 とはいえ、曲のイントロを聞いた瞬間に自分の脳内データベースから曲タイトルを引っ張り出す作業は、なかなか楽しいものでした。唯一、流れ星キセキはサビ手前まで出てきそうで出てこなかったので苦戦しましたが……。

 

 第三楽章は予想ドンピシャの「サンリズム・オーケストラ」から「STARLIGHT CELEBRATE!」のつなぎも良かったです。それにしても、この後も感じましたがSideMの楽曲のオーケストラ適性の高さは思った以上でしたね。勇壮さ、壮大さに一層の磨きがかかるのが良いです。

 シャニマスの「NEO THEORY FANTASY」は後でアーカイブのコメントを見ると「ラスボス戦」みたいなことが言われていましたが、実際現地で聴いた印象としてもそんなアレンジでした。まったく予想していなかった曲ではありますが、アンティーカの曲としては知名度も高い方……のはずなのでいざ演奏されると納得感が強かったです。根拠はないですが、これドーム合同でもやるんじゃないですかね?

 

 続く第四楽章は、同じくシャニから「Twinkle way」。テーマ的にほぼ確定枠と踏んでいたので、「まあ来るよなあ」とほくそ笑みました。この辺りはだいぶ余裕があったので、じっくり曲に聴き入ることができていたと思います。イルミネの曲では一番好きな曲なので、こういう形で聴けて良かった。

 

 と思っていたら、次は「来るはず」ではなく「来てほしい」と思っていた「Glow Map」。感情が一気に跳ねてこの日3回目の撃墜となりました。

 Glow Mapについては以前から「インストではミリオンの曲で一番好き」と常々言ってきました。また、この曲と言えば当時の時勢もあり、私がミリオンの歴代ライブで最も印象深い7thRを象徴する一曲でもあります。

 

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 インストで最も好きなのは、現状ライブブルーレイのスタッフロールでしか聴けないCメロの入り。歌詞で言うと「始まりのあの日から~」のあたりですが、ここもしっかり演奏してくれたので思い出ボムが倍プッシュに。目元をゴシゴシやりながら「合同でこれやって、ぴょんさんの"行ってきます"も聴きたいなあ……」なんて考えていた瞬間、大トリの「Destiny」の入りで再び決壊しました。READY!!で始まってDestinyで締める交響曲はあまりにも美しすぎる。

 

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 Destinyと言えば、私にとっては初星宴舞が印象深い曲です。5年近く前のレポは今見るとなかなかキツいものがあるのですが、いつかライブでもう一度聴きたいですし、それはいつか必ず来る日ではなく、まず来年の合同で聴きたいなあ……と思っています。

 ともあれ、「もし離れたって信じてるから 必ずまた逢えることを」Cメロのパートもアレンジを利かせながら演奏されてまた撃ち落とされ、最後は壮大なエンディングとして締められたことで、既に私としては「もうこれだけで元は取ったぞ……」という感想が。まだ今井さんが登壇すらしてないのに。

 一幕が終わり、和田一樹さんと東京フィルハーモニー交響楽団の皆様に盛大な拍手が送られた後、コンサートは20分間の休憩に入りました。何気にアイマスのイベントで休憩を経験するのはこれが初めてでしたね。MOIWも時間的に多分やらないでしょうし。

 そして私はこんなしょうもないツイートをしていました。

 

 

 ちなみにマッスル・ドッキングはそれぞれ単体で放った時の10倍の火力になるってバッファローマンが言ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 第二幕はサイリウム可で演奏にバンド音源も入り、普段のアイマスライブに近いコンサートに。開幕の「Resonance⁺」は原曲の良さをより壮大にした形で、それを全身で浴びると休憩で収まっていた熱がすぐに高まるようでした。光の演出も、少し眩しいくらいでしたが、コンサートの世界観の切り替わりを示すという意味では良い演出だったと思います。帰ってから見たアーカイブのコメントの「グレフェス7はこのオーケストラアレンジをバックにやらせてほしい」には笑ってしまいましたが。

 繰り返しますが、普段のライブと同様、音圧を浴びることができるのは現地の特権ですよね。多様なカメラアングルで楽しめる配信・アーカイブも良いので結局は現地に行ってアーカイブも買うのですが……。

 

 続いては、大崎甘奈のソロ曲「Sweet Memories」。明らかに何か隠していた後ろの幕が上がり、スクリーン越しにスタマスモデル(厳密には等身大化、オケマス仕様に伴い改造しているっぽいですが)の彼女が登場しました。

 歌声の新録、新規ダンスモーションとはいえリアルタイムではないので単純比較はできないのですが、アイマスライブではスタマスモデルの運用は初です。これもおそらく、MRプロジェクトの一環なのでしょう。スタマスモデルはこうした運用に向かないという意見もありましたが、少なくとも今回のように使う分にはまったく問題なかったと思います。そもそも、ステラモデルも素のままではなく大規模改修した上でMR ST@GEに投入されてますしね。

 

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 最初はちょっとボーカルが強すぎるかな、という印象ですがAサビ~Bメロあたりから微修正。ユニット制が強固なのもあってか、他ブランドほど明確な歌姫ポジションがいない(と見える)シャニですが、スタマスモデル持ち6人のソロ曲を考えれば甘奈は最適だったのかもしれませんね。現地では両日ともに真正面だったので、スクリーンの演出に特に違和感はありませんでしたね。

 

 続くはシンデレラの頂点に立つアイドル、高垣楓。「こいかぜ」は事実上の一択でしたが、私は当然ライブで聴くのは初めてでした。シンデレラメインのPが多かったのか、イントロが流れた時の周囲の息を呑む音や緊張感はなかなかのものでしたね。アイマスの椎名曲でも屈指の傑作と思いますが、じっくり聴き入ることができました。

 スタマスはもちろん、ディレ1退社前に本来あったと思われる旧スタマス構想でも楓さんは参加前提だったと思いますが、演者の登壇は困難でもハイエンドの3Dモデルを作っていたことでMRの機会があるのは良いことだと思います。様々な事情でステージに呼ぶのが難しい演者さんも、MRを活用すればキャラクターは登場できますし……。

 ただ、私は今回両日ともスクリーン真正面から見ていたので、あれを両サイドから見た人がどう思うかは気になりますね。MR ST@GEは座席から見る角度がつきすぎないようにすることで、現実感をなるべく失わないように苦心していましたが。

 

 

 続く滝澤俊輔さんは「メッセージ」と「Shine!!」の二曲の演奏に参加。アニメでも流れて多くの方が知っている曲ですが、こちらも楽しませていただきました。来年以降はこの枠を継続するのはどうなのか?という論点はあるものの、二曲目のShine!!の演奏は特に素敵でしたね。

 

 

 ここからは演者のターン。まず登場されたのは、「ハミングバード」を歌う桜守歌織役・香里有佐さん。ボーカルでは中~低音域に強い万能選手タイプで、歌唱力はミリオンでも上位に食い込む実力者ですが……さすがに誰も経験のない舞台に演者としては初登場ということもあり、かなり緊張されていた様子。それでもBメロ以降は尻上がりに調子を上げて要所は締め、最後のロングトーンでは魅せてくれました。19年4月以来ご無沙汰で、おそらく今後は長く披露されないであろうハミングバードですが、オケマスという舞台で一つの到達点を見せられたのは香里さんにとっても歌織さんにとっても大きな成果だったのではないでしょうか。

 

 

 そして、いよいよ今井麻美さんの登場。遠目でしたが、登場時は笑みを湛えられていた表情が、一礼して顔を上げた後はいつもの「千早モード」になっていたように見えました。そして多くの人が予想していたであろう、あの曲のイントロ。

 

 今井さんが歌うのは、如月千早の持ち歌一曲目、「蒼い鳥」でした。

 

 コロナ禍でも継続してライブをしてきたソロ活動の効果もあり、今井さんは歌うことにかけては自他ともに「今が全盛期」というくらいの好調ぶりです。サンリッチでの抜群に完成度の高かったボーカルは言うまでもありません(というかノーブレーキだと全体曲でも多くの演者さんを食っちゃう)。その安定感は、この日も健在でした。Aメロだけで、圧倒的な世界観の構築力に会場が呑まれていたように思います。現地では初めてこの曲を聴く私もまた、その一人でした。

 単純な演者個人の歌唱力であれば、今井さんは全アイマス女性声優の中でも十傑に入るくらい止まり……なのかもしれません。少なくとも一番ではないでしょう。しかしひとたび如月千早としてステージに立った時、表現力と空間の掌握力は一頭地を抜くものがあります。背負ってきた歴史の蓄積という補正も大きいのですが、現行の「アイマスライブ」のくくりにおいては、今後も彼女の右に出る演者はいないのではないかと思います。

 蒼い鳥は全バージョン込みだと今回で22回目の披露とのことですが、私の見たことのある範囲では今回が最も高いパフォーマンスのように思えます。得意の高音域だけでなく低音域でも発揮される力強さ、如月千早としての感情表現、そして盤石のロングトーン。アケマスから17年、楽曲が生まれてからもうすぐ19年というこの曲が、オーケストラコンサートというこれ以上ない場で完成形を見せられた瞬間に居合わせられてよかった。これだけでチケット代どころか旅費まで元を取った気分でした。

 

 曲中、青のライトを振ることも忘れてただ握りしめていた私は。曲が終わった瞬間、ようやく大きく息を吐き、他の観客の皆さんとともに手が痛くなるほどの拍手を送っていました。

 

 香里さんも再登場してのMCを経て、期待されていたデュオ歌唱のターンがやってきます。私は「この二人ならコロムビア曲かなあ……」と思っていて、「瞳の中のシリウス」は候補曲であると思いながらも予想から外していました。

 無学な私は知らなかったのです。シリウスは「連星」であると。

 

 曲名が告げられ、拍手とともにまたしても息を呑む音が聞こえました。いざ歌いだしてみれば、特に今井さんにとっては高音域で高く翔ぶようなこの曲は得意な領域。蒼い鳥とは一転して、余裕のある優美な歌声を会場に響き渡らせます。

 一方の香里さんも、以前にカラオケで駒形友梨さんとシリウスを歌ったくらいには好きな曲だったそうで。緊張もほどけていた感があり、生半可な声量では食われてしまう今井さんの歌声にもしっかり付いていけているようでした。ハモりもユニゾンも輪唱も美しく、オーケストラの演奏という風を受け、その歌声は夜空を駆ける一対の飛鳥を思わせました。

 シリウス自体は今後もミリオンで歌われることはあるでしょうが、少なくともこの二人のデュオでというのは考えられません。そんな貴重な機会を目の前で見られたのは、本当に幸運でした。

 

 二人の歌唱が終わり、「最後の曲」はSideMの看板曲、「DRIVE A LIVE」。様々な楽器のパートが順番に顔見世したかと思えば、サビに重なって壮大な演奏となるのは、多士済々なブランドの特色を表しているように思えました。また、この曲でクラップが解禁(というか、煽られてみんな「やっていいんだ!!」となった)。

 重ねて書きますが、SideMの楽曲のオーケストラ映えは今回の発見の一つでしたね。MOIWの予習も兼ねて横アリのライブも、休み予定の日曜だけでも配信で覗いてみようかと思います。

 

 鳴りやまない拍手の中、退場した和田さんがアンコールで再び登場し、場内はさらに大きな拍手に。さて、マスピか、なんどでも笑おうか。どっちだ――と身構えた私の耳に届いたのは、M@STERPIECEのイントロと、会場から漏れる呻きとどよめきでした。

 「マスピはなんぼあってもいいもんですからね」。予想予習動画でそう書いた私ですが、READY!!の時と同様に読めていたから耐えられるわけでもありません。つい4ヶ月前、この幕張で見た景色がフラッシュバックします。スクリーン演出も、色こそ5色ですがあの時と同じ。またしてもボロボロになりながら、可能性のあるメンバーの分を持ってきた765ASのメンバーの個別リウム5本を振りつつ、心の中で「ありがとう」を繰り返していました。

 MOIWでも九分九厘やるであろう曲ではありますが、マスピに関しては本当に言葉で語るのが難しいですね。ただサンリッチの時と同様、多幸感と感謝の思いは絶えることはありませんでした。

 

 

 

 

 この日は会場そばのアパホテルリゾートに宿泊。座りっぱなしなので腰の負担は軽微でしたが、ここはベッドが良いので翌日に疲れが残りにくいという点、チェックアウトも延ばそうと思えば延ばせるという点が強みですね。

 

 

 

 

 

 

 

■DAY2

 


 この日は別件の用事の後に幕張に舞い戻り、2階Aスタンドでの観戦。スタンドの椅子は備え付け式なので、窮屈さは前日よりはだいぶマシでした。当日券が出ていた観客席は、三階席が250~300席、見切れが150~200席くらい空いていた感じでしょうか?

 難しいところですが、来年のMOIWと同様、行きたい人全員が行けるに越したことはないと思います。

 

 一幕のセトリは変わらない見通しで実際その通りだったので、この日はリソースを聴くことに全振りできましたね。でもやっぱりGlow MapからDestinyの流れは強すぎるんですよ(1敗)。

 アーカイブでより感じましたが、和田さんや東京フィルハーモニーの皆様も初日よりはこなれた印象で、アレンジや遊びの要素も進んで入れているように見えました。

 

 

 

 Day2の二幕、キャラ・演者パートはまずSideMのAltessimoの二人が登場。こちらも予想通り、最近サイスタで登場したモデルの活用でした。曲は「mermaid fermata」「The 1st Movement ~未来のための二重奏~」。SideMにはあまり明るくない私ですが、予習済みだったりMORに登場している曲なので楽しめました。行政・公務員系とのコラボで縦横無尽の活躍を見せるFRAMEもそうですが、Mはブランドの強みとして特定テーマに合致するアイドルが多いですね。オケマスはまさに彼らのためにあったような舞台だと思います。

 またDay1も含めてですが、配信アーカイブを見て思ったのが指揮者の背中越しにキャラが歌う姿が映る角度は良いな……と思いました。次回もこの画角は用意してほしいです。

 

 それに続くは、二曲目にまさかの「こいかぜ」で会場をざわめかせた貝田由里子さん。作詞者として情念たっぷりに歌い上げるその姿は、曲の印象を塗り替えてしまうほどの衝撃でした。楓さんが天上で舞う歌姫なら、貝田さんは大地に根差した大樹のような歌声で……。

 アーカイブだとあの音圧がまったくないので現地で感じた圧倒的な迫力が味わえないのは残念でしたが、叶うなら次回以降も参加してほしいですね。今回披露されなかった千早曲など、ストックはいくつもありますし。もちろん、結城アイラさんやきみコさんのように、制作陣かつ自身もボーカルができる人の枠は次回も用意してほしいところです。

 

 貝田さんの熱唱でハードルが上がりに上がった中で、続いて登場したのは高山紗代子役・駒形友梨さん。歌唱力に定評がある演者が居並ぶミリオンでも、Vo力団の双璧的な存在です。あの貝田さんの後なので相当キツいし緊張するだろうな……と思っていましたが、それは杞憂でした。本命視されていた「vivid color」を力みなく軽やかに、時に力強く謳い上げる姿には、ぐっとくるものがありました。

 紗代子の世界が色彩を増していくように、曲が進むごとに次音が増えて盛り上がっていく演奏もとても素敵で、vivid colorの魅力を大きく引き上げてくれていたと思います。スクリーンの演出も、最近追加されたSFYを思わせるものでした。

 


 後半の見せ場のロングトーンも圧巻の出来。17年のミリオン4th以来の披露ですが、完璧と言っていいパフォーマンスだったのではないでしょうか。

 

 

 演者・キャラの大トリは我那覇響役の沼倉愛美さん。産休明けということもあり、サンリッチではまだ抑えている印象もありましたが、果たして。

 

 選ばれた曲は、「初恋 ~一章 片想いの桜~」。曲名がスクリーンに表示された時、会場から「スゥ……」と息を呑む音が聞こえました。合同で歌うには知名度はあまり高いとは言えない曲ですが、沼倉さんは14年の9thなどでも歌っており、実質持ち歌的なポジションです。

 最初はやや抑えながら、次第に歌詞と同様に感情を込めて歌い上げるその姿は、あのたかはし智秋さんをして「エース」と認めた傑出したパフォーマンスを想起させました。普段はDa系統の曲が多くVoDaの総合力に気を引かれがちですが、Voに全振りした沼倉さんはこんなに凄かったのか、と思い知らされた気分です。特に大サビは抜群の出来でした。

 トリである以上は今井さんや香里さん、貝田さん駒形さんと比べられる立場ですが、今回の沼倉さんは見事に大役を成し遂げたのではないでしょうか。コロナ前のバンナムフェスの頃は、全女性演者で筆頭クラスの総合力とも評された彼女ですが、まだまだ伸びしろを秘めている……そんな感想さえ抱きました。

 

 いやーしかしお二人とも本当にきれいだなーとか思ってたら、駒形さんはMCで「今日は皆さんも綺麗な格好してきて……あっ、普段が汚いってわけじゃないですよ」と的確な暴言を放ち、べーせんの地金が出てきてしまう始末。ぬーさんにケアしてもらって「クソッ……綺麗に終わろうと思ったのに」というつぶやきまでしてしまったのは完全にミリオンが漏れてました。

 

 ある意味「らしい」MCの後に告げられたのは前日と同じ「瞳の中のシリウス」。「Melody in scape」を期待していた私としては一瞬残念な思いもありましたが、すぐにそんな雑念は吹っ飛びます。

 とにかく歌声がすんごい綺麗。ユニゾンだけでなく、ハモりの美しさと好相性は特筆すべきレベルで、この点においては前日のデュオを凌駕していました。駒形さんの透き通るような歌声を、全体のバランスを取りながらさらに高みに押し上げる沼倉さんの歌声も印象的で、デュオやユニットにいると「全体バフを使えるアタッカー」が的な万能選手だったのを再認識しました。

 しかし駒形さん、本当に綺麗で澄み渡るような歌声です。ついさっきまで的確な暴言吐いてたのに……。まだご用意されてませんが、ミリオン9th Day2で披露するであろう新曲の「REACH THE SKY」(11/30発売)も楽しみですね。

 

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 万雷の拍手の後に、二人が退場されると、演奏されたのは前日同様のドアラ。後で気付きましたが、このセトリなら二幕で「両日ともに5ブランドの曲を演奏する」という命題もクリアできるんですね。もちろんこの位置に置くのは適切と思える曲で、前日以上にステージが煽ってくれたように思えます。

 そしてアンコール明けの、多幸感たっぷりのマスピ。5ブランド曲は敢えてやらなかったのでしょうが、それでも全ブランドのPをまんべんなく満足させるコンサートだったと言えます。前日同様、満ち足りた気分で私は会場から退席しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

■次回に向けて

 オケマス2022は、急ごしらえだったとは思えないくらい素晴らしいコンサートでした。

 指揮の和田一樹さんはDay2では観客のツボをつかんだのか、二幕でこちらを盛り上げるのが上手くなっていたように思います。東京フィルハーモニー交響楽団と二幕から参加したバンドチームの皆様も、私を含めオーケストラコンサートの参加経験が多くはないであろうPたちに、その魅力を十二分に伝えてくれました。本当に感謝しかありません。アイマス曲をここまで素敵に演奏してくださり、ありがとうございました。

 

 

 公式がわざわざ「オケマス2022」と年号を振っており、また以前の番組でも匂わせていたところからしても「好評なら定番化したい」という意図は感じました。そして公演を終えた結果、どのような反響が出ているかは言うまでもありません。

 ……というかアンケ自体はまだ28日まで回答できます。まだの方はぜひ声を上げていただければ幸いです。

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 来年かどうかはわかりませんが、オケマスは次回もやるでしょう。確かに出し惜しみなしではありましたが、まだまだ曲も演者もストックは十分。今回がゴールというわけではなく、次のステージへのスタートだったのは明らかです。

 

 できれば和田さんや東京フィルの皆様にも続投してほしいところですし、次回は多少値段が上がっても、東京国際フォーラムパシフィコ横浜(いずれもキャパ5000)で開催して音響にもさらにこだわってみてほしいところです。広義のMRをスクリーンに映す公演は、おそらく幕張イベホの方がやりやすく見せやすいのでしょうが……。この辺りは次回開催時に、どっちに転んでも意図を説明してもらえれば皆さん納得するのではないでしょうか。

 

 今回は「星」をテーマにしましたが、1000を優に超えるアイマス曲なら、次は「夢」でも「愛」でも「絆」でも、何でも選び放題でしょう。あ、ちなみに愛ならオペラセリア・煌輝座の「Parade d'amour」とかどうでしょうか。インストでも結構いけますよ。

 

 765AS・ミリオンにしてもたかはし智秋さん(三浦あずさ)や平山笑美さん(北上麗花)、田所あずささん(最上静香)といった演者が控えています。個人的にはキャラ出演でいいので、まだ未披露のままの三浦あずさ100%の「隣に…」が見たいところです。

 順調なら年度内、遅くとも来夏には「次回開催決定」のお知らせが出そうな気がするので、楽しみに待ちたいですね。

 

 

 

 

 今回のオケマスをもって、私は年内のアイマスイベント現地参加納めとなります。(今週末は仕事ですが12/3は休みなので、MOIWの予習も兼ねてMの横アリは配信で見るでしょうが)

 今年もどうしてもコロナに振り回されがちで、ライブもやむなく現地に密行やトンボ返りをしたり、765AS・ミリオンともに一番好きなキャラの演者さんが感染で出演取りやめになって心がバキバキになったりもしましたが、トータルでは充実した一年ではありました。

 来年は1、2月といきなり主要ライブ続きですし、アイマスとしてもきっといい年になるので、自分の体調管理だけはしっかりして臨みたいですね。