紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

誰もが抱える「未練」と、「大事なのは濃度」へのアンサー。かつてミリオンライブが苦手だった古参Pが見た10th Act-4

 

 

 

 

 

 人の人生に影のように寄り添うものとして、「未練」という言葉があります。

 

執心が残って思い切れないこと。あきらめきれないこと。また、そのさま。「—が残る」「過去に—はない」「—な気持ちを引きずる」

goo辞書より

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然ですが。

 ――あなたにとって、アイマスを追う上での「未練」はなんですか? それはすぐに、言葉にできるものですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 未練というものはなかなかに厄介で、時に人の心を暗い方向に引きずり込むこともあります。ですが一方で、いつか未練を解消できるように同じことは繰り返さない、そして未練があるからこそ頑張れる、という推進力にもなります。

 

 例えそれが、すべては叶うものではないと知っていても。

 

 

 濃密なブランド10周年イヤーの集大成となった、ミリオン10thライブツアー Act-4。今回はそのライブを「未練」、そして「濃度」というワードで紐解き、ライブレポに近い形を採りながら、かつて嫌いに近い苦手、端的に言うと敬遠の姿勢を取っていた私とミリオンの6年を振り返りながら語ってみたいと思います。

 

 

 近年傾向が強かった小綺麗にまとめるレポではなく、ミリオンライブと本気で向き合った私の6年間の感情をぶっ放して。

 

 そのため、ライブレポの体ではありますが「私とミリオンライブ」という集大成記事の属性を帯びますことをご理解ください。

 

 

 

 

(注・今回は投稿は大変遅くなりましたが、現地の記憶やアーカイブ映像を確認する必要のあるパートは先行して書き、過去のライブの映像チェックや演者さんの番組などそれ以外を後から肉付けする書き方を採りました。Act-4以降3日しかない休みをはんげつで2日使ってしまったこともありましたが、大変遅くなりました)

 

 

 

 

 

 

 

■Day0 いざKアリーナ! 

 

 簡単に私の経歴を説明すると、学生だった07年以来のPであり、担当は菊地真如月千早。そして昨年からはアイドルと演者からの長年の猛攻に陥落する形で、以前から「担当を増やさない」と言っていたはずのミリオンスターズから天空橋朋花が加わりました。

 そこにいたる経緯はAct-2のレポでまとめているので、お時間のある方はそちらも読んでいただけると幸いです。

 

siden-p.hatenablog.com

 

 ミリオンの10周年イヤーはアニメやMOIW、異次元フェスも重なって濃密で濃厚なものになりましたが、アイマスを追ってかれこれ17年となる私にとって、10周年イヤーと言われると少なからぬ後悔と未練が頭をよぎります。

 私は765ASの10thでもあるMOIW2015に、前年から決まっていた海外出張のためライブビューイングすら参加できませんでした。

 もっと言えば、初参加を期していたAS7thは大病で入院したため都民でありながらそれどころではなく、その後はメンタルを病んでミリオンが発表された冬フェスにも行けず、そのまま東京から逃げだしました。

 東京よりはマシとはいえまあまあ激務の地方勤務ではメンタルの復調後もライブには参戦できず(頑張ればAS9thのどれかは行けたはずですが)、765ASの10周年イヤーに悔いを残したままで長年の二次創作が完結したこともあり、アイマスに対するモチベーション下落が決定的に。結局ライブ現地の初参戦は、2018年の初星宴舞まで待つこととなりました。

 

 

 だからこそ、ミリオンの10周年イヤーは悔いを残したくない。全力を尽くしてやりきったと思えるようにしたい。

 

 

 そんな決意で、ISF10・11のような同人イベントや理由あって縁が深い壮瞥町コラボ「壮瞥りんごめぐり」も含めて、行けるイベントは居住地の大阪から片っ端から遠征して行きました。結局昨年からですと、9th、MOIW、10thAct-1~4全通、そして小岩井ことりさんが天空橋朋花役の看板を背負って出演した新宿の公式DJイベントも昼夜全通しました。行っていないのはミリラジ公録とAct-3のバーターに近い出張だった異次元フェスくらいでしょうか。

 職場のGW、盆休み、正月休みも日程をずらしてそれぞれAct-1、2、4で確実に休むための休暇に回しました。おかげでとんでもなく濃い1年余となりましたね。

 

 

 ここまで全力を尽くした背景に、かつての765ASの10周年で抱いた未練があったのは事実でしょう。ですが、ミリオンの10周年イヤーがただの「代わり」だったのかと言われれば、それは真っ向から否定します。代わりのコンテンツに、長期休暇の多くを充てた上で年間100万の出費はできません。

 他方、やはり私の一番の担当は菊地真であり、昨年のミリオンキャスティングで勝つために約500時間を注ぎ込んだようなことは他の子ではできないということも、また揺るぎません。それはこの後に参戦した「はんげつであえたら」でも改めて実感しました。人間そうそう綺麗に割り切れるものでもないのです。

 

 

 

 今回は正月休みを返上して代わりに2月に連休を取得したこともあり、ライブ前日の歌姫庭園にも参加できました(今回は15年以上の付き合いの河邑一真さんのサークルで売り子。うちの本も置いてもらっていました)。その上でKアリーナのある横浜にほど近い川崎のドーミーインに宿を取り、悠々とライブ当日を迎えます。

 

 私にとって、この宿と25日に宿泊した馬車道のアパリゾート・ベイタワーは、未練の一つでした。2020年2月、横浜のDMM VR THEATERで開かれた「MR ST@GE encore」。既にコロナ禍の影が濃くなっていたご時勢に開かれたイベントで、私は前半戦の水瀬伊織回と双海亜美・真美回に参加。翌週の星井美希三浦あずさ天海春香回のチケットも、あらゆる伝手と手段を用いてどうにか各1~2公演を握っていました。

 しかし、イベントは中止に。予約していたアパリゾートベイタワーなども泊まれずじまいでした。だからこそ、いつか横浜でアイマスのライブイベントがあった際には、この宿に泊まると決めていました。

idolmaster.jp

 

 

 Kアリーナに隣接するヒルトンのコラボプランも手が出ない金額ではありませんでしたが、やはり自分で決めたルールは守りたいと思って宿を転々としました(いいホテル3泊と1泊で同等の価格となるヒルトンのコラボプランに、少々腰が引けたのもまあ事実ですが)。

 

※旧DMM VRシアター、現1000CLUB。2/24昼撮影。

 

 かつてディレ1が模索していたであろう新しい可能性を具現化したイベントだったMR ST@GEは、各ブランドで様々な形に変わりながら現実への浸食を続けています。「はんげつにあえたら」も、その系譜の素晴らしいイベントでしたね。

 

 

 

 ……話を戻しましょう。

 

 今回も例によって、セトリ予想・予習動画を事前に投稿しました。Act-3では作っていなかったのですが、予習範囲が広大になることや、ミリアニや異次元フェス、ミリアニムビナナ異文化交流で新たにミリオンに触れた方も多く関心を持っていてくださるなどの背景があり制作しました。

www.youtube.com

www.nicovideo.jp

 今回は仕事の都合で2月初旬かライブ直前に投稿するしかなく、かなり早めの投稿となりました。結果、その翌週のミリラジで個別衣装が匂わされ(=ソロ曲メドレーが濃厚となり)、投稿していきなり想定していたコンセプトが外れることになりますが、まあそれは致し方なかったと思います。自由枠がボロボロだった8thや9thと違って、それ以外の部分ではまあまあ当てられましたし……。

 

 

 私が2019年以来こうした動画を作っているのは、むろん自分自身がライブを楽しみ、気持ちを盛り上げるためという側面もあります。ですが主目的は、後述しますがこれまでのあらゆる活動と同じで「(私の好き・関心をある分野のことを)知ってほしい」「それによりもっと楽しんでほしい」に尽きます。

 

 

 一歩間違うとライブを純粋に楽しめなくなるのでもうやめようかと思った時期もあったのですが、最近はありがたいことに多くの方から動画制作を応援していただき、また動画経由でミリオンBCや他のコミカライズ、あるいはドラマCDを履修した、という声もいただくようになりました。今回無事に両日とも良席で見られたのもブログ執筆も含めた活動がきっかけなので、今後も続けていこうと考えています。

 ちなみに毎回ではないようですが海外の動画サイトにもこの動画シリーズが転載されたり国内でも店内で流すコンプラ意識ゼロな全国チェーン店があったりしますが、海外でも四桁回ったりしてるようで。意外と需要あるんだなあと思いました。

 

 

 

 

 前置きが長くなりましたね。では、ようやくですがDay1の話題に入っていこうと思います。

 

 

 

■Day1  塗り替えていく最高。10年を経て築いた揺るぎない自信

 

 

 

 Day1朝。開演約7時間前の時点で、私は既にKアリーナにいました。

 



 Kアリーナに来るのは、ISF10の帰りに工事風景(外部はほぼ完成してましたが)を見に行って以来。そして、こんなに早く来たのは、正午から始まる源P名刺交換会に並ぶためでした。

 

 ミリアニでプロデューサー役を務めた中村源太さん太鼓の達人の「GO MY WAY!!」から入ったというかなり古くからのPでもあり、その知識と愛は765プロ限定ならあのAPかっしーとも互角にやり合えるほどです。多くの演者より若年ながらステージや配信での回しも巧みなだけでなく、時に笑い時に涙して、そこまでしなくてもいいと思えるくらいにミリオンのために駆け回って「俺らの代表」をしてくれる姿に、多くの人が感銘を受けたでしょう。だからこそ、感動のあまり一時司会進行が機能不全に陥ったAct-3のステージでさえ、彼を責める人はほぼ皆無だったのだと思います。

 そんな彼に、少しでも早く感謝の一言と、これからもコンテンツに関わってほしいという言葉を伝えたい。Day2ならさほど並ばずとも余裕だろうというのがわかっていても、Day1の早い時間に渡すために私は1時間半以上並びました。既に前には数十人がいて、最前列の方は午前7時半から並んでいたそうです。すごい。

 

 

 


 与えられた時間は各15~20秒ほど。通り一遍の挨拶の後、通常の名刺と残り10枚ほどとなったMC公爵真のPR名刺を渡して、「本当に源Pがミリアニのプロデューサー役で良かった」とお伝えしました。これはAct-3のアンコール明けの彼の言葉へのいわば返歌ですが、伝わっていたら良いですね。

 ちなみに、ほむでぃーさん主催の源Pフラスタにも参加させていただきました。今回は他にも朋花(ぬの執事さん主催)、Clover(ガースーさん主催)、マイペースユニット(浮さん主催)のフラスタと、中村温姫さんへの楽屋花(みなみのさん主催)にも参加したので、昨年2月のMOIWを抜いて過去最多の企画参加になりました。

 ここで紹介しないものも含めて、来たるハッチポッチ2では私も大枚はたいてチャレンジしたいなあ……なんて思わせる素敵な企画が多かったですね。

 

 

 

 その後は打ち上げ会場の視察やら何やらをこなして、取り置きのお約束があったISF11新刊「ある菊地真Pのキャスティング投票回顧録」をお渡ししたり、訪れてくださった方と名刺交換や雑談などをしていました。

 ちなみにこの本は増刷分があと55冊(全体で初版50・2版100で計150冊制作)あるので、ISF12に持っていきます。その後は残った冊数次第ですが、必要な方に行き渡ったと判定して夏以降にサークルないしメロンへの委託も考えています。

 

 

 

 この日はニコマスP時代からかれこれ15年来の付き合いになる華凉さんと連番で参加しました。MOIW2015以前は2006年の1stからのライブ皆勤組で、私と入れ替わるようにライブから遠ざかっていた年上の友人を引っ張って現地に連れて行ったのがMOIW2023でしたが、その後はAct-1、2と現地でミリオンのライブを楽しんでくださり、そして傑作となったミリアニで沼落ちさせることに無事成功しています。ちなみにこの一年で沈んだ沼は白石紬。

 アイマス系で10年以上前から顔を合わせ続けている友人はもう河邑一真さんと華凉さんだけになってしまいましたが、自分がどうにかなってしまいそうな時や判断を誤りそうな時でも、気心の知れた友人が隣にいてくれるというのは心強いものです。

 

 

 

 

 この日の座席はレベル5の中段あたり。聞いていた通り距離は思ったより近く感じ、座席も横幅はあって申し分ありません。距離を近くするために縦幅は狭く荷物を置ける場所は限られますが、ドリンクホルダーがあるのは評価したいですね。後述しますが、音響も過去のライブでは最も良かったです。

 

 どんなセトリで、どんな演出があるのか……というのは、さほど気にしていませんでした。これでも6年ミリオンと付き合い、ライブは5thのライビュから入って6thSSA以降は最低でも片方の日は現地に行っています。加えて、Act-1~4が一つのライブであるという仮説に基づけば、そうおかしな曲や演出はないという確信がありました。

 加えて、ライブ初現地だった2018年の初星宴舞のようなふわふわとした高揚感が身を包んでいました。彼我に何の不安も懸念もないこのライブは絶対にいいものになるのだから、見届けよう。涙を流す暇すらもったいない。そう誓って、テンションの高い美咲ちゃんの影ナレを聴きます。その時に私の脳裏にあったのは――。

 

 

 Day1の1曲目は待望の「Welcome!!」だ、ということ。

 

 

 セトリ予想動画でも断言したこの曲を待ち望んで、すっかり身になじんだブザーを聴き、1st(Act-1)verのovertureを聴きます。それが終わりかけると、聞こえてきたのは肉眼で「それ」を確認できるアリーナ勢からの悲鳴のような歓声。そして多くのPが待ち望んだ楽曲のイントロが流れます。

 

 フェスを除けば17年のハッチポッチ1や16年の3rd以来となる「Welcome!!」。そしてほぼ予告されていた、ミリオンでは初の個別衣装を身にまとった32人の演者の姿に、Kアリーナは怒号のような歓声に包まれました。両日でも歓声の規模という意味では、この瞬間とハッチポッチ2発表の双璧だったのではないでしょうか。

 近年は逆にやらなさすぎて演者にも多々ネタにされていたこの曲ですが、とはいえこちらはUNION!!と違って「まさか本当にやらないとかないよな……?」と不安になっていた方もいたかもしれません。

 そういう意味でも、最も相応しいDay1初手にWelcome!!を持ってきたことで、多くの人が安堵し、そして確信したでしょう。

 

 「Act-4のセトリは大丈夫だ」と。

 

 

 

 

 

 さて。

 

 私のミリオンスターズの担当・天空橋朋花の演者である小岩井ことりさんは1枚目のSSRである「ル・シエル・エターナル」で登場しました。

 

 

 私はと言うと「うんうんそうだよね朋花の衣装はこれで来るよね」と、8th以来の相棒であるビクセンの防振双眼鏡でガン見しながら心の中でマシンガン首肯してました。

 ソロ曲では「鳥籠スクリプチュア」を残している朋花の衣装はこれか、ダーク路線であれば肩の露出を下げたSFY衣装「マリア・レクイレム」の二択かなと思っていましたが、どうも二択の提示があったらしい中で一着だけ作るというのならやはりこれでしょう。終演後の小岩井さんのポストも話題になりましたね。

 

 

 他の演者の皆さんもそれぞれのレギュレーションに合わせつつ、可能な限りキャラクターに寄せた印象です。この後に要所要所で触れていきますが、ところで一人だけアイドルより衣装の布地が減ってるしとんでもない厚底履いてるMachicoはなんなんだ貴女。

 

 ともあれ、単独では過去最多の2万の大観衆は各々の担当や優先して追いかける演者さんに目を向けながら、久々のWelcome!!のコールを楽しんでいました。前回披露の東京ドーム(バンナムフェス1st)にはさすがに大きさでは負けますが、レベル7後方でさえそこそこ見やすく、音響も多くの席では過去最高レベルに良かったKアリーナで披露する最初の曲がこれで良かったと思います。

 

 MC明けの2曲目はこれまた確信していた「Legend Girl's」(レジェガ)。田所あずささんを待ってDay2の2曲目の可能性も若干はあるかな……とは思っていましたが、やはりDay1でした。ここから始まる私たちの伝説、ですからね。ミリアニのBGM、そしてあの7thRの2曲目でもありましたが、それらを経ての10thツアー千秋楽公演でのレジェガは文脈の強さが違います。

 このレジェガを歌った3人が天使と天使と聖母、みたいな言われ方をされていました。少数の演者にスポットが当たるユニット曲が来たことで、改めて個別衣装の強さを実感した方も多かったのではないでしょうか。私は「憧れから現実になる 瞬間が今なんだ」「今日が未来への一歩」のパートが小岩井さん担当で、心の中で手を合わせました。3人歌唱でそこを当ててくれるのは名采配としか言えません。

 

 続いてはソロメドレーコーナー。これは個別衣装でやる以上は当然の流れで、初手は茜ちゃん役・小笠原早紀さんの「AIKANE?」でした。Act-1~4を一つの公演としてとらえ「全体曲とミリアニ曲以外は同じ曲を原則二度はやらない」と想定していた私としては、いきなり見えない角度からパンチを食らった気分です。

 種明かしをすると、当初はAIKANE?ではなく衣装に合わせた「プリティ〜〜〜ッ→ニャンニャンッ!」の予定だったとのことですが、ゲームサイズでも見せ場が多く、すっかり茜ちゃんの名刺的ポジションになったこの曲を演者リクエストで起用したとのこと。Act-2ではアソプレ先行なのに悪名高いブリージアNに配置されてあいうえお構文もさっぱり聴き取れませんでしたが、今回はさすがのKアリーナということもあり、あいうえお構文もコール&レスポンスの聞き取りもばっちりでした。

 続いては北上麗花役・平山笑美さんの「FIND YOUR WIND」。さらにVo力団の双璧、高山紗代子役・駒形友梨さんの「Only One Second」。畳みかけるように佐竹美奈子役・大関英里さんの「SUPER SIZE LOVE!!」が続きます。

 私のようなミリシタから入り、そして現地はキャパの大きな6thSSAからだったPにとっては「配信やLVでは見られたけど現地で見たことがなかった曲」の数々です(SSLはソロでないなら7thRがありましたが、私はDay1はLVだったので)。Act-4のセトリ

 ようやく見られた!ようやく「おかわりー!」できた!という万感の思いでしたが、それと同時に気付き始めます。

 

 

「なんか、みんな出力が高くね……?」と。

 

 

 10thツアー最終公演ということでもちろん気持ちも乗っていますし、かなりストイックに仕上げてきたなと見受けられる方も両手の指では足りません。しかしそれにしても火力がすごい。やはり普段はフルで歌うソロ曲がゲームサイズになることで、スタミナ配分をする必要がなくなり、限られた時間に普段以上のパワーを注ぎ込めるからなのでしょうか。野球で例えるなら、普段は先発投手の大谷翔平が抑え投手に回った時に見せた「大谷の15球」のように。

 Act-4は両日ともに、盛り上げ曲からバラード曲まで多くのソロ曲で圧倒されるものがありました。それは後述する「全員が主人公」というフレーズにも重なってくるのですが……。

 

 続いて披露された「ゲキテキ!ムテキ!恋したい!」は4th以来の披露が堅いと踏んでいただけに後方王騎将軍顔。中村温姫さんは過去イチのロコでした。すごいですよね。6th以降の演者の加速度的な深化と進化を実感できる一人ではないでしょうか。

 さらに「遅れたバレンタイン」枠として予想していたオリメン5人(恵美、未来、茜、杏奈、紗代子)の「ショコラブル*イブ」まで来てヒャッホーイしてたわけですが、曲が2番に入る前に事件は起こります。

 この曲の間奏ではセンターの所恵美(藤井ゆきよ)の「『だ、大好きだよっ!』…ぅぇぇ、こんな感じ……?」というセリフがあり、そこが見所の一つなのですが……彼女から満面の笑みで放たれたのは。

 

 

「大好きだよーっ! 10年間、ずっとね!!」

 

 

 まさかの不意打ち、10th仕様のセリフ変更。まさに閃光。17年のミリシタからの私でさえぐらっと来て感情値が振り切れそうになりましたから、グリマス初期から、1stから追ってきた人への衝撃はいかばかりだったのでしょう。おそらく崩れ落ちる人が続発していたのではないでしょうか。仮に私がグリマス古参なら絶対に耐えられなかったろうという確信があります。

 これは最後の「好きです!付き合ってください!」のセリフも変更が来る。原曲を知っているPたちがそう判断して総員対ショック体勢で構えていたところに――

 

「「「「「好きです! これからもずーっと、よろしくね!!!!!」」」」」

 

 ダメでしょうこれは。映画館でPが散々予告編を見た某ガンダムのハイマットフルバーストか何かでしょうか。担当とか古参とか関係なく数万人がまとめてロックオンされて薙ぎ払われてました。

 予想通りの曲が来ても、期待を越えてくる楽しみ……というのはこの活動をやっていての醍醐味ですが、このショコラブルはまさにそれでした。バレンタイン曲なのに泣き曲になった、という人もきっといたでしょう。

 

 

 ただ、もしかすれば。

 

 自身と重ねてきた年月と「濃度」の関係で、「10年間」という言葉に少しだけ引っかかった方もいたかもしれません。おそらく、本当に休みなく10年、ミリオンを追いかけ続けていた人はおそらく現地では1割から多くて2割弱くらいだったはずですから。

 

 それについての回収は、この曲のオリメンであった春日未来役・山崎はるかさんのあの言葉を待つことになります。

 

 

 

 とは言え。まだ開演30分とは思えないくらい、Kアリーナは最高潮に到達していました。

 

 

 そこからのMCは……カメラに映ってないところではMachico野村コンビがひたすらわちゃわちゃしてたし、ファンサの女神は相変わらずファンサの女神だったと記憶しています。こんなメンツをまとめて回さないといけない夏川椎菜さんは不憫。

 

 

 そしてMC明け。MCに大関さんも藤井さんもいなかったので近いかな……と思っていた「花びらメモリーズ」、通称闇のミリ女が披露されます。

 

 これがすごかった。

 

 大関さん、藤井さん、そして白石紬役・南早紀さん、周防桃子役・渡部恵子さん、四者ともに感情を前面に出して歌う姿には圧倒されました。特に決壊スレスレのラインで歌う渡部さんと大関さんの歌い方が好きでしたが、どちらかと言うと低音に強いと思われる大関さんの歌声は、Kアリの音響とも相性が良かったように思えます。

 大関さんは翌日の「Star Impression」でも強者揃いのチーム1stのセンターとして抜群のパフォーマンスを見せてくれましたが、9thでこそ不調で悔しい思いはしつつも、MOIWと10thツアーでは積み重ねた10年間の結実をいかんなく発揮してくれましたし、彼女と美奈子を長く応援してきたPにとっても、改めて「美奈子(ぜっきー)を応援してきてよかった……!」と思わせる1年間だったのではないでしょうか。

 

 次の曲はあの独特なイントロ。ミリオンのヤンデレソングとしてミリアニムビナナ異文化交流でも話題になった「スペードのQ」です。MTS温存説に軸足を置いていた私でさえ、コラボがあったことも含めて「やるとすればこの曲」と名指ししてはいましたが、歓声からもいかに需要が大きかったかがよくわかりました。

 

 そして、「Act-4では例え後ろに765ミリオンが控えていようが一切の出し惜しみはしない、ミリオンライブ400曲(ASソロ曲を抜くと実質360曲)の全身全霊をぶつける覚悟なのだ」という気概も。

 

 三者三様のヤンデレ表現はいずれも甲乙つけがたいものがありましたが、敢えて特筆するならエミリー・スチュアート役の郁原ゆうさん。あれは怖かったですね。ニコニコの可愛らしい笑顔とふわふわの衣装なのに、脳が「こいつはヤバいぞ、ヤバい女だぞ近寄るな」と警報をガンガン鳴らすような魅せ方でした。個人的にはスペードのQのMVPは郁原さんですし、今後MOIWなどで多くの演者さんが歌っても、この日の彼女を超えるのは容易ではないでしょう。

 

 ……と、強烈なヤンデレ表現に戦慄していたところの次の曲は百瀬莉緒役・山口立花子さんの「Border LINE→→→♡」。良かった、恋愛価値観が中学生にまで下がった。

 

 

 この曲を聴くと、私は19年6月にLVで参加した6th福岡を思い出します。

 

 6th福岡は夜想令嬢とD/Zealを目当てに、Escapeも楽しみにしつつそして伏兵のじぇりぽにも撃墜させられた、私にとってミリオンと付き合う上でターニングポイントになったライブです。5th以来6th仙台、神戸とLV見続けてはいたもののまだ歯車がかみ合う感じではなかったミリオンのライブに、一気に沼落ちして禁断のCD積みをしてまで6thSSAを目指し、以後毎回現地勢になったのもこの福岡があったからこそでした。

 その福岡のDay1、私がMVPと評したのが――後に沼落ちする朋花と小岩井さんではなく、莉緒と山口さんでした。(小岩井さんも2~3番手だったのですが)

 

 

 「Border LINE→→→♡」はその時以来の披露で、ずっと現地で見たいと待望していた一曲でした。そしてゲームバージョンではあるものの、衣装の力も相まってボーカル・ビジュアルの表現ともにあの福岡を超えていたように思えます。百瀬莉緒がそこにいました。

 

 「最高は塗り替えていくもの」というのは、「一人も手放さない」と同様、半ば偶然に生まれたミリオンライブのレゾンデートル――即ち、存在意義、存在理由です。

 ブランドの看板曲になぞらえるなら「アライブファクター」と言い換えてもいいでしょう。その覚悟は先輩後輩の壁を越えて、2017年のハッチポッチ以降は逆輸入される形で765ASの演者にも強い影響を与えています。

 10thツアーでは、Act-1でかつての自分を凌駕する「アイル」を歌い切ったMachicoさんがはっきり言い切った「前の方が良かったと言われたくない」「10年間歩み続けてきた自分自身がライバル」は、まさにその象徴たる言葉です。

 思うにこの10thイヤーにおいて、大なり小なり、各演者さんはこの言葉を共有して駆け抜けたのではないでしょうか。6th福岡を上回っていたと感じる山口さんのステージパフォーマンスも、またその一つだったのではないかと考えます。

 セクシー&キュートの余韻に浸りながら、ソロでは4thぶり(7thRでは4人で歌唱)となる豊川風花役・末柄里恵さんの清楚な「オレンジの空の下」に聴き入ります。末柄さんも様々な髪型表現にチャレンジしてくださる方ですが、SHS表現はとても良いですよね……。

 その後は、ロコ役・中村温姫さんの「STEREOPHONIC ISOTONIC」。今回はその楽曲のSSRでもある「カラフルトレジャー」を着用していました。 

 

 

 ……いやー、過去イチのロコでしたね。お見事としか言いようがありません。

 6thで目を惹かれ、MTWリリイベでますます注目するようになり、最前ブロックで臨んだ7thRでは偶然真正面にいた彼女のおかげで、思い悩みながら参加したライブを120%楽しめるようになり……。そして9thではライブMVPに挙げるまでになった話は何度かしてきたので過去記事に譲りますが、ただでさえ「ロコ」な彼女が個別衣装を手にすれば、鬼に金棒、菊地真に馬、中村温姫にSFYロコ衣装なわけです。強いに決まってます。

 

siden-p.hatenablog.com※現地でロコ文字ライトを毎回やるようになった経緯はこちらから。

 

 

 

 初参戦こそ3rd福岡と遅かった温姫さんですが、6thあたりからライブを重ねるたびに存在感を増し続け、今やミリオンスターズ内でも確固たるポジションを築いています。何より、この10周年イヤーではミリオンスターズでもたった7人しかいない9th~Act-4の7つのライブ・フェスを全通した一人で、かなりの負担の中でも一層輝きを磨いてくださったことには感謝しかありません。

 

9th~Act-4参戦表。7公演を全通できたのは、山崎はるかMachico中村温姫駒形友梨小岩井ことり渡部優衣平山笑美の7人。なお、Act-1~Act4全通は17/39人。
(※南早紀、香里有佐も仕様上参加不可だったAct-1を除き全通)

 

 

 続くのは福田のり子役・浜崎奈々さんの「マイペース☆マイウェイ」。今でこそぶち上げ曲からバラードまで歌い上げる万能選手で、MTSでは今井麻美さん、駒形友梨さん、平山笑美さん、村川梨衣さんというとんでもないVo力団の中に投入されても一歩も退かないほど魅せてくれた彼女ですが、原点と言えばやはりここですよね。とても楽しい! またこの曲を聴くと、直接関連するわけではありませんがミリオンBCでの桃子とのツーリング回も思い出しますね。

 

 そして、矢吹可奈役・木戸衣吹さんの「おまじない」。多分、かなり声を上げてしまっていたと思います。

 

 未披露MS2曲を除いて、私が10thツアー中に現地で初めて浴びたいと思っていたソロ曲は、

「Maria Trap」「鳥籠スクリプチュア」の朋花曲2曲、

「水中キャンディ」

「未来飛行」

「SING MY SONG」

「ロケットスター」

「Silent Joker」

「絵本」

初恋バタフライ

「Only One Second」

「Border LINE→→→♡」

「ローリング△さんかく」

「流星群」

「瑠璃色金魚と花菖蒲」

「MUSIC JOURNEY」。

 

 そして、「おまじない」でした。びっくりですよね、結局ほとんど叶っちゃうわけですから。ウソみたいです。

 

 

 その中でも、ミリオンBCで可奈にたっぷり感情移入し続けた一人として、彼女を象徴する曲であると思っている「おまじない」は何としても聴きたいものでした。そして、そのパフォーマンスは圧巻でした。

 この後にも度々触れますが、木戸さんのパフォーマンスは可奈そのものというよりも、成長した彼女を思わせるものがあります。地に根を張った大樹のような安心感、貫禄と言い換えてもいいでしょうか。少々のことでは揺るがない、乗り越えてきたことで確固たる経験と自信を積んだ矢吹可奈の姿が、ステージの木戸さんにオーバーラップしました。

 アイマスライブに行く人の何割かは、そのものではなくても演者と我々との言わば共同作業で担当が重なる、そんな瞬間を楽しみにしている人も多いでしょう。Act-4の木戸さんは、この後も含めて担当ならずとも特にその瞬間を感じる場面が非常に多かったです。

 

 

 いやあいいものを見た……と感慨にふけっていると、予想外のイントロで会場がざわめきます。

 

 MTWのユニット「Fleuranges」のカップリング曲「旅立ちのコンパス」。いえ、Fleuranges自体は予想していた人も私に限らず多かったのではないかと思います。木下ひなた役・田村奈央さんがお休み中で、8thは3人でやらざるを得なかったという「未練」がありましたから。両日ともメンバーが揃っているこのユニットに出番がないわけがありません。ですから私も、A面の「Special Wonderful Smile」をほぼ確定枠として想定していました。

 一方で「『旅立ちのコンパス』もいい曲です。ひなたパートが良いんですよ~」みたいなことも書いてたのですが、ユニット衣装に身を包んだ田村さんが歌いだした時は唖然としました。だって、8thに当初から出演していなかった彼女の衣装などこの世になかったはず。ということは。

 

 

 わざわざこのたった一曲のためだけに、衣装を作ったというわけで。

 

 

 本気だ。このライブは本気でミリオンライブのアライブファクターを全部やり遂げようとしている。Act-1や2がそうだったように、可能な限りミリオンスターズのこの10年での未練を掬っていく気なのだと。

 鳥肌が立ちました。そしてその自分が信じていたものは、次の曲で確信に変わります。

 

 ミリシタ4周年曲にして8thライブの全体曲、「Harmony 4 You」。センターは4周年キービジュで8thDay1のセンターも務めた桜守歌織役・香里有佐さん。両翼には七尾百合子役・伊藤美来さん、そして小岩井さん。

 自分の口以外からもうめくような声が聞こえたのは、きっとその意味を理解していた人がいたからでしょう。伊藤さん、小岩井さんは8th欠席組。小岩井さんはその後のバンナムフェス2ndで機会はありましたが、アイマス単独のイベントでは初歌唱です。

 歌詞の「誰もが主人公で それぞれのスクリーン 自由に描こう」というパートはまさにこのAct-4を表現するに相応しいものでしたし、8thに未練を持っていた両翼の担当Pも、またあの頃よりさらに実力をつけてもはや押しも押されぬミリオンスターズの歌唱力トップランカーに成長した香里さんの姿を見る歌織Pも、感涙ものだったのではないでしょうか。

 ちなみに私はラスサビ前の「本当の私でいられる場所」の歌詞を朋花に、小岩井さんに当ててくださった人に金一封包みたいです。どこに送ればいいですか?

 

 ……それにしても、7thで私が往年の北海道日本ハムファイターズ金子誠に例え、その後広島カープ菊池涼介に例えた香里さんの仕上がりはとてつもないものがありました。あそこまで仕上げるのに何杯のラーメンを我慢したんでしょう。

 

 今回のライブでは共々演者最多タイの15曲を披露した香里さん南さんですが、いずれも気迫に満ちたものでした。振り返れば7年前、もうチームとしてある程度完成していたミリオンスターズ37人の中に飛び込んで、さらに準信号機ポジションで待遇されて一足飛びにスタマスにまで出たのにはプレッシャーも強かったと拝察します。後者については優先されてほしいと願われる子も別に何人もいる中でしたから、特に。

 ASだとひびたかが準信号機的にやや扱いの良かった時期はありましたが、さすがにここまでではありませんでした。

 

 ただ、この一年に見せてきたお二人の研ぎ澄まされたパフォーマンスについては、誰にも文句を言わせない、讃えられるべきものだったのではないでしょうか。次は初星宴舞で中村繪里子さんが沼倉愛美さん・原由実さんの10周年を祝ったように、3年後のライブで祝えるようになればいいですね。

 

 

 MC明けはMTS曲「CHEER UP! HEARTS UP!」。シーズンエアーでは中村繪里子さんと木戸さん+助っ人の伊藤さんの3人で歌いましたので、ジュリア役の愛美さんと夏川さんは初歌唱。この曲と「産声とクラブ」はシーズンエアー込みでもオリメンがあまり歌えていなかった曲なので、ここで回収する意義はあったと思います。

 安定感抜群のセンター・木戸さんを軸に、初期からミリオンを引っ張ってきた3人のパフォーマンスは75%の出力を感じさせないものではありましたが、やっぱり春香の声が聴こえないのはちょっと寂しいな……という思いもほんの少しあったりしましたが。

 

 

 愛美さんのこういう丁寧でマメなところ、本当に素敵だと思います。4年半前のあの一件でも、ライブ後に触れてくれましたし……。

 

 

 そして次の曲は「夢みがちBride」。季節性、それからオリメンのうち4人を出そうとするとDay2限定となりなかなか難しい……ということもあり、「White Vows」かなあと思っていましたがこちらでしたね。昨年7月のDreamin' Grooveでスピード披露されたのも印象的です。

 


 演者のお三方とも衣装もよく似合っていてとてもお美しかったのですが、印象ということであれば横山奈緒役・渡部優衣さんでしょうか。他番組などでは珍しくもないですがライブでは初めてのSHSスタイルも映えましたし、ゲーム音源と違う関西弁全開の歌い方は今月に出たMTV奈緒ソロverの歌い方でしたね。

 

 

 ここからはソロ曲メドレー枠が再開。郁原さんは「微笑み日和」か「絵羽模様」の二択でしたが、最新のMS2曲である後者でした。配信アーカイブで改めて見てみると、郁原さんの所作の美しさもさることながら、衣装が細部までこだわって作られていることに感嘆します。足袋ブーツも現地では気付けませんでしたが、こんなものがあったんですね……。

 続いては田村さんの「あのね、聞いてほしい話があるんだ」。ミリアニでもBCでもスポットライトが当たったエミひなの流れです。ここで8年ぶり披露のLTP曲で改めてひなたとして「よろしく」をするのもまた良きですね。

 

 昨年ようやく結実した壮瞥町コラボは、熱望していた一人として実際に現地にも行きましたがとても素晴らしい企画でした。町の皆様もとても温かく迎えてくださり、西日本暮らしが長くりんごよりみかんばかり食べがちだった私に、りんごの美味しさを思い出させてくれたイベントでもあります。……なんなら、もっとたくさん買って帰ればよかったと思うくらい美味しかったです。

 今回も壮瞥町の皆様から楽屋花が届いていましたが、アイマス3.0の成功例として今年も開催される方向となれば、何とか時間を作って再訪したいですね。

 

 ひなたに続くのは、中谷育役・原嶋あかりさんの「アニマル☆ステイション!」。大盛況でしたね。声出しできなかった7thRの分までとばかりに、Kアリが2万匹収容の動物園になっちゃいました。今回は両日組の中では曲数が少ない方だった原嶋さんですが、ソロとゲム恋と翌日の「ESPADA」できっちり存在感を示していった感があります。にしても、衣装の効果も相まって相変わらずのリアル育ちゃんでしたね。

 さらに畳みかけるのは、大神環役・稲川英里さん。この日はSHSのスタイルで「たんけんぼうけん☆ハイホー隊」を披露。「アニマルのみんなー!」には思わず笑ってしまいました。MCも踏まえるとおそらくAct-2 Day2のソロ曲パート一番手で登場するはずだったと推定しますが、きっちりリベンジできておやぶんたちも満足だったのではないでしょうか。

 この流れには、苦境のミリシタをリリーフで支えて今は学マスで大忙し中の小美野Pもニッコリだろうなあ……などと考えていたら、暗転中に響くギターの音。断末魔みたいな女性Pの悲鳴。登場する愛美さん。そういやAct-1 Day2で隣にいたジュリアPの女性も「プラリネ」でボロ泣きしてましたね。

 披露される曲は、ミリオン初期の看板ソロ曲の一つだった「流星群」。初陣のMOIW2014で披露されて以来10年間大人気のソロ曲ですが、アイマスライブでソロで披露されるのはなんと4th以来。6th福岡、7thRと2人で歌った機会があったので久しぶり感は薄かったですが、いずれも現地にいなかった私としてはこれも聴きたい曲でした。6年ミリオン追ってて一度も流星群を現地で浴びたことがないというのはなかなか悔しいところもあったので、節目のここできっちり回収できたのは幸甚の至りでした。

 

 

 興奮冷めやらぬ会場。さあ次は何をぶち込んでくるんだと身構えた私の耳に、これから何年たっても忘れないであろうあのイントロが鳴り響きます。

 

 ほぼ無意識に、スタンバイしていた朋花の個人ライトを点灯。そして今消したばかりのミックスペンラを、再び赤く灯しました

 

 

 

 

 「あんたみたいなお嬢さんが、こんなところで何してるんだ? ウロウロしてると危ないぞ」

 「うふふ。あなた、優しいんですね――」

 

 

夜想令嬢、再演

 

 

 夜想令嬢。BCも含めて、私をミリオンライブの沼、そして天空橋朋花の沼に引きずり込んだ最大の「元凶」。6thSSAに多々買ってでも挑んだ理由。そしていつか、いつの日かもう一度だけ見たいと渇望していたあの曲。彼女らがいなければ、私は違った未来を辿っていたと断言できるユニット。

 

 白と黒のブラン・エノワールを身にまとった夜想令嬢の4人が披露したのは、待ちに待って、待ち続けた「昏き星、遠い月」でした。

 

 

 

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20年の展示会で公開されていたブラン・エノワール

 

 

 

 コロナ禍の入り口だった20年2月の展示会で、いつかの未来での再演を願ってから4年。おそらく最初で最後のチャンスに、これ以上ない形で幕が上がったのです。

 

……お恥ずかしいことに、記憶がほとんどありません。絶対に衣装に着替えた上で来ると信じていたのに、イントロ最初の一音で気付いた瞬間、声にならない声を上げてしまったかもしれません。

 ソロパートでは多分、防振双眼鏡で必死に演者の姿を追っていたのだと思います。あの頃より円熟味を増した演者さんの演技に感嘆し、エレオノーラの追加台詞に「それー!!」と膝を打ち、6thで釘付けになった「赤く染まった瞳」のアップの再演に「待ってたよ!」と外人四コマみたいになっていたかもしれません。

 ただ、感極まっても6thSSAのように堰があふれることはなく持ちこたえてくれました。翌日のあの曲でもそうでしたが、一瞬一秒でもこの目に焼き付けなければならないという想いの方が勝ったのでしょう。あとはライブ直前に意識的にBC夜想令嬢編を封印していたのもあると思いますが。

 

 二階堂千鶴(アレクサンドラ)役・野村香菜子さん。今回も千鶴さんの気品からつながる凛とした演技と歌声が楽曲の緊張感を高めていて、素晴らしかったです。あの頃には明かされていなかった隠し設定も乗って、アレクサンドラから放たれる悲壮感には一層の磨きがかかっていました。

 

 百瀬莉緒(エレオノーラ)役・山口立花子さん。以前にも6th福岡MVPと言いましたが、夜想令嬢は貴女の抜群の演技があってこそ成立します。怪演と呼ぶにふさわしいエレオノーラ、今回も堪能させていただきました。私の感覚では、このユニットはやはり山口さんが核です。

 

 所恵美(エドガー)役・藤井ゆきよさん。今回は演劇ではないのもあって、王道の男装演技でしたね。それでもギリギリの低音で勝負してくれて感謝しかありません。ユニットでは一番プレッシャーのかかる立場かと思いますが、二つの台詞も楽曲ベースでやるならあのくらいが一番バランスが良かったです。今回も最高でした。

 

 天空橋朋花(クリス)役・小岩井ことりさん。思えばあの5年近く前の6th福岡で、エドガーをヴァンパイアにした直後の「あの表情」に魅せられたことがきっかけで、道を踏み外して沼に転がり落ちたと言えるかもしれません。ラスサビでの表情もエレオノーラとは違った妖艶さがあり、ゾクゾクしました。黒のブラン・エノワールを身にまとった貴女がもう一度見られて、長年の未練が一つ消えました。ありがとうございます。

 

 

 

 見せ場の台詞の数々も、6th後にBCを経て一層味わいが深まったように思えます。

 

 

 

 ミリオンBCの夜想令嬢編は、同時並行のジュリア・星梨花編や北海道編と合わせて傑作エピソードなので、ぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

 さて。冒頭で私はミックスペンラを赤く灯した――と書きました。

 実際赤く灯ってはいたのですが、この曲の後で私は違和感に気付きます。

 

 


 ミックスペンラを折るだなんて都市伝説だと思っていましたが、本当にあるんですね。初星宴舞以来6年以上を共に戦った相棒でしたが、全損ではなかったもののあえなくパーツ交換と相成りました。赤く灯せと命じた脳に対して、どっかの伝達経路でバグったのか赤にした後に強く握りすぎたのかどちらかでしょう。

 でもいいんです。おそらく最後となる、衣装も含めて完全な形での夜想令嬢が見られたんですから。

 

 

 長く続く拍手。夜想令嬢の残響を上書きするようなあのイントロとともに、「Chrono-Lexica」の5人が登場します。

 そう、この日の夜想令嬢に負けず劣らず注目された、初披露以来6公演目にしてついに全員が揃った完全版の「dans l'obscurité」でした。

 

 この曲はリリイベ、ミリシタ感謝祭、7thR、8th、MOIW2023と披露回数こそMTW最多だったのですが、どうにも巡り合わせが悪く常に誰かしらが欠けていました。

 前回披露のMOIWでは最少の3人での披露となり、コラボしたアンティーカにはさすがに人数差により声量で押される結果となりました。そもそも勝ち負けの話ではないので別に良いのですが、一方で担当Pならずともどこか思ってしまったでしょう。

 

 「みっくとナンスもいれば、Chrono-Lexicaはアンティーカにだって負けないのに」と。

 

 その未練とささやかな無念が残っていた中、ついに実現したフルメンバーでの披露。それぞれ違った人形感があるのがこのユニットの強みですが、やはり特筆すべきは今回初めてユニット衣装に袖を通せた七尾百合子役・伊藤美来さんでしょう。

 衣装の似合いっぷりは言うまでもない上に、間奏ではフォーメーション変更の間に得意のダンスをソロで踊り切り、原作でもおなじみでCD音源にはなかった「詠唱」でも要所を任されるなどまさにセンターの面目躍如。彼女がセンターを張ってこそのChrono-Lexicaであると、改めて実感しました。

 私にとってもこの曲はリリイベ最前で浴びた非常に印象深い曲でしたし、真壁瑞希役・阿部里果さんのつよつよパワーボイス、フランス人形のようなビジュアルからの中二感あふれる振りと歌声が光る温姫さん、スペードのQ同様に曲に入り込む姿が映える永吉昴役・斉藤佑圭さん。そして、やはり望月杏奈役の夏川椎菜さん。

 

 

 9th以来の6公演で毎回打ち上げをしていて、ニコ生やこのブログにも登場されたことのある桃子・奈緒Pの翔菜さんは、共にオペラセリア・煌輝座にハマったことや野球民であること、年齢も近く関西在住であることなども重なって意気投合して久しいですが……このユニットについてもまあ意見が合いました。

 

「ナンスのユニット衣装良かったっすよね……」

「良かった……」

「担当ではないし単純なビジュアル面ではもっと好みの演者さんもいるけど、あの衣装着せたら、ね……」

「わかる……ゴスロリすっげー似合ってた……」

 

 なんて会話を繰り広げたのも結構前の話。いやまさか、また見られる日が来るとは。髪色は前回の方がもちろん合うのですが、それでもやはりよくお似合いでした。

 

 何にしても……圧倒的な強さを発揮しただけでなく、Act-4はこの一曲だけで相当多くの人の未練をすくっていったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 田村さんや稲川さんの話をはじめとしたエモエモなMCを経ての次のブロック。Kアリーナがどよめきとうめきに包まれます。

 

 箱崎星梨花役・麻倉ももさんの「きまぐれユモレスク」

 

 聴く大量破壊兵器だのエンジェル・ハイロゥだの好き放題に言われてきた曲ですが、星梨花の固有衣装で歌われるとゲームサイズでも火力は脅威的です。最後の「すき」「きらい」が原曲と同じ数なら即死だった。

 なお配信で「Kアリーナ全滅! ソロ曲はユモレスクだった!!」というコメントがあったのには笑いました。有名なネタだけど50年前の作品ですよ???

 

 余韻と熱狂冷めやらぬ中、今度は「放心など許さない」とばかりに周防桃子役・渡部恵子さんの「ローリング△さんかく」が投下。今度はKアリーナの客席が一面の△に埋まります。ソロメドレー1曲目のAIKANE?が来た瞬間にUO3本をポケットにストックしていた私も、まとめて点灯させてすぐに△を作りました。三本の矢は折れないが三本のUOは何とか折れる。

 この曲もLVで見た6th福岡が非常に印象深く、「真実の赤」共々いつか私も参加してみたいと思っていた客席演出です。Act-1の後に今後の披露の可能性を感じさせる言及があり、それを経た歌唱はゲームサイズでも満足だったのですが、ですが……。

 惜しむらくは、Act-2に合わせてこの曲のためだけに買っていた折り曲げて円状にできるサイリウムを今回持ってくるのを忘れてしまっていたこと。最後にきれいな〇を作れたはずなんですが、痛恨のミスでした。

 

 休む間もなく、「ライアー・ルージュ」「透明なプロローグ」「Super Lover」と初期からミリオンを引っ張ってきた曲・演者が連続で畳み掛けるセトリは強烈でしたね。魅せ方も洗練されており、初期から歌ってきた矜持を感じました。

 きっと、10年追い続けたPなら感動もひとしおだったのでしょう。

 

 

 ですが、「いやー、いいものを見れた」と感嘆していた私の情緒は、次の曲で消し飛ばされます。

 

 

 夜想令嬢とは違い、予想だにしなかった花咲夜のカップリング曲「矛盾の月」十六夜ラディアータをまとった3人の文脈を理解した時、私は崩れ落ちまいとこの日最も踏ん張りました。

 

 

 

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 2022年2月。ミリオン8thライブでの出来事です。

 

 8thライブはDay1のみチケットをご用意された私は、オペラセリアや君彩に次ぐ優先度ではありましたが、花咲夜のパフォーマンスをとても楽しみにしていました。7thRのDay1はチケットを当てられずLV組だった私にとって、6thSSA以来2年半ぶりに朋花としての小岩井さんを現地で見られるからです。ミリオンBCを経て、まだこの時は担当でこそないもののTwitterのプロフィールに明確に「ミリオンスターズでは朋花が好き」と筆頭に挙げてから初めて現地で見られる機会でもありました。

 当時越境制限の厳しかった職場に黙って東京へ密航してライブのDay1参戦をした上で、外せない仕事のある翌日には何事もなかったかのように始発便で戻ってエクストリーム出社した上で仕事をこなし、夕方からDay2配信を見る算段も立てていました。

 

 しかしながら。

 

 

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 小岩井さんはライブ直前にコロナに罹患し欠席となりました。

 MR ST@GE encoreの公演中止や、この半年後のTCリリイベでの平田さん欠席のように感情ごと消し飛ばされて虚無ることはありませんでしたが、それゆえにかえってやり場のない感情が体中を駆け巡り、この日は文字通り何もできませんでした。

 

 

 

 まあ、今だから言えるのですが。普段はフラスタ以外では賛否でやや否寄りになることもある演者×キャラのイラストで涙してしまうくらいには、かなり効いていました。

 

 8thライブは楽しかったです。ですが、どこか画竜点睛を欠くような思いがあったのは、Day1でトップバッターを務めた花咲夜が2人だったこと、そして矛盾の月ではスポットライトが誰もいないところを照らす光景が目に焼き付いていたからでしょう。

 

 花咲夜はその後比較的出番に恵まれ、表題曲の「百花は月下に散りぬるを」は22年5月のバンナムフェス2nd、翌23年2月のMOIW2023とフルメンバーかつユニット衣装の「十六夜ラディアータ」を着て披露できました。ただ、カップリング曲である矛盾の月はリリイベでは歌われたものの、オープンな場では歌われずじまいでした。

 

 私はもうこのユニットはやり切ったと思っていましたし、Act-4でも百花月下の披露はないと踏んでいました。まして、矛盾の月はなおさら。

 それがまさか、朋花Pを自認するようになってから、このKアリーナという大舞台で見ることができるとは。私は心の深い所にずっと沈んでいた未練の塊を、優しく掬ってもらったような想いになったのです。

 Act-4 Day1、私が一番決壊しそうになった瞬間でした。

 

 

 待望の生歌はとても良いものでした。この楽曲は2番の朋花パートがとても可愛らしい「年相応朋花ちゃん」路線の歌い方でとても気に入っているのですが、それがKアリーナの音響で聴けたのも幸甚でした。3人の歌声も、一層透き通って聴こえた気がしましたね。

 予想動画では候補リストの片隅にもなかった曲ですが、実は脳内物質が出るのは7thRの「なんどでも笑おう」、今回の「ショコラブル*イブ」のような穴を当てた時よりも、完全に予想の上を行かれて烈海王みたいになってる時だったりします。今回もまさにそれでした。

 

 

 しみじみとこの倖せをかみしめていたところ、来るだろうなと思っていた曲で心に温かな灯が点ります。

 

 LTP曲「カワラナイモノ」

 

これは私に限らず多くの方が想定していたと思いますが、オリメンのたかはし智秋さんを除く3人が揃っての披露でした。

 この曲に関しては、やはり初歌唱の浜崎さんでしょう。「きみがくれた言葉があるから」を経たからこそできるのり子の表現は力強くそして優しく、包容力に満ちています。振り返れば7thRのRtFにおいて、負傷欠場した「相方」の分まで熱唱した姿を見たのが注目するようになったきっかけでしたが、のり子としての表現力は今ライブも特筆すべきものでした。

 そして同じく初歌唱の篠宮可憐役・近藤唯さん。この曲のラスサビでの「今ここに立って いられるのは きっとみんなのおかげなの」の歌い方は、後述しますがこのライブで一貫していた「成長した可憐の表現」として百点満点だったのではないかと思います。

 この2人を総合力ではミリオン筆頭クラスの駒形さんが支えるわけですから、そりゃ完成度はばっちりになるわけです。その駒形さんも、ラスサビで感極まりそうになるところをぐっとこらえて、さらに力強く歌う姿が素敵でした。いつかフルメンバーでの歌唱が見たいですが、照明で紫を使っていたあたり、それも遥か先の話でしょうがいつかは叶うのかもしれません。

 

 などと考えていたら、連続してあずささんがオリメンのカンパリーナ♡」のイントロが流れ、度肝を抜かれます。夏のナイトプールの曲、オリメン3/5ということでMTVの中では来ないと踏んでいた曲なので驚きましたが、3人でもこれはこれで。ちなみに配信では映っていませんでしたが、間奏でステージ手前に貴音カラーのスポットライトが動いてましたね。

 

 この後のMCではなんだかカンパリーナのテンションというか様子のおかしい面白テンションの末柄里恵さんが仕切っていました。藤井さんの「どうして(ユモレスクで)俺たちを殺そうとするんだ」とか幼稚園児みたいな夜想令嬢とか、末柄さんの「えーじゃない! 行くわよー!」とかお笑い要素もたっぷりでしたね。風花さんに叱られたい願望はちょっとわかる。

 

 

◇ミリオンライブはホラーに本気!!!!!

 

 

 ではそのDay1最終ブロック、何から入るのかと言えば。

 

 

 

 

 「ミリオンライブはホラーに本気!!!!!」とよく言われますが、そのホラー枠2曲でした。やるならDay1で立て続けだろうなと踏んでいた私もこのセトリにはニッコリ。

 

 21年12月の感謝祭とリリイベ以来、そしてフルメンバーでは初となるミリオン最凶劇中劇の曲「クルリウタ」。多くの方が言及しているようにミリシタのゲーム内の感があるバラバラの衣装でやや怖さは中和されていましたが(劇中で肉を鍋で煮込んだ料理が振舞われることにちなんで「猫鍋」とか言われてましたね)、これぞ役者という役に入り込んだ歌唱が強く印象に残りました。

 人外感ある不気味な表現が光る孤島サイドも強いのですが、やはり言及すべきは被害者サイドの3人でしょう。悲壮感たっぷりの小笠原さん、そして強烈な低音域で断末魔さえ思わせる熱唱を見せた香里さんと島原エレナ役・角元明日香さん。全体ではやはり香里さんがよく目立つのですが、ラスサビ前の「狂おわせ」の一言で持っていく角元さんの歌唱も出色の出来でした。CD音源よりもさらに強い歌い方でしたが、これでちゃんとエレナになってるのがさすがだなと感嘆させられます。

 クルリウタの歌い方についてはMORでも語っていらっしゃいましたが、担当Pが獲ってきた役のおかげで、アイドルと演者が一つ殻を破った曲と言えるのではないでしょうか。この日の角元さんの歌唱は、何年後になっても忘れることはないでしょう。

 

 

 続く「赤い世界が消える頃」。圧巻でしたね。

 

 この曲を巡っては、過去に様々な経緯がありました。元々は第一回キャスティング投票であるTAの曲で、センターである「普通の子」は投票の結果、田中琴葉が射止めました。しかしその後、種田梨沙さんが病気のため長期休業に入り、2位だった可奈が繰り上げで代役を務めることになりました。

 この時の選挙戦は初日から大きな差をつけた琴葉の完勝で、最終的な惜敗率は記録を見る限り60%台とされています。近年のキャスティング投票で惜敗率60%台となると、MCの公爵争いにおける真vs紗代子がだいたいこのくらいでした。選挙システムはTAの頃と今はまるで違いますが、当時の記録からしても普通の子には浮動票がほぼ入っていなかったとみられるので、序盤で早期決着したと判断されていたのだと思われます。

 これが美奈子vs恵美、可憐vsエレナのように投票締め切り直前までもつれて推定惜敗率が95%以上だったのであればまた違っていたのかもしれませんが……ミリオンでもその後二度となかった出来事を背負った木戸さんにかかる重圧は、我々には想像さえできないものです。

 

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 リリイベでは涙の初陣となったMOIW2014以来泣かないと決めていた木戸さんが涙を流す場面もあったとのことですが、主要イベント初披露となった翌2017年の4thでは、気迫を超えて痛々しいほどの鬼気迫るパフォーマンスをした映像が残っています。グリマス時代はミリオンを敬遠していた私も、経緯を知っていたのもあったのもあって初見では強い衝撃を受けました。

 その2年後の2019年、ミリシタにこの曲が実装され、さらに6thSSAにて種田さんと木戸さん、そして山崎さんと夜想令嬢の4人によりこの曲が披露されました。当時の私は、こんなふうに書き残しています。

 

そして、予想されていた中で満を持して投入された「赤い世界が消える頃」。この曲を巡るエピソードはこの記事をここまで読むような物好きには説明するまでもないので省くが、何か色々なものが浄化されたような、そんな感銘を受けた。でも一人だけ人間(色々混ざってそうだけど)なのに人外役やらされるアレクサンドラ千鶴さんかわいそう。

 

 すごい、この時点では伏せられていたアレクサンドラのダンピール設定を半ば見抜いている……というのはさておき、この感覚が正しかったのか間違っていたのかは、ほぼ確実に2回目のフルメンバーでの披露がなされるAct-4でわかるだろうと思っていました。

 

 そして、木戸さんのパフォーマンスは前述の通り圧巻でした。物語は憑き物のお話ではありますが、木戸さん自身は憑き物が落ちたかのような、自信と貫禄に満ちたステージだったと感じています。もちろん前の曲の余波もあってか、ホラー曲に強い阿部さんや平山さんをはじめ他のメンバーも役に入り込んだような素晴らしいパフォーマンスでした。それでも私は、すべての過去を乗り越えてこの曲のセンターとして絶対的な存在感を見せる木戸さんから、ずっと目が離せなかったのです。

 

 この時はおまじないの時と同様、木戸さんと「至った」矢吹可奈が重なりました。

 

 それにしても、クルリウタにしても赤い世界にしても、演者さんたちがキャスティング投票曲をここまで心血を注いで演じて歌ってくださるのは担当P冥利に尽きると感じます。本当に羨ましい。嫉妬というよりは、ほとんど渇望に近い羨望を覚えます。

 

 

 

 

◇MTSもMTVも、出し惜しみなし

 

 

 この後どうするんだよ……となりそうな展開でしたが、そこは出し惜しみのしないAct-4。MTS初手の切り札「DIAMOND JOKER」Machicoさん、藤井さんのデュオで投入します。「スペードのQ」をやった時点でMTS温存はない、つまりこの曲も十分あり得る……とまでは考えていましたが、まさか諏訪彩花さんのいるDay2ではなくDay1とは驚きました。ですがこの二人は1stから10thまで一貫してミリオンのライブの屋台骨を務め、合同や外部にも盛んに出演してきたメンバー。4人の曲をデュオ曲のように歌うくらい平然とやってのけます。さすがの一語に尽きましたし、いつの日か果たされるであろうフルメンバーでの有観客ライブ披露がますます楽しみになりました。

 

 さらに会場の熱気を高めたのが、誰もが確信していた「電波感傷」。ミリラジ公録では歌われておりDreamin' Grooveでも披露されていますが、オープンなフルライブでは初です。当然、歓声は地鳴りのような響きとなりました。

 この曲はある意味で、37人のミリオンスターズの背中を追ってきた香里さんと南さんにとっての、この時点での集大成になる曲という位置付けだったと考えられます。そのためか、練度は2回目の披露とは思えないくらいに明らかに高く息もぴったりで、歌声は軽々とCD音源を超える迫力満点のパフォーマンスでした。圧倒的ですらありました。

 期待の新人として加入し、メガトンボイスとハッチポッチでその期待に応え、さらには準信号機ポジションとして厚遇された2人ですが、前を行く37人、そして765ASのメンバーにさえ強い刺激を与えてきた2人の「今の集大成」としてはこれ以上ないものだったのではないでしょうか。私はというと、ミリアニ12話で瑠璃色金魚と花菖蒲を披露した覚醒紬を客席で見た小鳥さんみたいな顔してました。そしてアーカイブでは諸々吹っ飛ばされて笑うしかありませんでしたね。

 香里さんは22年11月のオケマスの頃は、まだ共演した今井麻美さんと並び立つほどかと言うと首肯しかねるところはありましたが(それでも既にミリオン上位クラスでしたが)、MOIWの「ALIVE」と10thツアーを経た今なら……という感覚はあります。

 765ASにおいては沼倉愛美さんと原由実さんが名実ともに「並んだ」のはあの9thツアーだと認識していますが、あるいは後世、ミリオンにおいては同じ位置付けとして10thが挙げられるようになるのかもしれませんね。

 

 

 客席まで自分たちのパフォーマンスで染めていった2人に負けじと、次に繰り出されたのは「Marionetteは眠らない」。心の方をAct-3にこのメンバーでやったのでないかなと思っていたのですが、この流れならば切るべきカードです。

 コールして改めて気付いたのですが、この曲を現地で浴びたのは初めてでした。7thRのDay1はLVでしたからね。ほんっっっっっっと、あの場にいたかった……。ミリオンの現地にいなかった過去のライブ現地で体感させてやるよと言われたら3rd幕張よりも4thよりも6th福岡よりも7thR Day1を選ぶくらいにはあのライブは「未練」ですが、それでもこうやって一つずつ解消できていけているのは嬉しい限りです。

 

 「シークレットジュエル 〜魅惑の金剛石〜」。ここでの投入はちょっと驚きでした。香里さん若干酷使気味では?と思いましたが、強い曲揃いのダイヤからこれを引っ張ってくるのはわかります。この曲は歌織さんがクール寄りに決める一方で、他のメンバーの歌声の可愛さがいい感じに調和しているんですよね。美也の存在感が強い曲だと思います。ところであの劇中劇の美也のぶっ壊れ能力はなんなのなの……。

 そしてミリリンでのまさかのうみめぐカバーが後日発表。編成一つであんな別の色の歌にもなるんですねえ。

 

 

 そして、この流れなら来るだろうなと思われた「Shamrock Vivace。この日のメンバーでは麻倉さんを除くクローバーのメンバー6人が登場しました。この曲と言えば、やはり阿部さん、そして新境地を拓いた田村さんです。歌い始めがきっちり田村さんだったのも良かった。Day1の集大成として、この位置にこの曲を持ってくるのは大正解です。

 ただ、真Pとしてはどうしても「ここに平田宏美がいればなあ! 阿部里果無双なんてさせないのになあ!!」という感情が沸き上がるのも事実。しょうがないね。

 この曲自体、最初に平田さんの収録があったことでイケボ路線が強まった経緯が語られていますが、いやほんとこの曲の真ソロいいんですよ。ライブでは優先すべき曲がなんぼでもあるので贅沢は言いませんが、せめてソロコレでもフェチコレでもなんでもいいから、はよフル音源を解放しろ。

 とりあえず私は、ミリオンスターズのライブにも常に持ってきてる真リウムを振りました(恵美用にも代用できるので)。それから、温姫さんがとっても楽しそうに歌っていたのがキュートでしたね。

 

 

 曲が終わって、全員集合。アンコール前最後の曲は「アレか……それともコレか……?」と多くのPが頭をぐるぐるさせてる中で示されたアンサーは「EVERYDAY STARS!!」でした。この曲は予想している人もいましたが、あくまでそれはやればライブを圧迫する自己紹介MCの代替としてだったはずです。

 それがまさか、Day1の締めとして選ばれるとは。しかもCD音源の台詞の踏襲ではなく、ライブDay1ならでは、あるいは成長を感じさせる台詞になっていたのが称えられるべきアレンジだったのではないでしょうか。

 

 32人を8人4チームに分けて歌われたこの曲で特筆すべきは、

・異次元フェスの繚乱同様にこの手のリズム感が求められる歌い方が抜群に巧い山口さん(莉緒)。

・台詞をきっちり言い切れた田村さん(ひなた)。

・ロコ語を「ええっ? わからない?」ではなく「サンクスです~」で締められた温姫さん(ロコ)。

・もう反則みたいな「みんなと出会えてよかった」という台詞の雨宮さん(志保)、「だって桃子、楽しいから!!」の恵子さん(桃子)。担当Pは泣く。

 

 

 そして、小岩井さん。「明日もたっぷりと 聖母の歌を届けましょう~♪」からの後半の台本ガン無視の不意打ちのアドリブでした。多分スクリーンには本来の台詞である「可愛く鳴かない子豚ちゃんはお仕置きですからね~」的な台詞が出ていたはずなんですが、

 

「子豚ちゃんたち~♪」

 

 そう言って、マイクをこちらに向けたのです。

 

 やる。やるかやらないかで言えば、天空橋朋花はこういうことやる。

 解釈一致でもう感謝の言葉しか言えませんね。ありがとうファンサと沼の女神。

 

 

 

 「聞き慣れたブザー鳴り響いて、今日も広がってく光の海」。

 「聞き慣れたブザー鳴り響いて、明日も見れるかな光の海」。

 良い歌詞ですよね。グリマス時代同様にブザーで始まったDay1のアンコール前に配置する曲として、これ以上のものはありません。これは泣いても恥ずかしくないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 告知を経てのアンコールは「Crossing!」。私にとってもとてもとても思い入れの深い曲ですが、この曲についての描写はDay2に譲ります。

 

 開演時と同様、終演の全員の挨拶はなし。代表してMachicoさんがマイクを握りますが、本人の「みんな不安な気持ちはわかる」という先回りには思わず笑ってしまいました。(配信のコメント欄も不安視するものだらけでした)

 

 ですが。そこは10年間に渡ってミリオンのエースとして君臨し続け、そして「最高は塗り替えていくもの」を誰よりも体現してきた演者です。ちょいちょい笑いをとったり「驚きはなっている」なる謎の新語が飛び出したのはまあ御愛嬌。彼女をはじめメンバーのほとんどがド新人からスタートして、10年間を成長しながら共に駆け抜けたというチームだからこその挨拶だったと思います。

 

 

 あの時は果たせなかった、ですがその未練があったからこそ、頼れる2人も加わって7年を経て、最高のアニメ化も果たしてやっと揃うミリオンスターズ。そんなDay2の扉を開く最後の一曲に、この曲が選ばれるのは必然でした。

 

 「Rat A Tat!!!」

 

 どこに出しても恥ずかしくない、幅広い世代の新規を沼に引き込める傑作となり、気付かれずに終わることもなく、圧巻の「明確な数字」さえ叩き出したミリアニを象徴するオープニング曲です。

 

 わちゃわちゃでこの曲をやるのもなかなか思い切った選択でしたが、明日を控えた最後の曲としては不思議なくらいに合っていたと感じます。また、この日は割とカプ・ユニット要素がカメラに抜かれがちだった気がしますね。すばゆり、エレ美也、夜想令嬢、エミひな、まぁゆり、いくもも、かおつむ……なんか変なのが混ざりましたね。何にせよとにかく多かった。現地の私は、隣の華凉さんにも頼んで恒例のロコ文字ライトを展開していたのでそれどころではなかったのですが。

 

 ラスサビ前のみんなで歌唱パートもわちゃわちゃの中でやることに意味がありましたし、全員ではないにしろ演者が横一線に並ぶシーンはミリアニ2話のあのシーンを強く想起させました。Day1をこの曲で締めて、夢の扉を開くところで終わるのは大正解だったと言っていいはずです。多幸感と明日への期待感を高めながら、この日の公演は幕を閉じました。

 

 

 終演後。私は華凉さんと語彙力を無くしながら「良かった……」「良かったっすね……」と繰り返していました。だって本当にその言葉でしか表現ができなかったから。これでDay2はもっとすごいものが出てくるとわかっているのですから、なんて幸甚の至りなのでしょう。

 

 この日は翔菜さんとも合流し、この時点では未練の地だった旧DMM VR THEATERにも近いイタリアン「PEACH」で打ち上げしました。彼の担当の子にちなんだわけではなかったのですが、むしろ私が――

 

gh4u100.gorp.jp

https://twitter.com/sidenp/status/1761390259181690944

 

 

 ダメだこいつ、完全に頭ミリオンにキマってる。

 ともあれ、諸事情で急きょ予約したお店だったのですが、クラフトビールも料理も大変美味しく素敵な店でした。もし今後、ハッチポッチ2や765AS単独などの会場としてKアリーナやぴあアリーナMMでライブがあれば、ぜひまた利用したいですね。

 

 

 

 ともあれ、「未練」を回収しつつライブとしてもみんなが期待していた極めて高い完成度の内容をお出ししてきたDay1は、素晴らしいライブでした。朋花Pとしての私の感想は、終演直後のこのポストに集約されていますね。

 

 

 

 

 

 

■幕間 ある数値について

 

 

 10.2%。これは何の数値と思いますか?

 

 


 私はXやニコ生、動画などで何度か「10thツアーは全体で一つのライブ」という解釈をしてきました。全体曲、アニメ曲を除いて同じ曲は二度やらないという推測をしていたのもそのためです。セトリも演者オファーも、Act-4が最初に仮決めされたのでは?という感もあります。(おそらく異次元フェスも同じ時期かもっと早かったでしょうが)
 例外はAct-4の2曲。なので、演者希望があったと明言されたAIKANE?同様、Day2のあの曲もそういうことだと思われます。

 そうなると異色だったのがAct-3ですが……。あれは、

 

・そもそもかなり早期に組まれていた異次元フェス
・日程が動かせないAct-1と4
・同じく動かせないアニメの先行上映と地上波日程
・Act-4でソロメドレーをやることは決定済み
・ミリアニの劇中では少なくともLTH以降の曲は生まれていない(LTPは12話でSVを観客が一緒に歌えているので、765ASの曲として世に出ていると解釈できる)


 ……という中で生まれた苦肉の策という側面もあるとは思います。ただ、賛否や納得感の有無は別にして、描写されていないこけら落としライブでもかなり歌っているであろう765AS曲のカバー連打も、数字の面では「まあおかしくはないのか……?」というくらいに落ち着きます

 ミリオンスターズとしての周年ライブにおいて、コロムビア系の765AS曲、あるいはランティス系のAS全体曲、ソロ曲をカバーしたのは、1st以降、2、3、6、8、9th。1~9thの対象楽曲の割合を数字にすると10.2%となります。数え間違いもあるかもしれませんが、10th完走までのセトリでだいたい1割はカバーが占める計算になります。
 なお、10thツアーはAct-1の合言葉はスタートアップ!をカウントし、さらにAct-3の各曲のカバーで8.6%。そういう意味では、765ASのカバーもまた欠かせないミリオンスターズのライブの歴史を踏まえると、単体ではともかくツアー全体での釣り合いはとれていたのかもしれませんね。

 

 ……でもAct-3のmy songは、意図はわかりますが7月のDreamin'Grooveを挟んでなかったらグチグチ言ってたと思います。仕方ないね。

 

 

 

 

 

 


■Day2 たのしかったら、わらわなきゃだめだよ!

 


 迎えたDay2。天気はあいにくの雨でとても寒い日でしたが、いよいよミリオンスターズ全員集合ということで私の心は朝から昂っていました。

 


 昼食は源Pがスペースでお勧めしていたハングリータイガーへ。横浜駅前は混むということで、宿泊するアパリゾートタワーに荷物を預けるついでに、ハンマーヘッド店へ向かいます。これが大正解でした。待ち時間はほんのわずかで済み、横浜市民が誇る味に舌鼓を打ちました。

 



 

 

 

 この日、私はあるルールを自分に課していました。それは「感極まっても絶対に踏みとどまること」。たとえ映像で後から見られるとはいえ、自分の座席から見られる景色はその時だけのものです。Cloverにしても、想定される数々の曲にしても、自分だけの景色からその目に焼き付けたいという思いがありました。

 何よりミリオンBCにおける、北沢志保の弟・陸くんの台詞が心に染みついていたのもあります。

 

 

 



 

 


 この日は私の動画などの活動を見ていたという方からお誘いをいただき、幸運にも現地の席を手に入れることができました。手を差し伸べていただけなければAct-4のチケットを握れないまま当日を迎えていた可能性が高いだけに、これまでやってきたことや紡いできた人の縁を改めて実感する機会になりました。

 座席は自力で獲ったDay1よりもさらに前のレベル3中段のやや下手寄り。人によりますが、アリーナ最前以外では一番良いという説もあるエリアでした。実際、音響や見やすさに関してはレベル5よりさらに良く、とても素晴らしい席でした。改めて、ご厚意に感謝申し上げます。

 

 前日同様のBNTで盛り上がりつつ、迎えた開演。「気付かれずに終わらせはしない」と、この一年を全力で駆け抜けてきたミリオンスターズが一同に揃う初めてのライブの一曲目は、やはり「Rat A Tat!!!」でした。

 厳密には舞浜歩役・戸田めぐみさんはこの全体曲ではステージに立っていないのですが(私も当初は暗転後に加わっていたのに気付かなかったですが)、我々が、そして演者やスタッフが待ち望んだ舞台の一曲目としては、前夜に夢の扉を開いた続きを描けるこの曲がベストです。

 私はこの景色を少し引いた視点で目に焼き付けたいと考えていたので、ほぼベストな距離感の防振双眼鏡はあまり使わず、ミリオンスターズが揃った風景を眺めていました。それにしても物凄い盛り上がりでしたね。演者の皆様もまず全員無事に揃うことが至難で、直前にはよりによって山崎はるかさんがダウンするという危機的状況さえありました。あるラジオによれば「39人で当日を迎えられたらその時点で勝ち」と話されていたとのことですが、実際その通りだったと思います。

 また、観客席もいきなり感極まっている方が多く、それを視た演者サイドもつられそうになったということで。ラスサビ前の間奏でその炎はさらに勢いを増しました。

 

 

 「プロデューサーさん!! 私たちがここまでやってきた集大成を、ミリオンスターズみんなで伝えますね!!! だから、伝説の集大成にしましょうねー!!!!!」

 

 

 山崎はるかさんのこれ以上ない煽り、そして会場全体での合唱パート。いきなりボルテージは最高潮で、もう銀テープが飛んでもおかしくないくらいの熱狂に包まれます。彼女の言葉通り、レジェガを使わずとも「この後に築かれる伝説」を予期させる最高のスタートとなりました。

 

 

 開幕後のMCではxRライブを除けば7thR以来の参加となる高坂海美役・上田麗奈さんがいきなり感極まったり、Day2組が「回って~」の声に応えて田中琴葉役・種田梨沙さんが例によってふしぎなおどりを踊ったり、馬場このみ役・髙橋ミナミさんがまさかのフェス限衣装だったり、徳川まつり役・諏訪彩花さんのイルミネーション・コスモスの衣装がとんでもなく完成度が高かったり、松田亜利沙役・村川梨衣さんの動きが相変わらずのりえしょんだったりとまあ色々あったのですが……。

 

 

 

 ここで一つ、お詫びをしなければなりません。

 

 2019年秋以降、私は最上静香役・田所あずささんの髪型について「ショートの方が似合う」と言い続けてきました。

 

 アレ、撤回させてください。

 衣装との相性もあるのでしょうがロングのウィッグを使ってた今回、すんごい良かったです。とても良かったです!

 

 

 

 

 ……さて、そんな中始まった2曲目。

 

「みんなー、はっじまるよー!」

 

 まさかまさかのMTSファイナルからのサウンド・オブ・ビギニング」でした。これは確かに、何が始まるか予想もできないAct-4の初手としてはありです。MTSファイナルでは唯一、歌唱メンバー5人がミリオンスターズで完結する(琴葉、美也、千鶴、桃子、ロコ)という事情もあり、もしMTSファイナルをやるなら「朝」ということでライブ序盤に使えるこの曲という見方もありましたが……。

 「ねえ、何が始まるだろう。予想できたことないね」の歌詞はゲーム同様に琴葉パート。全員集合ライブで、開幕の全体曲の次の曲で第一声を種田さんに委ねるというのは、強火といっていいグランドデザインを感じました。それにしても、Viの仕上げ方に関しては種田さんのこだわりはさすがですね。琴葉感の作り方とでも言うべきなのでしょうか。

 また、この日は初めてSHSで登場した温姫さんのサイドテールもとてもキュートで、歌声は前日同様に完璧にロコでした。この日は恵子さんと野村さんもSHSで登場です。

 MTSファイナルは当初予定になかった曲ということ、お出しされたタイミング、そらに歌唱メンバーの都合もあり、なかなかスポットライトが当たりにくいのが現状です。しかしながら、「オレンジ・エピソード」など強い曲が揃っているので、いつか陽の目を見てほしいですね。

 

 

 

 さあここから何を持ってくるか、というところで、繰り出されたのはミリアニ曲「Star Impression」。今回は39人揃うということで、1st~8thの楽曲披露は既定路線でした。綿田監督の設計思想通りなら「Live Theater Project」のミリアニ曲はLTP曲同様にオリメン概念が強くない曲に育っていくと思われるので、今後はブルシンやSVなどのようにオリメン以外での披露が増えるのでしょう。

 

 だからこそ、一度きりかもしれないオリメン全員集結の場では相応のパフォーマンスが期待されるわけですが、このメンバーには杞憂でした。

 

 Act-3ではデュオ歌唱ということでさすがにややパワー不足の感もありましたが、雨宮さん、夏川さんのステージ巧者2人を迎えて本来の形で披露されたこの曲はまあ強い強い。あのフォーメーションだってミリアニ同様にきっちり再現してくれます。

 Act-3歌唱組である小岩井さんのViの魅せ方、リーダーとして牽引する大関さんの気合いの入り方もさすがでしたが、この曲はやはり雨宮さんでしょうか。志保としての歌声でも特に透明感を強め、青曲という方向性を強めていたと拝察しますが、ブルシンの系譜であるこの曲との相性は抜群です。

 ミリアニでのあのポーズも4人でばっちり決めると、ひときわ高い歓声が上がります。スクリーンのカメラワークも4分割を多用するなど凝っており、ミリアニ曲へのこだわりを感じさせました。

 

 高まった熱気はそのままに、この日もソロメドレーコーナーに突入。初手は諏訪彩花さんの「フェスタ・イルミネーション」でした。ミリアニの劇中でも披露され、Act-3では本人不在の中で8人でカバーされたのは記憶に新しいところ。フェスタの開演ということで、衣装を見る前から最初に来ると予想していた方も多かったのではないでしょうか。

 本人の歌唱は意外にも4th以来約7年ぶり。最初こそちょっと緊張の色もありましたが、すぐにいつも通りまつり姫と重なるのはさすがの一言です。コールもとんでもない大きさでしたね。

 続いて角元さんのファンタジスタ・カーニバル」。おなじみエレナの盛り上げ曲ですが、7thRにてクリスカで歌ったことを踏まえての今回の歌唱は、蓄積を経て4thや6thの時とはまた違う色彩を帯びています。こういう楽しみ方ができるのは、やはり長く歌ってきたこと、また我々も長く追ってきたからこそですよね。

 

 盛り上がる会場に、休む間もなくまさかのイントロが流れ。我々は騒然とします。

 

 

 

◇炎の女は、不死鳥のごとく舞い戻る

 

 

 舞浜歩の楽曲「ユニゾン☆ビート」。歓声の中でいきなり大きな動きのダンスを見せたのは、ヘッドセットを着用した戸田めぐみさんでした。

 

 今ライブ、戸田さんは事前に参加曲の制限があることが公式サイトで明言されていました。9thの郁原さんや山口さんと同じ表記ですが、抱えていた症状は根本的に違います。

 

ameblo.jp

 2021年、7thRの公演前に、戸田さんは負傷。負傷と言っても捻挫や骨折のような類ではなく、筋筋膜性腰痛症、腰部神経根症というスポーツ障害に近い症状とのことでした。ブログでも言及されている通り、症状としては椎間板ヘルニアに近いものがあります。

 

 私事ですが、私も小学校低学年から大学までプレーした野球での負荷の蓄積や、大学~20代中盤までの姿勢の悪さ、20代の頃の病気による筋力の大幅な低下などが重なり、2017年ごろから急激に腰の状態が悪化しました。その後2018年に椎間板ヘルニアと診断され、一時は某プロ野球チーム御用達である西日本の病院を紹介していただいて手術をするか、しないかのレベルまで状態が悪化していました。

 さすがに脚の指などがしびれるような症状は稀で杖をつくほどではありませんでしたが、職場つながりなどでたまにプレーしていた野球は強制引退、ケガ前は一日100km以上走れていたロードバイクも、ある程度症状が落ち着いた今でも30~40kmが限界というところです(脚は平気でも腰がもたない)。手を尽くしてメスは入れずに日常生活は送れていますが、立つ時間帯が長いフルライブでは事前のコンディション管理の上、さらにスポーツ用の腰部サポーターがなければ厳しいです。

 そのため痛めた部位こそ違いますが、戸田さんの症状はある程度感覚として理解できました。

 

 

 

 

 私とミリオンライブとの運命を決定づけたと言っていい6th福岡。戸田さんは「Oli Oli DISCO」を歌われました。

 

music.youtube.com

 これがとても素晴らしいパフォーマンスで、MTG最強の伏兵・Jelly PoP Beansとハッチポッチでの765ASカバーの歌い方を逆輸入したRtF同様、戸田めぐみという演者を強烈に意識させるきっかけとなりました。その4ヶ月後にはバンナムフェスがあるわけですが――その6th福岡のMCで、忘れられない彼女の言葉がありました。

 

 

 「私、ダンス好きかもしれない!!」

 

 

 歩はいわばダンス一点特化タイプで、VoDaViの三要素において、ミリオンスターズでは唯一といっていい、得意分野で765ASと同等、あるいはそれ以上の能力値があるという描写や演出がみられる子です。(Voは千早、Viは美希という絶対の存在があるのもありますが)。

 

 対して戸田さんはボーカルは得意な一方でダンスは苦手と過去にたびたび公言しており、ダンスは得意だけれどボーカルは逃げ出すほど苦手という歩とは対極のような演者さんです。そのため苦労しながら努力を重ねてきたというのは私も2018~19年の頃に少しずつ知っていっていました。

 それゆえに、真との関係を抜きにしても歩役としてステージに懸けるその炎のごとき情熱は琴線に触れましたし、だからこそ自身がリーダーのmiraclesonic☆expassionの歌唱、そしてDay1とDay2での曲数の差からして「Beat the World!!!」の歌唱もあったであろう7thRに参加できなかった無念を慮ると、Twitter上でも声をかけられないほどでした。

 だからこそ翌年のバンナムフェス2ndで、3人とはいえ初めてミラソニとしての歌唱が叶ったのは嬉しかったです。一方で、たまに聴いていたりした配信で語られる現状を聞くと、周年ライブに出るのはもちろん、今後も制限なくステージに立つのはなかなか難しそうだというのも理解はしていました。

 

 23年春の時点で、限定参戦でも出演されると予想されていたAct-4。ソロ曲があるならダンスを抑えて何ならスタンドマイク歌唱だっていい「Get My Shinin'」でいいと思っていましたし、他ブランドで実績のある、ケガ持ちの演者に配慮した演出だって誰も文句は言わないとも思っていました。

 そういう形での出演は、歩としてのパフォーマンスに10年向き合ってきた戸田さんは望んでいないだろうなとは感じていながらも。

 

 

 

 ですが、制限付き参加が明言されていた彼女はここにきて他の38人同様に「最高の更新」に挑んできました。そのダンスの振り付けは腰への負担はある程度考慮されているように見えるとはいえ、それでも今までのどのパフォーマンスよりも舞浜歩を感じるものでした。あるいは、一部の動きに制限があるからこそ、ヘッドセットを着けて両手を大きく自由に使う必要もあったのかもしれません。

 衣装の下である程度固定して再発を防ぐ方法は採っていたかもしれませんが、お腹を出す衣装なので強めのサポーターでガチガチに固める方法は難しかったはずです(固定すべき部位によってはもっと低い位置だけでもいけますが)。だというのに、全開のダンスパフォーマンスをした上で、ボーカルもそれで制限されることもなく。これぞ舞浜歩というべきパワフルさがありました。

 単独ライブは6th以来の出演でも、戸田さんは復活だけでなく最高の更新を、そして今できる形での集大成を成し遂げたのでした。

 

 

 

 

 

 

 そうした情報が脳裏を駆け巡る中で、歩だけでなく一人の演者が戸田さんとオーバーラップします。

 

 

 

 それは、22年7月に開催された765ASのライブ「SUNRICH COLORFUL」における、「VELVET QUIET」を歌うたかはし智秋さんでした。

 

youtu.be

 

 この曲はあずさのソロ曲でも過去にないほどの……と言うより、765ASの楽曲でもトップクラスに入るほどのダンスナンバーでした。Act-3でカバー歌唱された響のソロ曲「Next Life」もソロでやるにはかなり難度の高い曲ですが、それと互角以上と言っていいと思われます。

 それをたかはしさんは、ヘッドセットを付けてダンサーとほぼ同等のダンスを踊り切りました。しかも、ボーカルを大きく損なうこともなく。

 

 過去にアキレス腱断裂、半月板損傷などでの手術歴もあり、ご自身も「(足腰など)全部悪い」と語っていたたかはしさんですが、15周年に一際強い想いを持っていた彼女は「バキバキに踊る」と20年の時点で宣言。食事制限など1年をかけた厳しい鍛錬の末に、サンリッチでは過去イチのパフォーマンスを発揮しました。サンリッチの開催に至るまでの壮絶な経緯の一端は、ご自身のブログで語られています。

 

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 一つの集大成だった10th(MOIW2015)を超えてなお最高を塗り替えたあのパフォーマンスは、後発ブランドにとってはプレッシャーであると同時に希望の光でもあるのですが、まあそこは割愛します。

 

 それで何故、戸田さんの「ユニゾン☆ビート」とたかはしさんの「VELVET QUIET」が重なったかと言うと、以前にこちらの記事を読んでいたのも大きかったかと思います。

 

ameblo.jp

 

 ハッチポッチの戸田さんと言えば、平田宏美さんとの「Beat the Wolrd!!!」が注目されましたが、実は共演経験の多いたかはしさんからもダンスの指導や助言をもらっていました。

 それゆえ、ですが、

 

 

ameblo.jp

 

 サンリッチを両日ご覧になっていたと書かれていた時に、たかはしさん、そして同じく「年齢を理由にしたくない」と言って17年目にして最も難度の高いステージパフォーマンスに挑まれた平田さんを見ていたんだろうなと強く印象に残っていたわけです。

 

 ミリオン10thイヤーとミリアニにおいて。「最高は塗り替えていくもの」「一人も手放さない」と同様に、「つなぐ」という言葉が改めてブランドの象徴として再定義されました。

 「あの日 生まれた声の架け橋が きっと 後を行く 誰かの道も繋ぐ」

 

 

 ハッチポッチでの強烈な刺激が765ASの演者それぞれに大きな影響を与えたことは知られていますが、あの日765ミリオンオールスターズで築いた架け橋の先にあったサンリッチでのステージが、その背中を追う後輩に大きな勇気と力を与えていたのかもしれません。

 ミリオンBCやミリアニで描かれたように、「つなぐ」バトンは、後輩から先輩へ、そして再び後輩へとつながれていくこともある。そうした想いを、改めて強くしました。

 

 万雷の拍手と歓声の中。私はこの日唯一、感情を溢れさせていました。セトリをガチガチに予想して(要は概ね当たって)防御態勢を取っていたわけですが、こればかりは不意打ちだったのもあるでしょう。この後のMCでの周年ライブ継続出演宣言もだいぶ怪しかったですが。

 

 「無事に終わって良かった。戸田くんも立派な主人公の一人だったよ」なんて、もうトワラーと全体曲以外での出番がないかのように考えていた私。

 

 ――当然、不意打ちは二度ある、ということは予想もしていませんでした。

 

 

 

 ざわめきが残る中、専用衣装で歌われた「MUSIC JOURNEY」はAct-2での披露の時以上に歌織さん感がありましたし、続いて登場した「海風とカスタネットはかなり複雑なフォーメーションチェンジをしながらでしたが、やはりフルパワーとなると火力が高いなと再確認させられます。コールもクラップもあるので楽しい楽しい。ミリアニユニット曲がLTP同様オリメン要素にこだわらない形を採っていくなら、ぜひ定番曲になってほしいですね。この曲では篠宮可憐役・近藤唯さんが強い印象を残していきましたが、ソロ曲について触れる際にまとめて語りたいと思います。

 

 意外だったのが、ここでTeam2ndから3rdへのリレーで「オレンジノキオク」をすぐに歌ったこと。ミリアニの披露順準拠、もしくは感動路線でこの曲は後半まで温存すると踏んでいました。あるいはこの順番も、演者希望での変更要素だったのかもしれませんが……。いずれにしても、これでチーム順の披露がほぼ確定となるわけで、演者やライブチームとしてはそれがわかっててもライブの火力は落ちない、と踏んでいたことになります。実際その通りでしたが。

 

 

 この曲に関しては、中村源太さんとAPかっしーのスペースにもメールを送っていました。「オレンジノキオク」はアニメ本編では最初からUOを炊いているわけではないっぽいけど演出どうしたらいいでしょうね……的な内容です。これは例の動画でも言及していました。

 

 幸いこれが読まれた効果なのか動画の3万4000再生効果なのか、そもそも元々同じように考えている方が多かったからなのかはわかりませんが、一番サビまではキャラカラー、サビからはオレンジという傾向がかなり確認できたのは嬉しかったですね。

 ラスサビの各ソロパートでは、演者の皆さんもかなり想いが昂っていることが歌声から感じられて、聴いているこちらも胸と目頭が熱くなるものがありました。演者の背中越しに客席を映す演出が好きな人間としては、この曲では原作再現ということもあり多用してくれて良かったですね。

 

 

 しんみりと余韻に浸っていた私でしたが、次の曲で仰天します。信号機のユニット・いちぽむことストロベリーポップムーンによる「ABUSORUTE RUN!!!」。信号機としての歌唱はあるかもしれないとは思いつつも、Team8thもあるので「やるとしたら君明日が低確率で……?」みたいなことを言っていた私ですが、見事にしてやられました。しかも多分最初で最後のロングヘアころあずver。

 おいおいもう最終ブロックかよとばかりに盛り上がる客席でしたが、さすがにMOIWやフェス系でも歌い続けてきたこの曲は安定感がありました。

 歓声が上がったのは2番。唐突に田所さんとMachicoさんがステージ階段そばに腰かけたかと思うと、スクリーンには2分割したカメラ映像が。2人が固定カメラの前に座って歌うという、直前に決まったとは思えないインパクトのある演出に開場は沸きました。他ブランドではあったような気もしますが、ミリオンでは極めて珍しい演出ですよね。短いパートとはいえ、あれが完成度と新鮮さを大きく高めたのは間違いないと思いますし、他のパートでも全体的にカメラワークが高クオリティでした。

 

 戸田さんの涙に浜崎さんがもらい泣きしてしまったMCを経て、ここからは再びミリアニ曲の連打。「catch my feeling」はTeam4thがついに勢揃い。SHS率は驚異の3/6でした。ミリアニでもこのメンバーであることに意味があるからこその掟破りの6人編成でしたが、複雑なフォーメーションチェンジも交える完成形が見られたのが良かったですね。

 続いては、こちらも麻倉さんを加えて5人揃った5thの「バトンタッチ」。駒形さん芯の通ったボーカルを軸にしつつ、可愛い寄りの歌声の4人が彩る構成はとても強いです。指くるくるとバトンリレーの見せ場もバッチリ。じんわりと心が温かくなる素敵な曲でした。

 

 ……と、そんな雰囲気から一気にボルテージを高めたのが、上田さんの「恋愛ロードランナー。単独では7年ぶりの披露ということで、どの曲が来るのかと待ち構えていた海美Pならずとも大歓声を上げてしまう場面でした。

 海美のソロ曲披露は19年の6th神戸以来。待ち続けた方からすれば万感の思いだったでしょうし、やはりミリオンを代表する憑依型演者の上田さんのパフォーマンスは、二度の「大好き」も含めてその方向性では出色の出来栄えを感じさせるものがありました。すごい海美感。

 同世代では今まさに人気絶頂の上田さんをライブに呼ぶのはなかなか難しい……なんて言われて久しいですが、いつか未披露の「美!美!美!ビルドUP!!」も歌う機会があることを信じたいですね。

 

 そして続くは、キャッチボール仲間つながり?で斉藤さんのパーフェクトゲーム。9thから変わらずカメラ演出も完璧でした。今回のAct-4は、斉藤さんも言及していましたがこの後の曲も含めて昴のカッコよさにスポットライトを当てている印象でしたね。

 ディレ1によるいつものちゃぶ台返しという名の路線変更で昴や歩は方向性がオーディション前から変わったとされていますが、ミリオンスターズにやや不足気味なこの領域を歩ともども開拓していく路線もありなのかもしれませんね。

 真がミリシタで大きく伸長してるのはおそらくその間隙に助けられているところも大きいのですが、MOIWでムンナイを文句なしに歌えるようなポジションはミリオンスターズにも何人でもいていいと思いますし……。

 

 藤井さんの「フローズン・ワード」は、あの6th福岡以来の披露。恵美の曲はこれ一択だとは思っていましたが、さすがに声が出てしまいました。現地だとギリギリの演技として感じていましたが、アーカイブを見た感じだと本当に感極まっていたのがわかりますね。いずれにしてもこの曲をいつか現地で聴きたいというのも未練の一つだったので、黒のライトを振りながらありがとうありがとうと念じていました。

 

 そして、種田さんの「Sing a Wing Song」

 

music.youtube.com

 過去にはこんなツイートをしていた私としても、ずっと待っていた曲でした。

 

 

 何を言っても野暮になってしまいそうですが、一つ言えるのは、種田さんがステージに立つことが、既に田中琴葉とこの曲の在り方を体現していることだと思います。

 今回は並々ならぬ覚悟で出演されたことはライブについて言及された各番組からも感じ取れますが、8thの時同様にこだわり抜いたビジュアルの作り方からしても、その決意とそれでいて強張りはしない、MCでの言葉を借りれば「そういう自分も受け入れていいと言ってくれる」、歩みを進めた琴葉としての柔軟さを感じました。

 種田さんの未練、琴葉Pや種田さんを応援してきた方の未練がここで解消されたのかはわかりませんが、あの日からみんなでつないできたものが、一つ結実したことは間違いないでしょう。

 

 どうしてもライブに出るたびに高い期待がかかる大変なお立場ではありますが、これからも無理のない範囲でミリオンの舞台に立ち続けてくださることを祈っています。

 

 ……と、上のように書いたのがアーカイブ終了直後でしたが。なんと9月のMCリリイベにも来てくださるとのことで。うちの方もそうですが、種田さんもあるいは2回分のお話を聞けるかもしれないのが楽しみですね。

 

 

 

 

 一つの区切りを迎えてちょっとしんみりとしていた現地でしたが、「さあここからまたアゲてくわよ!!!!」とばかりに誰もが知るあのイントロが流れます。10thツアーでまだ歌われていなかった「花ざかりWeekend❀」。ミリシタに移行してからの看板曲の一つですしHUBコラボもあったのでほぼ当確とは見られていましたが、まあさすがに盛り上がりましたね。この曲をやらずに10thツアーを〆るのはさすがにありえない。

 会場は一気に熱に包まれましたが、次のMCで温姫さんも言っていたようにコールの熟練度がすごいし光の海も(賛否はともかく)すごい。

 

 平山さんの「ぴらみ砲」がどうしても語られがちなこの曲ですが、6年間の香里さんの成長による全体の底上げ効果はやはり注目されてしかるべきですし、MOIWやこの後に触れる「ESPADA」などでアタッカーもできると存分に示した上でユニットに全体バフをかける末柄さんの存在感はますます大きくなっていますし、髙橋さんはそもそも歌が傑出して上手いしナイスセクシーで砲撃前のトス上げも抜群。そりゃ強い。

 9thやMOIWでの歌われ方もそれぞれ見所がありましたし、「10周年のその先も花ざかっていく」と宣言したこの曲が、次の機会ではどう歌われるのか楽しみです。

 

 なお、Machicoさんのせいでこの曲がイルカを呼ぶ曲になっちゃったのは、種田さんの「瞳がSing a Wing Songしちゃう」と並んでミリオンしてるMCの名場面でした。

 

 MC明けはみんなここで来ると予想していたであろう「Unknown Boxの開き方」。この曲は完全初披露でした。フォーメーションチェンジが結構複雑で大変な曲ですが、コールも賑やかで会場の一体感を楽しめる良い曲ですよね。メンバーの声の相性についても各チームの中でも屈指に思えます。

 ところで「徳川四天王」という呼ばれ方……すっかり定着しそうですね。

 

 

◇あなたの支えたアイドルは──

 

 

 ソロメドレーの再開一番手は、阿部さんの「...In The Name Of。 ...LOVE?」。どっちが来てもという方が多かったでしょうが、衣装に合わせるなら3rd以来8年ぶりのこの曲が来るのが当然です。ビジュアルにしても歌声にしても作り込みが素晴らしい。SNSではあんなにフリーダムな方なのに、ひとたび瑞希としてステージに立てばMOIWのような各ブランドで計数十人が揃うような大舞台でもまったく埋没せず、他ブランドメインの方にも「あのアイドルの演者さんだよね」と認識してもらえる存在感はさすがですよね。

 

 続いては歓声の上がった近藤さんの「教えてlast note…」。Act-1から一貫していましたが、前日のカワラナイモノでもそうであったように、近藤さんのパフォーマンスにはMCでも語られる「可憐の成長」、そしてミリアニでもスポットライトが当たった「勇気」を魅せるという強いメッセージ性がありました。

 ソロ曲は特に顕著でしたが、それゆえにAct-4で歌うのは「変わりたい」という意思を示すこの曲一択。また、海風とカスタネットでは普段ならやらなかったであろう「煽り」まで入れてくる丁寧さでした。


 強く歌うこと自体は、近藤さんの本来得意とする声の領域からすればいくらでもできるのでしょう。ですがそこまで振り切れず、それでも担当P以外にも可憐の成長と覚悟を歌い方を通じて見せることができる。「誰もが主人公」は私の考えるAct-4の裏テーマですが、はねたエクステをつけたビジュアルの作り込みも含めて、過去イチの可憐の表現だったのではないでしょうか。近藤さんも可憐のビジュアル表現についてはかなり試行錯誤されてきましたが、ポニテにしない時は今後もこのタイプのエクステをつけてほしいな……と思いましたね。

 

 

 

 さて、少し話は変わりますが。

 MOIW2023では、神田スクエアの物販会場には出演者の寄せ書きが掲示されていました。

 

 

 もちろん765AS、次いでミリオンスターズの寄せ書きがぶっ刺さるわけですが、それ以外にもう一つ、印象深いものがありました。

 

 SideMの渡辺みのり役・高塚智人さんの寄せ書きです。

 

 

 

 「たかぴ」の愛称で知られる演者兼Pの高塚さんだからこその言葉ではありますが、このAct-4では、この言葉を思い出す機会が度々ありました。

 

 「それぞれが主人公」、あるいはそうでなくても「ずっと(演者を含めて)応援してきてよかった」と思える瞬間がこのAct-4では各担当Pにあったのではないかと思います。報われる……というと言葉が強すぎるとは思いますが、長年支えてきた人ほど、その感慨はひとしおだったのではないでしょうか。

 

 もちろん、積み重ねた年月だけが大事ということではなく。それについての「回答」はこの後にしっかりと発信されるわけです。

 

 初恋バタフライ。6th仙台ではLVすら見られない環境でしたから、リアタイ披露を待ち焦がれていた曲でした。今回の桐谷さんはライブの衣装に合わせるためにあえて筋肉を落とすという、アスリートにとっては苦痛極まる調整をして臨んでくださったということです。そして、私にとっても待ち続けただけあった素敵なパフォーマンスでした。

 それだけに、一番の見せ場での痛恨の歌詞ミスは悔やんでも悔やみきれないと思います。数々の未練をすくってきたAct-4で大きな未練が生まれてしまった数少ないケースでしたが、静香の「SING MY SONG」のように、いつかきっとその機会は訪れるはず。何年先になるかはわかりませんが、その日を楽しみにしたいですね。

 「恋心マスカレード」も、あの6th福岡での印象が強く残っていたので、10thツアーで生で浴びることができて何よりでした。……というか夜想令嬢の4人、この後の小岩井さんも含めて奇しくも全員が6thと同じソロの選曲でしたね。曲の最後、暗転する中で笑みを浮かべていた野村さんの横顔が印象深いです。

 

 このブロックのソロメドレーを締めくくるのは、髙橋さんの「dear...」。ミリオン最初期から新規にまず勧める曲として名高く、また外部でこそ頻繁に歌われるものの単独ライブで髙橋さんが歌唱するのは4th以来ということもあって、会場は大きく沸きました。担当かどうかに関わらず、一度はこのみさんとしてのソロを聴きたいと思っていた人は相当数に上るでしょう。水中キャンディ派の私も、そちらをAct-1で叶えてからはその一人でした。聴けて本当に良かったです……。

 このみさんに帽子をかぶせる衣装が似合うことは8thにしてもMOIW2023にしても論を待ちませんが、このフェス限衣装もまた素晴らしいものでした。ここんとこ自分の中でこのみさんがキテるのもありますが、この衣装とのシンクロ具合には思わず視線が釘付けになりましたね。

 

 あれも聴けたこれも聴けたとホクホクしているところに、ギターの音色が響き渡ります。戸田さんを加えて全員が揃ったTeam7thの「トワラー」。しっとりと歌い上げるその曲調は、「聴き惚れる」という表現が最も正しい気がします。Act-3では3人だけの歌唱でしたが、全員揃えば歌声の厚みもバランスも一層良いものでした。

 いつかまた富士急コニファーフォレストのような屋外ライブをやる日が来たら、この曲を起用してほしいですね。ミリアニBD3巻のBackstageを見た後に子のメンバーのトワラーを見れば、担当ならずともきっとまた違った感情が生まれるのではないかと思います。

 

 

 

 

 そんなトワラーの作った空気を引き継いだのは、FluerS(フルール)の「わたしは花、あなたは太陽」でした。

 



 コミカライズ「Brand New Song」(BNS)発のオリジナル曲で、主人公ユニットが歌う曲として最終巻特装版にCDがついた曲です。特装版曲なのでサブスクはもちろん未対応、公式の場ではミリラジで一度だけ一番が流れた程度ですから、今回披露された曲では群を抜いて知名度が低かったことは想像できます。

 でも、本当に良い曲なんですよ。そして、出し惜しみはせず、未練もすくっていくAct-4において、「Clover Days」とこの曲は何があってもやる確定枠と断言していました。

 

 

※セトリ予想動画より。全体曲5種やミリアニ曲、レジェガやクルリウタ、電波感傷やカワラナイモノなどと同様の「☆(確定枠)」扱い。

 

 

 BNS自体は、私はそこまで優先して人に勧めていないのは事実です。どうしてもゲッサン、BCという双璧があって、漫画としてもとにかく完成度の高いそこをまず勧めるのが当然だからです。

 ただ、自身も熱烈なPであるimaさんが描くBNSも際立って愛のあふれた作品であり、「私がこれを描きたいから描くんだ」という矜持から出力される要所要所のシーンは強い印象を残すのは間違いありません。なので上記2作品を読んでなお余力のある方は読んでほしい、という方には勧めています。

 ……プロ野球で言うと、北海道日本ハムファイターズの今川優馬のような存在がBNSと言えるんでしょうか。わかる人は読者の一割もいない? それはそう。

 

 とはいえ、この曲は改めて言いますがとても素敵な曲です。Act-4をきっかけに、そしてこのライブで告知された今夏のコミック連動イベントを経て知名度が上がること間違いなしです。

 

※Day2での告知。おそらく「アイル」「Clover Days」「わたしは花、あなたは太陽」でしょうか。

 

 もう10回くらい言ってますが、2番のソロパートでのこのみさんの「描いた未来と違っても」からの、桃子の「季節外れの花も 綺麗だよ」の歌詞が物語や二人の歩んだ道と重なってたまらなく好きです。もちろんクロノレキシカに続いて台詞パートもこなし、歌声も抜群の安定感を見せた伊藤さんの歌唱も素敵でした。曲の後のMCパートでもFluerSはエモエモでしたね。

 

 

 

 

 

 そして、そんなMC明け。

 

 お世辞抜きに、衝撃がKアリーナ横浜を覆いました。

 

 

◇フロア熱狂、Dance in the Light

 

 

 

 MTV曲「Dance in the Light」(DitL)。

 私はイントロの数音で思わず「ウソォ!?」と声を上げてしまいました。

 

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 この曲は本来、この日歌唱したメンバーに加えて伊織も加えた5人で歌われる曲です。また、ダンス筆頭の歩と、伊織のダブルセンターと言ってもいい曲でした。

 



 戸田さん自身は前述の通り制限ありと当初から明記されており、ASの釘宮理恵さんも当然いないので、この曲はハッチポッチ2待ちだと思っていました。他方、この曲の持つ潜在能力については私はひたすら高評価を続けており、昨年末には新宿のDJイベントでこの曲を浴びてからはますますその思いを強くしていました。

 

 

siden-p.hatenablog.com※DJイベントのレポより。

 

 

※セトリ候補から外した上でのライブ前の発言



 

 

 ……つまり、激推し曲ではあったのですが、長考の末に外していたわけですね。出し惜しみのしないAct-4とはいえ、DitLの投入は本当に驚きでした。

 ですが、トワラーではほぼ座って歌った戸田さんを見ているわけですから、声を上げてしまうのと同時に「でも何人でやるんだ!?」という考えがよぎったのも事実で。

 

 だからこそシルエットが4人だったこと、それがオリメンからの4人であったこと、そして悠然と強者感あふれる佇まいでマイクを上げて構えたのが戸田さんだったことで、「やるんだな!? 今!! ここで!!!」とばかりに鳥肌が立ちました。

 

 

 「Let's get down……!!」

 

 

 戸田さんのその一言で、2万の観衆が熱狂の渦に包まれました。

 

 

 

 さて。DitLはダンス曲ではありますが、ライブにおいて注目されるポイントは実はボーカルにあります

 当日のコメントや感想でも語られていましたが、DitLは総体としてはカッコいい曲である一方で、伊織のカッコいい路線でありながら小悪魔チックな可愛らしさのある歌声が強いアクセントになっています。また、莉緒のカッコいいよりセクシー寄りの歌声も楽曲の色を決めるに当たって大事なポイントとなります。ここが今回のAct-4では、ただのカッコいい曲では終わらせない「厚み」となりました。

 

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 これが例えば、山口さんを抜いた戸田さん・駒形さん・斉藤さんの3人で歌っていたら、カッコいい一色になってかなり違った色になっていたはずです。また言い換えれば、この曲は仮に(フルメンバーでの歌唱などでの後に)ミリオンの周年や外部のフェス、MOIW2026などでオリメン以外で組むようになった場合、メンバー次第で別物の曲に化けるでしょうし、きっとそれはまた違った魅力の光を放つでしょう。

 

 ソロ曲ではケガの心配をする思いもあった戸田さんのパフォーマンスですが、今回はボーカル勝負に振った魅せ方だったのもありもう「行けーっ!! ぶちかませーっ!!!」以外の感情はありませんでした。個人的に見せ場と思っている1番の「I know I know  I know right 人生なんて」が山口さん、2番の「Ride on ride on ride on 踊り続けて」が戸田さんで、共にVoVi両方バッチリ決めてくれたのが最高でしたね。駒形さんは戸田さん同様にカッコいい路線全開の歌い方で、斉藤さんもCD・ゲーム音源よりもカッコいい寄せ、だからこそ山口さんのボーカルも映えるという上手いバランスのとり方でした。

 

 ダンスはかなり簡略化、特に腰に爆弾がある2人は間奏などで負担のかかる姿勢を避けている傾向がありましたが、今回に関してはこれが正解です。光や音の演出面については他の追随を許さないKアリーナですから、そこを活かせばビジュアルの魅せ方は十分。あとは、CD音源以上のボーカルでただ圧倒すればいい。

 Xでの日本トレンド入りは、そのプランが間違っていなかったことの証明だったと思います。

 

 

 戸田さんはこの曲をフルで完遂して高い評価を得ましたが、リソースの問題もあったのでしょう。この後の全体曲は最後の「Thank You!」のみの参加となりました。これには(賛が大半であることは前提ですが)賛否があったのは確認しています。

 ですが、演者さんのラジオでの発言を借りれば「39人で当日を迎えられたらその時点で勝ち」であり、全員がステージに揃った時点であの日生まれた未練と悲願は果たされています。確かにDitLを諦めればどれか1曲、あるいは「休んでいる間も周年曲についてはダンス覚えていた」とのことですから、2曲はいけたのかもしれません。それはそれで特に反発はなかったでしょう。ですが「一人も手放さない」ミリオンライブを体現すると同時に「誰もが主人公」であり「最高は塗り替えていくもの」の両立にも挑むこのライブで、戸田さんがソロ曲とDitLにリソースを割く選択をしたことに私は絶賛の拍手を送りたいです。

 

 

 Kアリーナを圧倒したこの曲の後に誰が続くのか。

 必然、強い曲の前後に配置されるケースが多い天空橋朋花の楽曲の出番が来るわけで。強烈なレーザー光線の乱舞とともに小岩井さんが降臨します。私にとって、ついに訪れた「鳥籠スクリプチュア」を現地で浴びる機会でした。

 

 6th福岡のLVにおいて、私は「天空騎士団七の誓い」を暗唱できませんでした。当時ならしょうがないのですが、七の誓いを書き込んだ名刺を配っていた朋花Pがちょうど目の前にいて、背中をカンニングすることで何とか言えた次第です。 

 Act-1では冒頭で七の誓いを画面に表示するイージーモードだったので、会場の全員が言えましたね。ですがこのAct-4は表示なし。吸音性の高いKアリーナということも大きいのですが、七の誓いの声は小さく聴こえていたように思えます。ですが、だからこそその中でも思い切り七の誓いを淀みなくすらすらと言えた――もとい叫べたことが担当Pの端くれとして嬉しかったですし、いつかはと思っていた願いが果たされることとなりました。

 

 この曲に限らないのですが、小岩井さんはViの魅せ方、それに連動したVoが巧みです。「キャラクターの枠組みを含めた」歌の上手さではミリオンスターズでも傑出するほどではありませんし、動きの激しい直線的なダンスは得意ではないように見えます。(花咲夜のような舞いは艶があってとても良いと思いますし、そっち系のダンスができるなら十分すぎますが)

 ですが、視線や表情の作り方、所作での「朋花」の表現は特筆すべきものがあり、今回でいえば「七つ、祝福を受け入れること」の言い方と体を撫でるような右手の所作の魅せ方はしびれるものがありました。

 このDay2直前には、ねるさん主催の寄せ書き企画にも参加させていただきましたが、そこでは9th以降約1年の主要ライブイベント7公演を完走するどころか、namco TOKYOのDJイベント×2まで参加してくださった小岩井さんにささやかながら感謝をお伝えしました。朋花と小岩井さんにこれほどスポットライトの当たる一年を(序盤はまだ完全に落とされて覚悟を決める前とはいえ)、朋花Pの末席として追いかけられたのはただただ僥倖でした。

 

 

 

 強い曲パートはこれで終わりませんでした。Act-3でも披露された「瑠璃色金魚と花菖蒲」ゲームサイズということもあり、南さんが短距離走で疾走、いや爆走するかのようにエネルギーを注ぎ込む熱唱でした。Act-3がアニメで披露した瑠璃色金魚の精緻な再現を目指したとして、こちらは殻を破り滝を昇るかのような歌い方でしたね。

 特に、出し惜しみ不要だからこそできるロングトーンへの注力においては過去イチだったのではないでしょうか。Day1やこの後の楽曲も含めて、Act-4だけでいったい何人の紬Pを増やしたんでしょうこの人。すごいの一語に尽きますね。

 

 間髪入れずに、続けざまの「Up!10sion♪Pleeeeeeeeease!」。私も現地で浴びた≡君彩≡で話題をさらった8th以来の参戦となった村川さんですが、コール全開のこの曲で健在ぶりを示しました。コールの大きさもこの日屈指だったのではないでしょうか?

 未披露の「アイドルは、かく語りき」を期待する声はありましたが、やはりあの曲の物語性はフルで歌ってこそですし、一方で担当Pが「りえしょんの底力はまだまだこんなもんじゃない」と語っていたのもおそらくその通りなのだと思います。お身体などなかなか難しい状況もあるのだとは拝察しますが、直近ではミリオンキャスティングの新曲もありますし、MCでは「今後」という言葉もあったので、またきっとどこかで舞台に立ってくださると信じています。

 

 一息つこうかという観客席に、休む間もなく流れる「Happy Darling」のイントロ。Act-1から期待し続けていた人も多かったであろうこの曲で、会場は最高潮を超えた最高潮に達します。MCを除けば6th仙台以来5年間も溜めに溜めた、特大の「応援するよ!!」でしたね。私も初めてだったので、喉も結構きてましたが思い切りぶっ放しました。

 

 

 

◇長い長い夜を越えた、その先で

 

 

 私がここまでミリオンライブの沼に浸かれたのも、765AS以外でできることはなかったはずのミリオンスターズの子の担当Pになったのも、一つのコミカライズ作品の影響が大きいです。

 

 稲山覚也先生の「アイドルマスターミリオンライブ! Blooming Clover」

 

 この最高の作品のオリジナル曲「Clover Days」の披露に立ち会うために、私はKアリーナにいました。

 

 ミリオンBCに出会ったのは2019年秋。この曲が発表された同年6月の直後、6th福岡の開演前に会場で流れたことはありましたが、その時はまだ試し読みレベルで止まっていました。その後ずぶずぶとミリオン沼に沈み続ける中で、20年春には当時「聖典」と呼ばれ、私もこれがあったからこそミリオンにハマれた、門司雪先生の「ゲッサンミリオン」と並ぶ評価をしています。

 この評価は当時BCが舵を切った群像劇路線の面白さによるものが大きく、また天空橋朋花がメインとなる夜想令嬢編の28話、コロナ禍と劇中の台風によるライブ中止が重なった30話が絶大なインパクトを残したことも大きかったです。

 

siden-p.hatenablog.com※今見るとちょっとアレなのでこっちは読まんでいいです。

 

 

 

 

 その後の夜想令嬢・北海道編、続く桃子・のり子・千早がメインとなる秋編を経て、私の評価はゲッサンミリオン、そして祐佑先生の「アイドルマスター2 The world is all one!!」を超えて、アイマスコミカライズ不動の一位となります。

 故郷の隣の隣の町が木下ひなたの実家として舞台になっているということもあり、壮瞥とミリオンBCを結び付けられないかと色々やったりもしました。

 

 

 ミリオンの曲のサブスクが解禁された22年12月には、そのラインナップに「Clover Days」が含まれていたこと、そしてその披露の日は必ず来るからこそ、この作品をもっと多くの人に知ってもらう取り組みをしたいと思い、公式側の人も触れるように配慮した紹介記事を書きました。

siden-p.hatenablog.com

狙い通りで、してやったり。

 

 

 この作品がなければPとしての今の私は違った姿になっていたでしょうし、ミリオンスターズに担当はいないままだったかもしれません。少なくとも、Act-1の時点で自認することはなかったでしょう。だからこそミリオンBCは多くの人に読んでもらいたかったですし、いつかの日のために「Clover Days」を多くの人に聴いてほしかった。だからこそ、MORなどにも何度かこの曲が取り上げられるようにメールを書き、Act-4の出演者が発表された直後のMORで取り上げていただく機会もありました。

 

 

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 ただ、やはり長かった。

 

 ミリオンBC30話(電撃マオウ本誌掲載版)はちょうど2020年3月末の掲載でした。世間がコロナ禍に覆われ、ライブなどもってのほかとなっていく長い暗闇の時代に突入していった頃です。山梨県の富士急コニファーフォレストで開催予定だった7thライブもこの本誌掲載から数週間後、中止が発表されました。(ライブが予定されていた当日には「特別生配信・手づくりのThank you!」を開催)

 

 偶然にもそうした中で、台風によるものとはいえミリオンBCはライブの中止、代替となる配信番組の制作・配信などを描き、ある意味で現実を先取りすることになりました。その中で歌われたのが、この「Clover Days」でした。

 そのため、この曲はコロナ禍を耐え抜き、「涙と夜を越えた」、その先できっと歌われる曲という属性も帯びることになります。ブランドとしてのミリオンはコロナ禍で大きくその運命を狂わされましたが、その傷跡も痛みも、この曲が歌われる時にはきっと未来への光になると信じて。

 

 でも、やはり長かった。

 

 Cloverのメンバーは、矢吹可奈北沢志保箱崎星梨花高坂海美。演者さんはいずれもかなり多忙な方で、4人全員がライブに揃うこと、そして同日に集まる機会はありませんでした。Clover以外ではこのメンバーが同じユニットになることも最初期を除いてなかったため、この曲をやる前提でオファーをしない限り、まず難しかったという事情もあります。

 また、これは演者の発信手段の問題が大きいのですが、BCは信号機メインではないためミリラジでもめったに話題にならず、情報発信は電撃の公式以外では木戸衣吹さんの孤軍奮闘に近い状態となっていたように見えます。MORでも彼女がClover Daysを紹介していますが、この曲をライブでやりたいと訴え続けていたのも木戸さんだったと、後に知りました。

 

 それでも、4年以上は長かった。

 

 この曲が開演前BGMで流れた7thRの後に、私はいつかのために持ち手付きのウルトラグリーンを4本用意しましたが、2年半以上も棚の肥やしになっていました。

 上田麗奈さんがAct-1の時点で事実上のAct-4出演宣言をしていたので、10thツアーの最後で、長年の大願は成就すると信じてはいました。さらにAct-4でミリオンスターズ全員出演が決まった時点で、絶対にやるとは思っていましたが……。

 

 

 上述の通り、私はこの曲では絶対に笑っていようと決めていました。だから雨宮さんの台詞で曲が始まっても、イントロが始まっても一瞬たりとも見逃さない、自分の席からの景色を記憶に焼き付けようと――まあ漫画を意識したスクリーン演出にはやられかけたのですが――ぐっと耐えて、この日のために買ったUGを4本点けて十字状に持ちました。

 

 印象深かったのは、やはり志保としては見たことがないほどに柔らかく歌う雨宮さんでしょうか。ミリオンBCでは中盤以降に穏やかな表情が増える志保ですが、劇中で初披露された5巻というよりはそれ以降の志保をイメージさせました。

 そして木戸さん。Day1が大樹ならば、この日は夜空の一番星といった佇まいでしょうか。おそらく単行本未掲載の最終話まで読み込んで作り上げてきたと想像できますが、初披露の18話、配信ライブの30話、そして劇中でのラストライブでの66話、それぞれの可奈を内包しているように見えました。その上で、Day1同様に成長した可奈のその先を想起させるようなパフォーマンスを見せてくれたのではないかと思います。

 

 

 

 ミリオンBC、7話。プロデューサーから、ミリオンスターズは一つ一つはまだ小さなキラボシたちでも……と前置きがあった上で、この物語の根幹が示されます。

 

※ミリオンBC 2巻7話より

 

 

 

 ラスサビ前の間奏では、スクリーンに星空と四つの星が映ります。これは木戸さんの提案で導入されたという冒頭の台詞とともに、屋外ライブ会場の満天の星空が輝いた18話の再現ですね。

 素敵な演出だなあと素直に感じ入り、そしてラスサビで大きく盛り上がる会場を見て思いました。

 

 確かに、ここまで長かったけれど。待った甲斐があった。

 この曲が一番輝ける瞬間は、例え長く長く待たされてもこの集大成のAct-4・Kアリーナでの初披露がベストだったのだと。だからこそ、これほどの感動とこれほどの盛り上がりがあったのだと。

 満面の笑顔でジャケットのポーズを決める4人を見て、私はそう受け止めていました。

 

 ミリオンBCは本編が完結し、7月に最終16巻が発売されます。「Clover Days」の作詞作曲メンバー続投による新曲「Believe Clover」も特装版に収録されると発表がありました。

 また、外伝となる「encore」シリーズも電撃マオウ本誌で連載中で、本編での描写が多くなかったメンバーを中心に単行本2巻分が描かれる予定です。先日も極上のあかつむが話題をさらいましたが、その前の「あずさとこのみ」「真とまつり」の描写は、踏み込んだ内容で担当P的にも満足いく物語となっています。こちらは本編から継続する連載は今秋まで続く見通しです。

 

 Believe Cloverがいつ披露されるのかは、正直なところわかりません。今回同様、この曲をやる、という前提でオファーをしないと難しいでしょう。それでもこういう場で出してくれて、またAct-4を通じて上田さんのミリオンへの想いも改めて聴けました。

 

 ミリアニ2期同様、3年でも4年でも待てる。今はそんな受け止め方をしています。

 

 

 

 

 

 Clover Daysに続いたのは、ミリアニの8th曲「REFRAIN REL@TION」。まだ三十数曲目というのはわかっていましたから「意外に早いな!?」というのが本音でした。セトリ予想動画でも明示していますが「Clover Days」→「REFRAIN REL@TION」→「UNION!!」→(アンコール)→「Crossing!」→「Thank You!」という流れを予想していたためですね。ただ、Act-3がその方向性で既にやっているので、39人揃うという違いがあるとはいえどうなるかなー、という考えでした。

 結論から言うと、今回はTeam8thとして完遂し、この曲にトリ前としての役割と演出を委ねなかったのは正解だと思いました。アニメの全員集合演出もやらず、あくまで8thの曲として、最終ブロック前の〆というのはちょうどいいポジションだったのでしょう。

 

 前述の通り、11th以降はミリアニ曲はLTP同様オリメンの縛りを緩めていく可能性が高いと思われますが、そこでどんな化学反応が見られるのか楽しみですね。

 

 

 

 続くMCでは思った以上に現地初参加のPが多かったり女性率が高かったり(これは現地でも肌感覚でそうでしたが)、りえしょんがりえしょんだったりとわちゃわちゃした感じでしたが、いよいよ最終ブロックに突入となります。

 私はと言うと小岩井さんの一言で「安堵」と「確信」をしていたところでしたが、ここで予想していなかった「BORN ON DREAM! 〜HANABI☆NIGHT〜」が来たことで面食らいました。閃光☆HANABI団が来る可能性があるのは理解しつつも、「咲くは浮世の君花火」はMOIW2023で歌ったこともあり、このユニットはないかなー……と思ってリストから外していたのもあります(同じくコール曲であり、メンバーの3/5が重なる「ビッグバンズバリボー!!!!!」を予想してました)。

 まさかこのユニット衣装を着る上田さんがバンナムフェス1st以来また見られるとは。そして祭りの終わる寂しさなんかまだまだ意識させないぞというセトリのメッセージを感じましたね。

 

 

 

◇これはアライブファクターだ。私がそう判断した

 

 Machicoさんと田所さんの「深層マーメイド」。まったくの予想外の一撃でした。

 ここまで読んでくださる方ならご存知の通り、本来は響と翼の曲です。765ミリオン混成のLTDではかなり珍しいことに、オリメン披露6回という披露機会に恵まれた曲でもあったりします。もっとも、うちリリイベが2回、ライブの円盤が販売されない国外公演が2回のため、バンナムフェス1stの印象がどうしても強くなるのですが……。

 周年ライブでは3rd幕張Day1で、Machicoさんが渡部恵子さんと歌っています。この日のMachicoさんは「アイル」を歌い、翌日のDay2では田所さんと「アライブファクター」を歌っています。

 

 そう、アライブファクター。今回の深層マーメイドはアライブファクターでした。

 何を言ってるんだお前と言われそうですが、改めて過去の映像を見返しても、深層マーメイドがこれほど荒々しくぶつかり合うことはなかったと思います。バンナムフェス1stを見てもわかりやすいですが、荒々しさはありつつも強者としてのプライド、その在り方を示すようなパフォーマンスに見えます。

 その後ミリシタではこの曲がアイマス世界の現役アイドルでは最強の存在である玲音、文字通り黒井社長秘蔵っ子の詩花の961プロのデュオユニット「ZWEIGLANZ」と対峙するための曲になったという事情を踏まえても、ここまでの変化ではないはずです。

 理由は二つ。まず前述の通り、これが3rdアライブファクターの返歌であること。そして、翼の同年代のライバルは静香であることです。

 

 ミリアニで再定義された節がありますが、翼が本気になるトリガーとして、先輩で言えば美希や響がいます。ですが最終的には、未来の影響も当然ありつつも、限られた時間で必死にあがく静香の存在というものが大きいでしょう。1クールゆえに納得感は持たせつつもRTA的な速さで各種問題をクリアしていったミリアニ1期ですが、美希だけでは翼は覚醒に至らなかったのは明らかです。

 静香と翼が両者が本気で高みを目指した時、いつか同年代としてはぶつかることになり、またそれこそが二人のさらなる飛躍につながる……そんな景色を幻視しました。

 ちなみに連番者ではない方の隣席は各種静香グッズを装備した女性Pの方でしたが、見事に崩れ落ちて前の席の背もたれに倒れ込みそうになってました。

 

 

 

 

 続けざまに、ロングイントロから放たれたのは「ESPADA」。前日のセトリから予想されていましたね。メンバーは末柄さんをセンターに、南さん、近藤さん、原嶋さん、小笠原さん、郁原さん、斉藤さん。連闘になる田所さんと、制限ありの戸田さん不在はともかく雨宮さんがいないのには「はて?」と思いましたが、曲と演出のカッコよさにすぐ流されました。スクリーンの映像は殲景・千本桜景厳だのUBWだの言われてましたが……。

 

 この曲は原嶋さんや近藤さんのイーヴルナイフ組も良かったのですが、やはりセンターの末柄さんでしょう。

 風花のキャラクター性もあり、ユニット編成ではどちらかと言うと器用でどこに入れても機能するバッファーのような見方をされがちだった(と私は思っている)末柄さんですが、この曲でセンターを務めたこと、さらにMOIW2023で大きく印象が変わりました。その出来事とは4ラグとシンデレラガールズのFlammeMartiniで歌った「Bet your intuition!」の歌唱です。

 この曲はSideMの楽曲であり、8人がイケボ寄りで歌う楽曲でした。この曲のミリオン側で目立つのはオペラセリア・煌輝座での男声に定評のある香里さん……も良かったのですが、私は攻めの姿勢でアタッカーとしての強さを見せた末柄さんのパフォーマンスに惹かれました。その辺りはオタク総研さんで執筆させていただいたMOIWのレポでも書き残していますが……。

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 この「ESPADA」も同様でした。カッコいい路線の歌声ならこの日のメンバーでも南さんや斉藤さんがいましたが、ラスサビ前の「これが私だと 心から叫べ!!」のソロパートは一頭地を抜くものでしたね。風花関連では今月下旬の新曲「アイドルステアウェイ」も楽しみです。私はあの手の曲だーいすきなので……。

 

 そして、みんな大好き「俠気乱舞」。異次元フェスで歌ったのでキャスティング投票曲では可能性低いとは思っていましたが、ここで来ましたね。

 フルメンバーの披露は言うまでもなく4th以来約7年ぶり。改めて見比べてましたが、演者のそれぞれの成長が楽曲の魅力をさらに高めていました。当時はコンデイション不良だった田村さんもこの日は完調。稲川さんは環のごとくジャンプを決め、渡部恵子さん、愛美さん、浜崎さんも芯の強い歌声で盛り上げます。いやあ強い強い。武道館の後はオリメンは6th福岡の二人くらいでしかチャンスが回ってこなかった楽曲ですが、これだけにものを見せられれば誰も文句は出ないでしょう。

 

 

 今ライブでも特大のイレギュラーがクレシェンドブルーの「Shooting Stars」でした。Act-1で披露され、その際にはオリメンの平山さん、そして唯一未歌唱だった小笠原さんが歌っており(斉藤さん、藤井さんも参加)、最後のMCで小笠原さんが「ミラクルを起こせた」と語っていたので、10thツアーの法則からしても歌われることはないだろうな……と思っていました。おそらく、ここもおそらく演者希望でセトリ案から変更された曲ではないでしょうか? 5分割もあったスクリーンの演出は、記憶違いでなければAct-1同様だったはずです。多分。

 今ライブは後半に立て続けに出番が来た田所さんがとにかくキレッキレでしたが、それよりも何よりも5人が揃ったこと。約10年を経てようやく、ようやく果たされた集結に、未練を抱え続けてきたどれほどの人が救われたのでしょう。あの神セトリだった7thR Day1で散見された数少ない不満が「(Flooding優先は理解しつつも)4/5がクレブルのブルシンやれるなら、ちゃきさんの出番調整してSSsやれただろ」でしたが、その2年後の10thツアーAct-1で一度歌い、さらにAct-4の最終ブロックでついにフルメンバーで歌えたのですから、担当Pたちにとっては感涙ものだったのではないかと考えます。

 

 その後は、前日のセトリから予想されていた「夢にかけるRainbow」です。この瞬間、この後に控えるUNION!!を含め、10thツアー通しての主要全体曲フルコンプが確定しました。

 

・Thank You!(Act-1両日、Act-2両日、Act-3両日、Act-4 Day2)

・Welcome!!(Act-4 Day1)

・Dreaming!(Act-1両日)

・Brand New Theater!(Act-2両日、Act-3 Day2)

・UNION!!(Act-4 Day2)

・Flyers!!!(Act-2 Day2)

・Glow Map(Act-2 Day1)

・Harmony 4 You(Act-4 Day1)

・夢にかけるRainbow(Act-4 Day2)

・Crossing!(Act-1両日、Act-2両日、Act-4両日)

・グッドサイン(Act-2両日)

・Rat A Tat!!!(Act-3両日、Act-4両日)

 

 文脈と両立させつつ、これをやり切れたのは隠れた偉業なのではないでしょうか。ここにカウントするのは違うかなとも思いますが、何ならEVERYDAY STARS!!もAct-4でやっていますし。

 10thイヤーとアニメイヤーが重なったグッドサインはかなり不遇ですが、まあここはおそらく11thで回収されるでしょう……。

 

 さて、「夢にかけるRainbow」ですが。DJイベントでも9thのovertureを含めて一足先に味わいましたが、この声でコールができるのは喜ばしいですね。

 私こそが主役という、9thのライブコンセプトを含めてミリオンライブでは異色の全体曲ですが、だからこそ「さあ光を放て」「その光を照らせ」とコールしたかった人も多かったでしょう。かく言う私も9thの心残りの一つが、この曲で声出しできなかったことでした。約半月後にタッチの差でアイマスライブの声出しが解禁されたので、なおさら。だからこそ、前日のH4Y同様にここで回収してくれたのが心から嬉しかったです。このAct-4は、10thツアーは、これ以上ないくらいにミリオンライブなのだと。

 

 メンバーは前日と同じコンセプトで、周年センターポジションの南さん。そしてメンバーはケガなどのコンディション不良で一部参加のみに留まった郁原さんと山口さん、9th不参加の愛美さんと種田さんでした。スクリーン演出も9thの武道館で見せたものの派生形で、レーザーで七色の虹を描くなど、演出もこれ以上ないものです。

 よくぞここまでやってくれた。曲の終わった後、私は歓声とともに大きな拍手を送っていました。

 

 残るのは信号機のソロと、10thツアーで唯一となった未披露の全体曲のみ。

 その一番槍は、Machicoさんの「恋のLesson初級編」でした。Machicoさんのステージ上でのプライドが前面に出ていましたね。単独では4th以来の披露と言うことで当然私は初めて現地で聴けたソロ曲だったのですが、噂に聞いた悪名高いアレが後方3席くらいのところにいたのがどうにも……。もうそういう時代とは違うんだし、思い出の中でじっとしていてくれ……。

 ちょっと愚痴っぽくなってしまいましたが、Bmcやロケットスターの存在感もありなかなか出番のなかったこの曲がこの大舞台で選択されたのは良かったと思います。いずれも過去の自分を超えたソロ4曲+アイルを完遂したことも含めて、ライブコンセプトを体現したMachicoさんこそ、10thライブツアー全体のMVPでしょう。

(※過去のライブのMVPは、7thRは駒形さん、8thは香里さん、9thは温姫さん。MCも含めた採点基準)

 

 さて、Machicoさんがこの曲を選ぶなら田所さんも当然この曲ということで「Precius Grain」が歌われます。もう円熟味すらある完成度で、ミリオンの青の矜持を肌で感じました。この曲も初めてだったんですよね……。10thライブツアーではAct-1こそ欠席した田所さんですが、Act-2では個人的MVP、3でもMVP級の活躍を見せる(任される)など絶対的な存在感を見せ、片日の参加だったAct-4もそれは同様でした。

 

 

 

◇「大事なのは濃度」という言葉へのミリオンの「答え」

 

 

 翼→静香と来た時点で、ソロ曲のトリはもう決まっています。Act-4まで温存されてきた春日未来の代名詞といえる曲「未来飛行」

 山崎さんの「行くよーーーーっ!!!!」の掛け声。これに我々の声が反応できるのは、ごく少数のみが参加できたミリシタ感謝祭を除けば19年の6th神戸まで遡ります。予想と期待に応える選曲に、観客席は大いに沸きました。そして、同時にきっと誰もが思ったでしょう。「ああ、ライブが終わってしまう」とも。

 

 ライブ直前に体調不良でダウンしたこともあり、Act-4の山崎さんは好調とは言えなかったと感じられました。特にDay1は。ですがそこは10年間チームを束ねてきたリーダーです。要所をきっちり締めて、なんと楽曲はフルサイズで2番へ。

 これには驚きの声が上がりましたが、この「未来飛行」は2nd、そして3rd幕張での歌唱へのオマージュとアンサーであり、そしてミリオン10thイヤーを締めくくるのは山崎はるかのフルサイズのソロ曲であるという誰もが認めるであろう文脈があってのものだったと考えます。

 

 

 間奏で、山崎さんは以下のように私たちへ呼びかけました。

 

「プロデューサーさん、10年間どこかで出逢ってくれて、本当にありがとうございます。今、プロデューサーさんがここにいなかったら、39人みんな揃ってなかったと思います。だから本当に、これからも、応援してくださいねーーーーっ!!!!!」

 

 

 この言葉と、Day1のショコラブル*イブでの藤井さんの「大好きだよーっ! 10年間、ずっとね!!」という台詞に対しての10年間追ってはいなかった身としての感情が不思議と重なっていたのですが、ライブ後に答えが出ました。

 

 

 この言葉は、かつて山崎さんが先輩にかけられた「大事なのは濃度」という言葉への彼女なりのアンサーなのではないか、と。

 

 

 

 アイマスをそれなりに追ってきていれば、どこかでこの言葉を聴いたことがあるかもしれません。もともとは、2016年11月のアイマス3ブランド合同生配信「麗しきPの集い」で発せられた言葉です。

 

dic.nicovideo.jp

 

 この配信は中村繪里子さん、今井麻美さん、下田麻美さんと共に、P兼演者の三宅麻理恵さん(シンデレラ・安部菜々役)、そして山崎さんが出演したものでした。

 詳細は省きますが、山崎さんは「初現地参加したライブ」である2009年のクリスマスライブのライブTシャツを着て登場。2009年にアイマスSP(パーフェクトサン)でアイマスに出会い、菊地真のファンを経て11年のアニマス星井美希担当Pを自認するようになった……と、「自身とアイマスの出会いの物語」を話します。当時基準だと、P歴5年ですね。2016年のP歴5年は、当時のアイマスPにおける最大の多数派層と重なるように思えます。

 

 すると2003年からの最古参厄介PことアサミンゴスPが「結構新参者ではないかぁー???」と茶化します。ニコ百だと絡んだとありますが、実際には芝居がかった台詞ですね。何より今井さんがミリオンの5年目までは演者の母親役に近いことをしていたのも含めて、この時点でも両者の絆は我々が思っていた以上にはるかに深かったわけですが……それはさておき、ここで山崎さんの事務所の先輩かつ姉貴分でもある天才・下田がすかさずこの言葉を突っ込みます。

 

 

 「大事なのは濃度!」

 

 

 当時はすでにアイマスが11周年を迎え、DSを経て稼働中のブランドとしてはシンデレラ、ミリオン、SideMが生まれていた時代です。

 今とは比較にならないレベルではありますが、大別して「アニマス前、アニマス後」、あるいは「後発ブランドから入った」など世代の差が生まれていた時代でした。P歴が浅い人が、かつての様々なシーンをリアルタイムで体験できなかったことを悔やむこともそれまで以上に多くなっていた時期です。

 そうした中で、長くやっていることだけが愛ではない、大切なのはP歴の長さではなく濃度であるという言葉は、多くの人にとっての福音となりました。他方、濃度があれば何を言ってもいいわけでもなく、摩擦を招きかねないところもある言葉なので、結局はバランスなのですが……。

 

 私はアイマスPとしては2007年2月以来の18年目、ミリPとしてはミリシタ開始時からインストールはしていますが、ちゃんとやり始めたのは18年4月からでもうすぐ7年目。担当レベルでは真が18年目、千早が17年目、朋花がもうすぐ1周年というちぐはぐさがあります。その上、ライブ現地は2018年の初星宴舞、ミリオンの現地は2019年の6thからとP歴の割にはかなり遅めです。

 それゆえに「○○としては古参だけど同時に△△としては中堅or新参」みたいな状況がよくあるため、立場によって発言がなかなか難しくなることもあります。とはいえ、この「大事なのは濃度」という言葉は使い勝手そのものは良い言葉だと思われます。

 

 ですが先述の通り、好ましからざるP歴マウントへのカウンターにはなる一方で、濫用すればP歴マウント以上に危険な言葉です。何百万課金しようが抜群に上手い絵やプロレベルのイラストや漫画を描けようが、素晴らしい企画を立てたり名文を書けようが、それは一つの指標に過ぎませんし、たまに物議をかもすイベランの意義もその好例でしょう。少なくとも濃度をマウントや誰かに向ける棒にしてしまうのは論ずるに値しない行為です。また、転じて濃度がなければいけないという強制性や、新規の流入を妨げる呪いになってしまいかねない恐ろしさもあります。

 

 そうしたことに変質してしまう恐れがあるため、私は自分のP歴のややこしさもあって、「大事なのは濃度」という言葉は慎重に使っていました。キャリアの長い側が短い側に向けて使うならまだマシではあるのですが、それを言ったところで未練、あるいはコンプレックスが消えたりするわけではないので……。

 

 

 

 P歴の長さだけを問うのも良くない。さりとて、濃度だけを問うのも良くない。ではどういう言葉が今のミリオンに相応しいのか。ミリオン10周年イヤー、及びアニメイヤーにおいて、山崎さんは要所では大先輩同様に石橋を叩くような言葉と、自身の信頼を担保にかけた思い切り踏み込んだ言葉の二刀流で臨んでいました。その中で、きっと事務所の先輩でもあって親しかった下田さんに直接かけられた「大事なのは濃度」という名言を血肉にして生まれたのが、

 

 

10年間どこかで出逢ってくれて、本当にありがとう

 

 だったのではないでしょうか。

 

 

 765ASやアニマスからそのまま入った人、グリマスからアイマスに入った人たち、あるいは色々言われつつも若手声優のファンが初期のミリオンを支えました。しかしその力と数には限界がありましたし、おそらくは開けそうで開けなかった扉もありました。ミリシタにステージが移り変わり、ブランドの間口は広く、また路線変更で女性Pも入りやすくなりました。初期のグリマスの設定や路線を見て距離を取っていた人たちも、ミリシタで結構な数が加わってきました。

 さあここからという時に襲来したコロナ禍でミリオンは片翼をもがれたに等しい苦難の日々が続きましたが、どうにか耐え抜いて有観客ライブをリスク上等で敢行し大成功させ、そのまま10周年イヤーまでたどり着きました。それを支えたユーザーには、20年の1st~5thライブ一挙配信などで、新しく魅力を知ってくださった方もいました。

 首を長くして待ち、第一幕公開までは期待以上に不安が勝っていたであろうアニメは、蓋を開けてみればこれ以上ないほどミリオンを理解しているスタッフたちが執念で作り上げた最高の作品でした。今こそ旗を掲げるんだというPたちの熱意と、作品の素晴らしさが相乗効果を生み出し、他ブランドからの新規Pだけではなく異次元フェス、ミリアニムビナナ異文化交流経由の流入のような奇貨につながりました。

 過去最大のキャパ2万だったAct-4は埋まるどころか、歴戦のPですらDay2のチケットが直前まで確保できないこともあったほどでした。ミリアニのブルーレイはシリアルを付けていないにも関わらず、ミリPにとって時に悩ましい言葉でもあった「明確な数字」を、Kアリーナのキャパ同様に鮮やかにクリアして見せました。

 

 これも、この日までの10年間のどこかでミリオンライブに出逢ってくれた人たちが、時に歪で不器用ながらも愛すべきこのブランドに触れ、そしてそれぞれの形で今日までの日々を支えてくれたからでしょう。

 

 ミリオンBC序盤の12話で、ユニットの足を引っ張っていると自責の念にとらわれる星梨花に対して、亜利沙がこんな言葉をかけるシーンがあります。

 

ミリオンBC12話より

 

 この日現地で、あるいは配信で見てくれた、経歴も何もかも違うミリPの一人一人がいたから、この大団円に手が届いた。そういう解釈でいいのかなと考えます。

 7年半前のあの日生まれた言葉は、後輩へのバトンとなってつながれて。まとめるのが容易でなかったであろうミリオンスターズを一つのチーム、一つの輝きとして束ね続けた山崎さんによって見事に昇華されました。

 

 Pたちの未練を、あるいは蹉跌さえも「すくう」、このブランドらしい不器用でも優しい言葉へと。

 

 

 だからこそこの「未来飛行」はフル歌唱する必要があり。同時に、偉大すぎる先輩とは違う道でセンターである理由とその存在感を示した山崎さんが完成に至るための、ねぎらいと酬いの花道でもあったのだろうと、私はそう解釈しています。

 

 

 

◇ミリオンライブの魂、「UNION!!」

 

 

 曲の最後には、いつかの歌唱と同様にミリオンスターズが次々と登場します。そして、アンコール前にもう歌う曲はただ一つしか残っていません。

 

 ミリオンライブの魂の曲、「UNION!!」

 

 ここしかないという期待にその通り応える演出に、Kアリーナは喊声のようなコールで覆われました。声出し環境下では、アイカツ!側で出演していた木戸さんをサプライズで加え、一人も手放さない在り方を示した2019年のバンナムフェス1st以来。私は防振双眼鏡も使っていたので途中で38人であることは把握していましたが、それでもここに来れたこと、39人の出演者が揃ったライブでこの曲が歌えたことに万感の思いでした。

 ただただ共に声を上げ、ありがとうと感謝を伝え合う、多幸感があふれる瞬間。MOIW2023で「M@STERPIECE」を会場中で歌った時と同質の感情。

 

 思えば、ミリアニ1話でも舞台となった幕張メッセイベントホールを沸かせた初星宴舞が初めて参加した現地で。大きな歓声が巻き起こった「合言葉をスタートアップ!」に反応できなかったことを契機に、私はミリオンと本格的に向き合うことになりました。正直言ってもやもやすることも多く、差し引きプラスとは言え決して楽しいことばかりではなかったです。それでも新しい扉の先に未知の領域があり、真や千早のために頑張れるというやりがいがありました。私にとって、自分の好きや関心を知ってもらうことこそが幼児の頃からの存在意義、存在証明というレゾンデートルであり「アライブファクター」でしたから。

 そして思いもしない奇縁で、10年前、15年前の私なら絶対そうはならなかったであろう子が担当になりました。

 

 

 

 実は私、後発ブランドにおける適性はミリオンより他のブランドなんじゃないかと思うことがありました。これは性格は悪くてクソリプ気質ですが私と違った熱意と観察眼を持つとあるフォロワーさんにも指摘されたことがありますし、実際ちょっとした運命の変化で東京に残っていたり、あるいはアイマスへの熱量が戻るタイミングがもう少しズレていたりしたら、今とはまるで違う道を進んでいたと思います。

 ただ、私自身もスポーツの適性はおそらくバスケやラグビーが最も高い中、やりたいからと野球をプレーして、さらに適性が高いとは言えないポジションの投手を選びました。おかげで挫折もしましたし肩や腰にスポーツ障害も負いましたが、それでも人生の糧という意味では間違ってはいなかったと思っています。

 ミリオンについても「適性がベストではなくても楽しいならいいじゃん」という考えがないでもなかったのですが……これ以上なく作り上げられたこのライブを、満を持して披露されたUNION!!を見て、喊声かと感じるほどのこの曲のコールを聴いて考えました。

 グリマスとは相性が良くなかった以上、このブランドに触れるタイミングは決して遅かったということはありません(765ASのライブに頻繁に行けてたらまた別ルートも辿ったでしょうが)。

 ですが肝心の適性についても、10thライブツアーとミリアニを経て、少なくとも今現在のブランドの在り方との適性については、間違ってはいなかったのだと確信しました。たった1枚のシリアルであの初星宴舞のチケットを引き当てたのが運命だと言うのなら、これが出逢うべきタイミングで、私は出逢うべき形で触れたのだと。

 

 

 

 事前にこの曲だけは泣いちゃうかなあ……と覚悟していましたが、そんなことはありませんでしたね。ただただ楽しくて、6年分の感謝を伝えたくて、思い切り感情をぶっ放す。これで良かったのだと思います。

 

 終わった後はただただ余韻に浸りたくて。気の早いアンコールの声は、しばらくの間は忘れていました。

 

 

 

 

 

 

 告知コーナー。千早の誕生日に触れられて、ライブ会場のみんなで「おめでとう」を言えたのは嬉しかったですね。誕生日と演者の出演ライブが重なったことで特別なお祝いがある機会は今ぱっと思いついたところだとMOIW2015のあずさ、ミリシタ感謝祭の千鶴、MOIW2023の奈緒なんかもありますが、演者がいないライブでもこういう祝福をできる機会は、長年やっていても一度あるかないかですから。ちゃんと調べてないですが、千早に関しては初になるんでしょうか?

 

 

 

 ハッチポッチ2の話題は後ほどまとめますが、ミリオンが765ASはもちろんシンデレラさえ踏み込めなかったナンバリング継続に踏み切ったのは驚きました。歓声が会場の名前を見て半分悲鳴混じりになるのは……まあ……うん……。

 11thは新シリーズの途中ということもあってコンセプトライブ色が強くなるのでしょうが、ナンバリング継続は決意表明なのだと解釈します。あ、コンセプトライブなら生バンとかどうですかね?

 

 

 アイマスに限らず、どうしても10thというのは一つの区切りになったり演者やコンテンツそのものが充電・休眠期間に入りがちですが、先行ブランドより遅れて全盛期が来たミリオンは、田村さんが9thでぶち上げたように「止まらねぇ」のでしょう。

 たとえこれからメンバーが1割、あるいは2割が長期のお休みに入っていてもその間どうにかできるのは既に765ASの実績がありますし、かつて2019年8月に中村繪里子さんが「自分のいない765ASのライブ」について言及して、あえて全体曲で自身がセンターに立たないステージを作ったこともありました。山崎さんはもちろんたとえ信号機ゼロのミリオンの周年ライブが開かれても、もうミリオンは十分に機能はするようになっているはずです。

 11thの会場はあの悪夢のようなポートメッセなごやよりはマシとはいえ不安も多いですが、ミリアニがおそらく当初想定以上の「明確な数字」を達成した今、ミリPだけが味わえていないあの歓喜を11thの現地で味わえるかもしれないわけで。それを願う人は現地に行くしかないんですよね……。私は東京に行くよりはまだ近いので、休みさえ取れれば支障はないのですが。でらます2は楽しみです。

siden-p.hatenablog.com※退場から目の前の駅まで1時間かかった当時のレポ

 

 

 アイドルグランプリ(仮)が昔懐かしい無印アイマスのレッスンを引っ張り出してきたのには驚きと笑いが出ましたが、あれはあれでアリなんじゃないでしょうか。次の続報は周年でしょうし、ミリシタも10周年はともかくまだまだ先を見てる節はあるので、腰を据えて待つ分いいものを出してほしいですね。

 

 

 10thイヤーを締めくくるPVは、9thで10th記念PVを出された時とは精神状態がまるで違ったことが最も大きいですが、ゲーム・アニメ・ライブ・スタッフ演者・裏方などの描写バランスも良いものだったこともあり、穏やかな気持ちで見られました。あとさりげなくですが、(厳密には並行世界ですが)改めてアニマスが起点として提示されたのも評価ポイントではないかと思われます。

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 でも冒頭のエンジェル&パピヨンマーク合体シーン流すのはみんなハッチポッチ2と勘違いしますよそりゃ。謎の大歓声上がってましたもん。

 

 

 

 

 アンコール明けは、「リ・プロローグ・X」に身を包んだメンバーが登場。前日同様に、「Crossing!」を歌いました。(戸田さんは曲後の暗転タイミングで登場)

 

 改めてですが、いい曲ですよね。Thank You!やUNION!!などの要素を中核に、ミリオンライブ全部乗せのように趣があります。

 UNION!!がミリオンライブの魂なら、Crossing!はミリオンにとってのM@STERPIECEのような位置付けになるのではないかと思います。これから先、あるいはミリアニの展開などでそういう位置付けの曲が増えることもあるかもしれませんが、例えそうだとしても、最高の10周年イヤーとともに走り抜けたのはこの曲です。

 Act-1の時の盛り上がりはまだまだでしたが、この曲と共に1年間走り抜けたこと、そしてAct-4という舞台でミリオンスターズ全員が揃ったライブができたことで、今、この瞬間にCrossing!も完成に至ったのではないでしょうか。コールの響きにくいとされるKアリーナですが、長年の蓄積がある定番曲・看板曲にも負けないくらいの声が出ていたように思います。演出もAct-1から継続されているラスサビでの「みんなのぶどーかん」の落書き的なイラストをつなげていく演出だけでなく、「虹のハーモニー」に合わせてステージ上方のライトで七色の虹を架ける演出を強化するなど、Kアリーナの設備を活かした素敵な演出がなされていました。

 

 この曲には「運命の出会いを信じてる?」というフレーズがあります。言うまでもなく、天海春香を構成する重要な言葉の一つで、無印アイマス冒頭、そしてそのシナリオを前提にしたステラステージの終盤で使われました。また、この曲につながる今のミリオンの在り方を構成する要素は、評価は分かれるにしても「輝きの向こう側」での春香の姿勢が大きく影響していることは論を待ちません。

 その歌詞と経緯があるからこそ、どうにかこの10周年イヤーに765ミリオンもやってもらって繪里子さんにも歌ってもらう機会があってほしい……そんなふうに考えていた時期が、私にもありました(もちろん全員揃うなら39人でのライブ優先で、ではありますが)。

 

 ただ、今回のライブのCrossing!を見ると、これはこれで完成に至っているのだから下手なことして蛇足になるのもどうか……時期に拘る必要はないんじゃないか、と考えを改めました。後にも触れますが、どうあろうとこのブランドの、そして全アイマスの根底に天海春香がいるのは変わらないのですから。もちろんハッチポッチ2などでやってくれるならそれはそれでOKです。

 

 

 MC明けはMachicoさん指名で、「あずあず」と「はるにゃん」が挨拶をすることに。貴重なはるにゃん勢。

 この後に田所さんがどうなるかが読めていたのもあるのでしょうが、Machicoさんがマイクを預けて田所さんが一歩前に出ようとしたタイミングで「本当に」とぼそっと言ってこれ以上ないタイミングでツッコミを入れさせるのは完成したコントのような趣がありました。わちゃわちゃしだしたところで髙橋さんが「ミリオンしてるよ! まずいまずい!」と茶々を入れ、ミリオンしてるという新語が爆誕。これは湿っぽい空気を吹き飛ばそうと……していたんですよね? ここで笑いがあるのが「らしい」ところではあるのですが。

 とはいえ田所さんはさすがにここの挨拶では感極まってしまい、応援の拍手などをもらったところで髙橋さんがまたしても気を利かせて「ありがサンキュー」とフォロー?を入れます。場の空気が緩みましたが当事者は「たかミナさん、忘れないよ」とのこと。

 

 山崎さんからは、このAct-4は初めて演者アンケートがあり、セトリ案が当初と「半分以上たぶん違います」という衝撃の報告がありました。クローズドな場所でのお話も諸々総合すると、楽曲が半分以上変わったのではなく楽曲+曲順の変更も含めて半分以上というのが真相なのかな、という感はありますが、そうだとしても大きな変化です。今までも6thなどで演者要望によりソロ曲が変わったことなどがありましたが、今回はSSsなどユニット曲も演者要望が通ったということなのでしょう。

 ちなみに765ASは初星宴舞以降はソロ曲中心に演者要望が出せてかなり通っている(一部の演者除く)と明言されているので、ミリオンも10thツアー並みは例外としてもある程度続けていってもいいんじゃないでしょうか。もうそういう時期に入っているようにも思えます。

 

 

 

 ミリオン11周年をお祝いした後は、ありったけの「ありがとう」を込めた最後の曲「Thank You!」。もう涙、涙だったように見えます。近年のライブでは7thRのDay2で藤井さんのあいさつあたりから演者陣がボロボロになっていったことはありましたが、あの時以来でしょうか。

 

 

 

 

 

 ちなみに私は例によってロコ文字ライトを点灯していたのですが、よりによって温姫さんを見失うという初のギルティをやらかします。やっと見つけたと思ったら「あっ、見つけたお下げっぽいツインテール……じゃない、今日はSHSだからサイドテールだった!!(見つけたのはSHSだった野村さん)」という大失態。まあ39人ですからしょうがないですね。こんな日もある。

 あとで映像で見返したところでは、木戸さんと雨宮さん、あるいは小岩井さんと諏訪さんの素敵なツーショットがあったり、ちょうちょポーズしたのに桐谷さんに気付かれずに終わってしまうMachicoさんや一列に並ぶシーンで遅刻する種田さん(リハでは移動完璧だった、と本人談)のような面白要素などもありつつも……野暮なことは言いませんが、ロケット団の涙の抱擁、あるいは山崎さんと渡部恵子さんが抱き合ってねぎらい合うシーンには胸が熱くなりました。

 

 

 10thライブツアー最後の曲、最後のラスサビ。銀テープが飛び、39人のミリオンスターズが横一列に並びます。あの日果たせなかった、アニメと同じくらいに最大級と言えたであろう大きな未練が、あの日の2倍の大観衆の前で、ついに解消された瞬間でした。

 

 

 特濃の一年を駆け抜けた充実感と歓喜と感動に包まれるKアリーナ。その中で演者が次々と退出し……とスムーズに終わるわけではないのがこのブランド。

 スクリーンに映っていたこの日のリ・プロローグ・X仕様の新イラストを紹介し損ねかけるというやらかしをしたかと思えば、最後の信号機はハートを作るところで田所さんが痛恨のやらかしをして伝説を作るのがもうなんというか……ミリオンしてる

 映像で見直すとMachicoさんが声掛けする前はちゃんと3人でポーズ取ろうとしてたので、あの推定アドリブの一言で間を取らなければ成功したかもしれないのに……。

 

 

 とはいえ、そういう締まらないところもまた血統なんだろうなあと。

 灼熱のドームで、「また来れますように」と願掛けを込めた銀テを階段の手すりに巻こうとして巻けず、結局引っかけていくだけで退出していったあの二人をふと思い出しました。

 

 

 

 

 

 終演後の会場外は、冷たい雨が降っていました。とても寒かった2/25でしたが、さすがに雪に変わってミリアニ12話の再現とまでは至らず。それでも厳しく冷え込む中、私の体は汗がにじむほどの熱い高揚感に満ちていました。

 

 もちろん、アレをやってほしかった、コレをやってほしかったというのはあります。ミラソニやラスアク、バリボー、≡君彩≡、タウラス、アクアリウスあたりは見たかったですし、人によってはオペラセリア・煌輝座、あるいはミリオンキャスティング曲、デュオならDecidedやU?U!、またVOY@GERやスタマス曲が見たかったという人もいるでしょう。私も見れるものなら見たかったですが。

 

 ですが、きっと今のミリオンなら、そうした人の未練の想いもいつかすくってくれるんじゃないか。そんな気がして、雨の中でも私の足取りは軽かったのです。

 

 この駆け抜けた日々の中で、それを信じるだけのものを見せてもらえましたから。

 

 

 遠い日の幕張メッセイベントホールDMM VR THEATER富士急コニファーフォレスト東京ドーム、そして二度目のSSA

 

 それらと同様、ライブ後に会場の外で見た景色が、この胸のアルバムから消えることはないでしょう。

 

 

 

 

 ……ポートメッセなごやのあの風景はできればもう忘れたいですね。

 

 

 

 関西勢の私は一泊して帰る予定を立てていたので、前日同様に華凉さん、翔菜さんと打ち上げ。この日は短い時間でしたが、昨日よりしみじみとライブを振り返ることができました。

 

 

 

 

 たまにはんげつの時のように大規模な打ち上げ幹事はやるものの、基本は小規模かつほぼ固定メンバーでの打ち上げ志向の私ですが……こうやってライブ後に気兼ねなく語り合える友人がいるというのは恵まれているなと改めて思います。

 今のような熱量でコンテンツを追うのは20thイヤーが終わる26年夏までだろうなという漠然とした予想はありますが、その2年余ではもう少し打ち上げ方面でも交遊を広げたいですね。

 

 

 

 

 


ハッチポッチフェスティバル2について

 


 ハッチポッチフェスティバル2の発表の時は、思わず立ち上がって叫んでしまったと思います。

 

 やるかやらないかで言えば、間違いなくここで告知をやると思っていました。

 Act-1終盤で披露されたLTH10の「STANDING ALIVE」という曲がありますが、この対であるLTH09の曲で10thライブツアー未披露の「星屑のシンフォニアという曲は、皆様もよくご存知かと思います。

 

music.youtube.com

 この曲が持つ意味、歴史。フルメンバーでの歌唱を特に熱望されているミリオンの曲の一つですし、私にとっても担当がいることも含めて、765ミリオンのライブをやる上での象徴的な曲です。仮にこの曲と、最大最悪の未練である「Justice OR Voice」の二択だったとしても、星屑の披露を選択するくらいに。

 それでも、このKアリーナで「たどりついたゴールは 次へのスタート」と歌うことにはオリメン4人、あるいは+αで歌うことには7thR同様、大きな意義があったでしょう。私はセトリ予想予習動画でも言及しましたが、願望としては温存してほしいと思いつつも、やった方が綺麗な形になるなとは思っていました。

 

 

 ですがそれをやらずに――厳密には、小岩井さんがMCで鳥籠スクリプチュアを「完走した10thツアーの(私の)締めくくり」と発言した時点で星屑の可能性が消えて――つまり敢えて10thツアーでこの曲が封印されたとわかった時点で、「ああ、やるんだな」という確信を抱きました。かと言って実際問題、ハッチポッチ2でミルキーウェイが揃うのかはわかりませんが。

 

 

 

 告知コーナーではそもそもミリアニ9話のシーンという前振りがあり、また告知コーナーで公開されたPV冒頭が「765ミリオンのライブの告知」を思わせる入りだったのでまずそこで気の早い客が沸いてからの「違うんかーい」、そして11th発表での「やらんのかーい」からのド本命の告知だったので、歓声もものすごいものがありましたね。

 

 10thツアー発表直後から、Act-4(もしくはEX)を765ミリオン集結のライブにしてほしいという希望は多々ありました。私自身は何度か書いてきたように、しばしば揺れながらも最終的には「10年間でミリオンライブとしてのフルスペックは発揮するフルライブはなかったけれど、ミリオンスターズとしてのフルスペックは出し切れたと言えるライブにしてほしい」派でした。他方、765ASの10thイヤーがそうだったように中核メンバーを含めた約2割を欠くような事態……すなわちDay1くらいの人数を呼ぶのが限界であるのなら、その時は765ミリオンでもいいのではないか、という考えでした。

 

 ただ、このあたりは各種アンケートでおなじみのガースーさんの調査を見ても、かなり割れていたようです。

 

 

 結果としては最優先されるべきであったミリオンスターズ全員集合は果たされ、ミリオンスターズとしてのフルスペックは発揮されました。まず前提として、これはベストに近いものだったと考えます。

 


 一方で、この7万6500字超のレポともポエムともつかない何かをここまで読んでくださるような物好きの皆様であれば、大半の方は私が「相互の単独が担保された上での」765ミリオンのライブ開催固執していたのはご存じかと思います。またそれゆえに、私はここ数年は「ミリオンライブ」と「ミリオンスターズ」という言葉の使い方は意識して峻別していました。

 

 かつて、先輩後輩関係の設定が整備される前のミリオンを苦手を超えて嫌いに近づきかねない感情すら抱いていた私からすればこの固執はとんでもない大転向ですが、これも根底にあるのは前述の私のアライブファクターである「(自分が楽しむ前提で)知ってほしい」という本質に基づくものでした。

 

 2019年の6thSSAのJOVの一件を経ての翌月のバンナムフェス1st。特にバンナムフェスDay1では見たいものを最高の形でお出しされて、私の脳は灼かれました。

 オリメン集結での「Eternal Harmony」「HOME, SWEET FRIENDSHIP」「深層マーメイド」「Beat the World!!!」。そして今井さんが「いつかみんな(765ミリオン)で歌える日が来るのかな」と語り、小岩井さんが「歌いたい。だって私たちは765プロだから」と応えた「Flyers!!!」……。(小岩井さんはバンナムフェス1st不参加ですが)

 

 例え幻覚だと言われようが……というかまさに幻覚P案件なんですが、あのドームで、そして翌年のMTWリリイベで垣間見た未来の光景は今も私の中で大きな割合を占めています。

siden-p.hatenablog.com

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 真にしても千早にしても……今は朋花も加わりますが、765ミリオンでないとフルメンバーが揃わない曲が多すぎますし、そうしたライブの機会でないとキャスティング投票曲はじめ本来の形で魅力は伝えられないものが多すぎます。翌2020年1月、私が参加したMTWリリイベで平田宏美さんが演者としては初めて、公式の場で「上層部、ハッチポッチ2よろしくお願いしますよ!」と訴えたことで、私の指針は「相互に単独もやりつつ、数年に一度765ミリオンを開催してもらいたい」というものに定まりました。(紹介記事参照)

 

 何より、平田さんの代名詞が「言えば叶う」。彼女が言った以上、それが実現するように動くのは必然のことでした。

 

 

 

 ぶっちゃけた話、765ミリオンに関しては複雑な事情と思惑があるのは長くやっていれば嫌でもわかります。開催の困難さだけでなく、そこに大きなリソースを割くことの演者個々の感情や温度差だって双方の単独以上にあるでしょう。

 それは重々知っていますし、何ならAct-2で一番沸いたのがマスピMV公開で、Act-4のハッチポッチ2告知で11thの何倍もの歓声が上がったことに、忸怩たる思いをしている方もいるのかもしれません。もちろんその歓声は、ミリオンスターズが10thライブツアーをやり切ったからこそ熱望され、生まれたものですが……。

 

 

 しかしそれでも。言葉を選ばずに言うなら。

 

 ミリオンスターズが765ASなしには生まれ得ず、飛躍に至る滑走路への経緯もコンテンツの方向性もカバーが10年間のセトリの1割を占めるライブの在り方も、ASなしではありえなかったでしょう。

 ミリシタも仮に39人で始めていたら(どっかでAS追加とはなったでしょうが)、安定飛行が今ほど続けられていたかというと、ノーと言えると思われます。また、ミリオンスターズとしての全力はこのAct-4までで出せる限り出せましたが、ミリオンライブとしての全力はいまだ発揮されきってはいないというのが私の譲れない持論です。

 

 他方、ミリオンライブというブランドがなければ、765ASは10周年かその少し後ぐらいで川向かいの初代ブランドと同じルートをたどった可能性が高いと私は考えます。そういう意味では、再起動後初のフルライブで後輩たちから強烈な刺激と突き上げをくらい、尋常ならざる気合の入り方で臨んだというハッチポッチだったというのも大きかったはずです。ハッチポッチと初星宴舞の順番が逆だったら、あるいは少し違う未来もあったかもしれません。

 

 


 2014年の9thライブにおいて、今井さんは「Blue Symphony」をソロ曲として歌い上げながら、間奏中にアドリブで(関係者席に藤井ゆきよさんがいたため)かの有名な「恵美、琴葉、志保! 新しい翼をありがとう!」という台詞を完全アドリブで叫んでいます。


 それを藤井さんとは別に見ていたのが小岩井さんでした。最初期に765ASのカードが中軸を担ったモバマス以上の護送船団方式と揶揄されることもあった初期のミリオンですが、MORで彼女が語っていた通り、ただ後輩として与えられるだけではなく「私たちが先輩たちの翼(=推進力)でもあるんだ」という気付きがあったといいます。これをどの程度の演者が共有しているかはわかりませんが、4thの星屑のシンフォニア「ほ・し・い・み・き」も、今井さんと9thブルシンという架け橋があってこそ生まれ得たものでしょう。

 相互の存在があるからこそ今があるという関係性については、やはりここに集約されるのだと考えます。

 

 

 コンテンツを一気に大きくしながら後輩たちの面倒も全力で見つつ、10年目に向けた集大成を作っていくという2nd vision前半の5年間の全力疾走を終え、長年の船頭も降りて指針もまとまっていなかった当時を思えば。ステラステージでシナリオ上の禁じ手まで使い切ったASが、持続に舵を切ったのも大きいとはいえこうして今20thに向けてまた再始動しているのも、ミリオンを始めとした後発ブランドとその演者さんたちの存在があってのものです。

 これは今井さんや若林さんもはっきりと語っているので、もう揺るぎません。今を精一杯に生きる765ASの姿そのものが、後発ブランドにとっての「灯」になっていることと同じように。

 

 少なくともミリシタが展開され続けている間は、20thを過ぎてもASは一線にいるでしょうし、またそれゆえにミリシタの安定飛行にも寄与するでしょう。

 

 後輩のミリオンスターズ側としても、前を行く先輩が走り続けている以上、今後も言い訳はできなくなります。演者という意味ではサンリッチのたかはし智秋さんやオケマス、MOIWの今井麻美さんのパフォーマンスを見せつけられれば、藤井さんら年長組でさえ向こう5~6年は年齢を理由にはできません。(そもそも、ASの年少組とミリオンスターズの年長組は概ね同世代ですが)

 何にせよ先輩が、あるいは後輩が「あれだけできている」というのは、今後も好循環につながっていくのでしょう。

 

 もちろん。何もかもがいいことだけではなく、プラスマイナスでプラスが上回っているだけでモヤモヤすることもあるのも事実です。6thSSAの一件は呪いじみた原動力になっていますし9thのカバーは解釈違いもありましたが、直近でもAct-3はもちろんAct-4でさえそうしたモヤモヤがあった方もいるはずです。

 楽曲カバーについても、ASがミリオンスターズの楽曲をカバーする機会が原則ないのもモヤモヤポイントという方も少なくないでしょうし、逆にサンリッチで一切ランティス系の曲をやらなかったことに逆にモヤモヤした人もいるでしょう。

 なお、「はんげつであえたら」については、そもそも入る余地がなかったというのが私の見解です。

siden-p.hatenablog.com

 

 765ミリオンでの動きは、このブランドでしかできない強みを発揮できる代償として、ただでさえ鈍重になりがちなミリオンの動きが一層重くなりやすいという指摘も一理あるものです。

 

 しかしながら、良くも悪くもミリオンライブというブランドを追い続けるということはこの根本的構造に対して一定の「折り合いをつける」ということですし、その結果がプラスに傾くのかどうかが一つのキーなのだと考えます。その結果として無理、となる人が出るのも致し方ないですし、そこは個々の付き合い方でしょう。私は近年は繪里子さんの「プロデュースの方法は、それぞれでいいと思う」を引用するまでもなく、「私は好きにした、君たちも好きにしろ」スタイルに落ち着いたので、他人のスタイルには拘泥しません。

 ただ、それは私の指針を望まない人がいようが知ったことではなく、他人が見たくないものや優先順位が低いものであろうが、それを理解した上で自分の見たい景色、そしてフルメンバーが揃ってほしい曲の披露の実現のために心血を注ぐということでもあるので、一見温厚穏健な古参のようでも実態としては冷淡以外の何物でもないなのでしょうが……。

 

 

 話を戻します。

 

 

 その後もMTS、MTVなど、オリメンを揃えるには765ミリオンしかないという楽曲は増え続けました。幸運と活動力のある同担Pの皆様のおかげで、私の担当の筆頭はキャスティング投票曲もTC、MCと2曲続けて獲る快挙を成し遂げました。ですが、いずれも単独ライブでは披露不可能です。であれば、何としてもやってほしい。ライブで見て魅かれたDDも含めてですが、どうにか歌ってほしい。

 そのためにできることは何かと考え、発信以外にもやれることはやりました。イベントごとのアンケートでの要望は言うまでもありませんが、各方面のおたよりや投稿でも積極的にその話題を振って言葉の蓄積を狙っていきました。採用されたところだとミリマガ+、原っぱ通信、バンナムの許諾を得て何でも喋れる今井麻美のニコニコSSGミリシタ回×3などなどで演者のコメントを引き出せましたし、ある時は指名される保証はないのに、そのためだけに徳島へと遠征して……。

 

 10年前の真逆に近い考え方だった頃の私に、それに至るプロセスをすっ飛ばして行動だけを知らせたら発狂しそうです。我が事ながら発端が発端だけにどうしようもなく歪んでいるのは理解していますが、こうなったのはそれも含めてミリオンのせい。いずれにしても後悔だけはしたくなかったので、止まれませんでしたし今後も止まらないでしょうね。

 

 

 昨年2月の公式配信の中では浜崎さんと斉藤さんとともに、中村繪里子さんがハッチポッチ2ないし765ミリオンのライブ開催を上層部に要望したという情報が入りました。

 石橋を叩いて叩いて渡らないこともあり、ガミPが引退した今は誰よりも発言の影響力が発生しかねない立場の彼女がそこまで踏み込んだなら、決して遠くはない(本人の口から語られたわけではないので情報が出たのは想定外だったでしょうが)。従って10thツアーのその先にそれは必ず来る、とは信じていましたし、それでいてゴールはそこで終わりはないとも考えてはいました。

 

 

 なので、Act-4の告知コーナーで必ず来ると思ってはいたのですが……。


 それでもやはり、「H」に続いて「O」が来て確信した時には冷静さを忘れてぶち上がってしまいましたね。もちろん名称としては765ミリオンスーパーライブを期待していましたが、それはそれ。

 あの頃とは演者の距離感も考え方も違えば、混成曲(この表現もどうかと思うのですが)の割合もまるで変りました。前回からバンナムフェス1stの頃までは、オリメンの概念がさほどないLTP以外は、LTHとLTDしかありませんでした。ですが、今は違います。

 

 前回は3曲(「ジャングル☆パーティー」も含めれば4曲)だったオリメンの楽曲披露も、次回はそれなりには増えるでしょう。私は3割くらいあればバランスとしてもいいなーとは思うのですが、そこは要望などを受けてどうなるかでしょうか。

 ともあれ、まずは7月から11thまであたりで正式に発表されそうな日程・演者発表を待ちたいと思います。もし可能なら、ハッチポッチ2では思い切った企画を立ててみたいですね。

 

 

 それからもう一つ、次は平田さんがサンリッチで言ったことを叶える番です。当然、ハッチポッチ2の後の25年7月ごろにスタンバイ済みでしょうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■長い旅の、一つの区切りで

 

 

 私にとってのアイマスは前提として765ASがありますし、それが揺らぐことはありません。ですが、アイマスライブの魅力を知ったのは765ASであっても、その深みや多様性を教えてくれたのは特に6th以降のミリオンライブでした(時期的なものも大きいのですが)。

 例えば見たかったユニットが、まったくの無警戒だったところに20分かけてミュージカルをやられたら、そりゃ脳も灼かれようというものです。あの日から約4年半、コロナ禍という長い長い雨の夜も越え、ブランドを追い続けた日々もいったん一区切りとなりました。とはいえ、9月には平田さんが出るミリオンキャスティングのリリイベもあるんですが。

 

 

※2/26、アパホテルリゾート横浜ベイタワーの一室より

 

 

 ミリオン9thから始まった1年余は、MOIWやDreamin' Grooveなどを挟んだのもあり、ひたすらに濃密でした。壮瞥町コラボや新宿のDJイベント、非公式イベントではISFも10、11と連戦してISF11では初の単独でのサークル参加もしたので出費もとんでもない額になりましたし、休みの調整も至難でした。はんげつであえたらも通し券を確保していたため、正月休みを返上してその代休をライブに充てましたが、それでもなおギリギリでした。振り返ればミリオンキャスティングも含めて、ひたすらアイマスのことだけを考え続けた日々でしたね。

 この記事がここまで遅くなったのも、Act-4以降の3月の休日が3日しかない状態で、そのうち2日をはんげつに充てたのが大きな要因なのですが……。

 

 

 ただ、これ以上ないくらいに「私はやり切った」という思いがあります。少なくともこの文章を書いている今、この1年余の私の行動そのものには未練や後悔はありません。

 もちろんこの記事はもっと早く上げたかったのですが、クレイジーPたちから挑戦状のごときメッセージを叩きつけられた「はんげつであえたら」を経て自分の在り方について色々と考えることもあったので、その前に出さなかったのは結果オーライだったと考えています。

 

 ですが、一連の遠征などの活動、そして今回これだけの文字数を費やすモチベーションを保てたのはやはりお出しされたものの素晴らしさがあり、傑作となったミリアニがあり、そして6年目にとうとう沼に沈んだのを認めざるを得なくなったミリオンスターズの担当の存在がありました。

 

siden-p.hatenablog.com

 

 7thRの時に上げた記事、あるいはAct-2レポでも書いていますが、私はこのブランドがいけるところまで追い続けます。もちろん熱意の上下はあるでしょうし、前述のとおり時にモヤモヤもしますし、もっと言うと綺麗な形での燃え尽き願望もあるので、お出しされるものによってはMOIW2026より先に完全燃焼することもあるかもしれません。ミリアニ2期がまず間違いなくあるので多分大丈夫かとは思いますが……。

 ただ、転職しない限りは来年度に地方部署の管理職への異動がほぼ確定路線なので、今の勤務先に残った場合は遠征の制限が大きく増えると思います。まだ30代なのになあ。

 

 

 

 「アイマスがあったおかげでもうちょっと生きたいと思った」。

 

 かつて小岩井さんが今井さんに語った言葉は、十数年前の私にも重なるところはあります。アイマス都営線のホームドアの両方がなかったら、私はたぶんもうこの世にいません。

 あと何年こうして最大級の濃度で楽しんでいられるのかはわかりませんが、永遠なんてないから限られた時間本気出せ――と、かの名曲にもあります。

 

 これまでもアイマスにはいくつもの未練を掬って、そして救ってもらってきたからこそ。私自身の行動が未練になってしまわないように、引き続き可能な限りの熱量を込めて楽しんで、そしてその魅力を広げていきたいですね。

 これはアイマスに限ったことではないですが、他の趣味も含めて公私共々それこそが三つ子の魂百までの私の存在証明であり、生き方です。それに気付けたのは紛れもなく、初星宴舞でアイマスの沼に戻ってきてから、「アイドルマスターミリオンライブ!」というコンテンツともう一度出逢えたおかげです。

 

 

 その奇跡と、それに至る軌跡に、ありがとう。

 

 このブランドの記事の集大成らしく最後に感謝を伝えて、筆を置きたいと思います。ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。