紫電Pの雑記帳

ニコニコのブロマガ閉鎖に伴い移転しました。主にアイマス関連の記事を書きます。2021年9月以前の記事はブロマガから移行したものです。

再燃焼こそが、未来への唯一無二のパスポート――ミリオン7thライブReburn参加レポ



 

「感情をぶっ放さずしてなんの命だ!」という名言がある。


 
 

 私を2015年以前から知っている方には説明するまでもないが、三国志の主要人物・曹操を主役にした漫画「蒼天航路」という作品がある。総じてエンタメとして傑作と言える漫画で、エキセントリックで感情豊かな天才軍人にして詩人、そして政治家の曹操と、個性あふれる武将たちの物語は、しばらく三国志から離れていた学生の頃の私が深くその分野に再度ハマるきっかけになった。今回の冒頭の言葉も、その曹操の台詞だ。




 今回のミリオン7thライブ「Q@MP FLYER!!! Reburn」。私は改めて、ハレの日に感情をぶっ放すことの大切さを思い出した。もとい、思い出させてもらった。今回はその感謝の思いを軸に、ライブレポとしてまとめてみたい。




 なお、今回は演者については名前+さん付け表記とする。「お前普段ミンゴスとかこっこちゃんとか言うとるやんけ」と突っ込まれそうであるが、ちゃんと公平を期したいのと、次週のミリラジに一部の内容を送るのと、あとこのブロマガは時々妙に読まれてしまい、オペラセリア煌輝座の記事なんかが顕著だがグーグル検索1ページ目中位くらいに表示されるせいで「誰かに読まれている可能性がある」という理由もある。ミリオン関係者はエゴサしてるのを隠さないし、あと弊社もそうだが企業の広報営業畑の人間は結構ああいうのを読んでいたりするのだ。怖い。
 
 話がそれてきたので、本題に入る。まあ、要は色々あるのだ。




■ひたすらに心を殺した1年3カ月


 2019年末から2020年初。07年からのアイマスPである私は希望に満ち満ちていた。古参Pとして光属性でありたいとか、2021年度後半にも765ミリオンオールスターライブやるんじゃないかとか、まあ色々だ。MA4、MR再演、据え置きゲー、765AS単独ライブ、MOIWが見えていて、しかも珍しく休みを取りやすい年度だったとなればそりゃそうもなる。

ミリオンが例の宝刀を抜くか抜かないか、TDはいつやるのか、それにも左右されるが、そう遠くない未来、765ミリオンオールスターライブは実現するはずだ。早ければMOIW前の20年度末、おそらくMOIW後の21年度中までには。そして今ならば、ハッチポッチのようなコンセプトライブではなく、真っ向勝負のライブでも一体となって最高を更新できるはずだ。常々AS単独も765ミリオンも両方見たいと言い続けている私としては、そうなれば願ったり叶ったりである。

 1月のXsとクロノレキシカのリリイベに最前参戦した後のこの一文はあまりに眩しくつらすぎて、今回の執筆まで長くこの記事を見返せていなかった。

 あらゆる手を駆使して再演を要望し、またあらゆる手を尽くしてチケットを取れていたMR美希・あずさ・春香回はシアターごと消えた。両日確保し、意気揚々と久々の山梨再訪を楽しみにしていたミリオン7thライブも消えた。目前と思われていたTC02リリイベも霧散した。そして悲願のAS単独も。合同プロミも。バンナムフェス2ndも、おそらく本来なら今頃に東京ドームで開催されていたであろうMOIWも、何もかもがなくなった。

 いつしか私は、テンションを下限まで抑えて「どうせ集団免疫が見えてくる22年までは何もない」と、これ以上傷つかないための予防線を張るようになっていた。ちなみにこれ、メンタルダメージ軽減できる代わりに長引くと鬱になりやすくなるのでやめてね。

 一方で20年末あたりから示唆されて、年が明けて正式発表となった7th Reburn。客入れ開催に向けた小美野Pの熱弁には感動しつつも、5月下旬はコロナ第四波の直撃があると3月にはほぼ確実視されていたことから、Day2のチケットは握っていても半ば諦めていた。野外開催の強みが消えるが、せめて完全中止ではなく配信ができれば……振り返るとそんなツイートをしていた。

 しかし、バンナムとライブチームは緊急事態宣言下でもリスク覚悟で踏み込んでくれた。それはこのライブに懸ける想いもあったし、我々への信頼もあったし、何よりこの7thRまで潰れれば、ブランドの根幹にかかわるという思いもあったのだろうと推測する。



 ミリオンライブは、アイマスでは初めてライブを前提・根幹に据えて設計されたブランドだ。演者に大きな負荷をかける一方で、生み出されるライブパフォーマンスの素晴らしさは今更語るまでもない。ただ、20年1月の感謝祭を最後に有観客ライブが封じられた約1年半は、ただでさえ高性能と引き換えにピーキーな運用性だった戦闘機が片翼をもがれたようなものだったと思う。ミリオンというブランドは、設計上ライブ抜きではカタログスペック通りに飛ぶことはできない。アニメ化決定のビッグニュースがなければ、ストールしたりきりもみ回転に陥ってもおかしくなかったかもしれない。

 また、その設計思想ゆえに楽曲も他のブランド以上に「ライブで披露されてこそ完成する」という側面もある。MTWをMTGと比較して劣るとする評価もあるが、ドラマパート補正が大きくかかるカップリング曲はともかく、表題曲は決して引けを取らないと考える。おそらく、今はそういう評価をしていてもライブで一通り披露されれば手の平を返す人も少なくないだろうと確信している。みんなParade d'amourでティアラ生えろ。


 いずれにせよ、浮沈のかかるミリオンとしてもアイマスのコンテンツ全体としても大きな挑戦となったのがこの7thRだった。

 そして結論から言えば。この7thライブは伝説になるのだろう。




■Day1 揺るぎないきらめきは、あの日からのエール


 今回はDay1がLV、Day2が現地だった。本音を言えば、花咲夜やアクアリウスなどが揃うDay1現地を狙っていたのだが、今回はどちらか取れただけでも重畳である。仕事の都合上絶対に感染できないということもあり、緊急事態宣言やまん延防止措置が取られている首都圏には一切入らず、鉄道を乗り継いで静岡に入り、レンタカーで甲府LVに向かうという旅程でどうにか上司の許可を得た。空路を使えば片道4時間半の道のりが運転込みの7時間半に化けたので、移動は過去の遠征で最も過酷だったが……。

 開催1週間前になり、いよいよライブ強行が確定した段階で私は例によってセトリの予想予習メドレーを作った。少しでも今回のライブが盛り上がってほしい、少しでも多くの人がライブに触れるようになってほしいという思いで、全力で予想した。「どうせ」の予防線を張ってギリギリまで作らなかったことを後悔しながら。



 
 当日。15年ぶりの来訪だった静岡市内でうっかり道を間違えたこともあり、甲府のLV会場に飛び込んだ時には協賛の読み上げが始まっていた。このご時勢なので荒い息を必死に鎮めて、MR以来1年3カ月ぶりに電池を装着したミックスペンラ2本を握る。気持ちの切り替えも十分でないままだったが、久しぶりのovertureで久しく錆び付いていたスイッチが少しずつ切り替わるのを感じた。コールこそできないが、開場に集った同好の士たちの空気が変わり、期待とわずかな不安で固唾を呑む気配。ああ、これがライブだ。長く絶えていたハレの日が帰ってきたのだ。メインステージにキャンプ場のような設営がされた曇天の会場に、演者たちが登場する瞬間をただ待った。

 一曲目は、予想通りのFlyers!!!。てっきり新披露目された例の野外仕様衣装で出てくると思っていたので、ガールスカウト風の衣装には面食らった。でもキュートでよく似合っているし、キャンプをテーマにした野外でのライブには持ってこいだ。提案した方に金一封を差し上げたいので振込先を教えてほしい。

 LV会場はと言えば、当然コールはないのだがコールがある風の振りをしっかりできている感じだった。スタンディングもコールもないが、色とりどりのサイリウムが振られる景色は、かつてのライビュと変わりない。

 続けての二曲目のレジェガ。春香以外のオリメンがいたことには予想動画投稿後で気付いて「あちゃー、漏れてたな」と思っていたが、歌うだけならともかく全員枠は考えにくいと思ってたので驚いた。この曲をここに配置した意図は言うまでもないが、私たちに「伝説の目撃者になれ」というメッセージだったのだろう。

 次のランニング・ハイッこそ本命視されていた曲だったが、その次は中谷育役の原嶋あかりさんをセンターにしたアニマル☆ステイション!だった。そうか、ソロはスペシャルメドレー形式ではなくコンセプトに合うものを複数人で歌うのか。「これは普段とはまるで違うライブになる」。そう確信できた。

 空に手が触れる場所。富士山麓で麗花ソロを歌うならこれが確定枠と予想していたが、北上麗花役・平山笑美さんと野々原茜役・小笠原早紀さんのデュオには「そ、そう来たか~!」と烈海王のようになった。今回はMTGはやらないし7thの後の発表だったトリトリはやらない。やらないが……ぷっぷかプリンはやる。二日目のCleasky同様、巧みな人選である。そしてまた、小笠原さんがひたすらに楽しそうで、茜ちゃんを感じさせるのが印象的だった。Day1はLVなので概ね均等に演者さんを見ることができたが、一番楽しそうなのは茜ちゃんのキャラクター性を差し引いても彼女ではなかっただろうか。

 HOME, SWEET FRIENDSHIP。これも初日に来るとは予想していたが、本当に来てびっくりした。

ライブを大切にしてきたミリオンの、「ただいま」と「おかえり」を象徴する曲として、この曲を位置付けてくる可能性はありそうです。

 概ねいい線いっていたのではないだろうか。松井洋平さんも後ほどそれと当たらずしも遠からずな言及をしていた。Bigバルーン◎は、一度リストに入れて外した曲だったので驚いた。ASの冬フェスのような風船をばらまく演出を想像していたので、このご時世ではセトリから削ると思っていたのだが、Reburnで小規模に切り替えたのだろうか。

 前半戦で私が特筆したいのは、駒形友梨さん(高山紗代子役)と大関英里さん(佐竹美奈子役)による「Melody in scape」だ。これはもう中止になった7thの有力候補でもどうしても聴きたかったので、イントロで思わず手を叩いてしまったと記憶している。歌詞を見てもらえばわかるしフルを聴いてもらえばもっとわかるが、野外ライブに、そしてこのご時勢にこそ歌われるべき曲だ。そしてこの日の二人は、とにかく仕上がっていた。
 歌唱力ならミリオンでもトップクラスと評価される駒形さんは、後述するがこの日の個人的MVPだった。デコ出しの髪型もこれまた個人的にだが歴代ライブの髪型で一番良かったのではないだろうか。一方で大関さんも、負けじと必死に食らいついていくようで、情感たっぷりの歌い方が強く印象に残る。前半の大きな見せ場に気合いが乗っているように見えた。
 この日の大関さんは主役とまではいかないものの、この曲、MTW新曲、自身のソロのグループ歌唱と見せ場が多く、全体を通じて気持ちの籠ったパフォーマンスが印象的だった。共に元々の7thでも大事なポジションだったと思われるだけに、この日に懸けるものがあったのだと思う。
 自分にはどうしようもない出来事でうまくいかないことが多くても、諦めない。時に立ち止まってもいい、それでも、もう一度歩き出そう。この歌詞に、勇気づけられた方も多いのではないだろうか。これは7thRに一貫するテーマの一つでもあった。
 
 そしてそこからの君だけの欠片。エミリーソロが歌われるならこの曲一択だよなと思っていたのでイントロには「そらそうよ」とにんまりしていたが、シャルシャロ組のデュオ披露というのがわかるとまたしても烈海王になった。そしてFlooding。今後しばらくチャンスがなさそうなクレブル5人曲はオリメン初披露のShooting Starsではなかったが、原作再現という意味ではこっち優先でしかるべきだし(SSsなら時間帯的にアンコール直前まで引っ張る必要もあるし)、雨が降る前提のライブだったのだからこちらだろう。

 もし雨が降ってゲッサンの原作再現ができたらそれはそれで伝説だったのだろうけど、他の曲が台無しになったので曇りで持ちこたえてくれて良かったと思う。


 だいたい、衣装は防水でも化粧や機材はそうもいかないし。


 その余韻に浸っていたら、MCを経てついにチュパカブラの登場である。今回は予定調和ではあったが、これが本来通りいきなり初披露されていたら、大混乱だったろうなと……。色々あったが、宣伝ソングというコンセプトは大成功だったし他ブランドにまで広く知られることになったし、ライブ向けでコール出来たらめちゃくちゃ楽しいだろうし、なんだかんだ歌詞も熱いのでまた歌われてほしい。
 ちなみに音源の朋花より1.5倍くらい色気たっぷりな天空橋朋花役・小岩井ことりさんの「チュパカブラ」には会場からざわつきが漏れた。この日はセンター格のこの曲に加え、さらに艶を増した百花月下、そして本人にとって思い入れの強いであろう星屑のシンフォニアなど、持ち曲でいかんなく実力を発揮していたように思う。

 夕食のおかわりやここぞの夕風のメロディーを経て、投入されたのがMTWのSuper Duper、そして百花は月下に散りぬるを。やはりMTW曲はライブ映えするし、A面曲はMTGと比べても遜色ないどころか互角だ。ミリオンでも鉄板の一つであるみななおコンビのSuper Duperは予想通りダンスに比重が置かれ、大関さんと横山奈緒役・渡部優衣さんの二人の身長差も演出に組み込まれていたのが印象深い。感情をたっぷり込めた歌声も良かったが、歌唱もダンスも8thではさらに洗練されたパフォーマンスを発揮してくれるだろう。百花月下は、初披露の感謝祭に比べても特に扇の扱いと表情の見せ方に磨きがかかっていたように思える。延期になったバンナムフェス2ndでも披露予定だったので、じっくり技を磨いてきたのだろう。扇を使う時の表情一つをとっても、朋花・紬・エミリーそれぞれを演じる演者の個性が際立っていた。しかしVi値が高い。


 この辺りから本格的に辺りが暗くなり、ブルシン夜に輝く星座のようにを経て、いよいよこの日のド本命、「待ちぼうけのLacrima」が披露される。歌唱力自慢が並ぶミリオンでも大半のPがVo力五指に入れるであろう愛美・駒形・平山の力強いボーカルは、今回もCD音源を凌駕していた。収録で歌わせても抜群に上手い三人だが、やはりその歌を待ち望んだ観客がいて、歓声は上げられずとも一挙手一投足を見逃すまいと見つめる目と拍手と緊張感があって初めて、CD音源を超える歌声を出せるのではないだろうか。すべてを出し切った後、大きな拍手を浴びる三人のやり切った表情を見て、私はそう感じていた。

 そしてそこからの「絵本」である。しかもしほかおデュオ。絵本は8thに温存すると思っていたが、まさかの披露だった。しかし、場の空気を自分色に塗り替えることにおいてはミリオンでも屈指の北沢志保雨宮天さんである。高まった空気を整え、見事に終盤戦への橋渡しをやってのけた。
 そして今回の特徴的な演出である、演者とダンサーによるランタン設置。かなり足元が暗くなっていたセンターステージと花道を照らしつつ、キャンプの夜を演出する妙手だったと思う。ああ、キャンプの夜ってこんな雰囲気だったよなあと浸っていたところで、この日の切り札が投入された。
 

 ジュリア役・愛美さんと周防桃子役・渡部恵子さんによる「流星群」。

 流星群自体は来ると思っていた人も多かっただろう。だがこの二人で、キャンプファイヤーを背にしての弾き語り。ライブから一週間がたった今、TAの話題は今更出すまでもないだろうが、なんだかんだユーザーの「野外ライブでやってほしいこと」には応えてくれた二日間の象徴的な曲だったといえる。ミリオン7thR初日のハイライトをと言われれば、Glow Mapや待ちぼうけのLacrimaとともにこの曲を挙げる人も多いだろう。自分の観測範囲ではあるが、ファンアートもこの流星群が圧倒的だった。

 そしてそこからのSTANDING ALIVE星屑のシンフォニア。前者は松井さん出演のMORでああいう形で触れられた以上、確定で来ると思っていたが星屑と重ねて二曲連続とは恐れ入った。「これが見たかった」と案の定撃沈されながら、時間変化や天候を十二分に生かしたまるで10thを彷彿とさせる見事なセトリに、「こ、このセトリは……石原!?」と、無想転生を発動したケンシロウの背後にトキを見るラオウみたいになっていた記憶がある。
 Twitterでも書いた通り、セトリはJUNGOや勝股Pだけで決めているものでもないし(ミリオンでさえ演者意向が多少は通ることからしても)、過去三回のライブはどうしても新曲発表の縛りが強かったので讃えるにも批判するにもかの人だけを挙げるのは良くない。ただ、今回についてはスクリーン演出もARも控えめで、演者と曲の強さ、野外の環境という素材の良さを前面に出していたのは素晴らしかったと思う。ここも7thRが後々評価されるであろうポイントだろう。


 雲間から月が覗いたブレハモを経た、アンコール明け。やるならここかなと思っていた曲が入り、甲府LVは声援禁止なのにざわめいた。

 「なんどでも笑おう」。アイマス15周年記念曲であり、各ブランドの単独ライブとしては初の披露だった。一方、私はマスクの下でこの日最も気持ち悪いどや顔をしていた。
 予想メドレーでこの曲を挙げた時は、まあ色々言われた。私自身も、実際可能性は高くはないとも思っていた。ただ、テレビ番組という形ではあるが一度5ブランド勢揃いで披露された以上、一応各ブランドで披露する条件は整っていた。
 また、ここでミリオンがやらなければ当然シャニ福岡でもやれない。そうなるとせっかくの15thイヤーにライブでの披露がないまま終わってしまうことになる。確かに15th曲なのだからまずASが、というのは筋ではあるのだが、それは平時だったらの話だ。事実上の首都圏縛りがあり、多くが母親という立場で、スタマスもまだ発売されていないASのリベンジの場はもう少し先の未来の話だ。何事もなければ、あの10thと同日程でドームライブを果たすはずたったSideM5thか翌月のAS単独からブランドごとの披露が始まっていただろうが、それが水泡に帰した以上はせっかくの5ブランド横断曲を塩漬けにすべきではない。
 となれば、直系かつなんどでも笑おうをイベントでがっつりやったミリオンが先鞭をつけるべきだ。そうすればシャニも歌いやすくなるし、SideM、シンデレラのライブを経てスタマス後のライブで満を持して大トリ……と思っていた。
 ※追記 無事シャニでも披露されたとのこと。確信していたがDay1でやらなかったせいでおいおいマジか高山Pと動揺していたけれど、これで各ブランドで歌い継いでトリに回すロードマップは完成したのではないだろうか。



 社会情勢で思ってもいなかった属性が付与された感もあるが、なんどでも笑おうは本当に良い曲だ。5ブランドで歌う曲は間違いなくいつかライブで披露されるのだし、それまでは各ブランドで歌い継がれれば待ち望んだその日の破壊力はさらに上がるだろう。

 「Glow Map」「Thank you!」については、このレポの構成上Day2に回したいのでここではいったん省く。そっちで思いを込めているので見捨てずに最後まで読んでいただければ幸いだ。


 さて、この日のMVPはと聞かれて、私はライブ直後、MVP駒形さん、準MVP愛美さんというツイートをしていた。この二人と平山さんはこのライブのいわば主役格で、センターの最上静香役・田所あずささん同様に野球でいえば「毎打席得点圏に走者がいるチャンスで打席が巡ってくる」ポジションだった。打てば当然ヒーロー、もし凡退すれば戦犯。そして彼女らは見事に打って、その日のMVPになった。
 では、そのチャンスを作ったのは誰か。もちろん全員なのだが、特筆するとしたら、それは前述したとおり渾身のパフォーマンスを見せた大関さん、そしてもう一人は桜守歌織役・香里有佐さんだろう。

 7thRはLTP~LTFが軸となったこともあり、今回はMTW枠もなかった香里さんはありていに言えば脇役ポジションだった。しかし、グッスリで年長者・先生属性としての歌い方を見せたかと思えば、ブルシンでも青属性のメンバーに負けない存在感を発揮。極めつけは志保ソロの切り札・絵本でのデュエットと、万能ぶりを発揮した。またしても野球で例えるなら、ファイターズファン的には打線の主役ではないが上位打線にチャンスで回せて自分で長打も打てて、いないと守備が崩壊する金子誠(15年間内野のレギュラーを担った名手)みたいなポジションになってきたような……。わかりにくいなこれ。でもカープ菊池涼介とかだと完全に主役だしなあ。

 Voについては6thSSAから東京ドームの大舞台を経てさらに成長した感があり、自身が要となるParade d'amourMUSIC JOURNEYの披露が確実な8thでその評価はさらに上がりそうな予感がある。ミリオンVo力5強(メンバー諸説あり)に食い込んでくるかもしれない。また、田所さんに関しては8thでいちぽむとしての出演になるため、ゲスト枠を除けば久々に山崎はるかさんと同日、つまり公演のセンター兼まとめ役から外れることになるはず。自身のパフォーマンスにおおむね専念できたバンナムフェスのように、個人としての強さを見せつける場面に注目したい。

 さて、この日はLV近場のドーミーインに宿泊したが、本当に久々の現地となる翌日に向けてワクワクが止まらなかった。二日目の座席はAブロック中央寄り前列。ライブは2ブランドしか現地に行かない私としては、今後の試行回数的にもおそらく最初で最後レベルの良席だろう(リリイベで最前は引いたことはあるが)

 一方で、雑魚メンタルゆえに何かと小難しいことを考えがちなこともあり、ニコ生で久方ぶりのハイテンションになりながらも「明日のライブ、どんな感じで臨めばいいんだろうな」と気持ちの持っていき方に多少の迷いがあったのも事実だった。



■Day2 夢を超えた夢をつかむため、この"再燃焼"が必須だった



 翌日の山梨県は快晴だった。何かと不運だの持ってないだの呼ばわりをされがちなミリオンだが、結果的に梅雨時の富士山麓というハイリスクな環境で、これだけの好天を引いたのだから今回に関しては天運に恵まれたと言っていいだろう。天気が前後一日でもズレるだけで雨だったのだ。雨が降れば、おそらくライブもこれほどの評価は得られなかった。

 久々の吉田のうどんを堪能し、学生時代以来となる富士急ハイランドへ。




 周りを歩いている人たちが皆、同好の士である特別の空間。ライブ現地開演前の高揚感は本当に久しぶりだった。





 Aブロック前方、スクリーン正面あたり。前に数人いるが、市松模様の席配置ということでよりステージが近く感じた。
 身長180cmで肩幅も広い私としては、今回のような席配置は非常にありがたかった。ライブ中に隣の人と肩が接触する心配もなく、快適に過ごせるのは悪くない。懸案だった腰が痛まなかったのも、新兵器のザムストの腰部サポーターに加え、姿勢を制限されなかったのが影響しているだろう。
 もっとも、それは本来なら来られたはずの人が来られなかったためだ。私のいるAブロックにも空席はいくつかあったし、何なら最前列にさえそれはあった。社会情勢や自身の立場で涙を呑んで断念した人がいることを思うといたたまれなくなるし、たとえ座席が窮屈でも一日も早く現状が解消されることを願う。
 
 ライブ前の一曲は、けがで出演を見合わせた舞浜歩役の戸田めぐみさんの前説からの「Beat the World!!」だった。前日より一曲少ないセトリを見る限り、おそらく最序盤にこの曲が配置されていたのだろう。一年越し、そして屋外でのミラソニ、RtFという見せ場に燃えていたであろう戸田さんの無念を思うと複雑だったが、真Pとしてもせめて盛り上げたいという思いでタオルを回し、黒枠として持ってきていた真のリウムも振った。


 ライブはLVならまんべんなく演者さんを見る(見ることになる)が、せっかくの現地ということで、誰を優先的に追うかをずっと考えていた。私がミリオンで好きな子を10人挙げろと言われれば、夜想令嬢とオペラセリア煌輝座の面々、加えて静香、このみ師匠、美也あたりだろうか。とりあえず所恵美役の藤井ゆきよさん、田中琴葉役の種田梨沙さん、宮尾美也役の桐谷蝶々さん、馬場このみ役の高橋ミナミさん辺りかなあと思っていたが、それ以外でもう一人候補がいた。

 ロコ役の中村温姫さん。中村さんと書くとどうしても我らがセンターオブセンターがちらつくので以下、温姫さんと表記する。
 
 
 過去記事でも書いているが、私は当初ノーマークだったJelly PoP Beans(ロコ、歩、桃子、昴)に6th福岡とSSAライブで打ち抜かれた。本来そんなに刺さる曲調でもないはずだったのだが、ユニットの2曲はとても素晴らしく、またゲーム内でのロコを軸としたユニットも、エモエモなメンバー4人がそろった演者としてのユニットもぶっ刺さった。衣装も良かった。ユニットの演者ネタつながりで言えば、某ウマ娘ナリタタイシンのような後半の怒涛の追い込みで、私の中のMTGユニット上位圏に入った。
 また、温姫さん自身のパフォーマンスも言語化が難しいのだが「とてもロコ」なのだ。キャラクターの縛りもあるがミリオンスターズ内でも傑出して歌えるとか踊れるとかそういうわけではないし、ASだと事務所の先輩の今井麻美さん、あるいは原由実さん、ミリオンにおける上田麗奈さんのような「憑依型」でもないのだが、とにかくロコがライブしていたらこんな感じなんだろうなと思わせる意味で注目している存在だったし、それにも引っ張られてミリオンで好きな順に並べたら、いつの間にか10位台グループにはロコが入るようになっていた。
 あと「サンクスです~」はいずれ万病に効くようになる


 今回、開幕のFlyers!!!で私の正面にいたのは彼女だった。



 Flyers!!!は、思い入れの深い曲だ。私がミリオンの沼、そしてアイマスライブ沼に首まで引きずり込まれた6th福岡で楽曲が公開され、私がフルライブで初めて両日現地を踏んだSSAで目玉として披露された。バンナムフェスで、一番見たかった形で披露された時には見事に崩れ落ちた。温姫さんも参加していた昨年1月のリリイベでは幸運にも最前で見られて、このコンテンツの輝かしい未来を確信していた。それだけにイントロから、楽しかった思い出や公私共にひたすらしんどかったこのコロナ禍の一年やらの感情の激流に飲み込まれ、Aメロは左手でリウムを振りながら右手はしきりに目元を拭っていた。
 
 そんな時だった。温姫さんが私のいたブロックに視線を走らせ、にっこり笑ったのだ。別に目が合ったわけではない……と思う。単なる偶然だ。ただ、それで彼女と彼女にオーバーラップするロコに「ライブをエンジョイするならスマイルですよ!」と言ってもらえたような気がしたし、温姫さん自身も「うれしい」「楽しい」「笑っていよう」という気持ちを前面に出してパフォーマンスをしていた。
 
 かつて、メンバーでも遅い初陣となった3rd福岡には、ディレ1なき後はミリオンの母親代わりだった今井さんに「人生の勝負だと思え、お前の人生はこれにかかってると思え」と発破をかけられて臨んだとされるが、まさにこのライブでも「今を精一杯生きる姿をちゃんと見てて」という歌詞を体現しているようだった。




 残念ながら失われた期間は二度と戻らないし、今後も15thイヤーについては「たられば」を語る場面はあるだろう。それでもこのコンテンツは少しでもその忘れ物、落とし物を回収できるように取り組んでいる。
 久しぶりのライブ現地は楽しい。楽しいなら、マスクをしていて表情が分かりにくくても笑おう。きっとそうすればもっと楽しい。




 同様に屋外ライブが序盤の山場だったミリオンBCでも、志保の弟のりっくんが同じことを言っていたのを思い出した。それでようやく、このライブでの感情の持っていき方も吹っ切れたし、そのきっかけをくれた温姫さんには本当に感謝したい。だから、この日は多くの場面でなるべくその姿を追うようになった。
 また、ここで完全にリミッターを外したせいかDay1と違ってこのあと数曲の記憶がガバガバなので、レポとしては断片的になってしまうことをお許しいただきたい。ただそのくらい、声が出せなくてもこのライブが楽しかったのだ。

 ともあれ私は、思い切り感情をぶっ放した。MR ST@GE以来、1年3ヶ月ぶりだった。








 ちょっと冷静になれたのは、福田のり子役の浜崎奈々さんと桐谷さんによる「マイペース☆マイウェイ」あたりからだろうか。なるほどその二人を組ませるか!と納得したところからの、「STAR ELEMENTS」による未来飛行。歌詞的にもアニメ版「階のスターエレメンツ」の18話くらいで流れそうな感じだったが、最近連発されていたこの曲も、未来・琴葉・可奈役の三人でやるとまったく趣が変わってくる。あと、煽ったウェーブに追いつけなくてわたわたしてる種田さんがとても可愛らしかった。

 そして、絶対的Performor。本来の7thなら、ライブ直前の公開・実装で、大きな目玉になっていただろう。残念ながらコールはできず、戸田さんも欠いての披露だったが、リーダー不在を補いうるくらいのエネルギーを感じた。8thではこれまた戸田さんの低音が光りそうなライブ向けのカップリング曲も控えているが、社会情勢や戸田さんのコンディションの問題もある。予想通り6thに近い三ケ所でのツアー形式なら、いちぽむ他との共演になるであろうトリの公演でなるべく万全を期してほしいと思う。その時がコール解禁済みだったら、本当に盛り上がるだろう。

 続けて、ソロ曲やるなら屋外ライブらしく歌われそうだなあと思っていた「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」ファンタジスタ・カーニバル」の2曲。大神環を演じる稲川英里さんは、いつものウイッグなしでもちゃんと環してるからさすがだ。ゲームはやってるけどライブや演者コンテンツ見たことない、という人でもすぐわかるだろう。

 かーらーのー、まさかの「ビッグバンズバリボー!!!!!」である。おおむね昨年踏襲であることからセトリに考えなかったわけではないが、それはどちらかと言えば「ぴょんさんと温姫さんで紗代子と奈緒の枠を補ったら5人でやれるなあ」という発想だった。ところが、センターステージ上がったのはまさかのTB2位コンビの春日未来役・山崎はるかさんと温姫さんによるデュオ。なるほどその手があったか!と膝を打った。原作では敵同士なので、「私たちは一心同体ィィ!?」となったのも笑った。
 6thSSADay1で最も盛り上がったバリボーでコールできないのは地獄だったが、その分二人のパフォーマンスをじっくり見られたのは良かったと思う。山崎さんに関しても、今回のライブは距離が近かったのもあるが「春日未来」をこれまでになかったほど感じさせられ、改めて変人天才曲者だらけのミリオンを束ねるセンターとしての強さを思い知った。彼女が私のブロックの至近にいたチュパカブラでは、一部LVにも抜かれていたようだが、チュパぐるみを怪訝に見つめたり謎ポーズを取っていたところも未来っぽさがあった。
 
 そしてエタハモ。来るとは断言していたが、やはりコールできないのはしんどい。とはいえ面子が完全に私得だったので、楽しすぎて記憶がない。藤井さんが至近まで来たのはこのライブではここだけだったような……気がする。この曲はもうオリメンでも最高の舞台で披露したし、どんどん新しい組み合わせを模索してほしいところだ。
 続いたのはこれまた予想していた三人版のインヴィンシブル・ジャスティ。なんだかもう内川ばりに「勝ちすぎて申し訳ない」と言いたくなるくらいの的中率だったが、座席の都合上三人は背中を見ている場面が長かった。ただ、私は背後カメラのアングルが好きなのでこれはこれで。高音が強い伊吹翼役・Machicoさんを残る二人が低音域で手厚く支える構成もさることながら、個人カラーの新衣装が特撮というかヒーローものの系譜を感じさせ、これまたバッチリ合っていた。正面からのアングルは、アンコール上映会で堪能したい。

 カレーとナッツでお腹いっぱいになった後は、誰もが予想したであろうオレンジの空の下。場面はまさに青空が夕日に染まる頃で、ここで歌わずしていつ歌うというタイミングだ。ちらっと見たがスクリーンの映像が夕日も映してとても綺麗だったので、これもアンコールでじっくり見たい。この曲が完璧なシチュで披露されただけでも、野外でやった価値はあったと言えるくらいだ。豊川風花役・末柄里恵さん以外はオレンジ系カラーの面子で固めたのは良くも悪くもハッチポッチを思い出したが、まあ許容範囲である。



 そして、会場の誰も予想していなかった曲のイントロが流れる。客席には動揺、いや困惑の気配さえもあったかもしれない。センターステージで揺らめく炎の前に立ったのは、トライスタービジョンの三人だった。
 種田さん、藤井さん、そして島原エレナ役の角元明日香さんによるLTP曲「カワラナイモノ」。視界の範囲内の琴葉Pや恵美Pが何が起きているかを理解したのか、一人、また一人と崩れ落ちるのが見えた。たぶんきっと、この景色を幻視したのかもしれない。



 昨年に7thのメンバーが発表され、TSVの名前が並んでいた時、多くの人がMTWでこの三人が組むことを予想していた。(その後ミラソニが発表され、琴葉はオペラセリア煌輝座、恵美は君彩というそれぞれMTW屈指のユニットを組むに至ったが)
 様々な事情もあり、ライブではTSVの3人だけで歌ったことはミリオンの歴史でも一度たりともなかった(ゲームやミリオンBCではカバー曲を歌っているし、フェス限では三人揃ったが)。それだけに、種田さん休業中の4thアニメPVやミリシタでの合流コミュを経ていた各々のPに「いつかこの三人で」という強い思いがあったのは私もよく知っていた。それだけに何か歌ってくれたらいいなとは思っていたが、まさかこの曲とは。

いくつも時をかさねて 自分らしい足取りで
今ここに立っていられるのは きっとみんなのおかげだよ
いつも心の真ん中 いろんな気持ちをくれる
出会えた奇跡に、ありがとう
ずっと大人になっても一緒にいれますように

 元々は青春と卒業の曲ではあるけれど、ここまでこの三人にマッチするとは思わなかった。また、以前に三人で青春の始まり、真っ盛りの曲であるチェリーをカバーした後のカワラナイモノというのもまたこの選曲に花を添えている。
 距離があるので細かい表情までは確認できなかったが、特に藤井さんの万感の歌声、そして互いに視線を交わしながら歌声を重ねた大サビに胸が熱くなった。夕陽に照らされた三人の姿は、初日の流星群やMelody in scape、待ちぼうけのLacrima等々と同様、後年にミリオン7thRの伝説の一つとして語られるのだろう。これも提案者に金一封差し上げたい。マジで誰ですかこんな発想できたの。
 ともあれ最高の形で、琴葉合流以来、多くの人が一度はやってほしいと思っていた忘れ物の一つをミリオンライブは披露してくれたのだ。
 

 その一方で、時間的にもあの曲がそろそろだと皆が気付き、ワクワクを隠せなくなっていたように思う。Reburnを掲げた7thRのDay2目玉、ジレるハートに火をつけて。灼熱少女のメンバーがメインステージと両サイド、そしてセンターステージに散って登場すると、リウムが一斉に激しく振られた。

 圧巻だった。ばらけて配置されてはいるが、全員がそれぞれキャンプファイヤーの炎を背負って、激しく情熱を燃やす。流星群とはまるで違う炎の使い方に我々も燃え上がりながら、5th以来となる5人のパフォーマンスに滾った。私の目の前は稲川さんだったが、環として燃え上がるその姿は、ひたすらカッコ良かったと思う。また、その次に近かったセンターステージの上田さんもまさに海美といった感があり、この日の主役の一人として観衆を魅了していた。ジレハは一度でいいから現地で見てみたいと願っていたが、想定されたパイロではなく「そこにあるものを活かす」形で五つの炎を表現するとは。今までと違って広く散って配置されているため演者に課せられたハードルも過去の披露以上だったかもしれないが、見事に成し遂げたと言える。桐谷さんが遠かったのはちょっと残念だったが仕方ない。

 そして赤つながりで、クロノレキシカによる「dans l'obscurité」。過去二回もなかなかメンバーが揃わず、今回も永吉昴役の斉藤佑圭さんがお休みだったが、七尾百合子役でダンスにが得意な伊藤美来さんを軸にした演出はあのリリイベの時以上だったし、真壁瑞希役の阿部里果さんは相変わらず歌もダンスもキレッキレ、今回が初披露の望月杏奈役・夏川椎菜さん、そして中村温姫さんも負けじと力強いパフォーマンスを見せていた。5人揃えばさらに強くなるのは言うまでもないので、難しいとは思うが8thでどうにかうまく事が運んでくれることを祈りたい。

 さらに、このりおコンビのSherry 'n Cherryによる「Cherry Colored Love」。高橋さんの衣装のパーツが外れるアクシデントこそあったが動じることもなく(うまいこと装飾っぽくも見える外れ方だったのも幸いだった)、夕闇の下、アダルティな二人による歌唱は前の二曲とは違った炎の揺らめきを感じさせる。百瀬莉緒役の山口立花子さんもこの日はあの6th並みに仕上がっていたように見えた。ちなみにこの二人、カメラが追い付けていなかったのでLVではほぼ抜かれていなかったっぽいが、最後のThank you!のわちゃわちゃの時に二人でハートマークを作っていた。

 さて今夜はここからどう締めにいく?と思ったら一部ゲッサンミリオン再現の瞳の中のシリウス、次にMarionetteは眠らないと来て、6人体制のRaise thr Flagが披露された。強い。サジタリアスの要、戸田さんを誰がカバーするかと思っていたが、4人がかりで補うとは。特に、ミラソニの相棒でもある浜崎さんの低音のカバーが非常にパワフルで「アタシが歩の分まで歌う」とばかりの強い意思を感じた。前日の大関さん・香里さんにあたる枠は、この日は浜崎さんと角元さんではないだろうか。この二人が要所要所でしっかり支えたからこそのDay2だった。

 そして星空と月の下、LTF曲最後の一、Starry Melodyが歌われる。琴葉と種田さんにとっても一つのやり残しだった曲で、ステージでは初歌唱となった。ああ、これはいい締めだ。野外ライブの特性と天候を活かしきった素晴らしいライブだった。そう思い、「まあ今日はでかい発表は無いかな」と思いながら告知を見ていたら――






 完全版リフレインキスの発表。天体公演のステージ映像、そして四人のシルエットからあのイントロが流れ始めた瞬間、会場から声にならない呻き声が漏れた。確かにアライブファクター級の激戦になる曲が突っ込まれるかもとは書いたが、ここに来てこの曲か、と。いわば田中琴葉欲張りセットか。
 私のブロックの斜め前には、琴葉Pが二人いたが、当然泣き崩れ、抱き合いながら喜んでいた。思わずもらい泣きしそうになったが、それも当然だろう。この曲は琴葉Pにとっては最大の心残りだったし、特に6thSSAで赤い世界が回収されてからは、いつか来る「はず」のこの曲の未練と葛藤していたはずだ。




 ミリオンは「一人じゃ届かない 一人も手放さない」をモットーに掲げる。人気差はあっても扱いの差は極めて小さい。もちろんこれも39人と52人ではかなり様相が変わってくるし(ARMoooのドラマパートで、律子が若林さんの絶賛していたUNION!!の歌詞をラップにして練習をするという粋な演出もあったが)、ライブは39人でも完結できるがブランドとしては52人でないと世界観が破綻するあたりは、直系ブランドとしての難しさでもあるのだが……この話はこじれやすいので今回はしない。
 肝心なのは、やり残しと忘れ物は時間がかかってもきっちり回収していくスタイルであるということだ。琴葉周りの件もそうだし、6thで39人でつないだソロパートの大トリに5thはお休みしていた斉藤さんを指名したことなど、枚挙にいとまはない。だからJOVの件もちゃんと頼みますよ。

 やり残しは、時に指に深く刺さった棘のようにいつまでも残るものだ。それが原動力になるケースももちろんあるが、たらればの要因ともなり、前に進む足を引っ張ることもある。
 
 今回の7thライブも、このブランドにとってそうだったと言えるかもしれない。



 あまりにも大きな心の穴が開いていた一年前。ミリシタ三周年曲「Glow Map」のティザーPVが生配信で披露された時、誰しもが気付いただろう。「ああ、ここは富士急コニファーフォレストだ。本当はここで披露するはずだったんだ」と。
 
次第にそれは7th幻視ネタへの定着につながっていくわけだが、それは傷口を塞ぐ行為である同時に、拭い去れないほどの「たられば」を生んだ。もし7thライブができていたら。富士急でGlow Mapが見れていたら。コロナさえなければ。
 悲願であり夢だったアニメ化という輝いた未来はあったが、ようやく最大の武器を取り戻したミリオンが次のステージに進み、夢を超えた夢をつかむには。やはり「やれずに燻っていた7thを、その時できる完璧な形でやり切る」ことが必要不可欠だったのではないか。

 そして、そのライブには我々観客も必要だった。




 先日に「逃げ恥婚」で大ニュースになった星野源さんは熱烈なアイマスPとしても知られるが、その魅力について、我々も含めて皆である種の嘘を作り上げ、その嘘が嘘でなくなっていく瞬間が見れることにあると語っていた。

 その賛否はともかく、アイマスライブの魅力の一つは、その場にいる全員が作る共同幻想にあるというのは私も同感だ。ライブでは演者さんを巫女としてキャラクターを降ろすことにより、いわゆる「ステージに○○がいた」「完全に○○だった」という事象を引き起こせるわけだが、どんなに優れた憑依型演者であっても、配信ライブでは限界があるように見える。
 やはり、我々も現地に行って媒介とならなければその完成度は一定以上には上がらない。夢に終わった7thライブという幻を超えるには、同じ季節、同じ場所、同じメンバー、そして大半を踏襲したセトリで、その「幻の最高」を超えていくライブを実現して燻っていた思いを完全に燃え尽きさせるしかない。だからこその、「Reburn」だったのだ。


 今回の7thRがいずれ伝説と呼ばれるのだとすれば、演者と小美野P以下ライブチームがリスク承知でライブ成功の前提となる有観客にどこよりも踏み込んで邁進し、気まぐれな梅雨の天気との戦いに勝ち、おそらく感染のリスクにも勝ち、極めて難易度の高いライブをやり切ったことに尽きるのではないだろうか。そのための最後のピースが、このGlow Mapだった。

 Glow Mapはそれまでのミリオン系全体曲の中では異色の、静かな入りから次第に盛り上げてサビで一気に高める曲調だ。星空の下、富士山麓の林の中で歌うのにこれほど適した全体曲はない。一日目のLVではCメロで案の定撃沈したが、この日は「感情をぶっ放しつつ、ライブを楽しむ」という方向性が固まっていたおかげで耐えきれた。

 そして、「行ってきます」はセンターの山崎さんではなく、MVで担当した上田さん。ここでも、やり残しをきっちりクリアしていった。
 花火が打ちあがる中、惜しみなく送られる万雷の拍手。万感の表情の演者たち。少し前後するが、MCでは藤井さんの「みんな、(SSAからの)この二年何してた?」という言葉で涙する方も多く、木戸さんも阿部さんもぽろぽろと涙をこぼしていた。我々も、演者も、一年間溜めに溜めてきた思いをここでようやく出し切り、完全燃焼できたのではないか。これできっと、次のステージへと迷いなく進める。

 決してスマートではないのかもしれない。ゲーム展開も含めて、キャラ人気を問わずなるべく均等に、かつ足並みを揃える姿勢は、時にブランドの動きをひどく鈍重にもする。だが、このブランドはこれでいいのだと思う。だからこそ坂上陽三Pも、ミリオンの強みを「総合力」と評したのだろう。

 
 ……なお、Glow Map最後の花火は初日LVで見てたのに、現地では思ったより近くてビビった。





ちなみに歩ソロがとてもいいのでみんな聴いてほしい。いつかきっと、戸田さんもどこかのステージでこの曲に参加できるはずだ。忘れ物はきっちり回収するし、何年でも待つのがこのブランドのスタイルなのだから。


あ、ちなみに真のソロもとても良いです。









 楽しい時間はあっという間――そんな定番のMCが流れる中、私はUOを四本取り出していた。
 今日は本当に楽しかった。マスクをつけたままではあるが、笑って、燃えて、きっとそんな我々の姿も演者に届いていたはずだ。きっとこれからも、少なくとも2ブランドのアイマスライブには参加していくが、7thRは特に忘れ難いライブになるはずだ。そんな素敵な思い出になるきっかけの一つをくれた温姫さんに、感謝を届けたい。そう思った。

 アンコール前に近くの二人組がやっているのを見て思い出したが、温姫さんは事前にこんなツイートをしていた。





 ぼっち参戦の私には「ロ」「コ」を両方用意することはできないが「ロ」ならできる。最後のThank you!でロを作ろう、そう決めていた。
 
 ……が、前半戦にこちら側ばかりにいたから当然なのだが、アンコール後の温姫さんは上手側やセンターステージが定位置で、一切こっちに来なかった。その代わりにこのりおハートマークとかも見られたのだが、手元にはタイミングを逸した四角形のUOが光るのみ。とりあえずばらして振っていたが、結局チャンスは訪れなかった。

 演者が次々とステージを去っていく中、反対側のステージ上手にいた温姫さんはいつもの「サンクスです~」を連呼しながら、観客席に背を向けようとしていた。こりゃ厳しいか、と思いながらダメもとで「ロ」を掲げていた時だった。遠くにいた彼女は私のいる下手のAブロックに目を向けると、マイクを持った片手を私の方向に指してくるっと回転させて。ロコを感じさせる笑顔のままで、そのまま走っていった。

 そうして、私の7thライブの炎もきっちり完全燃焼できた。
 
(6/27追記 マイクを持った片手と記憶していましたが、映像を見る限りマイク持ってない左手でしたので訂正します。幻覚じゃなくて良かった)



 なおこの日の温姫さんは、この日ステージに立てなかった昴と歩のカラーのシュシュまで使っていた。じぇりぽの絆、という表現も現実の前には安く思える。何と評すればいいのか適切な言葉が思いつかない。ただ、少なくとも。

 アイマスの「ドラマチックなナカムラ」は二人ではない、三人いる。この日、心からそう思った。















■おわりに



翌日のコニファー。撤収が始まっていた



 ライブ後、8thツアーが発表されなかったのは残念という感想が多々見られた。ただ、決まっていてもあそこで発表しないのは既定路線だったろう。
 私事で恐縮だが、弊社もいわゆる大規模イベントと呼ばれる催しの運営をしている。私は事業畑ではないので運営にがっつり関わるわけではないのだが、今年は厳しい状況の中、キャパ制限はありつつも何とか完遂を果たせた。その時点で肩の荷が下りていた私は「これで次も問題なくやれますね」と担当者に話しかけたが、その方は「2週間経って感染なしが確認できないと次の話もできない」と厳しい表情だった。

 おそらく、アイマスライブもそうなのだろう。プロミでツアーを発表できたはずのSideMも間を空けた。そしてミリオンも、シャニも次回ライブイベントを発表しなかった。おそらく、少なくとも関係者の感染や観客のクラスターはなかったと判明して初めて、内定している次の具体的発表に移れるのだろう。開催から一週間が経過したが、そういう意味でも現地、LV組ともに万一がないように念には念を押して、あと数日は緊張感をもって生活すべき時期と言える。

 そんなわけでアニメはともかく、8thの発表自体はそこまで遠くないだろう。残念ながら夏から秋の第5波は高い確率であるようなので、20~30代も接種し集団免疫がはっきり見えてくる年始辺りからの開始にした方がマスク付きでのコール可、あるいは2回接種者のみコール可といった取り組みに踏み込めるかもしれないが。いずれにせよ、MCでの演者の来年云々はまだあまり気にしなくていい気がする。

 ああ、それにしても。感情をぶっ放せるライブは、本当に楽しかった。












 ちなみに吉田のうどんは二回食べた。やはり良い。うどんは強いコシがあってなんぼである。コシのないうどんなど論ずるに値しない……なんて火種をばらまきつつ、筆を置きたい。





 ここまで約20000字の長文を読んでいただき、ありがとうございました。